岩手県の盛駅~久慈駅にかけて、三陸海岸沿いを163km以上走る三陸鉄道リアス線。
ダイナミックな断崖絶壁など多くの海岸美が楽しめるだけでなく、東日本大震災からいち早く運行再開した被災地復旧の象徴としても知られています。太平洋の絶景から沿線グルメまで、三陸鉄道の魅力を紹介します。
●三陸の雄大な海岸線を望む、長大な路線
●絶景の海を望む車窓ポイント3選
・三陸鉄道きっての絶景ポイント「安家川橋梁」
・リアス式海岸を望む「大沢橋梁」
・のどかな情景が開ける「吉浜湾」
●三陸鉄道沿線のおすすめグルメ3選
・三陸リアス亭「うに弁当」
・道の駅たのはた 思惟の風「ワカメたっぷりミルク麺」
・浄土ヶ浜レストハウス 浜処うみねこ亭「生鱈のぶっかけ瓶ドン」
●三陸鉄道で立ち寄りたいおすすめの駅3選
・太平洋を見晴らす絶景駅「堀内駅」
・震災を描いたアニメ映画の舞台となった「織笠駅」
・貝殻の絵馬で恋の願掛け「恋し浜駅」
●途中下車して行きたい!沿線の絶景スポット4選
・高さ200mの断崖連なる「北山崎」
・弓なりの断崖が5連続く「鵜の巣断崖」
・ブルーの海に真っ白な岩が切り立つ「浄土ヶ浜」
・国の天然記念物に指定された「碁石(ごいし)海岸」
三陸の雄大な海岸線を望む、長大な路線

三陸鉄道リアス線は、岩手県大船渡市の盛駅~久慈市の久慈駅までの約163kmを結ぶ、全国で最も路線距離が長い第三セクター鉄道。三陸復興国立公園の変化に富んだ海岸沿いを走り、車窓から三陸の雄大な海を望むスポットが多数あります。
また“さんてつ”の愛称で親しまれるこちらは、2011年の東日本大震災で津波被害に合い、一時は全線運行不能となるも、奇跡的な復旧を遂げた路線としても知られています。

もともと北リアス線と南リアス線の2路線に分かれて運行していた三陸鉄道。2019年3月、全路線の復旧を機に、久慈駅から宮古駅を結ぶ北リアス線、釜石駅から盛駅を結ぶ南リアス線、そして北リアス線と南リアス線の間を結ぶJR山田線が一つにつながり、三陸鉄道リアス線として運行するようになりました。
三陸鉄道の普通車両は、三陸の海の「青」、鉄道に対する情熱を表す「赤」、誠実さを表す「白」のトリコロールがシンボルカラーです。ほか三陸鉄道リアス線では、年間を通じてイベント列車が企画され、シックな外観の列車も運行します(イベント列車の詳細は決定次第、公式HPで公開)。



その一つである「こたつ列車」は、三陸鉄道の冬の風物詩。久慈駅~宮古駅で運行し、車内では、なまはげによく似た神の使い「なもみ」の実演が行われます。
さらに久慈駅からの乗車限定で、あわび弁当ほか、うに丼、ほたて弁当といった三陸のグルメも味わえます。

宮古駅~盛駅では、レトロな趣が魅力の「洋風こたつ列車」が走ります。運行中はアテンダントのハイカラさんが沿線の見どころを案内してくれます。
岩手県大船渡市盛町内ノ目(盛駅)~岩手県久慈市中央3-38-2(久慈駅)
普通列車は運賃のみ(久慈駅~宮古駅1890円、宮古駅~釜石駅1540円、釜石駅~盛駅1100円)、三陸鉄道 全線フリー乗車券(2日間乗り放題) 大人6100円、子ども3050円
「三陸鉄道リアス線」の詳細はこちら
(画像提供:三陸鉄道株式会社)
絶景の海を望む車窓ポイント3選
三陸鉄道リアス線は長大な路線のため、三陸の海はもちろん、季節ごとの情景に浸れるのも魅力です。車窓から見える太平洋の絶景ポイントを、久慈駅側から順に紹介します。
三陸鉄道きっての絶景ポイント「安家川橋梁」

三鉄道随一の絶景ともいわれる「安家川橋梁」。窓いっぱいに太平洋が広がる高さ33mの橋上からの風景は、圧巻のひと言です。「安家川橋梁」は、秋に鮭の遡上が見られる橋としても知られています。
リアス式海岸を望む「大沢橋梁」

太平洋の絶景とともに、リアス海岸の複雑な地形が見晴らせる「大沢橋梁」からの情景も見逃せません。こちらは、季節ごとに表情を変える海岸風景が見ものです。
のどかな情景が開ける「吉浜湾」

吉浜駅~唐丹駅間に開ける「吉浜湾」は、春~夏ののどかな情景が魅力。もともと三陸鉄道南リアス線で、最も景色のいい区間として知られていたのがこちらです。開放感あふれる湾の風景は、橋上とはまた違った雰囲気で楽しめます。
三陸鉄道沿線のおすすめグルメ3選
三陸鉄道リアス線沿線では、世界有数の漁場と称えられる三陸の海の恵みと、自然豊かな大地の恵みも存分に味わえます!久慈駅側から、ぜひ味わってほしい陸グルメを紹介します。
三陸リアス亭「うに弁当」

久慈駅に来たらぜひ味わいたいのが、この名物駅弁「うに弁当」。フタを開ければ、三陸産の濃厚なウニが一面に詰まっており、なんとご飯にまでウニが混ぜ込まれています。
事前予約分以外の当日販売は1日20食限定なので、昼前に売り切れてしまうことも。確実に味わいたいなら電話予約(0194-52-7310)がおすすめです。
(画像提供:岩手県観光協会)
道の駅たのはた 思惟の風「ワカメたっぷりミルク麺」


三陸の海と山の豊富な食材を活かしたグルメが味わえる「道の駅たのはた 思惟(しい)の風」。その名物麺が、地元・田野畑村産の牛乳を使用した味噌味のミルクスープに、これまた名物の「たのはたワカメ」がたっぷりと入った「ワカメたっぷりミルク麺」です。
濃厚でまろやかなスープが、肉厚なワカメに絡み、絶妙な味わいに!天然黒昆布の出汁がきいた鮮魚の漬けが味わえる「思惟丼」もおすすめ。水揚げにより、漬けになる魚が変わります。こちらは金・土・日・月曜日と祝日のみの提供で、1日限定10食。気になる人は早めの時間に来店しましょう。
岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪151-6
11時~14時※7月~8月の土日祝のみ11時~15時
なし
【電車】三陸鉄道田野畑駅からタクシーで10分
「道の駅たのはた 思惟の風」の詳細はこちら
(画像提供:道の駅たのはた 思惟の風)
浄土ヶ浜レストハウス 浜処うみねこ亭「生鱈のぶっかけ瓶ドン」

浄土ヶ浜に最も近いレストハウスで、浄土ヶ浜と海景色を眺めつつ食事ができる「浜処うみねこ亭」。ここでは、宮古で水揚げされた魚介を牛乳瓶にぎっしりと詰め、食べる直前にご飯にかけて味わう宮古の名物丼「瓶ドン」が味わえます。
「瓶ドン」メニューの一つ「生鱈のぶっかけ瓶ドン」は、本州きっての漁獲量を誇る宮古産の真鱈が主役。がごめ昆布とともに、オリジナルのタレで味付けしてた真鱈を丼ではもちろん、出汁をかけてお茶漬けとしても味わえます。
岩手県宮古市日立浜町32
8時30分~17時 ※浜処うみねこ亭【平日】10時30分~14時【土・日・祝】10時30分~14時30分
なし
【電車】三陸鉄道リアス線宮古駅よりバスで25分、奥浄土ヶ浜下車徒歩すぐ
「浄土ヶ浜レストハウス」の詳細はこちら
(画像提供:浄土ヶ浜レストハウス)
三陸鉄道で立ち寄りたいおすすめの駅3選
時間があったらぜひ立ち寄ってほしい特徴ある駅舎を、久慈駅側から3駅紹介します。
太平洋を見晴らす絶景駅「堀内駅」

「堀内(ほりない)駅」は、太平洋を見渡す高台にある無人駅。ホームから視界いっぱいに広がる大海原と眼下の堀内漁港が一望できます。
三陸鉄道きっての車窓ポイントである安家川橋梁と大沢橋梁は、堀内駅の両側に位置しています。
震災を描いたアニメ映画の舞台となった「織笠(おりかさ)駅」

話題を呼んだアニメ映画に登場し、たくさんのファンが訪れている「織笠(おりかさ)駅」。東日本大震災時に津波によって駅は流失し、現在の高台に新駅舎が建てられました。
織笠駅周辺には、ほかにも映画のなかで描写のモデルになった場所がいくつもあります。
貝殻の絵馬で恋の願掛け「恋し浜駅」


もとは「小石浜駅」でしたが、2009年に「恋し浜駅」と改称された小さな無人駅。ホームには「幸せの鐘」が設置され、待合室にはホタテの貝殻を絵馬がずらりと吊り下がっています。
その名称から恋のパワースポットとして知られていますが、恋愛以外の願い事ももちろんOK。絵馬を駅を訪れた記念にしてもいいですね。
途中下車して行きたい!沿線の絶景スポット4選
車窓からでも三陸の海を満喫できますが、もっとたっぷりと海景色に浸りたいなら、途中下車して海岸へ。歩いて、船に乗って、きらめく海の情景を満喫しましょう。
高さ200mの断崖連なる「北山崎」


約8kmにわたって高さ約200mの断崖が連なり、奇岩怪石や大小の海蝕洞窟がいくつもある「北山崎」。ダイナミックな海岸美が続きます。
海にせり出す展望台からの眺望はもちろん、観光船や地元漁師さんが操る小さなサッパ船に乗って、海面から断崖を仰ぎ見るのも爽快です。北山崎展望台周辺では、6月中旬頃に亜高山植物のシロバナシャクナゲが見頃を迎えます。
(画像提供:岩手県観光協会)
弓なりの断崖が5連続く「鵜の巣断崖」

崖の中腹にウミウの巣があることから名付けられた「鵜の巣断崖」。松林の遊歩道を500mほど歩くと、弓のようにえぐられた高さ200mの断崖が連なる様子が見られます。
眼下に広がるのは、波打ち際からエメラルドグリーンやブルーに染まる壮大なスケールの大海原!浜辺まで歩いて降りることもできます。
(画像提供:岩手県観光協会)
ブルーの海に真っ白な岩が切り立つ「浄土ヶ浜」


三陸復興国立公園の中心に位置する「浄土ヶ浜」は、宮古を代表する景勝地。江戸時代、鋭くとがった白い流紋岩がいくつも海から突き出す情景が「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆されたことから、この名称になったと伝えられます。
真っ白な岩肌と、群青色の海、そして緑冴える松が織りなすコントラストはまるで絵画のような美しさです。青く澄んだ入り江は波が穏やかで、夏は海水浴場としても賑わいます。一方で、岩肌も浜も雪に覆われる冬の情景も一見の価値ありです。
(画像提供:宮古市、岩手県観光協会)
国の天然記念物に指定された「碁石海岸」


三陸海岸を代表する景勝地で、一帯は国の名勝と天然記念物に指定。波の浸食によって三つの洞門が開いた「穴通磯(あなとおしいそ)」をはじめ、波に磨かれた黒い玉砂利が敷き詰められた「碁石浜」、天候次第では金華山まで見晴らせる「碁石岬」など8つの見どころがあります。
6月~11月限定で、「穴通磯」の洞門を船頭の巧みな操船でくぐり抜ける小型船のクルーズも実施されています(期間・詳細は碁石海岸インフォメーションセンターHPを確認)。
岩手県大船渡市末崎町大浜221-68
碁石海岸インフォメーションセンター8時30分~17時15分
碁石海岸インフォメーションセンター年末年始
【電車】三陸鉄道盛駅より岩手県交通バス碁石線で50分、碁石海岸下車徒歩すぐ
「碁石海岸」の詳細はこちら
(画像提供:碁石海岸インフォメーションセンター、岩手県観光協会)
まとめ
三陸鉄道リアス線は、全長163km以上あるため、気になる駅やスポットで途中下車しながら、ゆったりと旅できるローカル線です。バラエティに富んだ海岸風景や海グルメで、三陸の海と自然を体感してみてください。
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※この記事は2023年7月20日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
梶本 愛貴
長野県出身。おもに旅や鉄道、書籍などの記事を書いています。 旅はぼーっとするのが好き、列車は乗るのが好き、温泉は万座や草津など強めの湯が好きです。大人になって改めて感じた旅や列車の面白さをお伝えしていきます。