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2022.03.02

キャンプでコーヒーを楽しもう!必要な道具、美味しい淹れ方を紹介

キャンプに行って目覚めた日の朝…清々しい空気のなか、飲むコーヒーは格別の美味しさです。そんな至福のひとときを求めて、キャンプやアウトドアでこだわりのコーヒーを淹れて楽しむ人たちが増えています。

ソロキャンプで自分のためだけに淹れる一杯も、家族や仲間と飲む一杯も、身体に染み入るような美味しさは、感動的ですらあります。

今回はキャンプで至福の一杯を楽しむためのノウハウを、キャンパーカフェ&ショップ「TARP to TARP 」のバリスタ・金子敦史さんに教えてもらいました。

「お手軽さ」「荷物の少なさ軽さ」、そしてコーヒーの「本格的」度合いを3段階で示しました。参考にしながら、ぜひキャンプやアウトドアで美味しいコーヒーを楽しんでみてくださいね。

キャンプで飲むコーヒーの魅力とは

たとえば、夜明け前、テントから抜け出して朝陽を待ちわびながら豆を挽き、コーヒーを淹れるひととき。

あるいは、満天の空の下大切なひとたちと火を囲みながら、香り高いコーヒーとともにほっと一息つく瞬間……。

写真提供:金子敦史さん
画像提供:金子敦史

一杯のコーヒーが、楽しいキャンプをさらに至福の時間へと格上げしてくれます。

お気に入りのおやつや現地で見つけたご当地スイーツとともにコーヒーを味わう、そんなキャンプの過ごし方もおすすめ。

写真:曽田 夕紀子
撮影:曽田 夕紀子

今回は、様々あるコーヒーの淹れ方の中から、キャンプの時におすすめなドリップ式を中心に、その他パーコレーターやコーヒープレス、インスタントについても紹介します。

それぞれの特徴や、必要な道具、コツについて、早速チェックしていきましょう。

【ドリップ式】本格的なコーヒーを手軽に楽しめる一番の近道

お手軽 ★★☆ 
荷物の少なさ軽さ ★☆☆ 
本格的 ★★★

ドリップ式とは、コーヒー豆を挽いてつくった粉にお湯を注いで抽出する方法のこと。コーヒー豆の持つ豊かな風味や深い味わいを、手軽に楽しめるのが魅力です。

写真提供:金子敦史さん
画像提供:金子敦史

「野外で食べる料理やお酒が美味しいように、キャンプでのコーヒーがいつもより美味しく感じられるのは、野外ならではの開放感はもちろん、ひと手間かけて淹れるという行為があるから。

手間のかかることをあえて行うことで、キャンプの時間がより充実します。」

写真:曽田 夕紀子
撮影:曽田 夕紀子

金子さんが、キャンプで味わうコーヒーとしておすすめするスタイルは、ずばり「ドリップ式」だといいます。

「ドリップコーヒーは、敷居の高いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、ドリップ式こそ、誰でも簡単に本格的なコーヒーを楽しめる一番の近道。

手軽さとコーヒーの美味しさを天秤にかけて、総合的に考えるとドリップが一番だと思います。

さらに、ペーパーフィルターを使えば、淹れ終えたコーヒーのカス糟をそのまま紙ごと捨てられて、ドリッパー、サーバーはお湯で流すだけでOK。洗い物も少なく、手入れが簡単な点もキャンプ向きなんです。」

ドリップ式に必要な道具とは?

ひとくちにドリップ式といっても、道具の種類も方法もさまざま。キャンプに最適なドリップ式コーヒーを淹れるのに必要な道具と、その役割について、解説してもらいました。

写真:曽田 夕紀子
撮影:曽田夕紀子

写真の1番左はコーヒーミル、左から2番目上からドリッパー、サーバー、コーヒースケール、右から2番目がケトル、右から1番目はペーパーフィルター。

●コーヒーミル
コーヒー豆を挽いて粉にするための道具。金属、セラミックスなど歯の素材や性能もさまざま。挽いてある豆を使用する場合は不要。

「料理でいうと包丁のようなもので、キャンプでコーヒーを始める多くの人が最初に揃えたくなる道具です。

景色を眺めながら豆を挽いている時間が幸せという人もいるくらい、ゴリゴリと豆を挽いているだけで本格的な雰囲気に。

香りと音で気分も上がります。ある程度のクオリティを求めるなら、多少高くても金属の歯でできているものがおすすめです。」

写真:曽田夕紀子
コーヒーミル 撮影:曽田夕紀子

●ドリッパー
サーバーの上に取り付けて使用する、コーヒーを濾すための器具。形状のバリエーションは、台形タイプ、円錐タイプなど。

●サーバー
コーヒーを抽出したときの受け皿となる器具。マストではないけれど、あると便利な道具のひとつ。

「3~4杯淹れたいときは、サーバーがあると便利です。ステンレスボトルなどでも代用可。コーヒーの落ちはじめと最後では濃さが違うので一度サーバーに淹れてからカップに注ぐと、味も均一に入れられます。」

●コーヒースケール
コーヒーの粉とお湯の量、ドリップの時間を計測できる便利なアイテム。このうえに、サーバーをセットして使用します。

「ドリップで重要なのは、時間と温度。それを正しく計測できるので、初心者でも簡単に美味しいコーヒーが淹れられます。」

写真提供: TARP to TARP
コーヒースケール  画像提供: TARP to TARP

●ケトル
注ぎ口が細く長い「コーヒーケトル」は、ハンドドリップで美味しいコーヒーを淹れるためのアイテム。

「ドリップするためのコーヒーケトルと、お湯を沸かすための普通のケトルが別にあると便利ですが、兼用できるものでも大丈夫。メッキなどで塗装されたケトルは、直火NGの場合もあるのでよく確認を。」

●ペーパーフィルター
紙素材や布素材、ステンレスなどいろいろな種類のフィルターが売られていますが、おすすめはペーパーフィルター。

「キャンプでは、できるだけ洗い物を少なくしたい。ペーパーフィルターならそのまま粉ごと捨てられるので、便利です。」

ちなみに、室内であれキャンプ時であれ、ドリップ式コーヒーを淹れるにあたって揃える道具はほぼ同じ。

ドリップ式コーヒーを美味しく淹れる手順とは?

写真:曽田 夕紀子
撮影:曽田夕紀子

いよいよコーヒーを淹れていきます。

<手順>
1,コーヒーミルで豆を挽く
2,コーヒースケールの上にサーバー、ドリッパーをセットする 
3,ペーパーフィルターをセットして挽いた粉を入れる
4,ケトルで沸かしたお湯を一度サーバーかカップなどに入れて、再びケトルに戻す。
5,ケトルでうえから注ぎ、約30~40秒蒸らす。それを数回にわけて淹れていく
6,カップに注いでできあがり

<おすすめの分量:1人分>
・コーヒー豆18グラム
・お湯230グラム
豆の種類や挽き方で味も変わるので、好みの分量を見つけていくのも楽しみのひとつ。

写真:曽田夕紀子
撮影:曽田夕紀子

挽いて、注いで、待つだけ……と、手順はとてもシンプルですが、淹れる人によってコーヒーの味は確実に変わるもの。

キャンプで美味しいコーヒーを淹れるには、もちろんコツがあります。いくつかのポイントについて、金子さんに教えてもらいました。

コーヒー粉は、中挽きから中細挽きがおすすめ

写真:曽田夕紀子
撮影:曽田夕紀子

「挽き方こそが、味の決め手。挽き方が荒いと薄味に、細かいと苦味が強くなります。ペーパーフィルターでのハンドドリップに適した細かさは、中挽きから中細挽き。

ザラメよりちょっと細かいぐらいが目安。挽いてある粉を購入する際にも挽き方をチェックして。」

90度前後のお湯を使うこと

写真:曽田夕紀子
ケトルで沸かした湯をサーバーにいれて、再びケトルへ。撮影:曽田夕紀子

「沸騰したお湯は100度近くありますが、一番美味しく淹れられるお湯の温度は、90度前後。温度計がない場合は、沸かしたお湯を一度サーバーやコップに移して、それをもう一度ケトルに移すという方法がおすすめ。

一回移すことでお湯の温度が下がります。また、一度お湯を入れることでカップが温まり、コーヒーも美味しく飲めます。」

ハンドドリップは糸を垂らすように

写真:曽田夕紀子
撮影:曽田夕紀子

「ハンドドリップする際は、一度に粉と同じ量か、ちょっと多いくらいのお湯をかけるのがオススメ。

そのまま30~40秒待って蒸らしてから、また注ぎます。コーヒースケールがあると、量と時間を計れるので便利。注ぐときは、糸を垂らすように細く、「の」の字を描くようにしましょう。」

【パーコレーター】直火でガンガン沸かして、ワイルドに楽しみたい人に人気

お手軽 ★★☆ 
荷物の少なさ軽さ ★★☆ 
本格的 ★☆☆

粗挽きのコーヒー豆と水を入れて直火にかけるだけでコーヒーを抽出できるのが、パーコーレーター。ケトルの中に入れた水が沸騰し、ポット内で循環することによってコーヒーが抽出されていきます。初心者でも簡単にコーヒーを淹れることができます

写真:編集部
撮影:編集部

「粉を入れてお湯を沸かせばすぐできる手軽さが魅力。揃える道具が少なくて済むので、アウトドアやキャンプで使用する人も多いですね。

直火でガンガン沸かして、ワイルドに楽しみたい人におすすめです。高温で淹れるためガツンと濃いめの味になりがちなので、コーヒー豆は深煎りより浅煎りのほうがオススメです。」

ドリップ式に比べてしまうと、どうしても風味が劣ると言われますが、パーコレーターの場合、道具がこれひとつで済む点は大きな魅力。

手軽かつワイルドにキャンプコーヒーを楽しみたい人にはうってつけのアイテムと言えそうです。

【コーヒープレス】手軽にコーヒー本来の香りを楽しめる

お手軽 ★★☆ 
荷物の少なさ軽さ ★★☆ 
本格的 ★★☆

コーヒープレスとは、容器に粉と一緒にお湯を混ぜ、金属のフィルターでコーヒー粉を濾すことで、香り高いコーヒーが手軽に淹れられる器具のこと。

別名「フレンチプレス」と呼ばれ、紅茶の抽出器具としても広く愛用されています。

写真:曽田夕紀子
撮影:曽田夕紀子

「魅力はなんといっても、コーヒー粉とお湯を入れ、金属フィルターを押し沈めたらあとは注ぐだけという手軽さ。誰でも本格的なコーヒーを楽しめるという点です。」

「金属フィルターのおかげで、コーヒーの生豆に含まれる脂質(コーヒーオイル)が濾されることなく、コーヒー本来の香りを楽しめます。

ただし、使用する度にコーヒーカスを取り除き、洗う手間がかかってしまうのが難点ですね。」

洗い物の手間は増えるものの、道具がひとつで済むという点はメリット。手軽に本格的な味が楽しめるので、金子さんは気分によって使い分けているそうです。

なお、フレンチプレスでは紅茶も淹れられますが、匂いがついてしまうため、コーヒーと紅茶は兼用するのではなく、それぞれ別のものを使用したほうがいいとのこと。

本体がガラス製のものも多く、持ち運びには注意したいところ。アウトドアでラフに楽しみたいのなら、ステンレス製など割れにくい素材のものを選ぶのも手です。

【インスタントコーヒー】現地調達も可!まずは気軽に楽しんで

お手軽 ★★★ 
荷物の少なさ軽さ ★★★ 
本格的 ★☆☆

インスタントコーヒーの最大の魅力とは、言わずもがなですが、その手軽さにあります。とはいえ、最近のインスタントコーヒーは味だって侮れません。

コーヒーを淹れるセットを忘れてしまったときはもちろん、現地のスーパーや道の駅、キャンプ場で調達できるところもあるので、コーヒータイムを気軽に始めるのにはぴったりです。

写真:編集部
撮影:編集部

「挽きたての美味しさにはかないませんが、最近のインスタントコーヒーは美味しい!オリジナルパッケージのインスタントコーヒーを売っているキャンプ場も増えているので、味比べしてみても楽しいですよ。」

キャンプ場のオリジナル商品は、こだわりも満載。地元の有名焙煎所とコラボしたものだったり、アウトドアで飲む用として特別に監修されたものなど…。キャンプ場近くの道の駅などに立ち寄れば、個性的なコーヒーに出会えることも。キャンプ場を巡りつつ、ぜひお気に入りのインスタントコーヒーを探してみましょう。

さらに美味しいコーヒーをキャンプで楽しむために

ひと手間掛けて淹れたコーヒーは、やはり格別。一気に飲み干すのではなく、焚き火や絶景を楽しみながらじっくり味わいたいですね。また、キャンプの時には保温性のあるタンブラーが便利です。

「ダメというわけではないのですが、冷めたコーヒーを加熱して温め直すと、熱で風味が飛んでしまい、味が落ちてしまいます。

蓋付き&二重構造で保温性の高いステンレスボトルやタンブラーに入れれば、長い時間楽しめて便利ですよ。

非日常のキャンプ、せっかくなのでぜひ美味しいコーヒーとともに楽しい時間を過ごしてもらえたらと思います。」

写真:曽田夕紀子
撮影:曽田夕紀子

ケトルやタンブラーなどの道具は、デザインのバリエーションも豊富。お気に入りの道具を揃えれば、美味しいコーヒーを楽しめるのはもちろん、写真映えもするし、ウキウキと気分までアガること間違いなし。

本格的なコーヒーを味わいたいのか、ワイルドに楽しみたいのか、手軽さを追求するのか…こだわり次第でコーヒーの淹れ方も変わってきます。

まずは気軽に自分のスタイルに合った道具を揃えるところから、キャンプコーヒーの楽しみに触れてみては?

キャンピングスタイルにあった方法で、ぜひ有意義なコーヒータイムを楽しみましょう。

●金子敦史さんプロフィール
横浜の馬車道にあるキャンパー達のサードプレイスカフェ&ショップ「TARP to TARP 」のバリスタ。キャンプ歴4年で、バリスタとして活躍する傍ら、休日は年に20泊ほど家族でキャンプへ。

写真:曽田由紀子
撮影:曽田由紀子

●TARP to TARP
キャンパーのサードプレイスカフェ&ショップ。バリスタ・金子さんが講師を務める、コーヒーの淹れ方講座なども不定期で開催しているので要チェック。

画像提供:TARP to TARP
画像提供:TARP to TARP
■TARP to TARP
神奈川県横浜市中区太田町6−70 井上ビル 2F
[電話]045-232-4588
11時30分~19時30分月曜日、火曜日
ブレンド550円ほか
【電車】みなとみらい線馬車道駅より徒歩2分【車】首都高横浜公園ランプより3分
なし
「TARP to TARP」の詳細はこちら
「TARP to TARP」のインスタグラムアカウント(@tarptotarp)はこちら

※この記事は2022年3月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
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曽田 夕紀子  曽田 夕紀子

編集ライター&カメラマン。2015年に浅草から東京の奥座敷、奥多摩町の山間へプチ移住。築150年の古民家で、夫・娘・猫3匹とともにカントリーライフを満喫中。旅、アウトドア、暮らし、グルメ、農業、サステナブルを主なテーマに、取材&撮影で全国各地へ。スキューバダイビング歴20年。http://www.miguel-web.info

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