訪れた温泉は約500、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されている温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。
この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、様々なおすすめスポットを紹介してもらいます。毎月、エリアや泉質などの切り口で温泉情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。
※この記事は2023年1月21日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
真冬到来。心身を温めるために温泉に行くなら、保湿効果も狙いたい
寒さをこらえる冬のシーズンは、温泉の“旬”。湯気がゆらめく温泉にざぶんと浸かって、凍えた体を芯まで温めたい時期ですよね。
この冬温泉に行くのであれば、「塩化物泉」の泉質をもつ温泉がおすすめ。名前の通り、塩分が豊富に含まれた温泉を指します。塩化物泉は特別な泉質ではなく、日本で二番目に多い泉質だと言われています。たいてい海沿いに湧いていて、とても身近で、すぐに出会える温泉です。
塩化物泉は保温効果・保湿効果が高い温泉として、“熱の湯”と呼ばれることもあるとか。塩のコーティングでぽかぽか感が持続し、皮膚の乾燥も防ぐそう。お肌の乾燥が気になるこの時期にはぴったりの泉質なのです。
今回ご紹介するのは、塩化物泉の中でも特にアクセスしやすい4つの温泉地。さくっと行ける距離にある塩化物泉をぜひ目指してみては。
【東京から30分】温泉リゾート・熱海温泉に湧く、種類豊富な塩湯
東京駅から東海道新幹線に乗ってわずか30分ほど。抜群のアクセスを誇る関東屈指の温泉リゾート地・熱海温泉には、しっかりと成分が含まれた塩化物泉が湧いています。

熱海にはいくつか源泉の種類があり、67.2%が塩化物泉、22.5%が硫酸塩泉、10.3%が単純温泉の割合(※1)で存在しています。泊まる施設・浸かる温泉が塩化物泉かどうかを事前にチェックしておくといいでしょう。
海に面したリゾートらしいオーシャンビューの湯船もあれば、隠れ宿的な素朴な湯船も、山に面した自然豊かな湯船もあり、バリエーションが豊富なところが熱海の魅力のひとつ。だいたいが無色透明でシンプルな見た目ですが、湯使いのよいところでは、フレッシュな源泉かけ流しの温泉も十分に楽しめます。
海水浴など夏が旬のイメージがある熱海ですが、ぜひ冬にも訪れたいところです。
※1 熱海温泉ホテル旅館協同組合サイト 熱海に湧出する温泉の泉質、および適応性と禁忌症
【仙台から30分】奥州三名湯・秋保温泉に湧く、しっとりやわらか塩湯
鳴子・飯坂と並んで奥州三名湯のうちのひとつであり、仙台市街地から30分のアクセス良好な秋保(あきう)温泉。大型ホテルが数多く並んでおり、仙台屈指の社交・歓楽温泉街という印象です。名取川沿いにあり景観もよく、遊歩道で気軽に渓谷美が楽しめる「磊々峡 (らいらいきょう)」も見どころです。

秋保にも塩化物泉、硫酸塩泉、単純温泉の3種類の泉質が湧いており、いずれもくせがなく柔らかい浴感が魅力です。私が浸かった塩化物泉も、しっとりすべすべで優しい湯ざわりでした。敏感肌の方や温泉慣れをしていない方には秋保の湯が合いそうです。
【大阪から60分】日本三古泉の名湯・有馬温泉に湧く、寒さ吹っ飛ぶ濃厚塩湯
大阪から電車を乗り継ぎ60分、神戸からは30分で到着する有馬温泉。日本書紀や枕草子などの文献にも登場する歴史深い温泉地で、日本三名泉・日本三古泉に挙げられている日本随一の温泉と言えます。私も大好きな温泉地で、何度も訪れています。

有馬には大きく分けて「金泉」と「銀泉」の2種類の源泉があり、塩分を豊富に含んでいるのは金泉のほう。銀泉は炭酸を含んだ温泉と、ラドンを含んだ温泉があり、こちらもそれぞれ別の効果が期待できるすばらしい温泉です。
金泉はその名にふさわしく、黄金色に輝く美しい温泉です。海水の2倍をも誇る超濃厚な塩分濃度で、浸かった瞬間に汗だくになるような力強さがポイント。冬の冷えもすぐ吹っ飛んでしまいそうです。
【金沢から60分】高級温泉街・和倉温泉に湧く、とっぷり濃いめの塩湯
能登半島のふもとにある和倉温泉は、金沢から60分のところに位置する好アクセスの温泉地 。「プロが選ぶ日本の旅館100選」で36年連続日本一を獲得した「加賀屋」の本拠地であり、それに連なるように高級旅館が相次いで建てられていることから、北陸屈指の高級温泉街と言われています。

約80度の高温な源泉は、とっぷり濃いめの塩湯。少しだけ舐めてみると舌がしびれるほど、はっきり塩分を感じられる温泉です。海に面して旅館が連なっているので、多くの湯船でオーシャンビューが楽しめるのも嬉しい魅力。きれいに整備された穏やかな温泉街は、老若男女心地よく過ごせること間違いありません。
まだまだある、塩分豊富な保湿温泉たち
海沿いの温泉はたいてい塩分が豊富に含まれており、保温・保湿効果が期待できます。今回は好アクセスな4つの温泉地を紹介しましたが、まだまだたくさん選択肢があります。例えば…
・南紀白浜温泉(和歌山)
・城崎温泉(兵庫)
・小浜温泉(長崎)
・指宿温泉(鹿児島)
などなど。東京都内では、板橋区の日帰り入浴施設「前野原温泉 さやの湯処」も濃厚塩湯でおすすめです。ぜひ近くの塩化物泉を求めて、体を温めに行ってみてはいかがでしょうか。
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※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi