close

2024.05.15

京都のパワースポット「鞍馬寺」の見どころガイド!巡り方から周辺スポットまで

京都市の北部に位置する鞍馬。鞍馬寺を中心に門前町が形成され、100年以上の歴史を持つお店も並ぶ情趣あふれるエリアです。

今回は、京都屈指のパワースポットと言われる鞍馬寺の見どころや巡り方、周辺のおすすめスポットを紹介します。

記事内で登場するスポットは、すべて鞍馬駅から徒歩圏内にあり、気軽に観光を楽しめます。貴船神社へのアクセスも良いので、合わせて訪れるのもおすすめです。

鞍馬とは

「鞍馬(くらま)」とは、古くから信仰の対象だった鞍馬山の中腹に位置するエリア。鞍馬エリアの中心となるのは「鞍馬寺」で、1200年以上の歴史をもち、史実との関わりや多くの伝説が残る寺院です。パワースポットでも知られ、現在も多くの人が訪れています。

春は桜、秋は紅葉の名所で、四季折々の美しい景色が楽しめるのも魅力のひとつ。神秘的な自然のパワーに癒されそうです。

鞍馬寺の歴史や見どころ

鞍馬寺

「鞍馬寺」は、770年に鑑真和上の弟子である鑑禎(がんちょう)上人によって開創されました。夢の中で聞いたお告げに従い鞍馬山に登った際、鑑禎上人は鬼女に襲われましたが、毘沙門天(びしゃもんてん)に助けられます。そこで毘沙門天を祀る草庵を建てたことが、「鞍馬寺」のはじまりと言われています。

多くの文芸人から愛された寺で、平安中期に来山した清少納言は随筆『枕草子』にて、境内の「九十九折(つづらおり)参道」を“近うて遠きもの、くらまのつづらをりといふ道”と書き記しています。

また、紫式部の『源氏物語』に登場する光源氏と若紫の出会いの場「北山のなにがし寺」は、「鞍馬寺」の風景をリアルに描写したものでした。源義経(幼名:牛若丸)が幼少期を過ごした寺としても広く知られていて、7歳の頃に入山し、16歳の頃に「鞍馬寺」を出て奥州平泉に下ったと言われています。

牛若丸が昼間は仏道修行し、夜は天狗に兵法を授けられたという伝説があり、寺周辺のお店にも牛若丸にちなんだ商品やメニューが多く見られます。散策しながら探してみるのも楽しそうですね。

鞍馬山への結界「仁王門(山門)」

仁王門
仁王門

鞍馬駅から北に3分ほど歩くと、長い階段の先に朱色が映える立派な門が見えてきます。これが境内の入り口となる「仁王門」で、山全体が神聖なパワースポットと言われる鞍馬山に入ります。

現在の「仁王門」は焼失により1911(明治44)年に再建したものですが、左側の扉は寿永年間(1182~1184年)に建立された当時のままなのだそう。受付で愛山費(500円)を支払って参拝に向かいます。

仁王門
仁王尊像

門の両側には、鎌倉時代を代表する仏師・湛慶(たんけい)作の仁王尊像を安置し、神聖な地域・浄域である鞍馬山を悪いものから護っているそうです。

口を開いた「阿形(あぎょう)」と、口を閉じた「吽形(うんぎょう)」の一対で“阿吽(あうん)”を表現していて、これは五十音が「あ」から始まり、「ん」で終わることから、万物すべてを包含すると言われています。
(画像提供:鞍馬寺)

“大杉さん”が見守る「由岐神社」

由岐神社
由岐神社

「由岐神社」は、「鞍馬寺」の境内・九十九折参道の途中に位置する神社です。もともとは京都御所内にありましたが、940年に大地震や戦乱が起きたことから鞍馬に遷宮、その時の行列の様子を再現した「鞍馬の火祭」は、京都三大奇祭のひとつに数えられています。

様々なご利益がある神社として古くから信仰され、御祭神は商売繁昌・縁結びの神様です。境内に鎮座する狛犬は子供を抱いている珍しいもので、子孫繁栄子授・安産の神様、また「鞍馬の火祭」から火災除けの神様としての御神徳があると言われています。

由岐神社
御神木“大杉さん”

鳥居を抜けて門をくぐると、御神木の大杉が視界に入ってきます。樹齢800年、高さ53mという大きさと、周囲に放たれる荘厳な空気に思わず圧倒されます。京都市天然記念物の御神木は、古くから“大杉さん”の愛称で親しまれ、一心に願えば願い事が叶うとか。

由岐神社
天狗みくじ(500円)

御守の種類も「縁結御守」(1000円)をはじめ、戌の日にご祈祷を受けられる「安産祈願腹帯」(3500円)や、諸願成就の「大杉さん願い叶う御守」(1000円)など、バラエティー豊富です。

また、天狗のキーホルダーの中におみくじが入った由岐神社限定の「天狗みくじ」や天狗柄をあしらった「御朱印帳」(2500円)もあり、天狗の郷・鞍馬ならではの思い出にもぴったりです。

■由岐神社
京都府京都市左京区鞍馬本町1073
[参拝時間]参拝自由【授与所】9時~15時※変更の場合あり
なし
無料
鞍馬駅より徒歩約10分/名神高速道路京都南IC・京都東ICより約50分
なし
「由岐神社」の詳細はこちら

(画像提供:由岐神社)

境内随一のパワースポット「本殿金堂」

本殿金堂
本殿金堂

「由岐神社」から20分ほど歩くと見えてくるのが「本殿金堂(こんどう)」。祀られている尊天は、千手観音菩薩・毘沙門天王・護法魔王尊が三身一体となった「鞍馬寺」の御本尊で、宇宙の真理そのものと言われています。御本尊は秘仏で、60年に一度丙寅の年に開扉されます。

本殿金堂前の修行の場・金剛床は、宇宙のエネルギー“尊天の波動”が果てしなく広がる星曼荼羅(ほしまんだら)を模していて、境内随一のパワースポット。金剛床の中心に立ち、祈ることで人間が尊天と一体化し、そのエネルギーを感じ取れるとされています。

本殿金堂
阿吽の虎

「本殿金堂」の脇には、狛犬ではなく“阿吽の虎”が鎮座しています。虎は「鞍馬寺」に祀られている毘沙門天の遣いの神獣と言われ、また鑑禎上人が毘沙門天に助けられた日時が寅の月・寅の日・寅の刻だったことから、「鞍馬寺」では大切にされているのだそう。入口の「仁王門」の両脇にも、同じく“阿吽の虎”がいるので、あわせて見てみてください。

自然と文化財のミュージアム「霊宝殿(鞍馬山博物館)」

霊宝殿(鞍馬山博物館)
霊宝殿

「本殿金堂」から「奥の院参道」のほうへ2分ほど進んだところにある、3階建ての建物が「霊宝殿(鞍馬山博物館)」です。1階は自然科学博物苑展示室、2階は寺宝展観室と與謝野寛・晶子の記念室、3階は仏像奉安室になっています。

1階の自然科学博物苑展示室では、鞍馬山の複雑な地質やそれによって確立された固有の生態系について学べ、クラマゴケやクラマノジャガイモタケなど、“鞍馬”の地名がつけられた種からも、自然の豊かさを知ることができます。

霊宝殿(鞍馬山博物館)
與謝野晶子の書斎を再現

2階には、鞍馬寺所蔵の絵画・書・工芸・考古遺物等を常設展示する寺宝展観室と、たびたび鞍馬寺に来山し、鞍馬を題材にした多くの歌を詠んだ與謝野寛・晶子夫妻の記念室があり、與謝野晶子の書斎を再現した部屋や、現代語訳「源氏物語」の原稿など、ゆかりの品々を展示しています。※與謝野記念室は休室中

毘沙門天三尊立像(国宝)
毘沙門天三尊立像(国宝)

3階の仏像奉安室には、国宝の毘沙門天三尊立像をはじめ、多くの重要文化財を安置しています。

数々の伝説が残る「奥の院参道」

木の根道
木の根道

「奥の院参道」とは、「霊宝殿」の先から、牛若丸が天狗に剣術を習ったという伝説の場所・僧正ガ谷を経て魔王殿に至る約1.5kmの山道です。この道は貴船神社へと通じているため、「鞍馬寺」とあわせて参拝するのもおすすめです。

道中には、牛若丸が奥州へ行く際に背比べしたと伝わる“背くらべ石”や、幼少のころ天狗と修行したと伝わる杉の木の根が地上に露出した“木の根道”があります。“木の根道”は、地盤が固いために木の根が地表を這うように伸び、神秘的な景観を描き出しています。

魔王殿
魔王殿

「奥の院参道」を進み、一番奥に位置するのが「魔王殿」です。太古に尊天のうちの一体である護法魔王尊が降臨した場所として崇拝されてきました。うっそうとした木々に囲まれ、清廉な空気を感じられる静かで厳かな場所です。

鞍馬寺のめぐり方

鞍馬寺のめぐり方

ここからは「鞍馬寺」のめぐり方を紹介します。

入口の「仁王門」から「本殿金堂」までの行き方には2通りのコースがあります。体調や同行者によって適したコースを選んでくださいね。

ケーブルカーコース

ケーブルカー
ケーブルカー

1つ目は境内のケーブルカーを利用するコースです。上記の地図内ではオレンジ色の線で描かれています。

ケーブルカーは「仁王門」より2分ほど歩いたところにある普明殿(ケーブル山門駅)から、ケーブル多宝塔駅までの約200m・高低差96mを約2分で結んでいます。ケーブル多宝塔駅から10分ほど歩いて「本殿金堂」を目指します。

15分~20分ごとに運行されていて、運賃は無料ですが寄付として中学生以上200円、小学生以下100円(片道)を納めると利用できます。“牛若號(うしわかごう)”と名付けられたケーブルカーは、修行に励む牛若丸と天狗のイラストがあしらわれたかわいらしい車両です。鞍馬の自然が眼前に迫る車窓の景色も素晴らしく、鞍馬寺参拝のよい記念になりそうです。

徒歩コース

九十九折参道
九十九折参道

2つ目は、アクティブな人におすすめの徒歩コースです。上記の地図内では緑色の線で描かれています。「仁王門」をくぐり、ケーブル山門駅とは反対方向に進むと、「九十九折参道」に入ります。

清少納言が“近くて遠きもの”と詠んだ、長い坂と階段が続く参道ですが、しっかり整備している道なので、ゆっくり歩けば険しさはそれほど感じません。「仁王門」から5分ほど歩いた場所にある「由岐神社」は徒歩コースでしか行けないので注意してください。

「由岐神社」を過ぎた後も、「川上地蔵堂」といった牛若丸ゆかりの史跡や、鞍馬山の本尊・尊天を具現化した像「愛と光と力の像・いのち」など、歴史と信仰を感じられる見どころが続き、20分~30分ほどで「本殿金堂」に到着。自分の足で登り切って、本殿から望む京都市内の景色もまた格別ですよ。

■鞍馬寺
京都府京都市左京区鞍馬本町1074
[参拝時間]【本殿開扉】9時~16時15分【霊宝殿】9時~16時
【本殿】なし【霊宝殿】火(祝日の場合は翌日)、12月12日~2月末日
【愛山費】500円【ケーブル寄進】大人200円、小学生以下100円※片道【霊宝殿】入館料200円
鞍馬駅より徒歩約3分(仁王門まで)
なし
「鞍馬寺」の詳細はこちら

(画像提供:鞍馬寺)

鞍馬寺周辺のおすすめスポット

叡山電車 鞍馬駅

叡山電車 鞍馬駅
大天狗

1929年に開業した「叡山電車 鞍馬駅」は、鞍馬エリアの玄関口。鞍馬山の景観に溶け込む入母屋(いりもや)式の木造駅舎は、ノスタルジックな味わいを醸しています。

駅前に鎮座する「大天狗(おおてんぐ)」は、台座を含んだ高さが4mもある巨大なモニュメントで、記念写真を撮るのにぴったり。待合室には「鞍馬の火祭」の松明が飾られており、鞍馬の歴史や文化も垣間見えます。

叡山電車 鞍馬駅

叡山電車鞍馬線は観光列車としても知られています。鞍馬駅の手前にある市原駅から二ノ瀬駅間に約250m続く「もみじのトンネル」では、初夏は青もみじ、秋は紅葉が車窓いっぱいに広がる光景が見どころ。四季折々の風景を楽しみながら鞍馬に向かうのもいいですね。

■叡山電車 鞍馬駅
京都府京都市左京区鞍馬本町191
【乗車券発売時間】9時40分~16時30分
なし
見学無料※運賃は乗車区間により異なる
鞍馬駅よりすぐ/名神高速道路京都南IC・京都東ICより約50分
あり(有料)
「叡山電車 鞍馬駅」の詳細はこちら

(画像提供:叡山電車 鞍馬駅)

和み家 心天狗

和み家 心天狗
心天狗定食(1300円)

「鞍馬寺」の向かいに建つ「和み家 心天狗(こてんぐ)」は、古民家を改装した風情ある和食店。看板メニューは、毎朝お店で製麺するこだわりの二八そばです。

店名を冠した「心天狗そば」は、つるりとした口当たりのそばに、大根おろし・ミョウガ・天かすなどの薬味がたっぷりのったオリジナルのぶっかけそば。冷たいお出汁と温かいお出汁を選べます。その他、京風の柔らかいうどんやボリューム満点の丼ものも揃っています。

もうひとつの名物が、注文を受けてから握る「おにぎり」(180円)。具は鞍馬名産の木の芽煮の他、葉とうがらし、ちりめん山椒、かつお、梅の5種類から選べます。テイクアウトも可能なので、鞍馬寺の参拝途中でおなかを満たすのにも一役買ってくれそうですね。

■和み家 心天狗
京都府京都市左京区鞍馬本町246
9時30分~16時30分※変更になる場合あり
不定
鞍馬駅より徒歩約2分/名神高速道路京都南IC・京都東ICより約50分
あり※料金については要問合せ
「和み家 心天狗」の詳細はこちら

(画像提供:和み家 心天狗)

雍州路

雍州路

「鞍馬寺」の山門へ続く階段の途中にお店を構え、精進料理を味わえる「雍州路(ようしゅうじ)」。動物性食材を一切使わないヘルシーな食事を堪能できます。

囲炉裏を中心に据えた店内には、テーブル席、奥には座敷と全120席が用意されています。また、全国から集めた数々の民芸品が飾られ、心地よい空間が広がります。

雍州路
花 精進膳(2200円)

精進膳は品数の異なる3種類から選べ、「花 精進膳」には、麦ごはん・山芋とろろ・胡麻豆腐・山菜白あえなど、素材の味を生かした全9品がつきます。鞍馬寺御用達の伝統の味は、とても精進物だけで作られているとは思えないほど深みがあります。

喫茶のみの利用も可能。自家製本わらび餅(600円)や、鞍馬山の観音水で淹れた珈琲(500円)も絶品ですよ。

■雍州路
京都府京都市左京区鞍馬本町1074-2
10時~18時(LO17時30分)
火(祝日の場合は営業)
鞍馬駅より徒歩2分/名神高速道路京都南IC・京都東ICより約50分
あり(無料)
「雍州路」の詳細はこちら

(画像提供:雍州路)

くらま辻井

くらま辻井
木の芽煮(きのめだき)(80g648円)

「くらま辻井」は、「鞍馬寺」を左に見ながら鞍馬街道を北進したところにある老舗の佃煮屋です。この一帯は江戸時代の伝統的な商家が現存し、かつて門前町として栄えた鞍馬の街並みを楽しみながら、散策するのにもぴったりです。

昔は炭問屋をしていたという「くらま辻井」の佃煮は、先人より受け継いだ伝統の手法で洛北エリアの旬の食材をじっくりと炊き上げた逸品です。

看板メニューは鞍馬の銘産「木の芽煮」。そのルーツは古く、平安末期に「鞍馬寺」で修行を積んだ牛若丸が、あけびの蔓と山椒を漬けこんだ木の芽漬けを常食にしていたとか。現在では、昆布、山椒の葉・実を炊きこんだものを「木の芽煮」と呼び、親しまれています。

くらま辻井

春には竹の子やわらびなどの山菜、夏は鱧(はも)に子持ち鮎、秋は松茸、冬はふきのとうといった季節限定商品も並び、京都の四季を味わえます。

上質のちりめんじゃこと山椒の実を煮上げ、仕上げに葉山椒を混ぜた香り高い「山椒じゃこ(45g864円)」は、本物の竹の皮を使ったパッケージで高級感があり、贈り物にしても喜ばれそうです。

■くらま辻井
京都府京都市左京区鞍馬本町447
10時~17時

鞍馬駅より徒歩約10分/名神高速道路京都南IC・京都東ICより約50分
あり(無料)
「くらま辻井」の詳細はこちら

(画像提供:くらま辻井)

※この記事は2024年4月22日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載の価格は全て税込価格です。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

じゃらん編集部  じゃらん編集部

こんにちは、じゃらん編集部です。 旅のプロである私たちが「ど~しても教えたい旅行ネタ」を みなさんにお届けします。「あっ!」と驚く地元ネタから、 現地で動けるお役立ちネタまで、幅広く紹介しますよ。

Topics

tag

この記事に関連するエリア

この記事に関連するキーワード