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2022.08.22

【長野・山梨】日本一標高の高い地点を走る鉄道「JR小海線」で高原絶景を満喫!

八ヶ岳連峰の山麓、標高1375mの高原地帯を走り、数々の山岳を車窓に映すことから、“八ヶ岳高原線”の愛称を持つJR小海線。高原の自然やのどかな田園の風景はもちろん、銀河の中心にある巨大ブラックホールを発見した国立天文台、標高1900mから眼下を見渡す絶景テラスなどの沿線スポットも魅力です。鉄道ファンから家族連れまで、幅広い層に愛される高原鉄道を旅してみましょう。

※この記事は2022年8月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
記事配信:じゃらんニュース

普通鉄道では日本一高所!標高1375mを走る高原列車

(画像提供:JR東日本長野支社)

いわゆる2本のレール上を列車が走る普通鉄道のなかでは、日本一高所を走ることで知られる「JR小海線(こうみせん)」。山梨県小淵沢駅~長野県小諸駅の78.9kmを走る路線で、清里駅~野辺山駅間に位置するJR最高所地点は、なんと標高1375mです。さらに、JR駅で標高日本一を誇る1345.6mの野辺山駅を筆頭に、清里駅、甲斐大泉駅、信濃川上駅など、標高の高いJR駅ランキングの1位~9位はすべて小海線の駅が独占しています。“八ヶ岳高原線”の愛称もうなずけますね。

(画像提供:JR東日本長野支社)

JR野辺山駅で最高地点に到達した後は、徐々に標高を下げていきますが、平地広がる佐久平に至っても標高約700m、終着のJR小諸駅では標高663mと、一貫して高地を走っています。

JR小海線ならではの車窓や沿線スポットを、山梨県小淵沢駅方面から順に見ていきましょう。

JR小海線ならではの沿線風景

高原野菜の産地・野辺山高原の清々しい緑

(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)

小淵沢駅を出発した列車は、雄大な富士山を仰ぎ見ながら、日の光を浴びてきらめく八ヶ岳の麓をひた走ります。小淵沢駅~甲斐小泉駅間は、数々の山岳絶景が楽しめる絶景ポイント。視界が開けた高原地帯から眺める八ヶ岳や南アルプス、甲斐駒ケ岳は圧巻です!

その後レールは、徐々に標高を上げて野辺山高原へ。標高1000m超えの高地で栽培される高原野菜が有名なエリアです。標高1375mを示す「JR最高地点の碑」を通過後、緑のレタス畑を抜けた列車が目指すのは田園地帯。千曲川沿いの谷間を抜けて、平地へ向かいます。

山岳地帯を抜けた列車はのどかな田園地帯へ

(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)

山岳地から里山へ降りた列車は、やがて前方に浅間山を望む佐久平の市街地、そして詩情あふれる城下町・小諸へ向かいます。

前半に八ヶ岳、後半に浅間山をシンボルとする小海線の眺望は、まるで山岳と高原をテーマにした一遍の長編小説のよう。八ヶ岳の雄大な姿や野辺山ののどかな風景の中を走り抜ける爽快さ、くっきりとした山の稜線、目を細めたくなるほど眩しい自然は、小海線の真骨頂です。

JR小海線おすすめの車窓3選

小海線の運行は、観光列車「HIGH RAIL 1375」を除くと、のんびりと走る普通列車が中心。約2時間30分ほどの乗車時間中、高原そのものの美しい風景から千曲川の雄大な流れ、地域の人たちの生活が垣間見られる市街地まで、さまざまな景色が楽しめます。

山頂から麓まで!雄大な八ヶ岳を一望

(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)

小淵沢駅~甲斐小泉駅間の車窓から広がるのは、遥か向こうの富士山をはじめ、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳を望む絶景。線路がU字を描く大曲地点は、小海線の撮影ポイントとして知られています。雪化粧の富士山や八ヶ岳をバックにする冬の情景も見ものです。

千曲川上流部のきらめく清流

(画像提供:JR東日本長野支社)

信濃川上駅~小海駅の6駅は、蛇行する千曲川と絡み合うように走る区間。山々の自然にきらめく清流が満喫できます。ちなみにこの区間では何度も千曲川を渡るため、列車の左右どちら側に座っても千曲川の車窓が広がります。

田園風景を前に裾野をひく浅間山

(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)

羽黒下駅~市街地前の太田部駅間は、雄大な浅間山と田園風景が織りなすのどかな光景が見ものです。写真の青沼駅の前方に見えるのが浅間山です。

四季折々の美を車窓に映す、JR小海線おすすめの時期は?

(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)

澄み切った空気のなか、森あり牧草地ありの絶景を走る高原列車の気持ちよさは、一度ならず何度も体感したいもの。緑きらめく夏はもちろん、山々や樹々、里山の田園が色鮮やかに染まる秋、凍てつく八ヶ岳が美しい冬…。四季折々の美しさがある路線ですが、緑の高原が清々しい5月~夏、見渡す限りの雪に閉ざされる冬は、よりJR小海線らしい風景が楽しめます。

夏は野辺山駅~信濃川上駅付近の広大なレタス畑、冬は野辺山の星空、秋は野辺山駅~海尻駅へ下る途中の紅葉、春~秋は龍岡城駅~太田部駅間の八ヶ岳や浅間山を背景にする田園風景と、季節ごとの見どころを押さえてから乗車するのもおすすめです。

■JR小海線
[住所]山梨県北杜市小淵沢町(JR小淵沢駅)~長野県小諸市相生町(JR小諸駅)
[料金]JR小海線運賃(小淵沢駅~小諸駅)1520円 ※子ども半額
「JR小海線」の詳細はこちら

(画像提供:JR東日本長野支社)

天空にいちばん近い観光列車「HIGH RAIL 1375」

(画像提供:JR東日本長野支社)

JR小海線全線を走る「HIGH RAIL 1375」は、“天空にいちばん近い列車”を謳う観光列車。「小海線」の特徴である標高の高さを表す「HIGH」と、線路の「RAIL」、そしてJR最高所地点である「1375m」を組み合わせた名称は、標高の高いJR小海線から見上げる“天空”や“星空”をも楽しんでほしいという想いを込めて命名されたそう。運行日には、「HIGH RAIL 1号」「HIGH RAIL 2号」「HIGH RAIL 星空」の計3便が走ります。

列車の外観、インテリアともに、車窓に流れる八ヶ岳の山々や夜空のモチーフがデザインされているのが「HIGH RAIL 1375」の特徴。土日祝を中心に運行し、鉄道ファンのほか、子連れファミリーの乗車も多く見られます。

(画像提供:JR東日本長野支社)
(画像提供:JR東日本長野支社)

ロゴデザインをアクセントに四季の星々をあしらった座席、金属風の質感をベースにしたリベット調の窓枠、アート調の装飾を施した黒板風の壁面など、随所に意匠を凝らした内装も見もの。窓向きのペアシートやテーブル付きのBOXシートのほか、窓向きのシングルシートもあるので、一人旅にもおすすめです。

(画像提供:JR東日本長野支社)

2号車の「ギャラリーHIGH RAIL」には天文関連の書籍が揃うほか、天井部にはなんとプラネタリウムのように星空映像が投影されます。乗車時間中、車窓と合わせて観賞したいですね。車内の物販カウンターでは、沿線のお土産や星空にちなんだグッズも販売しています。

(画像提供:JR東日本長野支社)
(画像提供:JR東日本長野支社)

夜間に運行する「HIGH RAIL 星空」は、JR野辺山駅に停車して、沿線の星空案内人による「星空観察会」を実施(※)。JR野辺山駅がある「南牧村」は、日本有数といわれるほど星空が美しい地です。天候によりますが、約50分の停車中、降るような星空に浸れることもあります。参加する場合、夜は冷え込むので、温かい服装を用意しましょう。

※星空観察会は、天候等の都合により、室内での案内もしくは中止となる場合があります。
※夏季期間は、空が明るく屋外で星を観察できない場合もあります。

<HIGH RAIL 1375>
[運行区間]JR小淵沢駅~JR小諸駅
[運行日時]土日祝を中心に1日2~3便運行 ※運行日は公式HPより確認を
「HIGH RAIL 1号」小淵沢10:40発→清里11:14発→野辺山11:33発→小海12:10発→中込12:34発→佐久平12:44発→小諸12:56着
「HIGH RAIL 2号」小諸14:33発→佐久平14:44発→中込14:57発→小海15:25発→野辺山16:22発→清里16:30発→小淵沢16:57着
「HIGH RAIL 星空」小淵沢18:17発→清里18:45発→野辺山18:53着「星空観賞会」実施19:42発→小海20:22発→中込20:42発→佐久平20:51発→小諸21:02着
※途中停車駅は主要駅を抜粋。停車駅・時刻は変更となる場合あり
[予約方法]えきねっと(会員登録が必要)、全国のみどりの窓口、指定席券売機、公式HP(のってたのしい列車ポータル)

■HIGH RAIL 1375
[料金]運賃(小淵沢駅~小諸駅1520円)+指定席券840円(通常期)※時期により異なる
「HIGH RAIL 1375」の詳細はこちら

(画像提供:JR東日本長野支社)

JR小海線沿線のおすすめ絶景スポット

JR小海線は、避暑地として知られる清里、国立天文台を有する星空観賞地・野辺山と、沿線も魅力にあふれています。ここでは自然豊かな絶景に包まれる、おすすめの沿線スポットをご紹介します。

サンメドウズ清里 清里テラス/JR清里駅

(画像提供:サンメドウズ清里)
(画像提供:サンメドウズ清里)

清里エリアで最も標高の高い場所に位置する「サンメドウズ清里」。なかでもパノラマリフト約10分の空中散歩で到達する「清里テラス」は、標高1900mに達する山頂エリアです。眼下には、富士山や野辺山高原を一望する大パノラマが広がり、その開放感と清々しさは圧巻!

(画像提供:サンメドウズ清里)

“八ヶ岳ブルー”と呼ばれる鮮やかな空の下、地元の素材を使ったジェラート(600円)や青い富士山クリームソーダ(1000円)、丸山珈琲(600円)などを味わいながら、開放的なひと時が過ごせます。

■サンメドウズ清里 清里テラス
[住所]山梨県北杜市大泉町西井出8240-1
[営業時間]9時30分~16時 ※季節により異なる
[定休日]なし ※営業は2022年11月6日(日)まで
[料金]リフト料金大人往復1800円(平日)、2000円(土日祝・特定日)
[アクセス]【列車】JR清里駅よりタクシーで5分
「サンメドウズ清里 清里テラス」の詳細はこちら

(画像提供:サンメドウズ清里)

萌木の村/JR清里駅

(画像提供:萌木の村)
(画像提供:萌木の村)

美しいナチュラルガーデンを中心に広がる約1万坪の敷地に、ビーフカレーが有名なレストラン、クラフトビール醸造所、ホテル、メリーゴーラウンド、体験工房、オルゴール博物館などが点在する「萌木の村」。手づくり体験やオルゴール観賞で体験をしたり、趣あるカフェで寛いだりと、さまざまな楽しみ方ができます。

(画像提供:萌木の村)

園内に広がるのは、自然生態系をより豊かにすることを目標に作られたガーデン。清里の開拓時代に掘り起こされた岩石を花壇として活用しています。植物だけではなく、愛らしい昆虫や野鳥、爬虫類などが豊かに共生するガーデンは、散策しているだけでうっとり。清らかな空気の中、物語のなかに迷い込んだかのような世界で過ごせます。

■萌木の村
[住所]山梨県北杜市高根町清里3545
[営業時間]10時~18時 ※店舗により異なる。公式HPを確認
[定休日]店舗により異なる
[料金]なし
[アクセス]【列車】JR清里駅より徒歩10分
「萌木の村」の詳細はこちら

(画像提供:萌木の村)

国立天文台 野辺山宇宙電波観測所/JR野辺山駅

(画像提供:国立天文台)

見渡す限り続く高原野菜畑の中に突如現れる電波望遠鏡はなんと直径45m。15階建てマンションに相当する大きさのアンテナが上下左右に動いて、「ミリ波」と呼ばれる電波を観測し、宇宙の暗黒部分を探査しています。

(画像提供:国立天文台)
(画像提供:国立天文台)

銀河の中心にある巨大ブラックホールを世界で初めて発見したこちらの望遠鏡をはじめ、大小さまざまなアンテナ群が織りなすSF映画のような光景は、一見の価値あり。ほかにも、JR臼田駅を最寄り駅とする「臼田宇宙空間観測所」、「うすだスタードーム」など、JR小海線沿線には宇宙関連施設が点在しています。

■国立天文台 野辺山宇宙電波観測所
[住所]長野県南佐久郡南牧村野辺山462-2
[営業時間]8時30分~17時
[定休日]年末年始(12/29~1/3)
[料金]入場無料
[アクセス]【列車】JR野辺山駅より徒歩40分 ※夏季のみ、観光バス「くるり野辺山」が利用可能(乗車無料)
「国立天文台 野辺山宇宙電波観測所」の詳細はこちら

(画像提供:国立天文台)

小諸城址 懐古園/JR・しなの鉄道小諸駅

(画像提供:小諸城址 懐古園)

日本100名城に選ばれた、戦国武将・武田信玄ゆかりの「小諸城址」。大正時代に公園になり、遺構として残る三の門をはじめ、築400年を超える野面積みの石垣、浅間山を眺める二の丸跡、秋には色鮮やかに染まる紅葉ヶ丘と多くの見どころがあります。

(画像提供:小諸城址 懐古園)
(画像提供:小諸城址 懐古園)

「小諸城址 懐古園」は、春の桜や秋の紅葉の名所としても有名。また美術館や資料館、動物園、児童遊園地が併設されており、家族で出かけても楽しめます。

■小諸城址 懐古園
[住所]長野県小諸市丁311
[営業時間]9時~17時
[定休日]【12月~3月中旬】水
[料金]散策券大人300円、小・中学生100円、幼児無料
[アクセス]【列車】JR・しなの鉄道小諸駅より徒歩3分
「小諸城址 懐古園」の詳細はこちら

(画像提供:小諸城址 懐古園)

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梶本 愛貴  梶本 愛貴

長野県出身。おもに旅や鉄道、書籍などの記事を書いています。 旅はぼーっとするのが好き、列車は乗るのが好き、温泉は万座や草津など強めの湯が好きです。大人になって改めて感じた旅や列車の面白さをお伝えしていきます。

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