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2024.10.01

全国のおすすめ「観光列車」15選!レストラン列車や絶景を楽しむ列車旅<2024>

その土地で育まれた風土と食、文化を感じられる「観光列車」。車窓からの眺め、グルメなど、魅力あふれる列車が、日本各地を走るようになりました。

それぞれの列車で得られる体験は、まさに“旅”そのもの!今回ご紹介する全国の観光列車は、どれも趣向の凝ったものばかりです。

お気に入りの列車を見つけたら、旅の目的のひとつに組み込んで、お出かけ計画を立ててみては?

2024年開業!の観光列車

JR九州 特急「かんぱち・いちろく」【福岡県・大分県】

沿線の風土を五感で辿り、悠々とした時間に身を委ねる。

JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
2024年4月に運行開始した特急「かんぱち・いちろく」。久大本線をデザインした漆黒の列車が由布岳をバックに走り抜ける(画像提供:JR九州)

2024年4月、JR久大本線に新たに導入された観光列車、特急「かんぱち・いちろく」。ユニークな名称は、久大本線の全線開通に尽力した実業家、麻生観八(かんぱち)と衞藤一六(いちろく)の名前に由来する。博多駅発~由布院駅・別府駅着の「かんぱち」号と、別府駅・由布院駅発~博多駅着の「いちろく」号の2つのルートがあり、どちらも観光列車としては稀な約5時間の贅沢な乗車体験ができる。

JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
左に右に見える由布岳を、2号車のラウンジの大窓から観賞
JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
乗客の共有スペースである2号車「ラウンジ杉」。アルコール類などドリンク、スイーツのほか、オリジナルグッズやお土産も販売している

別府駅から出発する「いちろく」号。外観は黒を基調とした風格あるデザインで、車体側面にはゴールドラインが描かれている。車体の側面が久大本線の景色を映し出すことで、沿線を表現するのがねらいなのだとか。3号車の車内には深緑のソファ、各席には異なるアート作品が飾られており、まるで美術館やギャラリーのような空間だ。2号車「ラウンジ杉」の大きな車窓から望む雄大な由布岳にも目を奪われる。

JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
福岡・大分にゆかりのあるアーティスト10組が手掛けた作品24点を展示。「物語の入り口へ」をコンセプトにしている
JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
豊後森駅到着前に豊後森機関庫、出発後に伐株山、北山田駅通過後に慈恩の滝が。車内に居ながら、大分の名所観光できる

列車が由布院駅に近づくと、食事の提供が始まる。福岡県東峰村の伝統工芸・小石原焼の陶板を使った2段の重箱には、彩り豊かな料理が詰められており、まるで玉手箱のよう。酒蔵「八鹿酒造」の地酒やジュースも豊富に揃い、沿線の豊後森機関庫やユニークな形の伐株山(きりかぶさん)の風景とともに楽しめる。

JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
金曜の特急「いちろく」号の食事は、大分市の隠れ家的和食店「裏舌鼓(ReZecco)」によるもの。計15品が味わえる
JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
沿線の地酒、列車のオリジナルロゴ付きの地酒はお土産にも

列車は天ケ瀬駅とうきは駅にも停車し、地元の名産品や温かいおもてなしに触れることができる。

JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
二つ目のおもてなし駅・うきは駅は、地元窯元の焼きものや銘菓をはじめ驚くほど多彩な品揃えに出会える
JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
賑やかなうきは駅ホーム。夏~秋はフルーツ類も楽しめそうだ

高速を使うなら約2時間の別府温泉から博多までの距離を、ゆったりと5時間かけて進むこの贅沢な旅。「ゆふ高原線の風土をあじわう列車」のコンセプトのとおり、緑豊かな名所の風景や地域の料理、地元の方々の温かさに触れることで、特別に豊かな5時間になりそうだ。

JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
列車やロゴのピンバッジ各700円。大人も心惹かれるオリジナルグッズを展開
JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」
乗車記念のスタンプ。3種の重ねスタンプが用意してあり、3回押すと完成形に!
■JR九州 特急「かんぱち・いちろく」
092-474-2217(かんぱち・いちろくお問合せ窓口/9時30分〜17時※火曜・年末年始休み)
【運行区間】博多駅~由布院駅・大分駅・別府駅 ※特急かんぱち号は博多→由布院・大分・別府、特急いちろく号は別府・大分・由布院→久留米・博多
【運行日・本数】1日1便、木曜をのぞく毎日運行 ※特急かんぱち号は月・水・土、特急いちろく号は火・金・日
ソファ席・BOX席1名1万8000円
※2名BOX席を1名利用の場合は別途1万3000円 ※畳個室利用の場合は1名2万3000円
【予約方法】公式HPより予約受付 ※詳細は公式HP参照
「JR九州 特急「かんぱち・「いちろく」の詳細はこちら

観光列車「はなあかり」【福井県・兵庫県】

2024年10月登場!季節ごとに西日本各地を運行する新たな観光列車「はなあかり」。

観光列車「はなあかり」
紋付染めで最高級とされる「檳榔子(びんろうじ)染め」のカラーがベース。沿線の秋に映える(画像提供:JR西日本)

2024年は乗車時期により、運行経路が変わる列車が登場。2024年10月から運行開始する観光列車「はなあかり」は、季節ごとにエリアを変えて運転。 西日本各地の「とっておき」に光を当て、賑わいが創出されるきっかけとなることを目的に誕生する。

2024年10月~12月に運行する第一弾のルートは、敦賀駅~城崎温泉駅。 優雅な旅を楽しめるように設えた車内空間は、華やかな和の色彩で展開する。 グリーン車よりもグレードの高い2名用の個室空間「スーペリアグリーン車」では、その真骨頂が発揮される。

■観光列車「はなあかり」
【運行区間】福井県・敦賀駅~京都丹後鉄道~兵庫県・城崎温泉駅
※第一弾は2024年12月まで
※詳しくは「はなあかり」検索
「観光列車「はなあかり」」の詳細はこちら

見て感動!絶景列車

黒部峡谷鉄道 黒部峡谷トロッコ電車【富山県】

神秘的な北アルプスの山間、日本一深いV字峡を走る。

黒部峡谷鉄道 黒部峡谷トロッコ電車
宇奈月駅を出発したトロッコ電車が最初に渡る真っ赤な鉄橋。宇奈月駅より徒歩5分の山彦橋から観賞できる(画像提供:pixta)

標高差3000mを流れ下る黒部川の上流、日本一深いV字峡を縫うように走る。1937年、黒部峡谷の電源開発の際に資材運搬用の軌道を作ったことに端を発し、その風光明媚な情景から1953年に一般向けの営業を開始したこちら。雄大な空の下、紅葉や黄葉、常緑がくっきりと色鮮やかなコントラストを描く黒部峡谷は、日本を代表するトロッコ電車の車窓にふさわしい。

 11月上旬になれば、北アルプスの頂きは白く染まり、列車は雪景色と紅葉を同時に見る壮大な情景に包まれる。平均時速16kmとゆっくり進む客車は、窓なし普通客車、窓付きリラックス客車の2種。紅葉に染まる大峡谷と一体感を味わえるのが、窓なしの普通客車の醍醐味だ。ピリッと肌寒い山岳の空気のなか、圧倒的な峡谷美に全身で浸りたい。

■黒部峡谷鉄道 黒部峡谷トロッコ電車
0765-62-1011(黒部峡谷鉄道お客さまセンター)
【運行区間】~2024年11月30日宇奈月駅~猫又駅
【運行日・本数】1日11往復毎日運行
~2024年11月30日宇奈月~猫又往復大人2820円 ※窓付きリラックス客車別途600円
【予約方法】公式HPか電話にて事前予約受付、当日券は乗車駅で販売 ※詳細は公式HP参照
「黒部峡谷鉄道 黒部峡谷トロッコ電車」の詳細はこちら

嵯峨野観光鉄道 嵯峨野トロッコ列車【京都府】

艶やかな色彩を映す緑の川面。嵯峨の秋を車窓から愛でる。

嵯峨野観光鉄道 嵯峨野トロッコ列車
保津川に沿って続く片道約7.3kmのレールを、約25分かけて走る
嵯峨野観光鉄道 嵯峨野トロッコ列車
ガラスのない5号車のオープン車両「リッチ号」。風と光と音を肌で感じられる
嵯峨野観光鉄道 嵯峨野トロッコ列車
2024年10月12日から約1000本の紅葉を950基が照らし出す「光の幻想列車」を実施

京都嵯峨嵐山の地で、保津川沿いの渓谷美に浸れる嵯峨野トロッコ列車。ゴトゴトと少し速い自転車ほどの速度で走るディーゼル車は、元来、荷物輸送用の小型貨車として活躍していたトロッコ本来のイメージにぴったりくる。

木製椅子と裸電球に彩られたアールデコ調の客車は、川面きらめく保津川に並走し、ほどなくして艶やかな紅葉のトンネルにさしかかった。頭上まで広がるモミジ、カエデ、イチョウ、ウルシ…。樹木のトンネルが途切れ、視界が開けると対岸の山々や悠々とした渓流が現れ、エメラルドグリーンの川面が沿岸の紅葉を映して錦絵のように壮大な情景を見せる。夕陽に照らされた紅葉が燃えるように輝く夕暮れどき、光と影のコントラストを生む夜のライトアップと、時間帯によってさまざまな表情に浸れるのもこの列車の魅力だ。

■嵯峨野観光鉄道 嵯峨野トロッコ列車
公式HPより受付
【運行区間】トロッコ嵯峨駅~トロッコ亀岡駅
【運行日・本数】~2024年12月29日はトロッコ嵯峨駅発9時2分~16時2分まで1時間ごとに運行 ※一部列車運休日や臨時列車運行日あり。公式HP要確認
全区間均一片道880円
【予約方法】公式HPより予約受付、当日券は各駅で販売 ※詳細は公式HP参照
「嵯峨野観光鉄道 嵯峨野トロッコ列車」の詳細はこちら

会津鉄道 お座トロ展望列車【福島県】

阿賀川の橋梁で一旦停止。南会津きっての渓谷紅葉に浸る。

お座トロ展望列車
会津鉄道 お座トロ展望列車
お座トロ展望列車
茅葺き屋根の湯野上温泉駅

南会津に広がる里山を走る列車は、トロッコ車両、お座敷席車両、展望車両を備えるためこの名称に。例年10月中旬~11月上旬に見頃を迎える紅葉と阿賀川の渓流が織りなす情景が美しく、なかでも芦ノ牧温泉南駅~湯野上温泉駅間の鉄橋から望む渓谷の紅葉は、荘厳のひと言。茅葺き屋根の湯野上温泉駅、ネコ駅長がいる芦ノ牧温泉駅でも知られている。

■会津鉄道 お座トロ展望列車
0242-28-5886(会津鉄道本社営業課)
【運行区間】会津若松駅~会津田島駅
【運行日・本数】2024年11月までの8/25をのぞく土日祝、8/10〜18、10/19~11/7は毎日運行。1日2往復
運賃(会津若松~会津田島)1690円+座席指定券400円(座席指定区間:西若松~会津田島間)
【予約方法】公式HPより予約受付、会津鉄道有人駅または旅行代理店で販売 ※詳細は公式HP参照
「会津鉄道 お座トロ展望列車」の詳細はこちら

わたらせ渓谷鐵道 トロッコわたらせ渓谷号【群馬県~栃木県】

国道からは望めない鉄路だけの車窓。標高差約550mで秋の色づきを観賞。

トロッコわっしー号
トロッコわっしー号
トロッコわたらせ渓谷号
トロッコわたらせ渓谷号

全線開通した1914年当時は、長いトンネルや鉄橋を建造する技術がなく、線路は渡良瀬川に沿って山間を蛇行。そのため本宿駅~水沼駅の古路瀬(こじせ)渓谷、沢入(そうり)駅~原向駅間の県境を筆頭に、渓谷沿いの美しい情景を望むことができる。群馬県・桐生駅と栃木県・間藤(まとう)駅では標高差が約550mあり、約1カ月間も紅葉が楽しめる。

■わたらせ渓谷鐵道 トロッコわたらせ渓谷号
0277-73-2110(わたらせ渓谷鐵道)
【運行区間】大間々駅~足尾駅 ※桐生駅~間藤駅で土日を中心に運行する
「トロッコわっしー号」もあり
【運行日・本数】トロッコわたらせ渓谷号は土日を中心に運行。1日1往復
運賃(大間々~足尾)940円+トロッコ整理券520円
【予約方法】相老駅・大間々駅・通洞駅、各旅行会社、ローソン、ミニストップにて販売 ※詳細は公式HP参照
「わたらせ渓谷鐵道 トロッコわたらせ渓谷号」の詳細はこちら

大井川鐵道井川線 南アルプスあぷとライン【静岡県】

青みがかった湖水を横切り、高さ70.8mの橋上をゆく。

大井川鐵道井川線 南アルプスあぷとライン
大井川鐵道井川線 南アルプスあぷとライン
大井川鐵道井川線 南アルプスあぷとライン
関の沢鉄橋を通る

大井川本線終点から、さらに山間部の大井川上流へと分け入る井川線。90パーミルと日本一の急勾配を走るトロッコ列車は、見渡す限り続く山々に囲まれたエメラルドグリーンのダム湖にまるで浮かんでいるような奥大井湖上駅を経て、川底からの高さ70.8mを誇る関の沢鉄橋を通る。11月中旬~下旬に見頃を迎える紅葉と湖水のコントラストが印象深い。

■大井川鐵道井川線 南アルプスあぷとライン
0547-45-4112(大井川鐵道営業部)
【運行区間】千頭駅~井川駅
【運行日・本数】毎日運行、千頭駅~井川駅間は1日2往復
運賃のみ(千頭~井川)1340円
【予約方法】予約不要
「大井川鐵道井川線 南アルプスあぷとライン」の詳細はこちら

南阿蘇鉄道 トロッコ列車 ゆうすげ号【熊本県】

阿蘇山と外輪山に囲まれた、湧水の里を走るトロッコ列車。

トロッコ列車 ゆうすげ号
トロッコ列車 ゆうすげ号

世界最大級の規模を誇る阿蘇カルデラの南麓、湧水地が多いことで知られる地を走る。阿蘇五岳や外輪山の雄大な山々は、窓ガラスを開けた開放感たっぷりのトロッコ車両から眺めたい。欄干がない第一白川橋梁から望む常緑樹に入り混じった紅葉、収穫が進む田や蕎麦の花畑と見どころが多く、例年11月上旬~下旬は片道約50分の秋旅が楽しめる。

■南阿蘇鉄道 トロッコ列車 ゆうすげ号
0967-62-0058(南阿蘇鉄道高森駅)
【運行区間】高森駅~立野駅
【運行日・本数】2024年12月1日までの土日祝、7月20日〜8月25日は毎日運行。1日2往復
1500円(高森~立野)※運賃・トロッコ列車料金込み
【予約方法】公式HPより予約受付 ※詳細は公式HP参照
「南阿蘇鉄道 トロッコ列車 ゆうすげ号」の詳細はこちら

食べて幸せ!レストラン列車

あいの風とやま鉄道 一万三千尺物語【富山県】

高低差4000mの海と山を愛で、握りたての鮨を頬張る。

あいの風とやま鉄道 一万三千尺物語
富山湾から揚がる旬の地魚と富山米で握る鮨8貫は、車内で用意
あいの風とやま鉄道 一万三千尺物語
山側に大型窓を設置した1号車車内。カウンター席とボックス席がある

標高3000m級の峰々が美しい稜線を描く立山連峰、その立山連峰を望む深海約1000mの富山湾。そのダイナミックな高低差から名付けられたのがこちら。2つのコースはルートと提供される料理が異なり、どちらも富山駅で発着する。海中の変化に富んだ環境から約200種もの魚介が水揚げされ、「天然の生け簀」と呼ばれる富山湾、その旬の地魚を新鮮なまま味わうべく、今回は「富山湾鮨コース」を選んだ。

富山駅を出発すると、熟練した手つきで次々と鮨が握られていく。ネタを活かした小ぶりの鮨は、富山ならではの“きときと”。この時期の旬を、その担い手となる海を車窓に据えて味わえるとは、何という贅沢だろうか。向かいの車窓には、青く切り立つ立山連峰が聳えている。どの地酒をともにしようか迷いながら席を立った。

あいの風とやま鉄道 一万三千尺物語
2号車の厨房で鮨を握る様子がガラス越しに見られる
あいの風とやま鉄道 一万三千尺物語
冠雪した立山連峰、海辺の観覧車が佇む湾内の風景を満喫できる
■あいの風とやま鉄道 一万三千尺物語
0120-489-130(観光列車予約案内センター)
【運行区間】富山湾鮨コース/富山駅→泊駅(折返し)→富山駅
越中懐石コース/富山駅→黒部駅(折返し)→高岡駅(折返し)→富山駅
【運行日・本数】土日・一部祝日に各コース1日1本運行 ※運休日あり。詳細は公式HP確認
1名1万6500円
【予約方法】公式HPか電話より予約受付 ※詳細は公式HP参照
「あいの風とやま鉄道 一万三千尺物語」の詳細はこちら

長野電鉄 北信濃ワインバレー列車【長野県】

どこか懐かしい里山風景を信州ワインとともに旅する。

長野電鉄 北信濃ワインバレー列車
村山駅~柳原駅から眺める千曲川。地元素材を使ったワインに合うのんびりべんとうとともに
長野電鉄 北信濃ワインバレー列車
もと小田急ロマンスカーで、客車の床が高く眺めがよい

近年、高品質なワインの生産地として知られる長野県にあって、個性豊かな大小のワイナリーを有する千曲川ワインバレー。その北部にあたる千曲川中流域を走り、沿線に点在するワイナリー4社のワインを飲み比べできるのがこの列車だ。

長野駅~湯田中駅間を通常よりものんびりと走る車内で約80分間、信州産ブドウのワインを心ゆくまで味わう。ドライブ旅にはない列車旅だけの特権に、思わず笑みが浮かぶ。この列車のもう一つの魅力は、車窓風景だ。桜沢駅付近から望む北信五岳、新潟県へと流れる千曲川、田園地帯に向かって裾野を広げた高社山の景色は、心地よい酔いのなかでどこか懐かしい。ガタンゴトンとレールの継ぎ目を拾う列車のなかは、ワインを味わうのに最も適した場所の一つであることに気付いた。

長野電鉄 北信濃ワインバレー列車
カーテンやカバーなど随所がワイン色で装飾された車内
長野電鉄 北信濃ワインバレー列車
長野電鉄 北信濃ワインバレー列車
楠わいなりー、たかやしろファーム、サンクゼール、カンティーナ・リエゾーと人気ワイナリーの赤・白ワイン6~8種が味わえる
■長野電鉄 北信濃ワインバレー列車
026-248-6000(お客様サポートセンター)
【運行区間】長野駅~湯田中駅
【運行日・本数】土日祝を中心に1日1往復運行 ※詳細は公式HP参照
3名〜4名申込みで1名6500円、2名以下で申込みの場合は別途1000円
【予約方法】公式HPのWEB予約システムか電話より予約受付
「長野電鉄 北信濃ワインバレー列車」の詳細はこちら

JR東日本 TOHOKU EMOTION【青森県~岩手県】

列車全体がレストラン空間。“東北”の美を目と舌で味わう。

JR東日本 TOHOKU EMOTION
前菜、メインディッシュ、食事、デザートの順に提供される※掲載しているメニュー画像はすべてイメージです
JR東日本 TOHOKU EMOTION
JR東日本 TOHOKU EMOTION
人気シェフ監修の料理が作られる様子が見られる2号車ライブキッチンスペース車両

青森県と岩手県の三陸海岸を走るJR八戸線は、車窓越しの太平洋が美しいローカル線。この海を望む路線を走る「TOHOKU EMOTION」は、3両編成のレストラン空間として登場した。

3号車のオープンダイニング車両に足を踏み入れると、岩手名産の琥珀をモチーフにした照明が優しく灯り、青森のこぎん刺しの紋様が床を彩る。年に4回替わるコース料理だけでなく、東北各地の技と美の粋を集めた食器、内観を彩るアート、車内に流れるBGMに至るまで、すべてがオリジナル。

JR東日本 TOHOKU EMOTION
復路はオリジナルのデザートアソートプレートからスタート
JR東日本 TOHOKU EMOTION
復路では盛岡の人気ホテルによるデザート&アフタヌーンティーが味わえる。往復ともにアルコールやソフトドリンクなどを好きなだけ

2013年に、震災復興と地域活性化の一環として生まれた列車だ。2号車のライブキッチンスペースから、料理が一品ずつ提供され、ワインや八戸の地酒などアルコール類も飲み放題。すぐ窓際に迫る青い海を眺めつつ、お腹も心も満たされていく。

JR東日本 TOHOKU EMOTION
自分たちだけで寛げる1号車のコンパートメント個室車両
JR東日本 TOHOKU EMOTION
間近に迫る海が見られる
■JR東日本 TOHOKU EMOTION
公式HPより受付
【運行区間】八戸駅~久慈駅
【運行日・本数】金・土日祝を中心に1日1往復 ※詳細は公式HP参照
往路1万200円、復路5900円 ※コンパートメント個室車両(2名以上で申込み)利用は別途片道3600円
【予約方法】JR東日本「のってたのしい列車予約サイト」にて予約販売
※2024年7月時点の情報
「JR東日本 TOHOKU EMOTION」の詳細はこちら

西武鉄道 西武 旅するレストラン「52席の至福」【東京都~埼玉県】

都心〜秩父間を走る列車で著名シェフのフレンチに寛ぐ。

西武 旅するレストラン「52席の至福」
西武新宿駅発10時40分のブランチコース。秋の陽射しに2号車の柿渋和紙の天井が映える
西武 旅するレストラン「52席の至福」
ブランチは季節の一皿から前菜、魚料理、メイン、デザートへと続く
西武 旅するレストラン「52席の至福」
「52席の至福」オリジナルのドリンクも用意

西武新宿駅・池袋駅~西武秩父駅間で、ブランチとディナーを提供するこの列車。建築家・隈研吾氏が沿線の代表的な観光地である「秩父」をデザイン。車内には秩父銘仙や西川材を一部使用した落ち着きある空間が広がる。ここで季節ごとに変わる有名シェフが監修し、沿線の食材を取り入れたコース料理が味わえるのだ。

西武 旅するレストラン「52席の至福」
ディナーのメインがサーブされる頃には生演奏が始まり、夕闇をさらに美しく演出
西武 旅するレストラン「52席の至福」
魚料理はスパイシートマトソースを添えた、プロヴァンス風イカの詰め物。メニューは時期により変わる
西武 旅するレストラン「52席の至福」
料理に合わせて厳選されたワイン

今回利用したディナーコースは、虎ノ門のビストロ「ル・プティ・トノー」のオーナーシェフ、フィリップ・バットン氏によるメニュー。武甲山が夕闇に沈む情景を見ながら食前酒を味わううちに、この列車オリジナルのアミューズ、続いて前菜がサーブされた。メインは牛ほほ肉を赤ワインで煮込み、クミン風味の人参ソテーを添えたひと皿。ヴァイオリンの生演奏を耳にふと車窓に目をやると、街灯りが優雅に輝き始めていた。

西武 旅するレストラン「52席の至福」
石灰岩採掘の跡をくっきりと残す武甲山をバックに走る
■西武 旅するレストラン「52席の至福」
0570-005-712(西武鉄道お客さまセンター)
【運行区間】西武新宿駅~西武秩父駅 ※池袋駅~西武秩父駅間にて運行する日もあり
【運行日・本数】土日祝を中心に1日1往復 ※詳細は公式HP参照
ブランチコース1万5000円、ディナーコース1万8000円 ※どちらも西武線1日フリーきっぷ代含む
【予約方法】公式HPにて予約受付
「西武 旅するレストラン「52席の至福」」の詳細はこちら

乗って楽しい!観光列車

JR四国 志国土佐 時代の夜明けのものがたり【高知県】

新時代への憧憬を描く、空想ファンタジーデザインの列車。

JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
レトロSF小説で描かれる空想科学上の宇宙船をイメージした2号車「SORAFUNE」
JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
2号車「SORAFUNE」

それぞれ独自のコンセプトで疾走するJR四国の「ものがたり列車」の3本目。高知県を走る2両編成の列車は、「土佐流のおもてなし」をテーマに、土佐が育んだ坂本龍馬のまだ見ぬ世界への憧憬を投影した「文明開化ロマンティシズム」をデザインコンセプトとして誕生。蒸気機関やロケットエンジンのデザインのダイナミズムで、「旅のはじまり」ひいては「時代の夜明けの高揚感」を表現している。

JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
蒸気船をモチーフに幕末の歴史を表現した1号車「KUROFUNE」の車両後方には龍馬像がデザインされている。
JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
1号車「KUROFUNE」

照明ポールやテーブル支柱を機械配管に見立て、機械美と幻想性を重ね合わせた車内空間は、列車内とは思えないほど煌びやか。明治期の装飾性を取り入れつつもそこにとらわれないのびやかさが感じられ、客車に一歩足を踏み入れれば、空想世界へと引き込まれていく。

JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
牧歌的な田園風景、清流、青く広がる海、緑の山々を映し出す車窓。土佐新荘駅~安和駅間では一面の太平洋が車窓に広がる。観光客の訪問を温かく迎える県民性にふれて
JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
悠々とした海と山を巡る土佐流の車窓とおもてなし。

高知城を後にする路線で、青く広がる大海原に照りつける太陽、のどかな山々が織りなす沿線風景に囲まれていると、日常から遠く離れた空想科学の世界観がしっくりくるから不思議だ。日本を大きく動かした幕末の志士は、青い空と海の彼方に、こんなふうに開放的な新時代への夢を描き出していたのかもしれない。

JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
下り列車の窪川行きでは、土佐の食材を知り尽くしたシェフによる創作料理を。上り列車の高知行きでは高知の山・川・海の素材を用いた食事を、四万十ヒノキの重箱で提供
JR四国 志国土佐時代の夜明けのものがたり
土佐の伝統郷土料理の「皿鉢(さわち)風」に盛りつけ、見た目にも味にも土佐が感じられる
■JR四国 志国土佐 時代の夜明けのものがたり
0570-00-4592(JR四国電話案内センター/8時〜19時)
【運行区間】高知駅~窪川駅、期間限定で高知駅~奈半利駅 ※詳細は公式HP参照
【運行日・本数】土日祝を中心に1日1往復 ※詳細は公式HP参照
乗車券+特急グリーン券で高知駅~窪川駅4540円※土佐久礼駅乗降の場合は4140円
高知駅~奈半利駅5130円※安芸駅下車の場合は4970円
※食事希望の場合は食事予約券(別途料金)が必要
【予約方法】全国のみどりの窓口、主な旅行会社にて乗車日1カ月前10時より販売
※食事希望の場合は4日前までに予約が必要。詳細は公式HP参照
「JR四国 志国土佐 時代の夜明けのものがたり」の詳細はこちら

東武鉄道 SL大樹・SL大樹ふたら【栃木県】

昭和中期のSL全盛期を彷彿とさせる列車が日光をゆく。

東武鉄道 SL大樹・SL大樹ふたら
全国の鉄道会社の協力を得て集められた昔懐かしい列車が活躍
東武鉄道 SL大樹・SL大樹ふたら
SL大樹の2号車に、開放型の展望デッキを設置

東武鬼怒川線の下今市駅~鬼怒川温泉駅間を約30分で運行するSL大樹、東武日光駅~下今市駅~鬼怒川温泉駅間を走るSL大樹ふたら。世界遺産・日光の社寺で知られるエリアで気軽に乗車でき、観光の折に利用するにはぴったりのSLだ。

 先頭を走るSLは、車両正面左右に前照灯を備えた「カニ目」が特徴の「C11形207号」をはじめとする貴重な「C11形」。そこに車掌車、そしてSL全盛期の昭和30年代をイメージした内外装の客車などが連結。SLの躍動感あふれる走行音や匂い、昭和にタイムスリップしたような空気感が体感できる。下今市駅と鬼怒川温泉駅には転車台があり、車両が回転する姿が間近に見られるのも一興だ。

■東武鉄道 SL大樹・SL大樹ふたら
03-5962-0102(東武鉄道お客さまセンター)
【運行区間】東武日光駅〜(SL大樹ふたらのみ)~下今市駅〜鬼怒川温泉駅
【運行日・本数】毎日運行 ※運行パターンは日により異なるため公式HP参照
運賃(東武日光~鬼怒川温泉)330円+座席指定料金760円(下今市~鬼怒川温泉または東武日光)/1080円(東武日光〜下今市~鬼怒川温泉)
【予約方法】公式HP、電話、東武線各駅で乗車日1カ月前9時より販売
「東武鉄道 SL大樹・SL大樹ふたら」の詳細はこちら

富士急行線 富士山ビュー特急【山梨県】

次第に大きく映る富士山を眺め、富士山アートとスイーツに親しむ。

富士急行線 富士山ビュー特急
「ハイランドリゾート ホテル&スパ」の専属パティシエが手掛けたホテルメイドの本格スイーツ。時期によりメニューが変わる
富士急行線 富士山ビュー特急
色鮮やかなベンチ席やテーブル席を配した1号車特別車両。懐かしいホテルのような空間

世界遺産・富士山に一番近い鉄道路線を走る列車は、車窓も車内も富士山尽くし。新宿駅から特急約1時間の大月駅を出発した列車は、富士山に向かって勾配を昇り、標高差約500mの河口湖駅へと向かう。自由席の2・3号車に加えて、土日祝は全席指定の1号車がスイーツプラン専用の特別車両として運行。木材を活かした温かみのある空間のそこここに、富士山をモチーフにしたアートが飾られている。

富士急行線 富士山ビュー特急
富士山や山梨をモチーフにしたアートを見つけるのも楽しい
富士急行線 富士山ビュー特急
寿駅~三つ峠駅間から眺める富士山。秋の色づきは例年10月下旬~11月下旬頃

山中湖を源流とする桂川、田野倉駅通過後に現れる巨大なリニア実験線を眺めつつ寛いでいると、窓いっぱいに裾野を広げる雄大な富士山が現れた。運ばれてきたスイーツまでもが富士山を表現している。終点の河口湖が近づくと、富士山は一つの窓に収まらないほどの大きさになっていた。

富士急行線 富士山ビュー特急
富士山麓の自然に映える朱が印象的な富士山ビュー特急
■富士急行線 富士山ビュー特急
0555-22-8877(富士急トラベル)
【運行区間】大月駅~河口湖駅
【運行日・本数】スイーツプランは土日休を中心に1日2往復 ※詳細は公式HP参照
スイーツプラン4900円
【予約方法】公式HPより要予約
「富士急行線 富士山ビュー特急」の詳細はこちら

※この記事は2024年7月10日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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じゃらん編集部  じゃらん編集部

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