※これから紹介するスポットは、地元の方々との交流で「玉野エリア」としてお話していたので「玉野エリア」と書いておりますが、実際の所在地は玉野市と倉敷市です。
ずっとどこかに故郷を探していた。
ちなみにわたしの故郷の定義は生まれたところではなく「理由もなく心が帰りたがって仕方のない場所」のこと。
日本中、世界中を飛び回ってやっとたどり着いたのは、海も風も凪いで穏やかで、口を開けば「うちの県には何もないのよ」とはにかんで笑う、だけれど幸せそうな人達が暮らす場所だった。

気づけば何かに行き詰まるたび岡山県に足を運ぶようになって4年。
ただいま、と思わず声をかけてしまいたくなるような、大切な友達にも秘密にして、そっと心の拠り所にしたくなるような。そんな愛しい場所がここ、岡山県・玉野エリアにこんなにも沢山増えてしまった。
全身で瀬戸内の海を抱きしめる為のカフェ「belk」
一生に一度で良いから行ってみたいカフェはありますか?と聞かれた時に、真っ先に頭の中に浮かぶのがこの場所。
「そんな大袈裟な」と笑われてしまうかもしれないけれど、きっと足を運んだことがある人は、わたしがこんな風に言ってしまう気持ちがわかると思う。
天井まで伸びる大きな窓に、シンプルで美しい器達。
体に染み込んでいくゆったりした音楽と、低すぎず、ちょうどよい高さの天井。
それら全てが、窓の向こう側に広がる瀬戸内の海を引き立てる。
ここにあるのはそれだけ。それ以上のものはいらない。
いわばここは、空間の主役である海が心地よく自分の力を発揮できるように精密に設計された、舞台セットのような場所なのだ。






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ここだけタイムスリップしてしまったかのような秘密の宿「東山ビル」
何度か前を通った事はあったけれど、宿だったのを知ったのは前回の滞在。
だって表はボロボロで、とにかく味わい深い風貌をしていて、一瞬入ることを躊躇してしまう。だけれど一歩足を踏み入れれば、余りのお洒落空間に「かっこいい!」と思わず声が出てしまうかもしれない(というか実際出た)
港までも徒歩圏内なので、朝のおさんぽも気持ちいい。
2Fと3Fにあるフリースペースは、たっぷり光が入る。
もともとこの形の宿になる前は廃墟だったらしい。







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そんな東山ビルの1Fには、素敵なコーヒースタンドが入っている。
古いビルに珈琲だなんて何と完璧な組み合わせなのだろう。
行き交う船と海を眺めながら、朝から煎れ立てのコーヒーが飲めるだなんて考えただけでにやにやしてしまうでしょう。
ふわふわのマフィンはもちろん、私の一推しはカフェラテ。あの味をどう言葉で伝えれば良いのか本当に迷ってしまうのだけど、とにかくまろやかで、優しいミルクの匂いがふうわりして、頭がぽわんとする。
ぽわんとした頭で眺める海に、これまた心もぽわんとなって、実に良い気持ちになるんです。私の訪れた日は珍しく曇りのち雨だったのだけど、これはこれでなんだかこの無骨な東山ビルとしっとりした空気のBOLLARD COFFEEに似合っている気がしてしまって、最高だった。




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朝がくるのが楽しみになる海の台所。玉野魚市場「海の駅」シーサイドマート
更に東山ビルのお隣には、朝から開く市場がある。
海からやってきた魚達と、それを目当てに集まってきた地元の方やわたしのような観光客がワイワイ早朝の宇野港を賑わせる。
ずらりと並ぶとれたての魚やお惣菜、それに炊き立てのほかほかご飯とあら汁を買う事ができるなんて、そんなの間違いなく日本人が泣いて喜ぶ最高の朝ごはんである。
100円で購入できるどう考えても美味しいあら汁は、当たり前のように美味しくて、勝手に顔が笑ってしまう。
「美味しい?」と嬉しそうに聞いてくれる地元のお母さんの笑顔も合わせてもう、150点満点です。





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ビタミンカラーに元気な大人のお子さまライス。喫茶・サンレモン
入り口の一際目立つどでかいレモンのオブジェがトレードマーク。
名前「サンレモン」にぴったりの、元気なカラーの店内。
いらっしゃい、と大きな声と笑顔のオーナーさんや厨房からひょっこり顔を出してくれたスタッフさんの優しげな表情をみた時に、あ。ここは元気をくれる店だ。と確信した。
ランチにと頼んだトルコライスは、笑ってしまうくらいに大きくて、ナポリタンとトンカツがどどん!とライスの上に鎮座している。クリームソーダはパイナップルやバナナ、みかんがごろごろ楽しそうに緑の海を泳いでいて、見ているだけでも元気がでてきてしまう。
なんだかこれは大人のためのお子さまランチのようだ。私もよーし、と気合いをいれて積極的に食べることにした。
ふと店内を見渡すと、大人達が一生懸命にこの豪快なごはんたちを頬張ってにこにこしているのが目に入る。
こんな喫茶店が家のそばにあったら、私間違いなく常連になる自信がある。






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可愛いクリームソーダを女の子にもおじいちゃんにも。うのまち珈琲店・玉野メルカ店
初めて訪れた時、とても不思議な空間だなあと思った。
お店の事も、オーナーの事もSNSを通じて知っていたのだけれど、可愛いクリームソーダがアイコンになっているうのまち珈琲店は、若い女の子達がきゃっきゃと写真を撮っているイメージだったから、まさか地元のお爺ちゃんやお婆ちゃんも、クリームソーダを楽しんでいるだなんて。老若男女問わず愛されるお店の姿は衝撃的だった。
噂のクリームソーダはと言えば、ころんっと丸いフォルムをしていて、だけれどとても上品な味がする。見た目の美しさにうっとりしているとゆっくりとアイスクリームがソーダのグラデーションに侵食していく。なんて儚さなんだろう。
ふと目が合ったお皿の上にちょこんと描かれたかもめに挨拶をして、この心地よい空間にさよならを告げる。
今回は春色のピンク色のソーダを選んだけれど、次に来る時は夏色の海色をぜったい飲むんだ。






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古性のちのご案内はここまで。
行ってみたくなりました? 私もまんまと行きたくなりました。これからもきっと玉野エリアに何度も帰ってくるし、もしかしたら「故郷」と呼べる場所が世界中にもっと増えていくかもしれない。
故郷は何個あったって良い。だって帰りたくなる場所が増えれば増えるほど、旅も人生も、もっと楽しく豊かになるのだと信じているから。
それではまた、どこかの旅先で。
■プロフィール

古性のち(こしょう のち)
1989年横浜生まれ。世界中を旅しながら写真と言葉を中心にSNSにて作品を作るクリエイター / 2020年よりBRIGHTLOGG,INC 取締役。2016年の世界一周をきっかけに「1年の半分を世界のどこか・半分日本」の地球多拠点生活をスタート。これまで訪れた国は30カ国以上。仕事は写真の他、コミュニティ運営やエッセイ執筆、SNSコンサルなど。雑記や旅写真を気ままに詰め込んだSNSの総フォロワーは現在14万人程。
[Twitter]@nocci_84
[Instagram]@nocci_trip/
※この記事は2021年5月14日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
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じゃらん編集部
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