長野県北部にある「戸隠神社」は、神話「天の岩戸」ゆかりの神々を祀った五社からなる神社で、国内有数のパワースポットとしても知られています。
今回は「戸隠神社」の巡り方や五社それぞれに異なる御神徳を紹介。月ごとの気温、おすすめの服装もまとめているので、記事を参考に、戸隠の霊験あらたかな地をめぐりに出かけてみませんか。
国内屈指のパワースポット「戸隠神社」とは?
霊山・戸隠山麓にある古社

JR長野駅から車で約1時間。戸隠山の麓にある「戸隠神社」は創建以来2000年以上の歴史ある古社です。ここ戸隠も、天の岩戸にお隠れになった天照大神(あまてらすおおみかみ)を外へ導く際に、天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)が開け放った岩戸の一部が地上に落ち、戸隠山になったといわれており、神話「天の岩戸」ゆかりの地でもあります。
また水を司る神様の九頭龍が棲むと崇められてきた歴史や、明治維新まで「戸隠山顕光寺(とがくしさんけんこうじ)」という比叡山延暦寺末寺だったこともあり、古くから修験者や参詣者の聖地としても栄えてきました。
このような霊験あらたかな戸隠山に鎮座し、神話に登場する神々や水の神・九頭龍が祀られていることから、「戸隠神社」は国内でも有数のパワースポットといわれています。
「戸隠神社」へのアクセス
車で行くなら
東京方面からは、上信越自動車道信濃町ICより県道36号を経由し約40分。
名古屋方面からは、上信越自動車道長野ICより戸隠バードライン経由で約1時間。途中、七曲りと呼ばれる対面通行かつ、つづら折りのカーブが続く難所があるので運転に自信がない人は浅川ループライン経由で向かいましょう。その場合も戸隠神社の中社辺りまで同じく約1時間で行けます。
注意したいのは冬。戸隠周辺は降雪・積雪が多く、例年11月後半から翌年4月頃まではノーマルタイヤで通行できません。必ずスタッドレスタイヤやチェーン装着の車で出かけましょう。
公共交通機関で行くなら
【電車と路線バス】
JR長野駅バスターミナル7番のりばからアルピコ交通バスにて戸隠まで1時間~1時間20分。7番のりばはJR長野駅善光寺口側、長野駅前ウェストプラザビル1階の「アルピコ交通 長野駅前案内所」前です。
JR長野駅から戸隠神社行きのバスは2種類あり、「県道経由戸隠中社行(73系統)」は終点中社まで運行。奥社まで行く場合は『ループ橋経由戸隠高原行(70系統)』を利用します。ただし冬季は奥社までは行かず、戸隠スキー場が終点になります。
運賃や最新の時刻表、切符売り場などの情報は『アルピコ交通』のホームページをチェックしてください。
『アルピコ交通バス』の時刻表と運賃表はこちら
『アルピコ交通バス』戸隠神社めぐりきっぷ詳細はこちら
「戸隠神社」周辺の天気・気温とおすすめの服装について

住所こそ長野市ですが、戸隠神社は標高1200m以上の山間地です。特に冬は防寒のほか、積雪や凍結で滑りやすいため長靴やスノーブーツを履くなど足元の装備にも気を配りましょう。
春・夏・秋も同様に、参拝当日の天気予報や気温は必ず確認をしてください。当日の朝、晴れていても山特有の天気の急変に見舞われる場合もあり、万一の時も慌てなくていいように体温調節できる上着や、ポンチョなどの雨具も用意していきましょう。
その他、奥社に行く人は水分補給の用意は必須。参道入口に自動販売機がありますが、観光シーズンは売切れの場合があるので、中社や宝光社周辺や、バードラインに入る手前の長野市街地で調達していきましょう。
以下に例年の平均気温に合わせたおすすめの服装について月別にまとめてみました。
●11月~3月
ダウンジャケット、コート、マフラー、手袋といった防寒具が必要。1~4月は雪対策で長靴、スノーブーツなど滑らない靴が望ましい。
●4月
厚手のジャケットやコートは必要。気温によってはマフラーなど防寒具も用意しましょう。
●5月
朝夕は厚手の上着が必要な場合あり。
●6月
日中は長袖、朝夕は上着が必要。
●7・8月
日中は半袖、朝夕は一枚羽織れるものがあるといいでしょう。
●9月
日中は半袖、長袖シャツなどでOK。朝夕は一枚羽織るものを持参。
●10月
上着やセーターなどが必要。朝夕は厚手のものがおすすめ。
「戸隠観光協会」「戸隠観光なび」のホームぺージに親切かつ詳しい情報が載っています。参考になるのでぜひチェックしてみてください。
「戸隠神社」のめぐり方

戸隠神社は「奥社(おくしゃ)」「九頭龍社(くずりゅうしゃ)」「中社(ちゅうしゃ)」「火之御子者(ひのみこしゃ)」「宝光社(ほうこうしゃ)」の五社からなり、五社すべて参拝することを「五社めぐり」といいます。
ここからは五社についてまとめました。今回は長野市街(JR長野駅、長野IC)から向かうと最初にある「宝光社」から順に紹介していきます。
「五社」の紹介
1.「宝光社」

「宝光社」の御祭神は天表春命(あめのうわはるのみこと)で、女性や子どもの守り神として知られています。厄除けや家内安全のほか、技芸、安産、裁縫などのご利益があるそうです。
駐車場から社殿まで続く階段はなんと約270段。途中、左手に「女坂」と呼ばれるなだらかな回り道もあるので自分のペースで無理せず上りましょう。
[参拝]自由
[授与所受付]9時~17時※冬季は変動
[駐車場]20台
※バス停「戸隠宝光社」より徒歩すぐ
※トイレあり
↓ 車で約5分、または徒歩約15分
2.「火之御子社」

御祭神は、天の岩戸に隠れた天照大神にお出ましいただくため、岩戸の前で舞を披露したといわれる天鈿女命(あめのうずめのみこと)。開運や縁結び、舞楽芸能のほか、芸術全般、歌、ダンス、ゲームやウェブデザイン、文筆業などクリエイティブ全般にご利益があるそうです。
授与所はなく、御朱印や御守は参拝後に「宝光社」または「中社」の授与所で受けとることができます。
[参拝]自由※授与所はなし
[駐車場]3台
※バス停「戸隠営業所」より徒歩すぐ
↓ 車で3分、または徒歩約15分
3.「中社」

御祭神は天照大神が天の岩戸にお隠れになった際、舞の披露を創案した知恵と学問の神様、天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)。学業成就や試験合格、商売繁盛などにご利益があるとか。受験生や試験を控えている人はぜひお参りしたいですね。
境内には樹齢800年を超える三本杉や樹齢700年を超える御神木、さざれ滝などがあり、見どころも豊富です。

社殿の天井には、水を司る龍を描いた狩野派・河鍋暁斎作の『龍の天井絵』が見られ、授与所ではこの天井絵を織り込んだ御守も用意されています。
[参拝]自由
[授与所受付]9時~17時
[駐車場]100台
※バス停「戸隠中社」より徒歩すぐ
※トイレあり
↓ 奥社参道入口まで車で5分、または徒歩約30分。奥社社殿までは徒歩約70分
4.「奥社」

戸隠神社五社のうち「宝光社」から順に進むと一番奥にあるのが「奥社」で、その隣に「九頭龍社」が鎮座しています。
「奥社」の社殿までは鳥居から約2kmの参道を歩くので、春・夏・秋はスニーカーなど歩き慣れた靴で行きましょう。
参道の中程まで来ると現れるのが、茅葺き屋根の随心門(ずいじんもん)で、現存する戸隠神社の建築物のうち最も古く、1710年に建てられたものだとか。
そして、この随心門の先に続くのが有名な杉並木の参道。聖なる空気と、空高く伸びる樹齢400年以上の杉の並木道が「奥社」へとつながっています。冬は雪景色、春や夏は深緑と四季で変わる美しい戸隠の森も見どころ。例年1月初めから4月後半の閉殿の間も、この杉並木の参道までは入れます。

「奥社」の御祭神は天の岩戸を開き、天照大神を外へと導いた天手力雄命。開運や心願成就、五穀豊穣の他、岩戸を開けるほどの力持ちの神様ということで、スポーツ必勝などのご利益もあるといわれています。
↓ 九頭龍社まで徒歩すぐ
5.「九頭龍社」

「奥社」の隣に位置する「九頭龍社」。御祭神は、戸隠の地主の神様といわれている九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)。心願成就や縁結びなどのほか、昔から雨乞いや治水など水に関するご利益もあるとか。
冬は積雪などで参拝が厳しいため、「奥社」「九頭龍社」ともに例年4月後半まで閉殿しています。その間、二社の御分霊は「中社」に合祀されているので、開殿までは「中社」を参拝し、授与品なども「中社」で受けます。
[授与所受付(奥社)]9時~17時
(「奥社」「九頭龍社」は1月8日~4月下旬まで閉殿。二社の開殿は例年4月後半)
[駐車場]奥社入口有料駐車場120台、他(3時間まで600円、以降1時間100円。1日最大1000円)
※バス停「戸隠奥社入口」より徒歩すぐ
※トイレは奥社入口有料駐車場と、参道中程にあり(駐車場で済ませていくのが賢明)
以上が五社の紹介です。神職に伺ったところ、「五社めぐり」の参拝順や決まり事は特にないそうなので、自由にお参りしましょう。
各社に駐車場や最寄りのバス停があり、参道も整備されているので、案内板や観光協会が配布しているマップを見て神道を辿りながら参拝するのもおすすめですが、冬季は各社の境内や駐車場を含め、周辺の積雪や凍結は必至。参拝も雪の上を歩くことになるので、各自、雪対策を万全にして出かけましょう。
「戸隠神社」の授与品をチェック


御守は「宝光社」「中社」「奥社(冬季は除く)」の授与所窓口で頒布しています。五社全体で数十種類あるので、授かりたいご利益で選びましょう。

御朱印も「宝光社」「中社」「奥社(冬季は除く)」の授与所で頒布しています。観光シーズンは御朱印帳を新しく受けた授与所の朱印のみ直接書いていただけます。その他は書き置きの御朱印です。
その他、期間限定の切り絵御朱印もあり、2025年1月8日から4月後半までは「中社」で特別御朱印『神雪参り』を受けられます。これは「奥社」「九頭龍社」の閉殿期間、「中社」に三柱「天八意思兼命」「天手力雄命」「九頭龍大神」を合祀している間だけ受けられる特別な御朱印です。公式ホームぺージやSNSをチェックしてみてください。
長野県長野市戸隠3506(戸隠神社 社務所/中社)
[参拝]参拝自由※授与所窓口は各社の受付時間を確認
長野駅よりバスで約1時間~1時間20分/上信越道信濃町ICより約40分または長野ICより約1時間
「戸隠神社」の詳細はこちら
まとめ
冬は「奥社」「九頭龍社」の拝殿へは行けませんが、「中社」に三柱を合祀している特別な期間でもあります。雪対策を万全にして参拝にでかけてみてください。
「五社めぐり」なら4月後半から11月頃の間がおすすめです。土・日・祝日や大型連休、観光シーズンは参拝者が多く、駐車場や周辺の道路も混雑しますが、早朝や夕方は比較的空いているそう。心静かに神様と向き合いたい人は時間帯をずらして出かけましょう。
※この記事は2025年3月10日時点での情報です。休業日や営業時間、料金など掲載情報は変更の可能性があります。
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児島あさこ
編集者・ライター。旅先での楽しみは日頃おせわになっている人へのおみやげ選び。道の駅、美術館、セレクトショップ、うつわ屋さん…など贈る人の好みに合わせて物色している時間が幸せです。好きな町は金沢。