訪れた温泉は約500、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されている温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。
この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、様々なおすすめスポットを紹介してもらいます。毎月、交通アクセスや泉質などの切り口で温泉情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。
※この記事は2022年1月15日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
冬に浸かりたいのは、塩分豊富な「塩化物泉」!
東京から近い色湯×塩の温泉×観光充実といえば、「伊香保」で決まり
大阪から目と鼻の先。天下の名湯、「有馬温泉」も色湯な塩化物泉
真田ゆかりの地、「松代温泉」で歴史探訪の旅へ
まだまだある、色湯でよく温まる温泉たち
冬に浸かりたいのは、塩分豊富な「塩化物泉」!
本格的に寒くなってくるこの時期、温泉で体を温めたくなりますよね。どんな温泉でも保温効果は見られますが、せっかく行くのであれば、より冬にぴったりな泉質を選びたいところです。
2021年現在、10種類に分けられる泉質のうち、特に冬におすすめと言えるのが「塩化物泉」。名前の通り、塩分を豊富に含んだ温泉です。日本では比較的よく見られる泉質で、海沿いではこの塩化物泉があちこちで湧いています。理由はとってもシンプルで、日本は海に囲まれていて、海水の影響を受けやすい環境にあるためです。
塩化物泉は「熱の湯」と呼ばれるほど、保温効果に期待できます。適応症(=いわゆる“効能”のようなもの)にも「冷え性」が挙げられており、冷え切った体を温めるのには最適です。「バスソルト」などの塩を使った入浴剤が多いのも、この保温効果を促せるのが理由のひとつ。そのほか、切り傷などにもよく効くと言われています。
塩化物泉が湧く温泉地で有名どころでいえば、熱海温泉(静岡)や、南紀白浜温泉(和歌山)など。海水浴やレジャーを目的に遊びに来る旅行客が多い分、夏がハイシーズンと思われがちですが、温泉マニアの視点からすれば、冬こそ“旬”。身が締まった鮮魚、夏の賑わいから一変して落ち着いた温泉地、そしてぽっかぽかに温まる湯…。海沿いの人気温泉地には、ぜひ冬に訪れてみてもらいたいです。もちろん海沿いだけではなく、山の中にも塩化物泉は湧いています。

そして今回ご紹介するのは、冬の旅行先に選びたい、「色湯」の塩化物泉が湧く温泉地。「色湯」は字のまま、色のついた温泉を指します。色湯の塩化物泉は、塩分ではなく鉄分などの影響で色がついているパターンがほとんどで、その多くが黄金色です。暖かい色味の温泉は、見るからに体をぽかぽかにしてくれそう。
さらに今回は、「塩の温泉」「色湯」という条件に加えて、周辺の観光も充実しているエリアに絞ってみました。冬の温泉旅行にぜひ選んでほしい、ブックマーク必須の温泉地たちです。
東京から近い色湯×塩の温泉×観光充実といえば、「伊香保」で決まり
まずは東京からのアクセスが良好なエリアから、伊香保温泉(群馬)を選びました。東京から電車・バスを乗り継いで、2時間ほどで到着できます。乗り換えなしでサクッと行きたい方は、高速バスがおすすめ。新宿駅から約2時間45分で伊香保温泉街に直通でたどり着けます。

絵になる美しい石段街は、伊香保温泉の象徴。温泉まんじゅう発祥の地として知られており、町中は射的やカフェなどの立ち寄りスポットが充実。食べ歩きや散策にぴったりな温泉地です。
黄金色に輝く伊香保の温泉は、塩分はもちろん、鉄分も豊富。鉄分の多い温泉は婦人病にも効果があると言われており、伊香保は子宝の湯としても親しまれてきたようです。

伊香保温泉の町を散歩するだけでも十分楽しいですが、ほかにも「伊香保グリーン牧場」や「渋川スカイランドパーク」など、ファミリー向けのレジャーも充実しています。個人的には、雪もそこまで多くないエリアなので、足腰に不安のある方や、寒さが苦手な方の冬の旅行先にもおすすめだと感じています。
大阪から目と鼻の先。天下の名湯、「有馬温泉」も色湯な塩化物泉
大阪からわずか1時間でたどり着ける、関西住民におなじみの有馬温泉(兵庫)も、色のついた塩の温泉です。電車を乗り継いでするっと行けちゃう距離感なのがとにかく魅力的。コンパクトながら情緒のある温泉街にもワクワクしてしまいます。

日本最古の湯として知られ、豊臣秀吉公とのゆかりも深い有馬。なんと9つある温泉の主成分のうち、7つを含んだ超濃厚な温泉なのです。海水よりもはるかに塩分濃度が濃く、お味噌汁のような色をした温泉は迫力満点。有馬には、ちょっと浸かっただけで汗が吹き出るようなパワフルな入浴体験が待っています。

もともとは透明な温泉ですが、空気に触れて鉄分が酸化し、このような色になっているそう。ちなみにこの黄金色の温泉は「金泉」、有馬に湧くもうひとつの無色透明な温泉は「銀泉」と呼ばれています。
有馬の温泉街だけでもかなり見どころ満載ですが、電車で30分のところに神戸があるのが観光充実なポイント。有馬ですっかり温まった後、三宮・元町をぶらぶら歩き回ると楽しそうですね。
真田ゆかりの地、「松代温泉」で歴史探訪の旅へ
長野ICから車で5分ほどのところにある松代温泉(長野)は、観光も充実していて、色のついた塩の温泉が湧くという、穴場的におすすめな温泉地。公共交通機関派の方は、北陸新幹線で長野駅まで約1.5時間、それからローカル線で30分ほど行けば松代駅にたどり着きます。
2016年に大河ドラマの主人公にもなった真田信繁(幸村)の兄、信之ゆかりの地として知られ、あちこちで真田家の家紋として有名な「六文銭」が掲げられている松代温泉。かつて城下町として栄えたこの町には、2軒の温泉宿が建っています。

湯底の見えない濃厚な黄金色の温泉がかけ流し状態で、温泉経験が豊富な長野県民もこぞって訪れるほどの名湯。鉄分と塩分を豊富に含んだ濃厚温泉です。床や湯船は温泉成分によって変色・変形していて、そのパワフルさに驚かされること間違いなし。

湯上がりは松代城跡や真田宝物館へ足を運び、歴史探訪を楽しむのが◎。戦国武将たちに関わるさまざまな寺社や文化財に触れ、ゆったりと過ごしてみては。
まだまだある、色湯でよく温まる温泉たち
今回は観光も充実している温泉地を中心に紹介しましたが、まだまだ国内にはさまざまな色湯×塩の温泉が湧いています。例えば、ダイビングやハイキングなどの自然アクティビティを楽しめる式根島(東京)や、石見銀山への観光とセットで訪れたい温泉津温泉(島根)などもそのうちのひとつ。

色のついた塩の温泉は、いずれも成分が濃厚であることが多く、とっても体が温まります。湯あたりしにくい泉質ではありますが、浸かる前の水分補給を忘れずに。しんどくなるまで長時間浸からないように注意してくださいね。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、感染拡大防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。
永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi