キャンプで石焼き芋を焼いてみませんか?
電子レンジや焚き火で作る焼き芋よりも、遠赤外線効果でおいしく仕上がる石焼き芋。専用の鍋やダッチオーブンを利用すれば、キャンプやバーベキューなどのアウトドアシーンでも簡単に作れます。
今回はさつまいもの選び方から火加減まで、農園クリエイターの宮原 悠さんに教えていただきました。初心者でもおいしく焼ける石焼き芋の作り方を紹介します!
※この記事は2021年8月16日時点での情報です。
石焼き芋とは

石焼き芋とは焼き芋の調理方法のひとつで、熱した石の中にさつまいもを入れて間接的に加熱して焼き上げる調理法です。
自然石の持つ遠赤外線効果でゆっくりとさつまいもを加熱することで、甘みが引き出されます。
石焼き芋は家庭のキッチンで作ることもできますが、キャンプやバーベキューなどアウトドアで焚き火や炭火を使って作るのがおすすめです。
時間はかかりますが、道具や手順はシンプルなので初心者さんでも大丈夫。焚き火台などを使いじっくり加熱させれば、レジャーの合間においしい石焼き芋を作ることができます。
石焼き芋が美味しい理由

さつまいもの甘さの秘密はショ糖と麦芽糖にあります。
ショ糖は生芋に含まれ、収穫後の貯蔵期間に少しずつ増えていきます。品種により含有量は異なりますが、ショ糖が多い芋はコクのあるしっかりとした甘味の焼き芋になります。
麦芽糖は芋に含まれる酵素の力で増加します。酵素の活性量は品種により異なりますが、熱を加えることで甘味が増大します。麦芽糖が多い芋はすっきりした柔らかい甘味の焼き芋になります。
甘い焼き芋を作るには、酵素を活性化させ麦芽糖を生み出すことが重要となります。
酵素は60度前後で活発に働き70度を超えると失活するので、60~70度の温度帯を長時間維持することが甘味を最大限に引き出す秘訣となります。
低温でじっくり加熱する石焼き芋は酵素をしっかり活性化させることができるので、甘くておいしい焼き芋に仕上がるのです。
石焼き芋に使用する石の選び方

石焼き芋に使用する石は、アウトドアショップやホームセンターで専用の石を購入するのが良いでしょう。
キャンプ場や河原など、自然で採取した石は水分や空気が多く含まれている場合があるので、急な加熱で破裂し弾ける可能性があり危険です。拾った石を使用する場合は破裂を防ぐため乾燥している石を選んでください。
石焼き芋専用として販売されている石は内部の水分や空気の気泡が少なく割れにくいので、初心者でも安心です。商品によっては軽く表面を洗って天日干ししてから使用するものもあるので、事前に入手し準備した方がよいでしょう。洗った場合は数日間天日で乾燥させてから使用します。

また、経験豊富な宮原さんの体感では、石の種類による味の違いは特に感じられないそう。
おいしさのカギは石の種類ではなく「焼き方」と「さつまいもの種類」にあるので、石は安全性を重視して選ぶのがおすすめです。
石焼き芋におすすめのさつまいも

さつまいもには多くの品種がありますが、石焼き芋におすすめの品種と特徴を紹介します。
昔から親しまれている、粉質でほくほくした食感の品種。紅あずまは芋の香りも強く、焼き芋や天ぷら、お味噌汁などにも使われる万能芋。ほくほく系の定番です。
糖度が高く水分も多い、ねっとり系の品種の代表格として有名な安納芋。焼き芋にすると蜜のような甘味が出ることから、蜜芋とも呼ばれています。
ねっとり系の中でも比較的新しい品種のシクルスイート。濃厚な甘みと絹のような舌触りが特徴で、滑らかな食感の焼き芋になります。
最近はほくほく系とねっとり系の中間の食感、しっとり系が好まれる傾向にあります。紅はるかは「はるかに甘い」というコンセプトで作られたしっとり系の品種。スイーツのような焼き芋に仕上がります。
ほくほく系、ねっとり系、しっとり系を食べ比べてみるのも面白いですよ!

秋口になると収穫されたばかりの新芋が出回りますが、焼き芋にはあまり適していません。
さつまいもの多くは収穫後、貯蔵期間を経ることで糖分が増します。しっとり系の品種でも採れたての新芋はほくほくの食感であることが多いので、しっとりした食感を味わうなら糖度が増した晩秋頃に使用するのがおすすめです。
逆にほくほく系の紅あずまは、収穫後ゆっくりと糖化し時間をかけて甘くなるので、夏時期に使用するのがおすすめです。
石焼き芋の作り方

キャンプで焼き芋を作る方法は色々ありますが、ここではダッチオーブンを利用した石焼き芋と、焚火を利用した焼き芋の作り方を紹介します。
ダッチオーブン(石焼き芋)

ダッチオーブンを使用する際に注意することは、蓋をしないこと。気密性の高いダッチオーブンは蓋をすると蒸し焼き状態になってしまい、石焼き本来の効果が発揮されません。蓋は少しずらしてゆっくりと加熱しましょう。

作り方は、まずダッチオーブンに石を入れ、洗って水気を切ったサツマイモをそのまま入れます。石は芋に軽くかかる程度の量を入れてください。
焚き火台に火を入れ、セットしたダッチオーブンを加熱します。火力は炎を出さずに薪や炭の芯の部分が真っ赤に燃える熾火(おきび)を保ち、90~120分を目安に加熱します。
串を刺してすんなり通ったら完成です。

時間はかかりますが、火加減さえ気を付けていれば大丈夫。低温で甘味をしっかり引き出し、おいしい焼き芋を目指しましょう。
出来たてアツアツの石焼き芋もおいしいですが、焼き芋に多く含まれる麦芽糖は少し温度が下がったくらいが一番甘みを感じるそうです!
急いで食べずに、のんびりゆっくりと甘味の変化も味わいながら食べてみてくださいね。
焚き火(焼き芋)

石焼き芋専用の石がない場合、自然石を使用せずに焚き火で焼く方法に切り替えましょう。
まず、必要以上に焦がさないようにするため、芋を洗って水気を切りアルミホイルで包みます。アルミホイルで完全に包み込んでしまうと水分がこもって蒸し焼きになり、酵素の活性温度70度を超えてしまうので、包んだ後に両端を切り隙間を作ります。
隙間から適度に水分が抜けることで糖度が高くなり、甘味を感じやすくなります。

焚き火の火力は石焼き芋と同じ熾火(おきび)程度。焼き網に手を近づけて2~3秒耐えられるくらいが目安です。焼き網の上に芋を乗せて15分に1度、4分の1ずつ回転させ、全面をまんべんなく焼きます。
じっくり火を当てて、すんなり串が通るようになれば完成です。

まとめ
時間はかかるけれど、じっくり焼くことで甘~く仕上がる石焼き芋。
火加減以外はほったらかしでOKなので、キャンプやアウトドアシーンではレジャーを楽しんでいる間に出来上がります。
ぜひ、キャンプで石焼き芋に挑戦してみてください!
【監修/宮原 悠】
農園プランナー、発酵クリエイター。
農業、狩猟、釣漁まで、自らの手で食の探求を行う、自然遊びのオールラウンダー。発酵食を中心としたワークショップを多数開催。親しみやすい科学の知識で、自然の大切さ、生物多様性の重要さを発信している。
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仲西なほ子
沖縄出身、沖縄育ち、沖縄在住。15年間の東京生活を満喫してUターン。現在はフリーランスで取材・執筆・編集・コピーの仕事と、美容の仕事でプライベートサロンも稼働中。息抜きは沖縄県内のリゾートホテル巡り。