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2023.07.12

【地蔵盆とは】いつ・何をするの?町内の地蔵さんと子どもたちが主役の地域の行事!

京都など近畿地方を中心に行われている「地蔵盆」。町内の地蔵さんにお供物をしてまつる、子どもたちが主役の地域の行事です。
いつ頃に開催され、どのようなことが行われるのか、ご存知でしょうか。
この記事では、地蔵盆の由来や基本的な情報などについて、All About「冠婚葬祭」ガイドである中山 みゆきさんにお聞きしました。

地蔵盆とは?

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

地蔵盆(じぞうぼん)とは、地蔵菩薩の縁日を中心に行われる、子どもたちが主役の行事のことをいいます。

日本では古くから地域や子どもの守り神として、地蔵さんが信仰されていました。仏教に属する地蔵菩薩は人々を救済する存在で、それが民間にも地蔵信仰となって広がり、路傍(ろぼう)の神である「道祖神(どうそしん)」の信仰にも結びついて、道端に地蔵さんが増えていったと言います。

この地蔵さんを供養するのが地蔵盆。子どもの守り神であるため、子どもたちが主役となって催されます

地蔵盆が行われるのはいつ?

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

地蔵盆が行われるのは、基本的に8月23日、24日の地蔵菩薩の縁日のころです

しかし、準備する親や地域の方たちの都合によって、その前後の土曜・日曜に行われたり、最近では少子化によって1日に短縮して開催したりするところもあります。

地蔵盆にはどんなことをするの?

地蔵盆の内容は、地域によって異なりますので、以下は一つの例としてご参考ください。

町内の「辻地蔵(地蔵さん)」をきれいにする

(画像提供:写真AC)
(画像提供:写真AC)

地蔵盆が近づくと、地蔵さんの像を洗い清めて、新しい前掛けを着せ、化粧をするなどして飾り付けます

古くから赤には魔除けの意味があり、子どもたちを守って欲しいという願いが込められていると言います。

提灯を飾る

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

地蔵尊と子どもの名を書き入れた提灯を飾ります

提灯は白と赤の二種類があり、本来区別はありませんでしたが、最近は男の子が白、女の子は赤にするところが多くなっているようです。名前を入れるのは、地蔵尊と子どもの両者の縁を結ぶという意味があるとか。

また、その年に生まれた子供の名前を書いた提灯を奉納し、それらを毎年地蔵盆に飾る地域もあります。

地蔵さんにお菓子をお供えする

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

地蔵さんには、お花やお菓子などをお供えします

その後、地蔵さんへのお供えものを子どもたちに分ける「お接待(地域によっては「おさがり」)」が行われ、子どもたちはお菓子を食べたり、ゲームなどの遊びや福引きなどをしたりして、楽しく過ごします。

縁日や伝統行事を行う地域も

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

夜には縁日や盆踊りなどが開かれる地域もあります

夏休み最大にして最後のイベントとして、楽しみにしている子どもたちも多いようです。

地蔵盆が行われる地域は?

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

地蔵盆は、近畿地方を中心とする地域で古くから親しまれてきた行事で、北陸地方や新潟、長野市周辺でも行われています。

東海や関東では、ほとんど定着しておらず、これは地蔵信仰の歴史のちがいによるもののようです。

京都では室町時代に地蔵盆が大流行しましたが、東京で地蔵さんが作られたのは江戸時代になってからと言われています。

夏の風物詩!京の地蔵盆

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

京都では、地蔵菩薩の縁日(8月24日)の前日である8月23日を中心に、最近では、参加者の都合に合わせて、その前後の土日に行うところが増えています。

お地蔵さんを祀った祠の前や空き地、集会場などで開催され、町内単位に行われることがほとんどのようです。

地蔵盆が近づくと、町内の人たちは地蔵さんを祠(ほこら)から出して、お化粧(彩色)をしたり、新しい前掛けを着せてから、祭壇に祀ります。

祭壇には、花などを飾り付けて、紅白の餅や落雁(らくがん)、果物などを供えます。

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

地蔵盆で行われる伝統行事の一つが「数珠まわし」です。これは、直径2~5メートルの大きな数珠を囲んで輪になって子どもたちが座り、僧侶の読経にあわせて順々にまわすというもの。

この大数珠を身体に当てると、邪気を払い除け、身を清めてくれると言い伝えられています。

(画像提供:京都市文化財保護課)
(画像提供:京都市文化財保護課)

他にも、お菓子配り、手料理の振舞い、ゲーム大会、スイカ割り、福引きなど、子ども向けの行事が行われます。

夜になると、花火大会や盆踊りなどが開催されるところもあり、町内における貴重なコミュニケーションの機会にもなっています。

●専門家プロフィール:
All About「冠婚葬祭」ガイド 中山 みゆき(なかやまみゆき)
All Aboutのページはこちら
All About 冠婚葬祭ガイド。マナーの基本は“相手への思いやり”。相手に不快感を与えない、自分がされて嫌なことは相手にしないということが大事。「思いやり」の心を大切にした情報を発信しています。

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※この記事は2023年7月12日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

Akiko  Akiko

美味しいものを求めて、国内外を旅するライター。最近は山登りも始めるも、何よりの楽しみは下山後のビールと温泉。

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