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2020.12.21

世界のクリスマスはどう違う?海外の文化や、ケーキや料理、過ごし方の違いを紹介!!

世界6大陸の中で、クリスマスを祝わない大陸はないのだとか。
キリストの降誕を祝う日ですが、それ以前からあったお祭りと混ざり合って、各国で独自の文化が育まれています。
料理やケーキの違い、プレゼントの習慣、年末のマーケット…。今回はそんな世界のいろんなクリスマスをご紹介します。

※この記事は2020年12月20日時点での情報です。
記事配信:じゃらんニュース

クリスマスは国によってどう違う?

クリスマス

いきなりですが、イエス・キリストの誕生日は、12月25日ではないのだとか。

聖書には、生まれた日付に関しては何も書かれていません。また聖書学者の研究では、4月、5月、9月との説もあります。では、なぜイエス・キリストの誕生日を祝う「クリスマス」は12月25日なのでしょう?

実は「キリスト降誕のお祝いは12月25日に行うように」とローマ教皇ユリウス1世(在位337〜352年)が布告を出したからだと言われています。なぜこの日だったかというと、「太陽が一度滅し、再び誕生する聖なる日」=冬至の日だったからです。

現代で冬至といえば12月21日~22日ですが、紀元前45年にユリウス歴が採用されたときは、12月25日が一年で一番日が短い日でした。

クリスマス

また、キリスト教はだんだんと世界各地に広まっていきますが、それ以前より、各国には収穫を祝い、一年を無事に過ごせたことを喜ぶ年末の祝祭文化がありました。

クリスマスは最初からそれらと融合しやすく、イエス・キリストの誕生を祝う日であると同時に、楽しく賑やかなイベントとしても広まっていきました。
4世紀にはすでに、「派手なダンスや過度な飲食をつつしむように」との大主教お触れが出ていたそうですよ。

クリスマスに各国ごとの個性があるのは、土地ごとの祝祭文化が、クリスマスの中に今も息づいているから…といえそうです。

さて、ここからは世界各国のクリスマスを見ていきましょう!

【※上記参考文献】
ジュディス・フランダーズ著 伊藤はるみ訳『クリスマスの歴史 祝祭誕生の謎を解く』原書房、2018年

アメリカ

クリスマス

最近のアメリカでは、「Merry Christmas」という文字はあまり見かけず、「Happy Holidays」ばかりなことに気付きます。
多民族・他宗教の国だからこその気遣いなのだとか。

そんなアメリカでも、クリスマスを祝う家族にとってツリーだけは必須アイテム。「ツリーハンティング」といって、生のモミの木を切りに行く伝統があります。果物狩りみたいですね。

そのため、有料の「クリスマスツリー農園」が郊外にあります。また、郊外のスーパーなどでも盛んに売られています。

クリスマス

なぜ家にツリーが必須かというと、“プレゼントを置くのはツリーの下”だから。イブまでに、家族みんなでどんどん置いていきます。まさにクリスマスの中心的存在。

そしてもっともアメリカらしいのが、プレゼントに「ギフトレシート」が同封されていること。購入時に『ギフトレシートを下さい』と言えば入れてもらえます。

クリスマスプレゼントのための特別レシートのようなもので、プレゼントをもらった人は、このレシートと一緒に購入した販売店にもらったプレゼントを持っていくと、同額品と交換できたり、商品券に替えてもらったりできるのです!

プレゼントをあげた方も「気に入らなかったら替えてね」ぐらいのドライな感覚。なんて合理的なんでしょうか!

アメリカのクリスマススイーツ「ジンジャーブレッドハウス」

ジンジャーブレッドハウス

多くのアメリカの家庭には「クリスマスケーキ」という発想がないそうです。家庭ごとに、いろんなスイーツを用意します。

そんな中よく見かけるのが、ジンジャーブレッドを使って組み立てる「お菓子の家」のキット。

ジンジャーブレッドは、祝祭時によく食べられる生姜入りクッキーのこと。1000円ぐらいからと、割と手頃なお値段でスーパーで売られています。クッキーをアイシング(砂糖衣がけ)で組み立て、チョコやクリームで飾れば、お菓子の家の出来上がり!

イギリス

クリスマス

イギリスのクリスマスは、祈りの日というよりも、家族みんなで過ごす帰省の日という雰囲気が強いそうです。日本の年末〜お正月に似ていますね。

ロンドン中心部でも12月24日は早くに交通機関がなくなり、シン…と静まりかえります。25日は、お店もレストランも完全休業。

ただ、26日は違います。この日は「ボクシング・デー」。いきなり街中がごった返します。といってもスポーツのボクシングは関係ありません。

教会が貧しい人たちのために、寄付されたクリスマスプレゼントの箱(BOX)を開ける日だったことにちなんで、大バーゲンセールが始まるのです。

ボクシング・デーは、イギリスをはじめとした英連邦独特の習慣。祝日でもあるため、25・26日は連休です。この26日からが、一年で一番安いバーゲンの開始日だとか。

イギリスのクリスマススイーツ「クリスマスプディング」

(Photo by James E. Petts / CC BY-SA)
(Photo by James E. Petts / CC BY-SA)

プディングといってもカスタードプリンとは別物。簡単に言うと、1カ月前から熟成させるお酒風味の強いケーキのことで、イギリスではクリスマスに欠かせない存在だとか。

だいたい11月の最終日曜日あたりに生地を作り始めます。小麦粉やパン粉をベースに、牛や羊の脂(スエット)、フルーツの砂糖漬け、ブランデーなどを混ぜます。家族1人1人が、混ぜながらお願い事をするのがポイント。

蒸し上げたら、冷暗所でクリスマスまで熟成させます。果物が発酵して、さらにアルコール分が高くなるそうです。

食べる時は温め直してから、さらにブランデーをたっぷりかけて火を点けます(=フランベ)。濃厚な大人の味!バニラアイスをかけて食べると絶品ですよ。

ドイツ

クリスマス

ドイツのクリスマスといえば、なんといっても「クリスマス・マーケット」。11月末からドイツ各地に期間限定市場が登場します。大都市だけでも2500ヶ所を超えるそう。

昔は、ドイツの厳しい冬が来る前に「日用品を売買する最後の機会」だったそうですが、今はイルミネーションが輝き、レープクーヘン(ジンジャーブレッド)、温かいグリューワイン、焼きアーモンドの香りが漂う賑やかな市場です。

クリスマス・マーケットは、24日には終わります。ドイツでイブの日にやって来るのは、サンタクロースと、「サンタのしもべ」、クネヒト・ループレヒト。

(Photo by Allie Caulfield)
(Photo by Allie Caulfield)

サンタの召使い…という立ち位置ですが、『よい子にはご褒美を与え、悪い子は灰袋で叩く』という恐ろしい存在。秋田県のなまはげに通じるものがありますね。

クリスマス

このクネヒト・ループレヒト、多くは黒く薄汚れたサンタという衣装なのですが、南部のオーストリア国境に近づくほど、妖怪っぽくなっていきます。これがエリアによっては、赤い顔、角、ワラをまとった服…など、見た目までなまはげそっくり!不思議です!

ドイツのクリスマススイーツ「シュトレン(シュトーレン)」

シュトレン

ドイツのクリスマススイーツには、シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(黒い森のサクランボケーキ)、レープクーヘンなどがありますが、もっとも伝統的なのがシュトレン。古都・ドレスデンが発祥です。

バターたっぷりの生地に、ブランデーに漬け込んだドライフルーツ、雪のようにたっぷりまぶされた粉砂糖。11月末からの「アドベント」の期間中、少しずつスライスして食べ、クリスマスを楽しみに待ちます。

ずっしりした重み、立ちのぼるブランデーの香り、外サックリ中しっとりの歯触り、ゴロゴロ入ったレーズンや木の実…。ドイツ菓子の歴史を感じさせます。

シュトレンは常温で6〜7カ月は日持ちします。日本でもクリスマスに買えば、春先まで十分食べられるとか。時間が経てば経つほど熟成して、美味しくなるそうですよ。

フランス

クリスマス

フランス語でクリスマスは「ノエル」。「誕生」といった意味です。伝統的にカトリックが強い国でもあり、クリスマスは重要なイベントです。

普段は「日曜日は休む」という意識が強く、お店やお菓子屋さんも日曜はお休み。でもクリスマスシーズンだけは別で、特別な飾り付けで営業します。

フランスも、アメリカ同様クリスマスツリーへのこだわりは強く、この時期は本物のモミの木が、郊外のスーパーだけではなく、パリの道端でも所狭しと売られています。

クリスマス

モミの木を思い思いに飾り付けて楽しみますが、1月6日の「公現祭」というお祭りが終わると役目を終えます。「松の内」だけ飾る、日本の門松にもどこか似ていますね。

フランスのクリスマススイーツ「ビュッシュドノエル(ブッシュドノエル)」

(Photo by Kelly Sue DeConnick / CC BY-SA)
(Photo by Kelly Sue DeConnick / CC BY-SA)

「ビュッシュ」は木や丸太の意味。「クリスマスの木」と呼ばれるフランス伝統のお菓子で、ブッシュドノエルという言われ方は日本でもおなじみですね。

クリスマスを家族で過ごすフランス人にとっては、手作りすることも多いお菓子。丸太をイメージしたケーキと一緒に、メレンゲを焼いたキノコ、雪を模したシュガーパウダーを添えるのが定番です。

なぜ丸太にこだわるのかというと、クリスマスの日に、暖炉のそばに、ユールログ(クリスマスの丸太)という大きな薪を置く習慣があるから。大きな薪は、「儀式やお祝いの象徴」という意味があるそうです。

ロシア

ロシアではクリスマスは、西欧より13日遅れの1月7日にお祝いします。なぜかというと、1917年まで、ユリウス歴という古いこよみだったから。

ユリウス歴は、現代のこよみ(グレゴリオ歴)と13日のずれがあります。今はすでにグレゴリオ歴に移行しているのですが、ロシア正教の教会は古いユリウス歴にのっとって祝祭を行うので、民間行事はユリウス歴のままなのです。日本でいう旧暦みたいですね。

そんなロシアには、サンタクロースはいません。いるのは「ジェド・マロース」。ジェドはおじいさん、マロースは厳寒という意味。つまり、冬のおじいさんです。

クリスマス

パッと見はサンタですが、ヒゲがかなり長いのと、衣装が青いことが特徴。「スネグーラチカ(雪娘)」という孫娘も連れています。トナカイには乗らず、杖をついて徒歩で移動するのも特徴的です。

ロシアのクリスマススイーツ「クチヤー」

(Photo by Iryna Yeroshko)
(Photo by Iryna Yeroshko)

松ぼっくりのジャム、ロシア版ジンジャーブレッドのプリャーニク…。ロシアには魅力的なスイーツがたくさんありますが、クリスマスケーキに相当するものはないようです。

そんな中で注目したいのが、クリスマスイブのメインディッシュ「クチヤー」。ロシア正教における儀礼食とでもいうべきもので、小麦、蜂蜜、ドライフルーツやベリー、ケシの実などから作るポリッジ(お粥)です。

これが祝祭日の甘いごちそうで、小麦をお米に代えたタイプの方が贅沢なのだとか。シナモンがほんのり香り、コンポートのように甘くやわらかくなったドライフルーツが美味。

「ハレの日の甘味」という意味では、日本の小豆がゆや、ぜんざいにも少し似ていますね。

オーストラリア

クリスマス

オーストラリアといえば、サーフィンしながらやってくるサンタクロース!でもこれは一種の冗談で、サンタクロースがソリに乗って北極圏からやってくるイメージはもちろん知られています。

そんな南半球のオーストラリアでは、12月25日は一年でもっとも日が長いころ。北半球における12月21〜22日ごろの冬至を、オーストラリアでは夏至(サマーソルスティス)と呼びます。呼び方も反対になるんですね。

イルミネーションが控えめなのもオーストラリアの特徴。環境意識もあるようですが、そもそも日が長いので夜が短くイルミネーションが映えないのかも!? そんなオーストラリアのクリスマス休暇は、アウトドアでバーベキューが定番だそうです。

オーストラリアのクリスマススイーツ「パブロヴァ」

パブロヴァ

オーストラリアのクリスマスで欠かせないスイーツが、このパブロヴァ。名前はロシアのバレエダンサーからきていますが、発祥はニュージーランドというお菓子です。

低温で焼いたメレンゲに、生クリームや季節のフルーツをのせたもの。食感はサクッと軽く、そして意外とローカロリー!出来たては最高の味わい。

なんといっても夏なのでフルーツが豊富。イギリスなど英連邦の文化圏では「イチゴと生クリームは夏のもの」なのだとか。フレッシュなキウイもご当地感たっぷりです。

まとめ

世界のクリスマス、いかがでしたでしょうか。
違いを調べれば調べるほど、クリスマスを祝い、楽しむ気持ちは世界共通ですね!

【参考文献】
ジュディス・フランダーズ著 伊藤はるみ訳『クリスマスの歴史 祝祭誕生の謎を解く』原書房、2018年
アンソニー・F・アヴェニ著 勝貴子訳『ヨーロッパ祝祭日の謎を解く』創元社、2006年

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ミキティ山田  ミキティ山田

旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。

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