いわゆる昔ながらのかき氷といえば、イチゴやメロンのシロップでいただくシンプルなもの。それに対し、近年すっかり人気定着したのが、食べ応え満点のスイーツ系かき氷です。
フルーツをそのまま食べているような生シロップ系、まるでパフェやケーキのような濃厚な洋菓子系などなど。様々なジャンルのかき氷が登場しています。
東京・三軒茶屋にあるかき氷と和定食のお店「和kitchen かんな」は、一見洋風なメニューのなかにも“和”の良さがキリリと引き立つかき氷が有名です。まるで和食料理のような繊細な味わいのかき氷。そのこだわりの理由を探ってきました。
※この記事は2021年7月8日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
「和kitchen かんな」とは
和の調味料や食材を隠し味に

もともとは、祐天寺にあった懐石料理店が和カフェを始めたのがきっかけ。その後、三軒茶屋に場所を移し、2013年にかき氷と和定食のお店としてオープンしたというのが、「和kitchen かんな」の成り立ちです。つまり、正統派の“日本食”から派生して生まれたかき氷なのです。
経営者が変わった現在でも、その心意気は脈々と引き継がれており、「和kitchen」という名の通り、“和”に重きを置いたメニューづくりが続けられているそうです。とりわけ、期間限定メニューでは、創作系の和風かき氷メニューも登場。店主の石井雄さんに話を聞きました。

「基本的に旬の食材を使いながら、醤油、みりん、酒粕、出汁といった和の調味料や、和の食材を何かしら取り入れるようにしています。また、和食らしい技法を使って、口当たりや食感にもこだわっています。
たとえば、今年のお正月には、『鯛味噌茶漬け かき氷』というメニューも出しました。鯛の身をほぐして味噌で煮込み、骨で出汁をとってシロップにして、白出汁のマスカルポーネクリームを添えて。あられと海苔と塩昆布をかけて食べるスタイルです。一見、冷製茶漬けみたいな感じですね」

なんとも味の想像がしづらい「お食事系」かき氷ですが、一度食べるとクセになるお味だとか。甘じょっぱいかき氷シリーズは、意外にもファンが多く、不定期で登場。この夏は、アーモンドたっぷりのみたらし団子風かき氷「まナッツ!みたらしカスタード」(価格未定)が登場する予定だそうです。
氷へのこだわり
最後の一口までおいしく

繊細な和食料理の心遣いは、氷の扱い方にもあらわれています。使うのは、不純物を取り除き、−10℃前後でじっくり48時間をかけて凍らせた「純氷」。これをふわふわの食感に仕上げるために、前日の夜に、保管用の冷凍庫から、若干温度設定の高い冷凍庫へと移動。さらに当日の朝に冷蔵庫に移動させ、2段階で温度を変化させていきます。そうやって、氷を削りやすい適温に整えているそうです。
「均等に溶けるようにじっくり温度を変化させています。そうすると、どこの面から削ってもふわふわに削れるんです。真夏の暑い時期は、半分くらい削ったらまた冷凍庫に氷を入れてキュッと締めて、残り半分は別の氷を削ったり。温度管理には常にこだわっていますね。」

そこまでこだわる理由は、「最後の一口まで美味しく味わってもらいたい。」という思いから。
「お客様が一番下の氷の層を食べるまで、削ってから10~15分くらいかかります。そうすると、かなり溶けますし、上に積み重なった氷に冷やされてカチンと再結晶してしまいます。そこで、器の底には糖度の高いシロップを入れ、再結晶を緩和するようにしています。最後まで氷の触感を楽しんでいただきたいですね」
バラエティー豊かなこだわりメニュー

「和kitchen かんな」では、定番のかき氷メニューを約15種類、期間限定を約8種類を用意しています。いずれも、食材の組み合わせにこだわり、試作に試作を重ね、本当においしいと胸を張って提供するメニューばかり。
和風はもちろん、フルーツや洋菓子風のメニューも豊富です。おすすめのかき氷3品をご紹介していきましょう。
「濃厚紫いも牛乳」(900円)

甘みと風味が強い、沖縄産の紫芋をたっぷり使用。紫いものホクホクとしたおいしさをしっかりと味わえるかき氷です。
ベースには、牛乳と練乳を煮詰めて作ったミルクシロップをたっぷり。かき氷のテッペンには、お野菜でカラフルに色付けした「錦ゴマ」をパラパラ。見た目はもちろん、食感的にも味覚的にも、絶妙なアクセントになっています。
「BC」(1100円)

見た目にもかわいい、殿堂入りの人気メニュー。
ミルキーなヨーグルトシロップとイチゴ、マスカルポーネクリームという間違いのない組み合わせで、最後の一口までおいしくいただけます。
「酒粕チョコミント」(1400円)

爽快感のあるチョコミントに、リンゴを混ぜた酒粕マスカルポーネを組み合わせて大人な味わいに。
中層にはソルティライムが忍ばせてあり、食べ進めるごとにまた異なる爽快感が迫ってきます。こちらは、期間限定メニューのため、現在は提供なし。季節で変わる、限定の和食材メニューにご期待あれ!
WEB予約ができる!テイクアウトも

行列の絶えない人気店ですが、現在、「和kitchen かんな」では、予約優先性で入店を案内しています。予約は、ホームページからのWEB受付のみ。5日前(※近日中にシステム変更予定。変更後は1週間前から)の22時から受付可能ですが、夏の時期は22時直後にドドドッと予約がびっしり埋まってしまうことも少なくないそうです。

予約なしの場合は、お席が空いていれば当日入店でも案内してもらえますが、夏場はほぼ予約でいっぱい。
ただし、テイクアウトなら受付が可能とのこと。お店のすぐ目の前にちょっとした広場があり、徒歩数分の場所には緑豊かな世田谷公園もあるので、テイクアウトも人気を博しています。なお、食べ終わったゴミは、お店で回収してくれるそうです。もしも、予約に漏れてしまった場合は、列に並ぶのを覚悟して、テイクアウト狙いで訪れてみるのもおすすめです。
ちなみに、7月中旬~9月中旬以外の時期は、こだわり和食の定食メニューも提供している「和kitchen かんな」(※7月中旬〜9月中旬はかき氷メニューのみ)。ミニかき氷が付いたお得な定食セットもあるので、季節を変えてぜひ訪れてみてくださいね。
[TEL]03-6453-2737
[住所]東京都世田谷区下馬2-43-11 2階
[営業時間]11時~19時(L.O.18時30分)
[定休日]水
[駐車場]なし
「和kitchen かんな」の詳細はこちら
※入り口での検温・手指消毒、こまめな消毒・換気を行い営業しております。
※ご来店のお客様は必ずマスクの着用をお願いいたします。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
曽田 夕紀子
編集ライター&カメラマン。2015年に浅草から東京の奥座敷、奥多摩町の山間へプチ移住。築150年の古民家で、夫・娘・猫3匹とともにカントリーライフを満喫中。旅、アウトドア、暮らし、グルメ、農業、サステナブルを主なテーマに、取材&撮影で全国各地へ。スキューバダイビング歴20年。http://www.miguel-web.info