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2022.09.03

梨狩りに行く前に知りたい!おすすめの時期や梨の品種、食べ放題の注意点も紹介

日本の秋を代表する果物といえば「梨」。とろりとした食感の西洋梨もおいしいけれど、日本なしのシャクシャクした歯ざわりと上品な甘み、果汁したたるみずみずしさは、身体に優しくしみわたります。さらには自分の手でもぎ取ったものとなれば、味わいも格別!おいしい梨を存分に楽しみたいなら、梨狩り体験がおすすめです。

けれど梨狩りをしたことのない人にとっては、食べ頃や旬はいつなの?いつ体験できるの?どこでできるの?どんな服装でいったらいいの?など、疑問がいっぱい。

今回は長年にわたって梨を生産し、梨狩り体験も行っている「むつみ石井梨園(千葉県・松戸市)」の石井園長に、日本なしの梨狩りにおすすめの時期や持ち物、おいしい梨の見分け方などを教えてもらいました。

早速チェックして、今年は梨狩りにチャレンジしてみてくださいね。 

※この記事は2022年8月18日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。

記事配信:じゃらんニュース

梨狩りの時期はいつがおすすめ?品種別に解説!

日本で栽培されている梨は20種類ほど。品種により早いものは7月頃から食べごろを迎え、遅いと10月頃まで楽しめるものなどさまざまです。味わいが違うのはもちろん、生産されている場所も異なります。

ここでは、品種ごとにおすすめの時期や特徴を紹介します。

幸水【8月~9月】

日本の梨には「赤梨(皮が茶色)」と「青梨(皮が緑色)」があります。幸水は赤梨の代表的品種で、日本の梨の生産量の約4割を占めています。

出荷は8月上旬からとほかの品種に比べて早め。約300gと小ぶりで実は柔らかく、味わいにほとんど酸味がないため、甘いフルーツが好きな子どもにもおすすめです。

幸水の栽培面積が最も広い県は千葉県。2位以下には茨城県、福島県が続きます。

豊水【8月~10月】

豊水も赤梨に分類され、幸水と比べるとやや大ぶりです。8月下旬から出荷され、最盛期は9月となります。幸水と同様、果肉は柔らかくジューシー。みずみずしくほどよい酸味があるため、サラダなどに使ってもおいしいのだとか。栽培面積が最も広いのは千葉県で、日本国内の収穫量の約2割を占めています。ついで福島県、茨城県がトップ3となります。

あきづき【9月~10月】

9月下旬より出荷される『あきづき』。丸々としたふくよかな姿が中秋の名月を想起させるのも名前の由来だそうです。先に紹介した『幸水』と『豊水』『新高』をかけ合わせた比較的新しい赤梨で、完熟すると果皮が褐色になります。

果実は500gほどと大きめで酸味は少なく、しっかりとした甘みを感じられます。糖度の高さを生かし、タルトなどの焼き菓子に使うのもおすすめ。

千葉県をはじめ、熊本県、栃木県で多く作られています。

あきあかり【8月~10月】

幸水から豊水に切り替わる8月中旬から収穫される赤梨のあきあかり。大きさもちょうど幸水と豊水の中間くらいです。

褐色に近い果皮の色は豊水と似ていますが、ややゴツゴツした見た目が特徴。その一方、果肉のキメは細かく、舌触りもなめらかです。そのジューシーな甘みを生かし、アイスクリームやヨーグルトと合わせるのがおすすめ。

茨城県つくば市をはじめ、千葉県、栃木県で多く生産されています。

筑水【7~9月】

関東では幸水より前の7月下旬に収穫される極早生の赤梨です。育成地である茨城県つくば市の「筑」に、“『幸水』や『豊水』と同等のクオリティを持つ”という意味も込めて『筑水』と名付けられました。

『あきあかり』と同様、果肉は柔らかく酸味が少ないため、ストレートに甘みを感じられます。また、桃に似たフルーティな香りがあり、生ハムやシャンパンとも合う味わいです。

茨城県を筆頭に、全国各地で栽培されています。

南水【9月~10月】

長野県で誕生した赤梨で、ややつぶれたような形が特徴。サイズは幸水とほぼ同じですが、貯蔵性に優れ、年明けに店頭に並ぶこともあります。果汁が豊富で糖度が高いため、そのまま生で食べるのがおすすめ。

すりおろして豚肉などを漬け込むと、肉が柔らかくなると同時に旨味が加わり、ソテーなどでおいしくいただけます。収穫時期が通常の梨のピークから少し遅れた9月~10月の晩生種です。

南水の栽培面積が最も広いのは長野県。続いて秋田県、福島県と比較的寒い地域でよく育つ品種です。

二十世紀【8月~10月】

日本における「青梨」の代表的品種です。8月末より収穫が始まり、最盛期は9月となります。やや小ぶりで緑がかった黄色い果皮が特徴。赤梨と違い、甘みの中に爽やかな酸味があります。

すっぱい梨が好きな人は、果皮の緑色が強いものを選ぶとよいでしょう。生でそのまま食べる以外にも、コンポートすると酸味がきいてさっぱり味わうことができます。

『二十世紀』は鳥取県の特産物として有名で、栽培面積は全体の約33%を占めています。

ここからは、2021年に梨の収穫量が多かった上位5県の梨狩りについて紹介していきます。

【収穫量ランキング1位】千葉県の梨狩りスポット

画像提供:イラスト AC
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千葉県は、東・西・南の三方が海に囲まれた温暖な気候で、土壌や気象などの条件が梨の栽培に適した土地です。梨の生産は江戸時代から行われているため、おいしい梨づくりの技術やノウハウが受け継がれています。

関東地方で最も早い時期に花が咲き、早くから梨の収穫を行えるのが特徴。7月下旬には収穫して食べられる『幸水』などの品種もあります。

都心に近い千葉県は、太陽の光をたっぷり浴びて甘くみずみずしく育った梨を首都圏へ短時間で出荷できる利点があります。白井市や市川市、鎌ヶ谷市などを中心に、梨狩りが可能な農園が数多くあります。

千葉県で収穫量が多いのは、甘みが強く特有の風味がある『幸水』、果汁が多くほどよい酸味も感じられる『豊水』、なめらかな果肉が特徴の『あきづき』など。また、松戸市は梨の品種の一つ『二十世紀』の発祥の地といわれています。


【収穫量ランキング2位】茨城県の梨狩りスポット

画像提供:イラスト AC
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茨城県は、昼夜の寒暖差が大きい気候で、水と土壌が梨の栽培に適しているといわれています。梨の生産は江戸時代から続いていますが、よりおいしい梨の出荷にこだわり、さまざまな技術を活用して食べ頃を見極めて収穫した『甘熟梨(かんじゅくなし)』の流通を実現しています。

県のオリジナル品種『恵水(けいすい)』は、酸味が少なく糖度の高い品種。口当たりがさわやかでみずみずしい梨ですが、収穫時期の後半には実が熟して特有のコクが出てきます。下妻市、石岡市などでは、大玉で糖度13度以上の『特選恵水』が限定生産されています。

梨狩りは、かすみがうら市周辺を中心に楽しむことができます。

『幸水』に加え、『豊水』『あきづき』などの品種も有名です。1玉1kg以上の大玉に育つこともある『新高』なども含め、品種を変えながら10月末頃まで梨狩りを楽しめます。


【収穫量ランキング3位】栃木県の梨狩りスポット

画像提供:イラスト AC
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関東地方最大の面積を有する栃木県には、大小さまざまな山があり、多くの自然が残っています。土地は肥沃で、昼夜の寒暖差が大きく、梨の栽培に適しています。

梨の品質が自慢の栃木県オリジナル品種『にっこり』は、収穫時には1玉1kg以上に育つこともある大玉の梨でありながら、糖度の高さと果汁の多さが魅力です。

10月中旬以降に旬を迎える晩生種なので、冷暗所で保存するなど適切な環境であれば、冬まで楽しむことができる貯蔵性のよさもうれしいポイント。

梨狩りが楽しめるスポットは、芳賀町や鹿沼市、宇都宮市、大田原市、佐野市などです。

『幸水』『豊水』を中心に生産されていますが、『あきづき』や晩生種の『にっこり』も増加傾向。夏の半ばから晩秋まで、栃木の旬の味を堪能できます。


【収穫量ランキング4位】長野県の梨狩りスポット

画像提供:イラスト AC
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“梨の遅場産地”と呼ばれる長野県では8月中旬頃から出荷が始まり、12月までおいしい梨が全国に届けられます。

南信州・伊那谷が発祥といわれる『南水』は実を結ぶのが難しい品種ですが、手作業の受粉など、手間と時間をかけて丁寧に育てられたブランド梨が魅力です。

また、糖度や形によって梨に等級がつけられるのも面白い特徴。糖度14度以上を誇る形のよい梨は“太鼓判”、太鼓判には形が劣るものの糖度14度以上の甘い梨には“優糖生”と、ユニークな等級が与えられます。

日本なしだけでなく、洋梨の生産も盛んで、年間約2000tもの収穫量を誇ります。

梨狩りができるスポットは、南部の下伊那郡に多く集まっています。甘いのにすっきりと後味が軽く、シャリシャリとした歯ごたえが特徴の『南水』に加え、やわらかくジューシーな『二十世紀』、『ラ・フランス』や『ル・レクチエ』といった洋梨など、さまざまな品種の梨狩りを楽しめます。


【収穫量ランキング5位】福島県の梨狩りスポット

画像提供:イラスト AC
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広大な土地を有し、気候条件の異なるさまざまな地域で梨の生産されている福島県。中でも北部に連なる「吾妻連峰」のふもとには、梨の栽培に適した扇状地が広がっています。水はけのよさと高温多湿な気候、昼夜の気温差が果肉を引き締め、みずみずしく歯ごたえのよい梨を育みます。

福島県は、梨の収穫時期である夏から秋にかけて安定的に気温の高い日が続きます。そのため実がしっかりと熟し、糖度の高いおいしい梨が生産できるのです。

梨狩りにおすすめのエリアは福島市や会津地方周辺。『幸水』『豊水』などの流通量の多い品種に加え、歯ざわりがやさしく豊かな甘みが特徴の『秀玉』、独特の酸味が最盛期の夏にぴったりな『八雲』など、品種改良で生まれた個性的な梨も味わえます。


梨狩りの服装や持ち物は?

画像提供:photo AC
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たわわになった実を手でもぎ取る梨狩りは、腕を上げたりしゃがんだりする機会も多いため、Tシャツやデニムなどの動きやすい服装を心がけましょう。靴は泥汚れが気にならないスニーカーがおすすめ。雨天の後や、雨天時でも開催の場合はレインブーツを用意するとよいでしょう。 

梨は屋外での収穫となるため、帽子などの暑さ対策、日焼けが気になる場合は薄い長袖の上着、日焼け止めも忘れずに。虫除けスプレーなど虫刺され対策も重要です。

また、果汁豊富な梨は手がベトベトになりがち。ウェットティッシュは必需品です。

その場で食べる場合はピーラーを持っていくと便利です。レジャーシートは園によって持ち込み禁止の場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

<服装・持ち物チェックリスト>
□動きやすい服(子どもの場合は着替えも)
□帽子
□薄手の長袖カーディガン
□ウェットティッシュ
□虫除けスプレー
□日焼け止め
□ウェットティッシュ
□レジャーシート(持ち込みが可能か事前に施設へ要確認)
□ピーラー(その場で食べる場合はあると便利)

梨狩りに行くときの注意点

画像提供:photo AC
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まず、果樹園には事前に予約を入れましょう。予約不要と書かれていても生育状況や貸し切りなどで体験できないこともあるので、当日がっかりしないためにも事前の問い合わせや予約は必須。

雨天の場合に開催があるかどうかや、レジャーシートの持ち込みが可能かどうかなどは農園によって違います。気になることは予約時に必ず確認しましょう。

子どもや家族連れで行く場合は、梨狩りだけでなくそのほかの果物狩りもできたり、他のレジャーも楽しめるような施設を探してみるのがおすすめ。ベビーカーの乗り入れが可能かどうかも事前に確認しておきましょう。

「お得さ」を重視する場合は、採り放題や食べ放題もおすすめ。ただし、食べられる分のみを狩るようにしましょう。お土産にしたいなら持ち帰りの有無も要チェックです。

カップルや友人同士で行くなら、BBQも一緒に楽しめるところで1日盛り上がったり、カフェ併設の農園でフルーツパフェやジェラートなど、旬のスイーツを堪能するなんてのもおすすめ。

おいしい梨の見分け方

画像提供:photo AC
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日本なしは西洋梨と違い、熟したものより鮮度が高いうちに味わいます。ジューシーさが大事な果物のため手に取ったときに、皮に張りがあり重みを感じられるものが、水分を多く含んでいておいしい可能性が高いです。

また木とつながっているへたの部分が太い梨ほど栄養をしっかり吸収できているとも言われています。柔らかくなるまで熟した梨を食べたい場合は、果皮のザラザラ感が減ってなめらかになった個体を選ぶとよいでしょう。

梨狩りに行くと開始前に、指定の場所の確認やおいしい梨の見分け方など、農園のスタッフが説明してくれます。木や他の実を傷つけないよう、もぎ取り方などよく話をきいてコツをつかんでくださいね。

各農園で決められているマナーもしっかり守って、梨狩りを楽しみましょう。

まとめ

暑い夏から秋にかけての旬のフルーツ=梨。木立の下で涼みながら、ずっしりと大きく育った梨の収穫を楽しんでみませんか?

栽培されている品種や旬を迎える時期も、エリアによって大きく異なるので、事前にしっかり調べて計画してみてくださいね。

今年は、もぎたての梨を存分に味わえる梨狩りにおでかけしてみてください♪

監修者:石井義人
【プロフィール】
千葉県松戸市にて「むつみ石井梨園」を運営。『幸水』『豊水』などを栽培し、松戸梨立毛共進会 特別賞をはじめ、受賞歴多数。梨園では“狩り放題”“食べ放題”のサービスが人気です。
むつみ石井梨園ホームページ

梨の収穫量ランキング ※農林水産省「令和3年産・作況調査(果樹)」より
1位 千葉県 2万500t
2位 茨城県 1万9100t
3位 栃木県 1万5900t
4位 長野県 1万2000t
5位 福島県 1万1900t
6位 鳥取県 1万1100t
7位 熊本県 7920t
8位 大分県 7770t
9位 福岡県 7490t
10位 埼玉県 6470t

※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください
※掲載の価格は全て税込価格です
※記事のトップ画像は画像提供:Photo ACです。

じゃらん編集部  じゃらん編集部

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