登山の初心者だと服装に迷ってしまいますよね?今回はそんな人にむけておすすめの服装を解説します。
気温や天気が変わりやすい山に対応するため重ね着する「レイヤリング」の考え方から、アウターなどのウェアの選び方、季節ごとの服装例まで紹介。登山Youtuberの「やぎちゃん」に監修していただき、分かりやすく解説しているのでぜひ参考にしてください!
初心者向け登山の服装
登山の服装で大事なのは、登る山の難易度・気温・天候などに適した格好をすることです。出かける先が山ではなくても、例えば雪が降っていて気温が0度の日に外出するとなれば、相応の厚着で行きますよね?
それと同じです。まずは「登山する状況に合っているか」を意識して服装を考えてみましょう。
最初は普段着を活用してもOK
登山初心者であれば、易しいコースからはじめると思います。1~2時間程度で登れるような難易度の低いコースは、自分が持っている動きやすい服装で問題ないケースも多いので、無理に登山用のウェアをフルセットで揃える必要はありません。
ただし、山は天候が変わりやすく想定外のことが起こる場合もあるので、初心者は登山経験豊富な人に問題ない服装か確認した上で同行してもらうのをおすすめします。
何度か登山を経験したら、登山用の服を買い揃えていくのもよいでしょう。最近はスタイリッシュなデザインやかわいい登山用ウェアがたくさんあるので、買い物や準備そのものも楽しめるかもしれません。
注意したいのは「綿素材はNG」「雨風対策はしっかりと」の2点
服装で注意したいのが、綿素材のアイテムは絶対にNGということ!綿は乾燥しにくい素材なので、汗や雨による水分が蒸発しづらく体温を奪ってしまうからです。一般的には、メリノウール・ポリエステル・ナイロンなどの素材が登山の服装には適していると言われてます。
また、レインウェアなど雨風対策のアウターはマストと考えましょう。雨が体まで届かないようにして体温低下を防ぎ、強い風で体力を奪われないようにしなければならないからです。アウターについては次の章でも詳しく解説していきます。
登山の服装はレイヤリング(重ね着)が基本
それでは、具体的に登山の服装をどう考えていけばよいのでしょうか?その答えを一言で言うと「レイヤリング」です。レイヤリングとは、変わりやすい山の状況に対応できるようにウェアを組み合わせて、重ね着をすること。体温の低下、体力の消耗を防ぐための考え方です。
レイヤリングは「ベースレイヤー(アンダーウェアなど)」「ミドルレイヤー(シャツなど)」「サーマルレイヤー(フリースなど)」「アウターレイヤー(レインウェアなど)」の4つに分けて考えていきます。それぞれのレイヤーに目的があるので、一つずつ詳しく見ていきましょう。また、この4レイヤーはトップスの考え方なので、ボトムスについては別で解説します。
ベースレイヤー:【一番重要なレイヤー!】汗を素早く吸ってすぐ乾くものを選ぶ
ベースレイヤー(以下、ベース)とは、直接肌に触れるウェアのこと。ベースがどんなアイテムかによって登山中の快適さ・疲れ具合が大きく左右されるため、最も大事なレイヤーと言っても過言ではありません。冒頭で「はじめては普段着でもOK」とお伝えしましたが、ベースだけは登山用のウェアを買った方がよいかもしれません。
ベースの選び方のポイントは2つで、「汗を素早く吸ってくれること」「吸収した汗がすぐに乾くこと」です。吸水・速乾といったキーワードが目に付く商品を探してみてください。また、常に肌に触れているため、フィット感も重視して選ぶとよいでしょう。
ミドルレイヤー:速乾性で選ぶ!「かわいい!」「かっこいい!」重視でもOK
ミドルレイヤー(以下、ミドル)は、ベースの上に着るTシャツやシャツを指します。体調管理面からは、ベースと同じく水分を蒸発させて乾きやすい素材を選ぶのがポイントです。
ただし、ベースと比べると体調に及ぼす影響は小さいので、乾きにくい綿などを避けておけば、そこまで素材にこだわらなくてもOK!気分が上がるお気に入りの服をセレクトしてもよいでしょう。
サーマルレイヤー:保温性が高く、動きやすいものを選ぶ
サーマルレイヤー(以下、サーマル)とは、フリースやダウンなどミドルの上に着るものです。ミドルとの間に空気の層を作り、体を保温する役割を果たします。保温性の高いものであれば、自分が持っているフリースを使ってもOKです。
もう1つのポイントとして、動きやすさも重視するとよいでしょう。歩いているときはアウターを脱いでサーマルが一番上の状態になるケースも多いので、モコモコしたものやサイズ感が合ってないものだと動きづらく、快適さが損なわれてしまうからです。
アウターレイヤー:防水性・防風性の高さで選ぶ
アウターレイヤー(以下、アウター)は、重ね着の一番上に着て雪や雨風を防ぐためのジャケットです。アウターはコンパクトで軽量なレインウェアから、分厚い生地を用いたハードシェルと呼ばれるウェアなどいくつかの種類に分かれます。夏ならレインウェア、冬ならハードシェルのように、季節や山の高度、気温・天候によって適切なアイテムを選ぶのがポイントです。
繰り返しになりますが、雨風対策のアウターはマストです。いくら難易度の低いコースであっても、何があるか分からないのが登山。急に大雨が降ってきたり、足をくじいて動けなくなったりした際に備えて、自分を守ってくれるアウターを必ず持っていきましょう。
ボトムス:動きやすさで選ぶ
ボトムスも基本的にはトップスと同様、登山の状況に合ったものを選んでいきます。ここでも綿素材は避けるようにしましょう。
重視したいのは動きやすさです。登山では足を大きく上げることも多いので、伸縮性の高いものがベター。登山初心者にはロングパンツを推奨しますが、ハーフパンツやショートパンツの場合はケガや虫刺され対策として登山用タイツを下に着用しましょう。
夏の登山の服装
山では、夏でも朝・夕は気温が一気に下がるので、ベース・ミドル・サーマル・アウターの4アイテムを揃えて、脱ぎ着しながら体温調節ができるようにしてください。「暑いからアウターはいらないだろう」というようにアイテム数を削るのではなく、それぞれ薄手のものを選ぶという考え方をしましょう。
ベースはどの季節も吸水性・速乾性の高いものが必要ですが、夏の登山は汗をたくさんかくので防臭機能もあるとなおよしです。その上のレイヤリングは、例えば半そでのTシャツ・薄手のフリース・軽量で持ち運びしやすいレインウェアなどがおすすめ。日中はTシャツで過ごして、寒くなってきたらフリースを、雨が降ってきたらさらにレインウェアを羽織る…のように過ごします。
春・秋の登山の服装
春・秋は夏よりも一つひとつのアイテムを厚めにしていくと考えるとよいでしょう。寒暖差が激しい日も多いので、寒くなったときに耐えられる組み合わせになっているかがポイントです。
春・秋と一言で言っても、登山コースや気温、天候などによって冬と変わらない状況になることもあるため、アイテム選びは慎重に行いましょう。例えば、ベースの上に長袖のTシャツ、保温性の高いフリース、防水・防風性に優れたアウトドアジャケットのようにセレクトしていきます。
冬の登山の服装
初心者がいきなり冬登山をするのはおすすめしません。もし、経験が少ないけど冬に山へ行くことになったら、特に慎重に服装を考えるようにしましょう。また、「経験豊富な人のアドバイスと同行」を必ずしてもらうようにしてください。以上の前提のもと、冬登山の服装を解説します。
気温の低い冬は他の季節よりも体温が奪われやすいので、できれば機能性を重視して登山用のアイテムをレイヤリングした方がよいでしょう。
特にベースは、吸水・速乾性を高めるために開発された登山用アンダーウェアをおすすめします。ミドルはTシャツよりも保温性・通気性に優れたフリースを着用。サーマルもダウンジャケットなどをセレクトして保温性を重視しましょう。アウターはゴアテックスのように強い防風・防寒性を備えた素材のものがよいです。中にたくさん重ね着することを想定して、ワンサイズ大きなものを選びましょう。
さらに、冬は手元や足元、首元もケアしておきたいところ。例えば手袋の上に防水グローブを重ね着けする、厚手の靴下を選ぶ、ネックウォーマーを持っていくなどです。
また、冬の登山は寒さに耐えることに目が行きがちですが、汗をかき過ぎないようアウターをこまめに脱いだり着たりして、体温を調整するのもポイント。少し歩けば体が温まるため、気温が0度を下回っていても「意外と暑い」と感じるものです。
登山の持ち物
ここからは、登山で必ず持っていきたいものを紹介します。選び方のポイントも併せて解説するので、準備の参考にしてください。
リュック/ザック
日帰りで終えられるくらいの登山コースであれば、リュック/ザックの容量は10~20L程度がよいでしょう。ポケットが大きいタイプを選ぶと、必要なものをスムーズに取り出しやすいのでおすすめ。中に入れる荷物は、重すぎると歩くのが大変なので、5kg以内を目安に調整しましょう。
帽子
帽子は紫外線対策のためにマスト。キャップでも問題ありませんが、初心者であればハットの方がよいかもしれません。“つば”が360度ついているため、より広い範囲で太陽の光を遮ってくれるからです。冬は防寒性も重視して、暖かい素材で耳が隠れるものを選びましょう。
サングラス
夏場のように日差しが強い季節はもちろんですが、冬でも雪が光を反射して目がダメージを受けることがあるため、サングラスはオールシーズンマストです。紫外線を防ぐ機能性と、長時間つけても不快感のないフィットするものを重視して選びましょう。
手ぬぐい/バンダナ
手ぬぐいは登山で何かと重宝するアイテム。まず、乾きやすいためタオル代わりに汗を拭くのに使えます。首に巻けば日焼け防止にもなり、かつファッションのワンポイントにもなります。薄くて軽量なので荷物にならないのもよいところです。
コンパス・地図
万が一、道が分からなくなってしまったときに備えて、コンパスと地図も必需品です。正しい使い方が分からない場合は、登山経験豊富な人に教えてもらうか、同行してもらうようにしましょう。
水・行動食・ばんそうこう・常備薬
登山では思っている以上に汗で水分が奪われるため、水やスポーツドリンクは必需品です。登山の途中に食べる食料である「行動食」はカロリーや糖分を効率よく取れるものを用意します。水も行動食も、山の状況や自分の体重、汗をかきやすいかどうかによってどの程度必要か変わるため、経験者のアドバイスのもと準備するとよいでしょう。ばんそうこうや常備薬も忘れずに!
まとめ
最後に、登山の服装について特に重要なポイントを改めてまとめました。出発前に、以下の5点が守られているかチェックしてみてくださいね!
◎綿素材はNG!
◎登山の服装の基本は「ベース・ミドル・サーマル・アウター」の4レイヤーを重ね着すること
◎ベースは体調管理を大きく左右する一番大事なレイヤー
◎どの季節でもレイヤリングは必須!夏でもアウターを持っていく
◎冬は手袋やネックウォーマーなども着用してしっかり防寒をする
【記事監修/やぎちゃん】
山が好きで東京から長野に移住した登山Youtuber。全国の山に関する情報や、自身の体験に裏打ちされた登山に関するノウハウを発信。
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※この記事は2023年7月21日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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トリクルマガジン編集部
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