訪れた温泉は約500、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されている温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、“穴場でおすすめ”というスポットを紹介してもらいます。
毎月、穴場温泉の情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。
※この記事は2021年5月20日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
おすすめは、みなかみ18湯内の「川古温泉 浜屋旅館」
生い茂る自然に包まれながら、ほっと一息
なんといっても、暖かくなってきた今が旬の“ぬる湯”
1泊2食付き1.1万~で泊まれるおてごろ感がありがたい
おすすめは、みなかみ18湯内の「川古温泉 浜屋旅館」
東京から2時間半ほど車を走らせると辿り着く、群馬県・みなかみ町。18湯もの温泉が湧くエリアで、それぞれに泉質や趣など異なる魅力があります。一軒宿の秘湯から超巨大露天風呂まで、浸かる楽しさもさまざま。そのバリエーションの豊富さに、どこに泊まるかいつも悩んでしまいます。
今回私がおすすめしたいのは、みなかみ18湯内でも特に推しの「川古温泉 浜屋旅館」。山道をぐねぐね走ってたどりつく、小さな宿です。
生い茂る自然に包まれながら、ほっと一息
車から降り立つと、まず聞こえてくるのは横手に流れている渓流の水の音。山の温泉ならではのBGMに、ささやかながら癒やされます。こぢんまりとした全12室の一軒宿で、周辺は青々とした木々ばかり。現実から離れ、心身を休めるには最高の環境です。



客室は一面緑の窓が美しく、聞こえてくるのは渓流の音と野鳥のさえずり。古くから湯治宿として親しまれてきたのもあり、お客さんも療養にきている方が多めです。少し年季の入っている旅館だけど、手入れが行き届いていて、のんびりと羽を伸ばせます。
なんといっても、暖かくなってきた今が旬の“ぬる湯”
川古温泉の最大の魅力は、源泉かけ流しの極上ぬる湯。加水・加温・循環ろ過・消毒なし。泉温39℃のナマ温泉が、そのまま湯船に注がれています。

個人的には、ぬる湯は5月~7月がベストシーズン。暖かくなってきて、ずっと浸かっているのが一番心地よい季節です。秋冬は少しだけ寒いし、真夏は露天の虫が気になるもの。ぬる湯初心者はぜひ、今こそ訪れてほしいです。

湯船の温度は37-38℃ほど。このぐらいの温度で浸かることを「不感温浴」と言われていて、熱くも冷たくも感じず長湯できる温度だそうです。
ざぶんと足を入れた瞬間は、歯ごたえのない冷たさを感じますが、次第にぬるさに体が慣れ、湯と肌に境目のない入浴が続きます。30分ほどだらだら浸かっていると、なんだかようやっと、日々の疲れから解放されているんだなあ、と実感します。
アチアチ湯船で5~10分ほど浸かってさっぱり汗を流す温泉体験とは、まったくの別物。少しずつ熱が浸透してくるように、少しずつ現実から自分が剥がれていくような感覚があります。熱さに耐えたり汗を拭ったりすることもなく、半分瞑想状態のようなぬる湯タイムだからこそ得られる“ととのい”なのだと思います。

しばらく浸かっているとお肌に気泡がつきます。この現象は、新鮮なぬる湯だからこそ見られるもの。肌触りは少しキチキチしていて、アワアワ。すばらしいです。
泉質は「カルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉」。軽めの浴感かと思いきや、しっかり成分の含まれた温泉なので、体にも心地よい負担があります。硫酸塩泉によくある芒硝のにおい(表現しにくいのですが、個人的には「だしのにおい」が近いと思います)がするのも素敵でした。
もうひとつ魅力なのが、湯の底から温泉を入れていて、古い温泉が上澄みからオーバフローされるようになっていた点。温泉の清潔さと新鮮さを保たせる、温泉愛にあふれるすばらしい工夫だと思いました。
1泊2食付き1.1万~で泊まれるおてごろ感がありがたい


夕食・朝食ともに、山の幸をいただける優しい食事で満足でした。川魚の塩焼きにジビエの鍋、山菜やキノコの和え物と、みなかみならではの味を堪能できます。
川魚は、旅館の養魚場で育てたイワナ・ニジマス。くさみもなく、新鮮で美味でした。
川古温泉 浜屋旅館は、1泊2食付き1.1万円~(2021年5月現在)。料理の量を控えめにするプランでは1泊1万円以下から展開されています。なんと良心的でありがたいんでしょう…。
いい温泉を有する宿は、“温泉代”を感じる価格設定がされていることも少なくないですが、川古温泉は広く多くの人に温泉を解放しているようで、なんだか嬉しくなります。
初めてのぬる湯デビュー、湯治宿デビューにもおすすめの川古温泉。そっと訪れて、日々の疲れを癒やしてみてはいかがでしょうか。
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“ひとり温泉”を楽しむ特集一覧
■プロフィール

永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。普段はCHOCOLATE Inc.でプロデュース業をしています。元じゃらん編集部員。
Twitterアカウント @onsen_nagachi
『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』

2020年11月26日発売。訪れた温泉は約500湯。ヒマさえあれば女ひとりで温泉を巡りまくっている「温泉オタク会社員」による温泉偏愛エッセイ!つぶやくと同時に6.8万RTされた「東京・大阪から1泊2日で行けるお勧め温泉チャート」付き
書籍の情報はこちら
https://www.gentosha.co.jp/book/b13386.html
※掲載の価格はすべて税込価格です。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi