訪れた温泉は約500、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されている温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。
この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、様々なおすすめスポットを紹介してもらいます。毎月、エリアや泉質などの切り口で温泉情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。(メイン画像提供:渋・辰野館)
※この記事は2022年6月18日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
避暑も湯治もかなう、猛暑のピークに訪れたい温泉地
年々、夏の暑さがつらくなってきました。30度を超える日は当たり前で、冷房と外気温の温度差で体調はボロボロ。外を歩けば汗が吹き出し、暴力的な日差しにくらくらとしてしまいます。この記事を読んでいる方も、共感してくれるのではないでしょうか。
「こんな暑いときに温泉なんて」と思われるかもしれませんが、あえて私は、猛暑のピークに訪れたい温泉地をご紹介したいと思います。シャワーで済ませてしまいがちな時期ですが、むしろ今こそ湯船に浸かるとき。冷房による冷えを取り除き、発汗させて新陳代謝を促し疲労回復するなど、夏のお風呂はいいことづくめなのです。
ただ、気温の高いエリアで熱い温泉に入るのはさすがに気が引けるもの。今回ご紹介したいのは、「避暑地にある温泉」。それに加えて、湯治場としての古い歴史があり、体調改善が期待されるような“効く温泉”の湧く場所に絞ってみました。
猛暑のピークにこそ訪れたい、涼しくて名湯に浸かれる温泉地4選です。
十和田湖の景色に癒やされながら、湯治ができる秘湯宿へ(青森)
青森県十和田市にある十和田湖は、ブナなどの自然林に囲まれた雄大な景勝地。奥入瀬渓流の源であり、四季折々の景色が見られる観光スポットです。8月の平均気温は23度という、避暑に最適な気候を誇ります。
この十和田湖を含む十和田八幡平国立公園は、湖畔から山中にかけて、さまざまな温泉が湧いています。

「酸ヶ湯温泉」「蔦温泉」「谷地温泉」「八甲田温泉」など、このあたりは湯治場らしい雰囲気のある、歴史深い温泉宿がいくつも残っています。それぞれ温泉の個性は異なりますが、酸ヶ湯温泉は湯治部屋・湯治プランがいまも提供されていたり、谷地温泉は日本三秘湯に数えられる薬湯に浸かれたりして、不調をととのえる温泉旅にうってうけ。十和田湖とともに訪れるのがおすすめです。
日本三名湯のひとつ草津温泉も、実は避暑温泉地(群馬)
関東屈指の人気温泉地であり、日本三名湯のひとつに数えられる草津温泉も、実は知られざる避暑温泉地。7〜8月の一番暑い時期でも、平均気温は18℃前後で、30℃以上になることはめったにないそう。

戦国時代には、豊臣秀吉が病にかかった徳川家康に草津温泉での湯治を勧めていた史実があるほど、古くからその効果への期待が高かった草津温泉のチカラ。いまも草津には長期の連泊による湯治がかなう宿泊プランを打ち出している宿もあり、湯治場としての名残が感じられます。
また、日帰りの共同浴場では、湯もみをして48度の温泉に3分間浸かる昔ながらの湯治方法「時間湯」の体験ができるのも嬉しいポイント。東京から比較的近い距離にある、理想的な避暑×湯治スポットと言えそうです。
リゾート避暑地・蓼科温泉には、湯治場の歴史もアリ(長野)
山岳高原にある蓼科(たてしな)は、リゾート避暑地として親しまれてきました。標高は平均1000mで、湿度が低く爽やかな気候のため、とても清々しく過ごせるエリアです。

実は、古くから湯治場として細々と営まれてきた蓼科温泉。「山の宿 明治温泉」や「渋・辰野館」など、いまもその名残をもつ老舗宿が点在しています。山や滝が目の前にあるような開放的な露天風呂を設えている宿もあり、大自然に抱かれながら静かに過ごしたい温泉旅行にはぴったりです。
森林も水辺も鍾乳洞も。涼しくて楽しい奥飛騨温泉郷(岐阜)
「平湯温泉」「新平湯温泉」「福地温泉」「栃尾温泉」「新穂高温泉」の5つからなる奥飛騨温泉郷。北アルプスに抱かれたこの山里の温泉郷は、露天風呂の数は日本一とも言われており、夏のリフレッシュにふさわしい旅先です。

エリア内には空中散歩が楽しめる新穂高ロープウェイや、落差64mの平湯大滝、洞中の平均気温が12℃という飛騨大鍾乳洞など、楽しい避暑スポットが点在。少し足を伸ばして、上高地や槍ヶ岳でのハイキング・登山に挑戦してみるのもいいかもしれません。
奥飛騨温泉郷には、北陸の大名が参勤交代の道中に疲れをとったという史実など、各地に湯治の歴史や偉人たちの逗留の過去があり、古くから温泉のもつ効果が評価されてきました。「ひらゆの森」などの日帰り入浴施設も充実しており、サクッと名湯に浸かれるのも魅力です。
日帰りでも試してみてほしい、避暑×湯治の選択肢
避暑地と呼ばれるエリアは、たいてい標高の高い山奥にあります。そしてそういう山の中には、ステキな名湯が湧いていることも少なくありません。昔の人たちは、整備されていない山道を乗り越えてでも、湯を求めて足を伸ばしていたのだと想像できますよね。意外にも避暑×湯治をかけ合わせられる旅先は、日本各地にあるのです。
夏の終わりが近づくにつれて、少しずつ暑さと怠気に慣れてしまった自分がいるはず。でも本当は、この猛暑で溜め込んだ疲れを、行動的に遊びたい秋までにリセットしたいもの。ぜひ旅行でも日帰りでも、避暑と湯治が一度にかなう温泉地で、癒やされてみてはいかがでしょうか。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi