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2021.05.31

京都五山送り火とは?点火時間・よく見える場所・意味や由来など

京都の夏の風物詩「五山送り火(ござんのおくりび)」。

京都の街を囲む5つの山の火床に「大文字(だいもんじ)」「妙法(みょうほう)」「船形(ふながた)」「左大文字(ひだりだいもんじ)」「鳥居形(とりいがた)」の文字や形に送り火を焚く、お盆の代表行事です。願いなどを記した護摩木も一緒に焚き上げられます。

今回は、五山送り火の意味や由来、各送り火の点火時間やよく見える場所などをご紹介します。

※この記事は2021年5月16日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。

記事配信:じゃらんニュース

五山送り火とは

(画像提供:写真ac)
(画像提供:写真ac)

五山送り火とは、お盆に迎えた精霊を送る伝統行事で、京都の夏の風物詩です。毎年、お盆の終わりの8月16日に行われます。

京都の周囲の5つの山で「大」「妙法」の文字や、鳥居の形をした「鳥居形」、船の形をした「船形」が炎で浮かび上がります。京都の夏の夜空を彩るこの送り火は、京都市登録無形民俗文化財にも指定されています。

また、護摩木に自分の名前と病名を書いて送り火の火床の割木の上に載せて焚くとその病が癒えるという信仰もあります。

五山送り火の由来

(画像提供:写真ac)
(画像提供:写真ac)

五山の送り火の起源は、明らかになっていません。一般的に送り火とは、 お盆にお迎えしたご先祖さまの精霊(しょうらい)をお盆の翌日に再び冥府に送るという仏教的行事です。 仏教が庶民に深く浸透した中世、室町時代以後から始まったといわれています。

通説によれば、京都ではたいまつの火を空に投げ上げて虚空を行く精霊を見送るという風習があり、京都五山の送り火はこれが山に点火され、そこに留まったものといわれています。
はじまった時代に関しては室町時代や江戸時代など諸説あり、定かではありません。

五つの送り火の場所と点火時間

(画像制作:じゃらん)
(画像制作:じゃらん)

五山送り火は、20時頃に点火される銀閣寺近くの「大文字」で始まります。続いて20時5分に「妙法」、20時10分に「船形」、20時15分に「左大文字」の順に点火され、20時20分に最後の「鳥居形」に火が灯ります。

点灯時間は各約30分。気象条件によって点火や消火の時刻は変更になる場合があります。

大文字

(画像提供:snapmart)
(画像提供:snapmart)

   
五山の中で最初に点火される「大文字」。灯される京都の東側にある東山如意ヶ嶽は標高が474mあり、規模も最大のため遠い場所からでも見ることができます。

「大」という文字の意味は、弘法大師が大の字型に護摩壇を組んでいたことに由来するなど、諸説あります。

送り火当日は、奉納された護摩木が送り火の点火資材として山上へ運ばれます。夜7時から山上の弘法大師堂でお燈明がともされ、大文字寺(浄土院)で般若心経があげられます。
その後このお燈明を親火に移し、合図とともに送り火が点火されます。

よく見えるスポット

・鴨川堤・鴨川堤西岸(丸太町橋から御園橋付近)
・京都御苑(清和院御門または寺町御門付近)
・白川通今出川周辺
・鴨川デルタ周辺

火床数・大きさ

火床数は75ヶ所、第一画は80m、第二画は160m、大三画は120m。

護摩木(ごまき)の受付

[受付場所]銀閣寺門前
[受付時間]8月15日/12時~19時、16日/6時~14時
[料金]300円 

※なくなり次第終了。こちらは2019年の情報となります。2021年の護摩木の受付の有無は以下のHPからご確認ください。
HPはこちら

妙法

(画像提供:写真ac)
(画像提供:写真ac)
(画像提供:写真ac)
(画像提供:写真ac)

 
「妙」と「法」の字が松ヶ崎エリアの2つの山(「妙」は西山、「法」は東山)に同時に点火されます。

鎌倉末期の徳治元年、日像(にちぞう)の教化によって、天台宗から法華宗(ほっけしゅう)に改宗しました。鎌倉時代末期に日蓮聖人(にちれんしょうにん)の孫弟子である日像上人(にちぞうしょうにん)が、村人に法華経を説き、一村をあげて日蓮宗に入りました。そのとき日像上人が西山に「妙」の字を書いたと伝えられています。

また東山の「法」の字は、それより遅れ江戸時代に日良上人(ひらしょうにん)が書いたと伝えられています。

点火の際は「妙」の西山で読経が行われ、送り火終了後、21時から約1時間、涌泉寺(ゆうせんじ)で「題目踊」、「さし踊」が行われます。これは2つとも「京都市登録無形民俗文化財」に認定されています。

よく見えるスポット

【妙】
・北山通(京都ノートルダム女子大学付近から京都市営地下鉄「松ヶ崎駅」付近)
・宝ヶ池自動車教習所付近

【法】
・北山通(京都市営地下鉄「松ヶ崎駅」から京都工芸繊維大北側付近)
・高野川堤東岸(河合橋から松ヶ崎浄水場付近)

火床数・大きさ

【妙】
火床数は103ヶ所、縦横の最長は約100m

【法】
火床数は63ヶ所、縦横の最長は約70m

護摩木(ごまき)の受付

護摩木は受け付けていません

船形

(画像提供:写真ac)
(画像提供:写真ac)

西賀茂船山に点火される「船形」。起源は847年、西方寺開祖の慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が唐留学の帰路に暴風雨にあったが「南無阿弥陀仏」を唱え、無事帰国できたころから、その船をかたどって送り火を始めたと伝えられています。

当日は早朝から3町55軒の旧家約50人が西方寺に集まり、割木などを山上に運び、点火準備が行われます。その後、合図の鉦(かね)がふもとで打ち鳴らされ、点火となり西方寺住職の読経が行われます。送り火終了後には、西方寺で読経と六斎念仏(「重要無形民俗文化財「京都の六斎念仏」」が行われます。

よく見えるスポット

・鴨川堤東側(美薗橋から北大路橋付近)
・船岡山公園
・北山通(北山大橋から西側)

火床数・大きさ

火床数は79ヶ所、横は約200m、帆柱の高さは約90m。

護摩木(ごまき)の受付

[受付場所]西方寺駐車場
[受付時間]8月3日~15日/8時~16時(6日は受け付けしていません)、16日/8時~10時
[料金]300円 

※なくなり次第終了。こちらは2019年の情報となります。2021年の護摩木の受付の有無は以下のHPからご確認ください。
HPはこちら

左大文字

(画像提供:PIXTA)
(画像提供:PIXTA)

「左大文字」が灯される大北山(おおきたやま)大文字山は、岩石が多くて火床が掘り難いことから、かがり火を燃やしていましたが現在はコンクリートの火床を使用しています。ふもとには金閣寺があります。

当日は19時頃に大北山の法音寺門前通りで門火(かがり火)を焚き、境内に設置された送り火の親火台で護摩木が焚かれて先祖の霊をなぐさめる点火法要が行われます。その火で親火松明と手松明が灯されて山上へ運ばれ、山上の火床に点火されます。
起源は定かではありませんが江戸中期以降であろうと考えられています。

よく見えるスポット

・西大路通(金閣寺周辺から西院付近)

火床数・大きさ

火床数は53ヶ所、第一画は48m、第二画は68m、第三画は59m。

護摩木(ごまき)の受付

[受付場所]金閣寺門前
[受付時間]8月11日/9時~14時30分、15日/9時~15時、16日/7時~14時
[料金]300円 

※なくなり次第終了。こちらは2019年の情報となります。2021年の護摩木の受付の有無は以下のHPからご確認ください。
HPはこちら

鳥居形

(画像提供:PIXTA)
(画像提供:写真ac)

「鳥居形」は嵯峨鳥居本(さがとりいもと)曼荼羅山(まんだらやま)に灯されます。「鳥居形」の点火方法は、あらかじめ火床に点火準備をする他四山とは異なります。

以前は、地面に打ち込んだ杭に青竹を結び付けて立てておき、時間がくると太鼓を合図に、火床まで燃やしてある松明を持って走り、各火床の青竹に突き刺していました。現在は鉄製の受皿火床に松明を突き刺して点火しています。

起源は諸説の一つとして、弘法大師が石仏千体を刻み、その開眼供養を行ったときに点火されたものと伝えられています。

よく見えるスポット

・渡月橋・松尾橋付近
・広沢池付近
・嵐山公園中之島地区

火床数・大きさ

火床数は108ヶ所、縦は76m、横は72m。

護摩木(ごまき)の受付

[受付場所]右京区嵯峨鳥居本小坂町府道50号線 八体地蔵付近
[受付時間]8月3日~15日/10時~16時、16日/9時~15時
[料金]300円 

※なくなり次第終了。こちらは2019年の情報となります。2021年の護摩木の受付の有無は以下のHPからご確認ください。
HPはこちら

五山送り火の豆知識

(画像提供:PIXTA)
(画像提供:写真ac)

五山の送り火をより楽しむための豆知識をご紹介します!

昔は五山以外の送り火があった!

江戸後期頃に「い」、「一」の字や、「竹の先に鈴」、「蛇」、「長刀(なぎなた)」の形のものが京都では点火されていましたが今はなくなっています。その理由に関しては不明です。

大文字送り火の点火や消火には多大な人が関わっている!

燃やす割木の運搬・設置や点火、消火などの作業には、最大規模の大文字山でボランティアや消防団員などを含め、1000人が山に登ります。このたくさんの人の力により、京都中から見える壮大な送り火が灯されています。

五山送り火とともに楽しめる嵐山の灯篭流しもおすすめ

(画像提供:snapmart)
(画像提供:snapmart)

五山送り火の夜に、嵐山で行われる燈籠流し。昭和24年、戦没者の霊を慰めるため灯篭による供養を始めたことに由来し、五山送り火と同様に精霊を送る儀式です。

開催時間は19時~21時頃迄(灯籠の受付は12時~20時30分)です(2019年の情報となります)。嵐山にある中ノ島公園にて行われ、渡月橋のかかる桂川に灯籠を流します。

20時20分ごろに点火される五山送り火の「鳥居形」と灯篭流しを同時に見られる場所は、嵐山公園中之島地区と広沢池の2ヵ所です。鳥居形の炎の豪快さと灯篭の幻想的な光が織りなす美しい光景は一見の価値ありです。

※開催の有無に関しましてはこちらでご確認ください。

京都の夏の夜空に点火され、くっきりと浮び上る五山の送り火は、その日限りの特別な光景でもあり、地元の人々が送り出す先祖を思いながら眺める大切な行事です。先祖を迎え、送るという日本古来の夏の行事「お盆」と「京都らしさ」の情緒に触れることができるのが「五山送り火」の魅力です。

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Mika Toudou  Mika Toudou

京都出身京都在住ライター。温泉、映画、音楽、旅、登山好きが高じて全国各地に出没中。