昨年以来、オンラインショッピングの利便性を改めて実感している人が増えているのではないでしょうか。ビールは、運ぶのには結構重い、中身によっては冷やしたまま運んだ方がよいなどの理由から、オンラインショッピングに向いた商品と言えます。
今回はビールに関する書籍の執筆や翻訳、ビールの上位の国際大会で審査員を務めるプロが、家で味わってほしい18本をおすすめします。
いつか旅行する時には、その土地で地ビール探しもいいですね。
※この記事は2021年11月4日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
地ビール、クラフトビールとは? 六甲ビール「セゾン」【兵庫】
忽布古丹醸造「ハシカプ」【北海道】
秋田あくらビール「あきたこまちIPL」【秋田】
牛久醸造場「笑ふ門には福来る」【茨城】
ろまんちっく村「麦太郎」【栃木】
オクトワンブルーイング「カヤバ・セゾン」【群馬】
こぶし花ビール「ベルギーホワイト」【埼玉】
エチゴビール「スタウト」【新潟】
北アルプスブルワリー「コーヒーパンチ」【長野】
反射炉ビヤ「太郎左衛門」【静岡】
金しゃちビール「プラチナエール」【愛知】
ZIGZAGブルワリー「ベルジャンブロンド」【兵庫】
ボイジャーブルーイング「コパー」【和歌山】
KAMIYAMA BEER「WOODLANDER」【徳島】
MIROC BEER「旋風」【香川】
TOSACO「かやの森ヘイジーエール」【高知】
のまんば「ピルスナー」【佐賀】
チャタンハーバーブルワリー「ヴァイツェン」【沖縄】
地ビール、クラフトビールとは?
地ビール・クラフトビールは、一言で言えば、大手メーカーとは経営が独立した、比較的小規模の醸造所がつくるビールのことです。1994年のビールの規制緩和策である「地ビール解禁」により、ビールの年間最低醸造量が2000kL(キロリットル)から60kLに大幅に引き下げられました。これにより、比較的小規模の企業・醸造所が生まれ、一時は低迷したものの、近年は醸造所の数が過去最高を更新し続けるほど増えています。
地ビールとクラフトビールには、個人がそれぞれの言葉に持つ印象はさまざまですが、明確な違いがあるとは言えません。小規模のビール醸造に関して減税を勝ち取るなどの貢献をしている業界団体「全国地ビール醸造者協議会(JBA)」も、ウェブサイトで地ビールとクラフトビールは同じものとし、大手メーカーとの経営の独立性、製造の小規模性、そして地域性の3点から、地ビール・クラフトビール製造者を定義しています。
そうして、小規模ビール醸造が存続できる環境ができてくることにより、私たち消費者が恩恵を受けるのは、さまざまな特徴を持つ銘柄が買えるようになっていることです。それぞれのつくり手が「自分の味」を追求することにより、彼らは経営が成り立ち、消費者は結果的に多様な味わいを楽しめるようになっています。
そうした味わいの多様性は、「ビアスタイル(ビール醸造様式)」という使用原料や製法で分類する方法で整理できます。現代の米国で大いに発展して、クラフトビールという存在そのものを地球規模にしたビアスタイルが、「IPA(インディアペールエール)」です。ホップを強くきかせてその香りと苦味がはっきり感じられるという特徴を持っていますが、近年ではホップの苦味はほどほどに抑えておき、ホップの香りをできるだけ強めるという在り方も出てきています。他に、IPAのアルコール度数と苦味を抑えて生まれた「ペールエール」、大麦麦芽の他に焦がした大麦も使って黒く焦げ香ばしく仕上げる「スタウト」、小麦麦芽も使ってバナナやクローヴ(チョウジ)のような香りを持つ「ヴァイツェン」など、実にさまざまにあります。
忽布古丹醸造「ハシカプ」【北海道】
地元産果物を中心に複雑な香り

北海道上富良野町に2017年に誕生した忽布古丹(ほっぷこたん)醸造が製造。セゾンというビアスタイルを基に、富良野産ハスカップを使用したフルーツビールです。
セゾンはベルギー発祥で、味わいの特徴は幅広いのですが、果物や香辛料の香りがあったり、苦味がきいていたりして、全体的にはさっぱりとしています。ハスカップが加わっていることにより、フルーティーな香りが強調され、さらに酸味も加わり、アルコール度数は7%と高めながら、何度も口に運びたくなる美味しさです。甘酸っぱさがあるせいか、苦味はあまり感じません。
秋田あくらビール「あきたこまちIPL」【秋田】
ホップの香りと苦味の中で光る甘味の素晴らしさ

1997年から醸造を続けている秋田あくらビール。秋田市の柴田農園産あきたこまち米と、横手産IBUKIホップを使用したインディアペールラガー(IPL)がこれ。
インディアペールラガーとは、ホップの香りや苦味をよくきかせたラガーのこと。この銘柄のホップ香は干し草のようで、強すぎずにちょうど良く、苦味も感じるが、甘味も素晴らしい。またすぐに口に運びたくなります。口当たりもまろやかでべたつきません。後味も非常にさっぱりしていて、味のさまざまな面を味わえます。
牛久醸造場「笑ふ門には福来る」【茨城】
ミカン、ヨーグルト、コショウ、ショウガの複雑な味わい

2019年に茨城県牛久市に誕生した、比較的新しいブルワリー。ビールの他にワインも製造しています。この銘柄名は、県内の筑波山麓で取れる「福来(ふくれ)みかん」を使っていることが由来。
基となるビアスタイルはセゾンで、香りはミカンやオレンジの他、ヨーグルトもあって複雑。口に含むと酸味が最も強く、甘味と苦味は弱いレベルであります。さらにはコショウやショウガのような味わいもあり、終始複雑な魅力を楽しめます。
ろまんちっく村「麦太郎」【栃木】
クッキーのような香ばしさと甘味

1996年に誕生し、今年で25周年を迎えたろまんちっく村ブルワリー。開業当初から出している銘柄の一つがこの「麦太郎」で、ビール麦生産が盛んな栃木県らしく、宇都宮産麦芽を使い続けている無ろ過のピルスナーです。
ピルスナーとは金色のラガーで、世界で最も飲まれていて、多くの人がビールと聞いて思い浮かべるビアスタイルです。香ばしく、ほど良いバター香もあってクッキーのようで、それが甘味と非常によく合っています。そして穏やかな酸味が甘味を最後に引き締めます。ろ過してある版として「麦次郎」もあります。
オクトワンブルーイング「カヤバ・セゾン」【群馬】
フルーティーかつ苦いので生魚によく合う

「OCTONE」で「奥利根」とも読めるオクトワンブルーイングは、群馬県みなかみ町で2018年に開業。この銘柄はセゾンらしく、果物の香りとコリアンダーなどの香辛料の香りがバランスよく感じられます。苦味もほどよくあり、甘味ははっきり感じるが苦味より強くはなく、すぐに消え、後味も非常にさっぱり。
特に白身の刺身と合わせると、フルーティーな香りが刺身によく乗り、苦味と後味でさっぱりさせてもくれるので、まるでガリのような役割を担ってくれます。つまり鮨にもいいわけです。
こぶし花ビール「ベルギーホワイト」【埼玉】
温かみと、なめらかで濃厚な感触

こぶし花ビールは埼玉県羽生市にある農林公園の中にあり、2001年から醸造している。2021年9月にはビールの国際大会・インターナショナルビアカップで「ピルスナー」がカテゴリーチャンピオンに輝くなど、受賞多数の優れたブルワリーです。
この「ベルギーホワイト」の使用麦芽は大麦と小麦。土っぽさと柑橘類の香りを持つコリアンダーがきいていて、はっきり感じる甘味を引き締めるような穏やかな苦味が。アルコール度数が5.5%と少し高めなおかげか、温かみと、なめらかで濃厚な感触があります。
エチゴビール「スタウト」【新潟】
チョコレートリキュールのような豊かさ

エチゴビールは1995年に新潟で誕生したブランドで、1994年の「地ビール解禁」によって生まれた全国第一号の地ビールブランドになりました。この「スタウト」はアルコール度数が7%と高めで、「エクスポートスタウト」に分類され得ます。
チョコレートリキュールのような豊かな香りと味があり、苦味は最後をきれいに締めくくるように強すぎず、全体のバランスが非常に良い。後味にはウイスキーのような香りすら残ります。それでいてさっぱりもしていて、アルコール度数7%の強さを忘れて飲み進めたくなりそうになります。
北アルプスブルワリー「コーヒーパンチ」【長野】
金色で意外なコーヒービール

北アルプスブルワリーは、その名の通り、飛騨山脈の東側の長野県大町市で2019年に誕生しました。翌2020年にはインターナショナルビアカップでこの「コーヒーパンチ」が金賞とカテゴリーチャンピオンを獲得するなど、早くも質の高さを認められています。
醸造長が自家焙煎コーヒー店を営んでいることを生かしたこの銘柄は名前の通りコーヒー使用で、グラスに注ぐと驚くのが、黒色ではなく金色。コーヒー香は香辛料のような感じで、甘味と相まってカフェラテのような感じもしてきます。見た目の印象と異なるコーヒー香が終始面白い。
反射炉ビヤ「太郎左衛門」【静岡】
紅茶やマーマレードのような味わいが同居

1997年に生まれた反射炉ビヤの名前の由来は、江戸時代に海防を目的に大砲を製造するために建設された韮山の反射炉。そのきっかけをつくったのが韮山代官の江川英龍で、彼の名前の一部「太郎左衛門」がこの銘柄名に付けられました。
全体的に穏やかで、紅茶のような心地良い渋味が印象的。また甘味と苦味のバランスが良い。オレンジのような香りもあって、甘味と苦味と相まって、マーマレードのような感じもします。もともと微炭酸なので、無理やり泡立てないようにしましょう。
金しゃちビール「プラチナエール」【愛知】
柑橘類と青いバナナとまろやかさの意外な組み合わせ

金しゃちビールは1996年という地ビール誕生期に生まれたブランドで、ピルスナーや味噌を使ったビールの評価が高い。今回取り上げるこの「プラチナエール」は、ホップ由来の柑橘香と発酵由来のバナナ香があり、見た目の通りまろやかさがあるという、意外な要素が1本に詰まっています。苦味がほとんどない一方で、後味をさっぱりさせる酸味があります。
多くの醤油はバナナのような香りを少し持っているので、このビールと合わせるとバナナ香が高まる。刺身や鮨、煮付けなど、醤油を使った料理とぜひ合わせたい。
じゃらん編集部
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