close

2026.10.02

「法師温泉 長寿館」の1泊2日体験レポ!混浴せずとも全ての湯屋を堪能できる<2026>

映画やドラマの舞台として知られる老舗「法師温泉 長寿館」。風情ある光景は、見覚えがある人も多いのではないでしょうか。特に、建築から1世紀以上経つ湯屋「法師乃湯」は、多くの温泉ファンの憧れ。他にも味わい深い2つの湯屋があり、計3つの自家源泉を時間ごとに混浴・男湯・女湯の入れ替わり制で楽しめます。今回は女性の温泉ライターが“混浴をせずとも全湯楽しむ湯巡り”を1泊2日で実践。時間割や泉質などプロの解説と共にご案内します。

今回ガイドしてくれる“温泉のプロ”を紹介

温泉ソムリエ&温泉ライターの千谷文子さん

温泉ソムリエ&温泉ライターの千谷文子さん

温泉ソムリエとしてテレビにも出演。『さいたま湯めぐり』シリーズを刊行し“ご近所温泉”の魅⼒も伝える。最近は公衆浴場と健康寿命との関係に興味があるのだとか。今回は「法師温泉 長寿館」の3つの湯屋を堪能すべく、1泊2日の湯巡りを体験&レポート!

はじめに:「法師温泉 長寿館」って?

混浴・女湯・男湯が時間で入れ替わる、歴史ある温泉宿

法師温泉 長寿館

「法師温泉 長寿館」は、上越新幹線・上毛高原駅からバスを乗り継いだ終着点にある、山あいの湯宿です。歴史的建造物の風情ある佇まいと、こんこんと湧き出る良泉が織りなす光景は、まさに映画の世界に迷い込んだかのよう。中でも「法師乃湯」は伝統ある混浴の湯として知られています。とはいえ女湯専用の時間帯も設けられているので、「混浴はハードルが高い…」という人も安心です。

ただ湯屋は計3つあるため、時間帯の確認不足から「うっかりして入るタイミングを逃してしまった…」という人も少なくないはず。そこでこの記事では、3つの湯屋「法師乃湯」「玉城乃湯」「長寿乃湯」をフルに味わい尽くす、1泊2日の湯巡りをタイムラインでお届けします。

【1日目13時10分】バスを乗り継ぎ三国峠を仰ぎ見る秘湯へ

都心からのんびり出発してチェックイン前に到着

東京駅から上越新幹線に乗って1時間ほどで、上毛高原駅に着きます。東口のバス乗り場に降り立つと、夏の深い緑の稜線が南北に緩やかに連なっていて爽快!まずは関越交通バスで約40分、猿ヶ京を目指します。山道に揺られて到着した乗り継ぎのバス停でのどかな景色を眺め待つこと15分、小さな町営バスがやってきて「法師温泉 長寿館」に連れていってくれました。

町営バス
小回りのきく町営バスで約15分、秘湯到着!

【1日目14時20分】国の有形文化財「本館」が150年の歴史を物語る

昔も今も、囲炉裏を囲んで旅行客たちが談笑

ようやく到着した「法師温泉 長寿館」は、山奥に隠れた別世界でした。山肌の小川が法師川の流れに合流し、そのほとばしる川音に耳を傾けながら本館へ向かいます。こちらは1875(明治8)年の建築で国登録有形文化財。昔の旅籠を思わせる佇まいです。

法師温泉 長寿館
法師温泉 長寿館
法師温泉 長寿館
時計の針を巻き戻したかのような“昔の風景”

玄関の引き戸を開ければ、タイムスリップしたような空間。樹齢300年のトチノキの火鉢、大きな振り子時計、正岡子規の門下生で近代俳句の中心人物となった河東碧梧桐による屋号も掲げられています。かつての帳場には木製のレジスターも展示されていて、その隣には囲炉裏部屋も──。

法師温泉 長寿館
長寿館の顔でもある吹き抜けの玄関。奥には昔の帳場の風景(本館)
法師温泉 長寿館
明治期から受け継ぐくつろぎの空間(本館)

囲炉裏部屋は、ずっと昔から毎日火を入れている憩いの場。古くは若山牧水が歌会を開き、最近は旅行客がお茶をすすりながら炭のはぜる音に耳を傾け、のんびりおしゃべり。15時のチェックインまで40分間、私も他のお客さんたちも、あちらこちらにスマホを向けては、歴史宿る空間に惚れ惚れしつつ撮影しました。

案内してくれたチーフマネージャー・高野さんは、「『この空間は(オーナーの所有物ではなく)長寿館を愛する皆さんから借りているもの。このまま未来へ繋げていく』と先々代が仰っていました。私たち従業員も、8代目、9代目と続く未来のオーナーに“変わらないこのまま”を受け渡していく!という強い使命感があるんです。こんなにも従業員に愛されている宿、きっと他にはないですよ」とニッコリ。

【1日目15時】本館20番・歌人ゆかりの客室で湯巡りひとり作戦会議!

窓の向こうに歴史ある湯屋「法師乃湯」

法師温泉 長寿館

予約をしたのは「本館20番」、歌人の与謝野鉄幹・晶子夫婦が3泊したゆかりの客室です。注目ポイントは部屋の障子。2024年のリニューアル時に7代目社長が宮大工にオーダーしたもので、浴室棟「法師乃湯」の杉皮葺きの屋根がモチーフになっています。

窓を開ければ、すぐ目の前にその屋根の実物が。見比べると、シルエットが格子の小粋に写し取られているのがわかります。宿泊の際はぜひ確かめてみてください。

法師温泉 長寿館
法師温泉 長寿館
10畳+6畳の客間。障子を開ければ「法師乃湯」

さて、素敵な客室でくつろぎながらも温泉はすぐそこ!お茶菓子をいただきながら、“理想の湯巡り”プランを練っていきます。うっかりミスを防ぐために、「法師乃湯」「玉城乃湯」「長寿乃湯」のお風呂の時間割をチェックしつつ計画しましょう!

Step1.まずは今回の戦略を決定

「法師乃湯」は混浴時間が多いのがポイントです。混浴に入るか女性専用時間に入るか。今回は初トライのため「全て女性専用時間に入る」という作戦です。

Step2.各湯の時間割をチェック

法師温泉 長寿館

各湯の女性が入れるタイミングを確認。「法師乃湯」は女性用の時間が2時間のみなので、ここを起点に順番を検討します。加えて泉質も入る順に影響するので、加味すれば完璧な湯巡りプランとなるはず!

Step3.女性の時間割×泉質を考慮したプランを作成

法師温泉 長寿館
1泊2日のスケジュール例

肌に優しい単純温泉をたたえる「玉城乃湯」から湯浴みを始めて、食事や休息も考慮しつつ、就寝前と翌朝にカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(石膏泉)の「長寿乃湯」「法師乃湯」を味わい、「玉城乃湯」で締めるプランを立てました。欲張って長湯しすぎないことも大事なポイントです。

【1日目16時】湯巡り1:「玉城乃湯」単純温泉で体を慣らしてひと休み

シンプル&ダイナミックな総檜造りの湯屋に惚れ惚れ

法師温泉 長寿館
広い湯船から景色を眺める、そのシンプルな贅を極めた「玉城乃湯」の内湯
法師温泉 長寿館
野天風呂には夏の青もみじ。例年10月最終週から11月上旬に秋色に
法師温泉 長寿館
内湯の湯船に、野天風呂の夏の景色が映り込んで──

「法師温泉 長寿館」には3つの自家源泉があり、最初に向かったのは「玉城乃湯」。肌に優しい無色透明の単純温泉なので、体を慣らす一番湯にもってこいなんです。昔の人も、まずは単純温泉など刺激の少ない湯に入り、徐々に濃い温泉へとはしごしながら湯治場に向かったそう。

建物は総檜造りの内湯の先に、野天風呂へとひと続きのダイナミックな設計。梅雨明けから9月のお彼岸までは内湯と外湯を隔てるガラス戸がなく、その開放感は格別です。ゆったりとした広い湯船に体を沈めれば、緑の景色と山の風をダイレクトに感じて、極楽、極楽。「あぁ〜、ここに座りたい」と思える浴槽の中に、ほど良い大きさの丸石があって、腰を下ろしてまったり。特に女性に人気の湯屋だというのも納得です!

さて、日常を離れて自然豊かな温泉地に行くと、転地効果でストレスが和らぐのだとか。「法師温泉 長寿館」で唯一、山の景色を眺められる「玉城乃湯」、女湯を利用する人はぜひ一番に足を運んでください。

「玉城乃湯」について

[時間割]15時〜20時(女湯)→20時〜翌朝7時(男湯)→7時〜10時(女湯)
[泉質]単純温泉
[浴槽の状態]天然温泉(加温・循環ろ過・消毒)
[設備]カラン&シャワーあり

職人技と心意気でもてなす夕食

法師温泉 長寿館
法師温泉 長寿館
季節ごとに献立が変わる夕食。夏は手作りの水菓子も

部屋に戻って1時間ほど休憩してから、食堂へ。部屋でも、食堂に向かう回廊でも、川のせせらぎが聞こえてきて深いリラックスへと誘ってくれます──。

夕食は日本料理。地元の食材を中心に、一つ一つに作り手の心意気が伝わってくるものでした。サッパリとしたトマト博多押しから始まり、合鴨のつくね団子、コイの洗い、紅葉マス、アユ塩焼き、冬瓜のオランダ煮、上州麦豚のしゃぶしゃぶなど、繊細な包丁の入れ方は楽しい食感を生み、どれも優しい味わい。手厚いおもてなしに心が温まる夕食になりました。みなかみの米作り名人のコシヒカリも美味しかったです!

【1日目20時】湯巡り2:浴槽の下から温泉が湧く鮮度抜群な「長寿乃湯」

従業員の人気ナンバー1温泉はここ!

法師温泉 長寿館
温泉が浴槽の底から湧出

部屋で食休みをしつつ、「法師乃湯」が混浴から女湯になる20時を待って1階へ。20時〜22時までの2時間、女湯は大浴場「法師乃湯」と小浴場「長寿乃湯」の2択。混み具合を見比べたら、小さな「長寿乃湯」がすいていたので2湯目に決定!実はここ、従業員さんの人気ナンバー1湯屋なんです。

「法師乃湯」と同様、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(石膏泉)が浴槽の下から湧く、足元湧出。浴槽が小さいことから、より鮮度の高い源泉100%(加温なし・加水なし、放流式)を味わえるというわけ。

湯船に浸ると、不規則にポコポコと温泉が体を伝って上がってきます。自然の恵みを肌で受け取るこの感覚は、足元湧出ならでは。山奥のお宝に出会う幸せですね。この後の「法師乃湯」もゆっくり楽しみたいので、欲張って長湯しすぎずに上がりました。さすが美人の湯といわれる泉質、湯上がりの肌はモチッと弾力!

「長寿乃湯」について

[時間割]15時〜20時男湯→20時〜翌朝10時女湯
[泉質]カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(石膏泉)
[浴槽の状態]源泉100%(加温なし・加水なし、放流式)。冬期のみ加温あり
[設備]カラン&シャワーあり

【1日目20時30分】湯巡り3:夜の帳に包まれた「法師乃湯」の静寂

鹿鳴館を思わせる湯宿は明治時代に建てた国登録有形文化財

法師温泉 長寿館
夜ならでは、シックな「法師乃湯」

いよいよ、お目当ての「法師乃湯」へ。弘法大師が見つけたという逸話からその名が付けられました。1895(明治28)年に建てられた湯屋は、本館と同様に国の有形文化財に登録されています。鹿鳴館風のアーチを描いた窓、立派な杉丸太の梁が印象的で、まさにここが映画やドラマのロケ地として知られている湯屋です。苔むす杉皮葺きの屋根は、部屋の窓から見えましたね。

昼と夜で風情が異なることも、人々を魅了する理由の一つ。22時までの女湯の時間帯、夜の帳に包まれた湯屋では、丸太に身を任せた“天女”たちがゆらりゆらり…美しい光景が広がっていました。私も仲間入りして、温泉に身を任せてゆらりゆらり…。しみじみと心ほどける湯浴みになりました。

法師温泉 長寿館
温泉は不規則にポコッと少し、時々ポコポコポコッとたくさん湧く

さて、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(石膏泉)の湯脈は、この大きな浴槽を斜めに走っているそうです。「こっちの枡からポコポコ出ている!?」と思いきや、「あっちの枡からもポコッ」という具合に、どの枡でも自然湧出する温泉を味わえるはず。湯量は1分間に218リットル湧出。この大きな浴場が1時間で入れ替わる勢いというので、鮮度の良さも魅力です。

法師温泉 長寿館
浴槽の脇に約42度の源泉があり、ダイレクトに湯船に注ぎ込んでいる
法師温泉 長寿館
天井を見上げると「旭乃湯」と源泉名が掲げられている

もちろん、昔ながらの混浴もオツな湯浴みになります。夫婦やカップル、家族で訪れているなら、一緒に歴史ある「法師乃湯」に浸るのもおすすめです。

「法師乃湯」について

[時間割]15時〜20時混浴→20時〜22時女湯→22時〜10時混浴
[泉質]カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(石膏泉)
[浴槽の状態]源泉100%(加温なし・加水なし、放流式)
[設備]カラン&シャワーなし

【2日目6時30分】湯巡り4・5:「長寿乃湯」から「玉城乃湯」で締める

朝風呂の後は、レトロな館内散策

6時起床。足元から温泉が湧くという、この上ない贅沢な朝風呂を「長寿乃湯」で味わいます。その足で「玉城乃湯」へ。野天風呂から差し込む朝日をたっぷり浴びて、元気に一日の始まりです!

浴後は30分ほど部屋で横になってから、館内を散策しつつ朝食へ。おいしくたいらげ、食後はリニューアルで誕生したカフェでオーガニックコーヒーを注文し、部屋でチェックアウトまで過ごしました。敷地内の「おすすめフォトスポット」などの案内もあるので、外の風にあたるのもいいですね。

法師温泉 長寿館
法師温泉 長寿館
国有形文化財である「別館」を川越しに眺めてから、朝食へ

チェックアウトは10時30分ですが、9時30分発のバスに乗り込むため早めの出発です。宿泊料金は現金支払いなので気を付けて。

お土産は部屋のお茶菓子と、従業員さんがお気に入りの漬物を商品化したものなど手にとってみてください。英気を養った「女湯のはしご」プランに大満足し、帰路につきました。

「男湯・混浴」はしごプランの一例

法師温泉 長寿館

今回は女湯を巡る想定で解説をしましたが、もちろん男湯や混浴でもどの湯も楽しめます。

「法師温泉 長寿館」のリアル情報

2024年3月に本館がリニューアル!

本館がリニューアルし、建物の構造上可能な部屋にはトイレとモダンな洗面所が完備されました。トイレ・洗面所共同の部屋もあるので要チェック。また館内にエレベーターやエスカレーターはないので、足元に不安がある人は段差が少ない「本館15番」「薫山荘33番」などを予約時に相談するのがおすすめです。

全室から法師川を眺める「別館」も、「本館」同様に国有形文化財でこちらは全室トイレ付き。客室は「本館」、「別館」の他に、ゆったりとした間取りの「薫山荘」、メゾネットタイプもある「法隆殿」と多彩に用意しています。

精算は現金払いなので気を付けて

じゃらんサイトで予約をしても、宿泊費はクレジット精算されず、現地で現金払いです。くれぐれもお金の用意を忘れないようにしましょう。

アクセスは都度ホームページで確認

バスの本数は限られているうえに時刻が変更になることもあります。「法師温泉 長寿館」のホームページで、最新の時刻表を確認するのが安心。車で向かう場合、冬期は雪のためすべり止めが必要です。

注目イベント「女性デー」の開催も

混浴・男湯・女湯と利用時間を分けている「法師乃湯」が、ずっと女湯の「女性デー」を年4回ほど開催しています。ホームページを要チェック!

■法師温泉 長寿館
群馬県利根郡みなかみ町永井650
上毛高原駅から猿ヶ京経由法師行きバスで約60分/関越道月夜野ICから約35分、湯沢ICから約45分
あり(無料)
「法師温泉 長寿館」の詳細はこちら

※この記事は2026年9月20日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
※宿泊する場合、各自治体が独自に実施している宿泊税や入湯税が別途かかることがあります。詳細は各宿泊施設にお問合せください。

じゃらん編集部

こんにちは、じゃらん編集部です。 旅のプロである私たちが「ど~しても教えたい旅行ネタ」を みなさんにお届けします。「あっ!」と驚く地元ネタから、 現地で動けるお役立ちネタまで、幅広く紹介しますよ。

Topics

tag

この記事に関連するエリア

この記事に関連するキーワード