11月11日は「チンアナゴの日」というのをご存じですか?東京にある「すみだ水族館」が、館内の人気者であるチンアナゴの魅力をもっと知ってもらいたいという思いから、2013年に11月11日を「チンアナゴの日」と制定(日本記念日協会認定)したのだそうです。今回は、チンアナゴの日の立役者である「すみだ水族館」に取材協力いただき、チンアナゴを見る時により楽しくなる豆知識を紹介していきます。
※この記事は2023年11月8日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
魚なのに、実はある「犬」が名前の由来

チンアナゴは、ウナギ目アナゴ科に属する海水魚の一種で、日本では琉球諸島、伊豆半島など、太平洋岸に生息しています。日本以外では、インド洋~西太平洋などの熱帯域の海に分布しています。
「チンアナゴ」と聞くと「珍アナゴ」という字を連想し、珍しいアナゴなのかな?と想像してしまいますが、目がくりっとした顔が狆(ちん)という種類の犬に似ていることが由来なのだそうです。ちなみに、英名の「スポテッドガーデンイール(Spotted garden eel)」は、砂底から体をのぞかせる様子が、庭の草木に似ていることからつけられています。
「チンアナゴ」はこいつだけ!種類が違う仲間たち

「チンアナゴ」は黒い斑点が特徴の種類を指します。すみだ水族館で見られる、黄色やオレンジと白のしましま模様をしているのは「ニシキアナゴ」、黒い斑点のチンアナゴに対して白色の斑点が特徴的な種類が「ホワイトスポッテッドガーデンイール」です。
チンアナゴの仲間として一緒の水槽にいることが多いこれらの魚ですが、チンアナゴは「チンアナゴ属」、ニシキアナゴとホワイトスポッテッドガーデンイールは「シンジュアナゴ属」と、分類が別れています。水族館で見つけたら、ぜひその違いを観察してみてください。
すごく小さいけどちゃんとヒレやエラもある

チンアナゴは魚類なのでもちろんエラ呼吸でヒレもあります。体の斑点模様の中でも、特に大きな黒い斑点が両サイドに2つずつあるのですが、その顔に近い方のそばにエラと胸ビレがあります。
黒い斑点に目線がいってしまうことと、胸ビレがとても小さいので一見わかりにくいですが、目を凝らしてよく観察すれば発見できます。透明な背ビレも要チェック。普段は穴の中で見られませんが尻ビレや尾ヒレもちゃんとあります。この機会にチンアナゴの繊細な体のつくりをじっくり観察してみてください。
黒い斑点のうち、お腹の斑点には肛門がある

体の横にある斑点にはエラとヒレが隠れていましたが、お腹側にあるもう1つの黒い斑点部分には、なんと肛門があります。長い体の真ん中くらいにあるので、普段は穴の中に隠れていることも多いですが、体をにゅーっと穴から出している時にはお腹の黒い斑点が見られます。
ウンチは巣穴の外でするのですが、そのタイミングは一瞬だそうなので、見られたらラッキーです。
みんなでおなじ方向を向いちゃう

チンアナゴの仲間は「動物性プランクトン」をゴハンとして食べています。と言っても自分で積極的にゴハンを獲りに行くのではなく、基本は水流に乗ってやってくるのを待つ姿勢。流れてきたものをうまくキャッチします。そのためチンアナゴの仲間は水流の方を向く習性があります。
水族館の水槽の中にも水の流れがあるので、水族館で見られるチンアナゴ達が同じ方向を向いているのも、水流に向かってゴハンを待っているから。そう思ってみると何だかかわいく見えてきますね。
実は体のほとんどが穴の中に入っている

砂の穴から顔を出したりひっこめたりしているチンアナゴの仲間。普段見えている部分は10㎝程度ですが、実はチンアナゴの体長は約30㎝と、約3分の2が砂に埋まった状態です。ニシキアナゴの体長は約40㎝、ホワイトスポッテッドガーデンイールに関しては60~70㎝もあります。
ただでさえ長いチンアナゴ達ですが、驚くことに巣穴は自分の2倍以上もの長さがあります。また、この巣穴はただの砂の穴ではなく、自分で掘った後に粘液で固めてあるそうで、どうやって巣穴を作っているのか、その様子も気になるところです。
全身を穴から出して引っ越しすることもある

チンアナゴの仲間はずっと同じ巣穴に住んでいる訳ではなく「お引越し」をすることもあるそうです。すみだ水族館では上からゆっくりゴハンが下りてくるため、ゴハンに夢中で全身が出てしまうこともあるのだとか。
全身を巣穴から出して泳いでいるチンアナゴが見られたら、ぜひ普段見られない体全体の様子や尾っぽなどを観察してみてください。また、一度巣穴から出ると同じ巣穴に戻ることはないとされているので、お引越しが発生します。次の巣穴を作る様子を見るチャンスでもあるのでお見逃しなく。
平和に見えるが、実はケンカもする

みんな同じ方向を向いて、平和そうなチンアナゴの水槽。しかし、よく見ると低い姿勢でにらみ合っている個体がいることもあります。こんな時そのチンアナゴたちはケンカ中。縄張り争いをしているのだそうです。
口を大きく開けて向き合っている様子はとっても表情豊かで、水槽越しでもその迫力が伝わってきます。見かけたらぜひチンアナゴの気持ちを想像してみてください。
絡まっているのは仲がいいからではない

たまに絡まっているチンアナゴを見つけることもあります。仲がよさそうに見えますが、決してラブラブだからではなく、ゴハンに夢中になりすぎて、隣の個体と絡まってしまった状況です。
実はとても警戒心が強い魚なので、普通は人の気配がすると砂に潜ってしまうのですが、水族館のチンアナゴたちは人に慣れているため、こういったのほほんとしたシーンを見ることもできるのだそうです。
たまに間違って仲間のウンチを食べちゃって焦る

水流に乗ってきたゴハンを待ち構えて食べるというスタイルのチンアナゴ。ふわふわ近づいてきたものはとりあえずパクリと口に入れてしまうので、ゴハンじゃないものをうっかり口に入れてしまうことも。
水槽ではたまに仲間のウンチを間違って食べてしまうこともあるのだとか。そんな時は慌てて吐き出しているそうです。そんなコミカルな様子が見られたら、とても運(ウン)がよかったと言えるでしょう!
チンアナゴの日はすみだ水族館にチンアナゴを見に行こう


今回取材にご協力いただいた「すみだ水族館」では、チンアナゴ、ニシキアナゴ、ホワイトスポッテッドガーデンイールの3種類のチンアナゴの仲間たちを約200匹展示しています。幅5.5mの水槽で群れを成して揺れている姿を360度、いろいろな角度から見ることができるのが魅力です。
2023年11月11日チンアナゴの日には、来館者がチンアナゴたちになりきることで生態を知り、楽しむことをテーマにした参加型イベント「なりきり!チンアナゴ」などの開催を予定しているそうです。さらに、昨年実施した人気投票で優勝した「ニシキアナゴ」をもっと知ってもらうため、11月11日を「ニシキアナゴの日」と申請、認定されたことを記念し、限定で「ニシキアナゴお面」が配布されます。チンアナゴ愛にあふれたイベントの詳細は公式ホームページをチェックしてください。
[TEL]03-5619-1821(開館時間~18時まで)
[住所]東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F
[営業時間]【平日】10時~20時 【土日祝】9時~21時
[定休日]なし
[料金]大人2500円、高校生1800円、小中学生1200円、3歳以上800円
[アクセス]【電車】東武スカイツリーラインとうきょうスカイツリー駅徒歩すぐ
[駐車場]なし(近隣のコインパーキングをご利用ください)
「すみだ水族館」の詳細はこちら
まとめ
不思議でかわいいチンアナゴの生態に興味を持っていただけましたでしょうか?ぜひ豆知識の内容を確認しに、すみだ水族館や、近くのチンアナゴに会える水族館へ足を運んでみてくださいね。
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鳥井 晴風
5人の子どもを持つママ編集ライター。 子供に大好きな漫画の主人公の名前を付けてしまうほど漫画アニメ好き。キャラ弁やキャラケーキづくりが得意。好きなお出かけ先は道の駅や直売所など食材が豊富なところ。 自分で収穫する味覚狩りや芋ほりも大好き。