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2023.01.08

2023年の「旅&温泉トレンド」について紹介!じゃらん編集長たちの座談会レポート

新しいスタイルの旅や注目施設の誕生など様々な出来事があった2022年の旅行事情。一年間を振り返るとともに、新年2023年の気になる情報やトレンド予測など、「温泉」と「旅」にまつわるよもやま話を、じゃらん編集長4名が語り合いました!

特に温泉地にまつわる話を中心に語ってもらいましたので、あなたの気になる温泉地の耳寄り情報があるかも!?ぜひ2023年の旅の計画を立てる際の参考にしてくださいね。

座談会メンバー紹介

座談会

東北から九州まで、4エリアのじゃらん編集長が集結!
今回の座談会のメンバーは、『関東・東北じゃらん』編集長 西 尚子、『東海じゃらん』編集長 芝谷千惠子、『関西・中国・四国じゃらん』編集長 鳥羽舞衣子、『九州じゃらん』編集長 中村優理の4人。各エリアのプロである編集長たちが「旅」と「温泉」について熱く語り合いました。※座談会は2022年9月実施

夏の花火大会も復活し、賑わいが戻ってきた2022年。

コロナ禍も3年目となった2022年、各エリアの旅行状況はどうでした?

『関東・東北じゃらん』編集長・西 尚子(以下、西): 読者アンケートを見ると、首都圏の人は他の地域に比べて旅行を再開するのが早かったですね。関西や沖縄、北海道など遠方まで足を延ばす人も。
一方で東北の人は旅をしても県内や近県への訪問が多い様子。秋田県は「じゃらん宿泊旅行調査2021」だと県内旅行率が全国1位の上昇率でしたし。
そうしてマイクロツーリズムが浸透し、自分が住む地域の魅力を再発見した人も多かったようです。

『東海じゃらん』編集長・芝谷千惠子(以下、芝谷): 東海エリアも慎重派が多いようで、21年は弊誌の購入理由も「(すぐには実行できないけど)旅気分を味わうため」が多かったんです。
でも22年は「近々、旅の予定があるから」という人が前年の2倍ほどに増え、旅行需要の回復がうかがえました。旅先も近場に加え県外や関東、関西圏に行く人が増えています。

『関西・中国・四国じゃらん』編集長・鳥羽舞衣子(以下、鳥羽): うちのエリアもマイクロツーリズムから遠方へと、旅する範囲が広がっています。
道後温泉や加賀温泉郷、城崎温泉など人気温泉地と言われるエリアは旅行需要の回復が特に早く、コロナ禍前の19年水準程度まで回復した温泉地も。
白浜温泉では夏休みや9月の連休に予約で満室になった宿もあったようです。一方で穴場と言われる温泉地はまだ狙い目かも。

芝谷: 確かに、人気温泉地ほど需要の回復が早い印象です。
下呂温泉も多くの人が訪れるようになったおかげで、宿の稼働率が上がったとじゃらんスタッフが話していました。

『九州じゃらん』編集長・中村優理(以下、中村): 九州でも旅行を再開する人が増えましたね。
コロナ禍以降は旅をするとしても県内や近隣県の、穴場の温泉地を選ぶ傾向があったけれど、22年に入ると福岡県から大分県の別府温泉郷を訪れてみたりと遠出を楽しむことも多くなった様子。
別府などの人気温泉地を訪れた取材メンバーも、現地の人出が回復しているのを実感したそう。

西: うちの編集部員も熱海温泉へ平日に行ったら、すごい人出だったと驚いていました!
特にこれまで温泉旅行をしたことがないような若い世代が増えているようなので、若年層の集客が課題であった宿にとってはいい傾向ですね。

アクセス性が向上した温泉地も。

2022年、温泉地や観光地で話題になった出来事や新たな旅の傾向はありましたか?

九州・中村: 九州はまず西九州新幹線の開業※1!武雄温泉と嬉野温泉に駅ができ、アクセス性がアップしました。武雄温泉は「御船山楽園ホテル」の大浴場「らかんの湯」※2が人気。ラグジュアリーなサウナがあって、ここ数年のサウナブームに後押しされ注目を浴びています。嬉野温泉には新幹線開業にあわせて、足湯も備えた道の駅「うれしの まるく」が誕生※3
あと星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」※4が、由布院温泉と雲仙温泉にオープンしたのも注目を集めました。

鳥羽: 島根県では2施設目の「界」となる「界 出雲」が誕生。玉造温泉の「界 玉造」はリニューアルオープンしています。
また、関西屈指の人気温泉地・城崎温泉は22年が宿のリニューアルラッシュに!露天風呂付き客室をロウリュサウナ付きに改装するなど、近年のトレンドを取り入れてより魅力的になっています。
城崎温泉では夏の打ち上げ花火も3年ぶりに開催され、温泉地に夏の賑わいが戻ったなぁ…と感じましたね。

芝谷: うちのエリアだと愛知県に開園した「ジブリパーク」が大注目※5。誘客にひと役買ってくれるのではと期待されています。愛知県内にある知多エリアの温泉や蒲郡温泉郷とセットで旅行するのもおすすめですよ。
あと大きな話題になったのは名古屋と岐阜や下呂、高山を結ぶ「特急ひだ」の新型車両デビュー※6。従来の車両はものすごく揺れると有名だったんです(笑)。新型車両では揺れが軽減され快適さがアップ!地元の高校生が岐阜の魅力を語る車内アナウンスもあって、ご当地らしさも感じられます。下呂温泉や高山エリアまで、電車旅もいいのでは?

西: 関東エリアは人気温泉地だと、新スポットを整備している草津温泉※7はさすがだなと感じます。
また、グランピング旅は22年も引き続き人気で、特に千葉県にはグランピング施設が続々と誕生しました。
あとはサウナ付きの温泉宿や酒蔵と提携した宿など、コンセプトを特化した宿が増加傾向にある印象。宿まるごとでなくても「ねぶたルーム」や「なまはげルーム」を設置したり。旅行者が減少するなかでもファンを作ってリピーターを呼び込むために、特化型の宿が出てきたかもしれないですね。

芝谷: 新たな傾向だと、サイクルツーリズムを取り入れる温泉地もここ数年で増えています。長良川温泉の「チャリタビ!」※8湯の山温泉の「菰ビリティ」※9とか、22年には奥飛騨温泉郷で「奥飛騨ナビちゃり」※10も始まりました。

「端っこ」に「ハレとケ」…。テーマを決めつつ全国の温泉旅へ。

旅の情報を常にチェックしている『じゃらん』編集長の皆さん、2022年はどんな旅へ?コロナ禍前後で変化はありましたか?

西: コロナ禍でも旅はしています。おでかけを提案する者として、旅をしないと楽しさは伝えられませんから。ただ、人混みを避けるために露天風呂付き客室や貸切露天風呂がある宿を選んだり、免疫力アップによさそうな効能豊かな温泉地に行ったりと工夫しましたよ。
遠方だと別府温泉郷、東北なら遠刈田温泉や高湯温泉も行きました。

芝谷: 私は密を避けようという意識から、「端っこ」「奥まったところ」が旅のキーワードに。端っこだと本州最北端・下北半島の下風呂温泉郷。2年ほど前にできた公共温泉「海峡の湯」はにごり湯と透明の温泉が楽しめるんですよ。日本海の絶景を望む黄金崎不老ふ死温泉も、開放的な造りで感動!奥まったところだと、岐阜県の下呂温泉街から車で約40分の下島温泉。超レアな高濃度炭酸泉に入ってリフレッシュできました。

鳥羽: キーワードなら私は「ハレ(非日常)とケ(日常)」。
ハレの旅としてはコロナ禍で自然への欲求が高まり、GWには立山黒部アルペンルートへ。ルート内にある、みくりが池温泉は残雪の立山を見ながら入れてよかったですよ。
ケの旅では、京阪神エリアにある温泉をめぐりました。行く前は居心地のよさや混雑具合を知るためにクチコミをチェックして…。コロナ禍において行動制限がいつ出るかわからないので、1回ごとの旅への意気込みは高まった気がする。

中村: 私は同行者が限定されて、友達との旅は少し減ったかな。旅先の選び方は特に変わらず、温泉もあちこち訪問。
九州って魅力的な温泉がいっぱいあるんです!ぬる湯や微炭酸みたいな、派手さはないけどじっくり浸かりたい温泉も多くて。大分のなかでも玖珠町にある「七福温泉 宇戸の庄」とか、「壁湯」って呼ばれる岩壁から湧く温泉※11とか。別府や由布院のように王道の人気温泉だけでなく、知られざる温泉もまだまだあります。

温泉

楽しみなトピックスも各地で待ち受ける2023年。

2023年に注目したい、各エリアのトピックスは?

鳥羽: 23年には宇奈月温泉が開湯100周年、あわら温泉が開湯140周年なので北陸の温泉に注目!それぞれイベントも企画されているようなので期待しています。ちょっと先ですが23年度末には北陸新幹線の金沢~敦賀間延伸も予定されているから、温泉地のハシゴもしやすくなるかなと思っています。

西: 関東は、ここ数年で絶景ブランコがすごい増えているんですよ(笑)。それが人気なので、23年も増えるのでは…と。
あと「ワイン県」を宣言した山梨県ではワイン関連の施設が急増していて、ワイン旅の盛り上がりに期待!河口湖では22年に試飲ができるワイン売り場も備えた旅の駅※12ができたし、町内初のワイナリーも開業※13したんです。

芝谷: うちのエリアだと23年のNHK大河ドラマ放送にあわせて、23年1月に大河ドラマ館が静岡県の静岡市と浜松市、愛知県岡崎市にオープン※14します。浜松なら舘山寺温泉も一緒にめぐってくれたら…、と家康効果に大きな期待を寄せる1年です(笑)。

中村: 熊本県では「くまモンランド化構想」※15が始まり、まず人吉・球磨エリアで企画が進行中なんですよ。大型施設ができるのではなく、くまモンを活用した体験や宿泊プランを用意して地域全体が「くまモンランド」だよっていう試み。
人吉温泉もあるこの地域は豪雨災害で苦しめられたので、盛り上がるよう応援したいです!

編集長が予測する、2023年の旅のトレンドを聞かせて!

鳥羽: 全体的な傾向としては人気温泉地への回帰があると思っていて。リニューアルが続く城崎温泉をはじめ各温泉地が工夫しているため、久しぶりに訪れると再発見がある。なので「再発見の旅」がクル…はず。

西: 人気温泉地は、進化し続ける重要性を認識しているからこそ人気があるんですよね。1回行って満足しがちだけど、次に行っても新しい発見があるから、改めて訪れるってアリだと思う。季節によって風景も変わるし、旬グルメも様々ありますしね。

鳥羽: あとグランピング人気が継続すると予想。温泉宿のグランピングプランの他、温泉を備えたグランピング施設を新設する動きもあり、温泉×グランピングはもはや定番になりそう。もう一つ、コロナ禍で需要が増えたアウトドア傾向も続くと思います。

中村: グランピングやアウトドアは人気が続きそうですね。別府にもグランピングとキャンプができる「グランヴェルデリゾート」がオープン※16しています。こういったアウトドア初心者層も楽しめる施設が定着していくのでは。

西: そういえば最近は元々、湯処が豊富な温泉自慢の東北に「アクアイグニス仙台」のようにレベルの高い日帰り温泉施設※17が増えていて。泊まりでも日帰りでも、地元の人も観光客も、どちらも楽しめる充実した施設が今後も増える気がする。

芝谷: 鳥羽さんが言った「再発見の旅」だと、コロナ禍で薄れていた人との絆を再確認する旅もトレンドになるかも。混雑を避けてゆったり過ごすニーズも続きそうだし、平日旅や長期滞在を楽しみながら、大切な人とのつながりを確かめる旅が求められるようになりそう。23年も様々な旅をしたいですね。

旅

注釈まとめ


※1 2022年9月23日、武雄温泉~長崎間を結ぶ西九州新幹線「かもめ」が開業

※2 佐賀県・武雄温泉の温泉宿。2019年にリニューアルした大浴場「らかんの湯」にはセルフロウリュが楽しめるサウナや露天風呂がある

※3 佐賀県・嬉野温泉駅前に2022年9月23日に開業。道の駅の周辺も整備され、カフェやショップからなる複合施設や飲食店なども続々とオープン予定

※4 「界」は星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド。2022年は8月に大分県・由布院温泉、11月に長崎県・雲仙温泉と島根県・出雲ひのみさき温泉に開業。同11月に島根県・玉造温泉の宿はリニューアル

※5 2022年11月1日、愛知県長久手市にオープン

※6 名古屋~高山を結ぶJR高山本線を走る「特急ひだ」に2022年7月1日、新型車両がデビュー

※7 群馬県・草津温泉の裏通り、地蔵地区が再整備され2021年に新名所「裏草津」が誕生。22年1月には同エリアに体験施設「百年石別邸」と、草津伝統の湯もみもできる貸切風呂「伝統湯地蔵」がオープンした。23年秋頃をめどに、温泉街玄関口の渋滞解消に向けた立体交差化と、温泉が流れる新シンボル「温泉門」の整備も進行している

※8 岐阜県・長良川温泉の参画宿宿泊者に向けた、無料レンタサイクルサービス

※9 湯の山温泉を抱える三重県・菰野町で実施されているレンタルサービス。電動アシスト自転車の他、バイク、キックボードもレンタルできる

※10 岐阜県・奥飛騨温泉郷にて、スマホアプリを使って3つの好きなルートを電動アシスト自転車でめぐるアクティビティが2022年5月よりスタート(凍結期の11月~4月頃は休止)

※11 大分県・九重町の温泉宿「旅館 福元屋」。名物の壁湯天然洞窟温泉は、岩のすき間から自噴する温泉が湯船に注ぐ。温度は約39℃と低めで長湯できる

※12 2022年6月11日、山梨県富士河口湖町に複合型商業施設である「旅の駅 kawaguchiko base」が誕生。地場産品や地産ワインが並ぶマルシェ、レストラン、イベントスペースを備える

※13 2022年8月11日、「7c|seven cedars winery(セブンシダーズワイナリー)」が開業。醸造所があるのは「旅の駅 kawaguchiko base」の隣接地。同ワイナリー初のワインは23年初頭にリリース予定

※14 2023年のNHK大河ドラマ『どうする家康』の大河ドラマ館が1月より順次オープン。開設地は愛知県・岡崎市「三河武士のやかた家康館」、静岡県・静岡市の静岡浅間神社内(旧静岡市文化財資料館)、静岡県・浜松市中区の浜松城東

※15 2022年度~24年度に実施される「くまモンランド化構想」。22年度は人吉・球磨の食・宿泊・体験プログラムの開発を企画

※16 別府温泉郷と由布院温泉の中間地点に位置する大分県・別府市の天間草原に、2022年7月29日に誕生したグランピングリゾート。グランピングエリアとキャンプエリアがある

※17 2022年4月21日、宮城県・仙台市に開業した食・温泉・自然が楽しめる複合施設。温泉施設やレストラン、ベーカリー、農産物やオリジナル商品などのショップなどを備える

※この記事は2022年11月18日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
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じゃらん編集部  じゃらん編集部

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