訪れた温泉は約500、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されている温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、“穴場でおすすめ”というスポットを紹介してもらいます。
毎月、穴場温泉の情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。
※この記事は2021年7月20日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
福島が誇るリゾートエリアで、大人の贅沢ひとり温泉旅行へ
「ここは肩肘張らなくていいところ」と静かに教えてくれるおもてなし
沼ビューな景観だけでなく、“焦げたようなにおい”の温泉にも興奮
絶品の夕食・朝食。その秀逸さは、たぶん「味が難しすぎない」ところにある
12時チェックアウトのゆっくり滞在。帰りたくない…
福島が誇るリゾートエリアで、大人の贅沢ひとり温泉旅行へ
福島・会津地方にあるリゾート地「裏磐梯(うらばんだい)」は、300以上の湖や沼がある自然豊かな景勝地。東京から行きやすい距離で、のんびりくつろげるホテルやこだわりのペンションが点在している、休暇中に訪れたい人気のエリアです。
今回訪れたのは、「HOTELLI aalto」(ホテリ・アアルト。以下、アアルト)という温泉リゾートホテル。北欧生まれのインテリアで揃えた、あたたかくて新しい宿です。築40年の山荘をリユースしたというサスティナブルな思想も現代的で、雑誌やテレビでも多く取り上げられている注目の宿なのです。
ひとりでの滞在だと、1泊2食付きで4万円~(ふたりだと3万円~)※2021年7月時点。私(筆者)にとっては贅沢な価格帯ですが、最近仕事もがんばったし…と、エイヤで予約してみました。
魅力たっぷりのアアルトでの1泊2日をご紹介していきます。
「ここは肩肘張らなくていいところ」と静かに教えてくれるおもてなし

東京から4時間近く愛車を走らせ、アアルトへ到着。ロビーに通され、北欧らしいゆったりとしたBGMに包まれながら、北欧生まれの美しいソファに体をあずけます。ゆったりとしたスタッフの方の服装や雰囲気が、「ここは肩肘を張らなくていいところですよ」と静かに教えてくれます。


アアルトはフリードリンク。15時~22時までは、ワイン・ビール・ソフトドリンクなどがいつでもロビーやラウンジでいただけます。カウンター席もあるのでひとりでも安心して飲めるのが素敵。

まるで「私の部屋」と言いたくなってしまうような、“暮らし”の空気をまとった使い勝手の良い客室。各部屋にWi-Fiが通っています。少し仕事や書き物ができそうなデスクや、窓辺に視線をあずけながら体を休められるソファ、地元の杉を使ったふかふかのベッドがあります。軽やかな木造りは気負いをまったく感じさせず、あたたかくて気持ちいい。
ちなみに、「レストランを含めてすべて館内着で過ごせます」とのこと。大人な価格帯の宿だと、レストランはきれいめな格好をしたほうがよいこともありますが、アアルトではずっとリラックスした姿でいられます。しかも館内着、着心地のいい作務衣でした。最高~~。


沼ビューな景観だけでなく、“焦げたようなにおい”の温泉にも興奮
敷地内の沼のほとりから湧いている自家源泉が、2つの大浴場にとろとろと注がれていました。

チェックイン後~日暮れ前にまず浸かりたいのは、別館大浴場。沼ビューがかなう景色のすてきな内湯です。大きなガラス越しに、透き通ったエメラルドグリーンの沼が…!

私の推しは本館大浴場でした。内湯も露天も全て板敷きで、溢れた湯は板の隙間にさらさら吸い込まれていきます。体を沈めるとザパーッと流水音が聞こえてきて、なんとも贅沢。石造りやタイルではないところに、優しさと非日常を感じます。
泉質は「含硫黄―ナトリウム・カルシウムー塩化物温泉」。51℃の源泉をかけ流していて、湯船に注がれる頃にはぬるめに仕上がっています。
温泉ファンの視点だと、この湯はにおいがとても個性的ですばらしかったです。硫黄+少し焦げたようなにおいがして、おもしろい。カルシウムを豊富に含んだ温泉で時折みられる特徴です。
つるっとした浴感で、ほんのり塩っぽく、ぬるくても湯上がりはぽかぽか。長く浸かっていたくなるすばらしい温泉です。
絶品の夕食・朝食。その秀逸さは、たぶん「味が難しすぎない」ところにある

アアルトは「オーベルジュ」です。オーベルジュとは、“地産食材を使った本格的なフルコース料理をいただけるホテル”という意味で、「泊まれるレストラン」と表すことも。つまり、滞在においてはゴハンが主役級の楽しみなのです。
スパークリングワインを飲みつつ、会津を中心とした福島の食材がたくさん載せられているメニューを眺めました。わくわく。
福島産の日本酒やビールも多く揃っており、酒飲みにも嬉しいひとときになりそう。



手元に残っている滞在時のメモには、最高すぎるがゆえに「ごはん!!!!おいしーーー!!」と語彙力をなくした感想ばかりが残っていました。いや本当においしい。おいしすぎる。
私はグルメライターではないので、どこがどうおいしい、と書くのはあまり得意ではないのですが……。なんとなくの感覚ですが、“難しすぎない味”であるのが秀逸だと思いました。
大人な価格帯のフルコースをいただくと、「これは…おいしいということなんだよね…?」みたいな、グルメ初心者には理解しにくい味に出会うのも少なくありません。それが一切ない。つまり、素材を最大限に活かすことを前提に作られているように感じたのです。だからおそらく、誰が食べてもおいしいフルコースに仕上がっているのかも。子どもにも、おじいちゃんおばあちゃんにも、酒好きにも、みんなにおすすめできるなあと思いました。
ひとりはもちろん、ご家族ともアアルトに滞在しやすい理由は、その料理の優しさと細やかさによるものかもしれません。

21時半ごろには客室にそっと夜食が届けられます。私は焼きみそおにぎりでした。米どころの会津だからこその最高夜食…。大好き。


朝食はハーフビュッフェ。ワンプレート+自分の好きなものを取りに行くスタイルです。絶対に食べてほしいのが、朝食名物のプリン。卵の旨味がぎゅっと詰まった、なめらかで固めな食感がおいしすぎる。地元の鶏からとれた卵と、会津の牛乳で作っているのだとか。シンプルかつ最強な逸品でした。
12時チェックアウトのゆっくり滞在。帰りたくない…

滞在中に外せないのが沼さんぽ。熊を避ける鈴を鳴らしながら、敷地内にある沼のまわりを15分ほどくるっと散策しました。遊歩道はしっかり整備されているので、ラフな格好でも問題なし。春は新緑、夏は避暑、秋は紅葉、冬は雪見と、いつ訪れても魅力的です。ホテルにいながら裏磐梯らしい沼の景観を満喫できるなんて、めんどうくさがりで疲れを癒やしにきたお客さんに優しすぎませんか。
後ろ髪を引かれながらチェックアウトへ。アアルトは15時チェックイン・12時チェックアウトと長い時間いられるので、ぜひ最大21時間を存分に過ごすことをおすすめします。ここには、1分1秒も逃したくない心地よさがありました。
贅沢な1泊2日でしたが、★5つの大満足な時間を過ごせました…。リピート確定です。いつか定宿と言えるくらいまで通いたいぐらい。ぜひみなさんも、自分へのご褒美に訪れてみては。
\過去の記事はこちら/
“ひとり温泉”を楽しむ特集一覧
■プロフィール

永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。
Twitterアカウント @onsen_nagachi
『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』

2020年11月26日発売。訪れた温泉は約500湯。ヒマさえあれば女ひとりで温泉を巡りまくっている「温泉オタク会社員」による温泉偏愛エッセイ!つぶやくと同時に6.8万RTされた「東京・大阪から1泊2日で行けるお勧め温泉チャート」付き
書籍の情報はこちら
https://www.gentosha.co.jp/book/b13386.html
※掲載の価格はすべて税込価格です。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi