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2024.05.10

暑中見舞いの時期はいつからいつまで?基本マナーや書き方をイラスト・例文付きで解説

暑さの厳しい時期に出す暑中見舞い。でも、いざはがきを出すとなると、いつからいつまでが「暑中」なのかなど、基本マナーに迷う人も多いのでは?

この記事では、マナーデザイナーの岩下宣子さん監修のもと、暑中見舞いを出す時期や、例文、残暑見舞い(立秋以降)との書き分けなど、押さえておくべきポイントをご紹介します。

暑中見舞いの時期はいつからいつまで?

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

暑中見舞いを出せる時期は、「二十四節気の小暑(7月7日ごろ)から、立秋(8月7日ごろ)の前日まで」です。

現実には7月上旬だと、梅雨のさなかでそれほど暑くないこともありますよね。梅雨明け以降に出せば季節感ともぴったりです。

立秋を過ぎれば「残暑見舞い」になります。残暑とは、こよみの上では秋になったものの、厳しい暑さが続く…という意味。

立秋ギリギリのタイミングで出す場合は、相手に届く日付を確認して書き分けましょう。

暑中見舞いの基本の書き方

(イラスト:じゃらん)
(イラスト:じゃらん)

暑中見舞いは、以下の1~6で文面を構成するのが基本です。

【基本構成】
1、お見舞いの言葉
2、添え文/先方へのお伺い
3、添え文/こちらの近況
4、添え文/今後の付き合いのお願い
5、添え文/先方の健康を願う言葉
6、日付

1:お見舞いの言葉は、少し大きめに書くと、見栄えがよくなります。
暑中見舞いには、拝啓・敬具などの頭語・結語は入れません。また、「。」や「、」の句読点も打たなくてもよいとされています。

2~5:「添え文」は、全体で本文と考えていいでしょう。
2:相手の近況を伺う → 3:こちらの近況を伝える → 4:今後の付き合いのお願い → 5:相手の健康を願う
というのが基本の流れ。相手が変わっても、この基本に沿っておくと書きやすいです。

6:詳細な日付は不要。「盛夏」がよく使われるほか、文月、七月、葉月、八月などでもよいです。

暑中見舞いの例文集

出す相手によって言葉遣いも変わるもの。以下、相手別に例文をご紹介します。
※あくまで一例で、必ずしもこの内容にしなければならない訳ではありません。

1~6の「基本構成」をもとに、変化の大きい部分を解説していきます。

知人・友人へ

(イラスト:じゃらん)
(イラスト:じゃらん)

1~3:タテ書きの方がフォーマルですが、知人や友人であれば、横書きで親しみやすさを出すのも一つの方法。書き出しも率直な方が好印象です。プライベートな思い出や、ちょっとしたユーモアを挿入するのもよいでしょう。

4:今後のお付き合いは、友人・知人関係がこれからも続くことを願う具体的な誘いにすると、旧交を温めることにもつながります。

ビジネス上の取引先へ

(イラスト:じゃらん)
(イラスト:じゃらん)

1:取引先や目上の方に対しては、“お見舞い”は失礼に当たる(見舞うということは、見舞う方が優位になるので)という考え方から、「お伺い(御伺)」とするのが一般的です。

2、5:ビジネスの便りは堅い言い回しになりがちですが、暑中見舞いは簡素にまとめるのがよいでしょう。相手も読みやすいはずです。

3、4:せっかくの暑中見舞いなので、知っておいてほしいことをしっかり伝えましょう。お店であれば「夏のセールを開催しますので、ぜひご来店ください」といった内容でもよいです。

会社の上司へ

(イラスト:じゃらん)
(イラスト:じゃらん)

1:目上の方に対しては「お伺い(御伺)」とします。

2:いつも一緒に働いている場合は「ご健勝と存じます」、離れたところにいる上司に対しては「いかがお過ごしでしょうか」などと書き分けましょう。

3、4:お引き立てのおかげで自分の仕事もうまくいっています、これからもがんばりますという感謝や決意を込めると、敬意や熱意が伝わるはず。

会社の部下へ

(イラスト:じゃらん)
(イラスト:じゃらん)

1~3:部下や同僚に対しては、友人・知人にあてた文面を、少しかしこまった感じで書けばよいです。あまり砕けすぎると節度がなくなるので気を付けましょう。

4、5:プライベートな話題や、ちょっとしたトピックスを盛り込むと、受け取った相手もうれしいはず。そんな中にも相手をいたわる気づかいがあるといいですね。

学生時代の恩師へ

(イラスト:じゃらん)
(イラスト:じゃらん)

1:「暑中お伺い」を、さらに「暑中ご機嫌伺い」とすると、大変ていねいな印象になります。

2~4:学生時代の恩師に暑中見舞いを出すのは、卒業以来バタバタしてずっと会えていない、連絡できていない…というケースが多いはず。不義理を詫び、忙しくも充実していることを伝えれば、恩師もきっと喜んでくれるでしょう。

暑中見舞いをもらった相手へ

(イラスト:じゃらん)
(イラスト:じゃらん)

1:相手によって、「お見舞い」と「お伺い」を書き分けましょう。もし立秋を過ぎてしまう場合は「残暑見舞い(残暑お伺い)」にします。

2:まずは書状をいただいたこと、こちらを気づかってくれていることへの感謝を、素直な気持ちで伝えましょう。

3~5:こちらの近況を伝え、相手の健康を願う一言を添えます。

知っておきたい!暑中見舞いのマナーと豆知識

暑中見舞いを送る意味は?

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

暑中見舞いは、暑さの厳しい時期に相手の健康を気づかい、無事に過ごしてほしいという「思い」を伝えるものです。

もともとは直接相手をたずね、品物を渡したりする習慣でした。明治以降、郵便制度が発達していくと簡素化され、現在のような手紙・はがきの形になっていったようです。

喪中の相手にも出してもいいの?

暑中見舞いは、お祝いではなく、相手を見舞う「季節のあいさつ状」なので、喪中であっても出してもかまわないとされています。

ただし、相手の心情を察して、文面やはがきの絵柄などに配慮したいもの。また、あまりに直近の場合(四十九日以内など)は、相手の負担にもなりかねないため、控えてもよいでしょう。

お中元との違いは?

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

暑中見舞いははがき、お中元は品物を贈るというイメージですね。贈るものの違いだけでなく、時期にも違いがあります。

お中元はそもそも、上元・中元・下元という道教の年中行事。そこに盂蘭盆会(うらぼんえ)というお盆の行事が習合したものです。本来は、旧暦の7月15日までに贈答品を手渡す習慣です。

そのお盆は明治時代、旧暦から新暦に以降するにあたり、新暦の7月15日に行ったり、月遅れの8月15日に行ったりと、地域によって日付に違いが生まれました。そんな事情もあり、お中元にも地域による時期の違いがあります。

とはいえ、最近は全国的に7月中旬までに贈るのが一般的。お中元→暑中見舞い→残暑見舞いと考えておけばよいでしょう。お中元を渡しそびれた相手に、「暑中御伺」と称して贈り物をすることもあります。

どんなデザインを選べばいい?

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

暑中見舞いのはがきは、夏らしくデザインされたものが市販されています。ヒマワリやアサガオ、スイレン、金魚、スイカ、かき氷などが代表的。

親しい相手なら、自分で切り絵をして貼ってみたり、イラストを添えてみるのも楽しいもの。気持ちが伝わって、印象に残る便りになるはずです。暑さを忘れられる、涼しげな絵柄がよいですね。

例えば夏まつりの写真や、旅行に行ったときの写真を使ったりするのも好印象。スピード優先の現代にあって、手間ひまかけた手作りの暑中見舞いは、きっと「心」が伝わるはず。

【監修】
岩下宣子/現代礼法研究所代表、NPOマナー教育サポート協会理事・相談役
マナーの勉強が大好きで、ご飯を食べるのも忘れるくらい大好きです。マナーは愛と言った新渡戸稲造の言葉を大切に、勉強を生涯続けていきたいと思っています。
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※この記事は2024年5月10日時点での情報です。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

ミキティ山田  ミキティ山田

旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。

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