青森県の川部駅~秋田県の能代駅にかけて、主に津軽西海岸の海沿いを走るJR五能線。JR五能線を運行する観光列車「リゾートしらかみ」は、青く輝く日本海の風景を望み、多くの観光客に愛されてきた絶景列車です。
今回は、JR五能線と「リゾートしらかみ」、沿線のおすすめスポットを紹介します。
●JR五能線は絵のように美しい風景の宝庫!
●JR五能線を旅するなら「リゾートしらかみ」がおすすめ
●「リゾートしらかみ」車窓からの絶景ポイント
・海底が隆起してできた岩棚の景勝地「千畳敷」
・初夏はニッコウキスゲの大群落「行合崎海岸」
・日本海に沈む夕陽が美しい「津軽西海岸」
・JR五能線きっての絶景、県境に広がる「大間越」
●ぜひ立ち寄りたい!JR五能線のおすすめスポット5選
・JR五能線の終点で開催する「田舎館村田んぼアート」
・いつでも祭り気分な「立佞武多(たちねぷた)の館」
・迫力満点の土偶が目を光らせる「木造(きづくり)駅」
・青森県産ヒバ材が優美なアーチを描く「鶴の舞橋」
・神秘的な湖沼をめぐる「十二湖散策コース」
JR五能線は絵のように美しい風景の宝庫!

青森県田舎館村の川部駅~秋田県能代市の東能代駅の全長147.2kmを、計43駅で結ぶJR五能線。車窓からは津軽平野のりんご畑や“津軽富士”と呼ばれる岩木山、真っ青な日本海と奇岩が美しい海岸、そして白神山地の山並みと、全国有数の絶景路線として知られています。

なかでも青森県の鰺ケ沢駅~秋田県の岩館駅へと続く海岸沿いの区間は、ため息が漏れるほどの美しさ!打ち寄せる波の泡が見えるほどの波打ち際を走ったり、奇岩怪石が並ぶ海岸を見下ろしたりと、その海景色は驚くほど多彩です。
ノスタルジックな風情の漁師町や日本海に沈む夕陽も美しく、絶景路線の名にふさわしい情景に浸ることができます。
※掲載しているHPはJR秋田支社で展開している「五能線の旅」公式HPです
(画像提供:JR東日本秋田支社)
JR五能線を旅するなら「リゾートしらかみ」がおすすめ

JR五能線を旅するならぜひ乗車したいのが、広い車窓から風景を観賞できる観光列車「リゾートしらかみ」です。
こちらはJR五能線を含む青森駅・弘前駅~秋田駅を結ぶ快速列車で、「くまげら」、環境に優しいハイブリット車の「橅(ぶな)」と「青池」の計3種の編成で運行しています。

「リゾートしらかみ」は、冬期は金・土・日曜日中心、それ以外の期間は毎日走っています。上り・下り合わせて1日6便(時期により異なる)あり、運賃のほかは、指定席料金のみで乗車できます。
見どころでは徐行運転も行っているので、JR五能線の沿線風景をゆったりと楽しむにはうってつけです。リゾートしらかみの「橅」編成、「青池」編成は2号車の特設スペースにセルフレジがあり、飲料や菓子類、鉄道グッズなどを購入することができます。

「リゾートしらかみ」の展望室もしくはイベントスペースでは、津軽三味線による民謡の生演奏が行われます(1・2・3号で予定)。日によって津軽弁の語りべの実演、「金多豆蔵人形芝居」の上演もあります。

五能線モバイルオーダー「ごのたび」を使うと、事前にスマートフォンでお弁当やスイーツ、ドリンクの注文が可能です。注文した商品は、乗車日当日に駅のホームで受け取ることができます。
<リゾートしらかみ>
[運行区間]JR青森駅・弘前駅~JR秋田駅
[運行日時]1日6便 ※運行日・本数、運行車両は公式HPを確認
[予約方法]全国のみどりの窓口、えきねっとより販売
運賃(青森駅~秋田駅4510円)+指定席券530円(通常時)※事前に指定席券購入で、五能線フリーパス(2日間乗り放題)大人3880円、子ども1940円も利用可
「リゾートしらかみ」の詳細はこちら
(画像提供:JR東日本秋田支社)
「リゾートしらかみ」車窓からの絶景ポイント
「リゾートしらかみ」の乗車時間は、青森駅・弘前駅~秋田駅まで約5時間です。長いですが乗客を飽きさせない車窓の美しさがJR五能線の魅力です。注目したい絶景ポイントを、青森県の川部駅側から順に見ていきましょう。
海底が隆起してできた岩棚の景勝地「千畳敷」

岩棚の海岸が約12kmに渡って続く「千畳敷」。津軽藩の殿様が千畳の畳を敷かせて酒宴を催したと伝えられる名所です。
JR五能線の無人駅である千畳敷駅から道路を渡ってすぐのところにあり、「リゾートしらかみ」の2・3・4・5号では、乗客が散策できるように、15分ほどの停車時間が設けられています。「千畳敷」は夕陽の名所としても知られ、「日本の夕陽百選」に選ばれています。
初夏はニッコウキスゲの大群落「行合崎海岸」

広戸駅~深浦駅にある「行合崎海岸(ゆきあいざきかいがん)」は、奇岩に囲まれた海岸一帯が夏は芝生に覆われるビューポイント。6月頃にはニッコウキスゲの大群落が、鮮やかな黄色い花を咲かせます。
日本海に沈む夕陽が美しい「津軽西海岸」

鰺ヶ沢町~深浦町にかけての「津軽西海岸」は、岩礁が多く、日本海に沈む夕陽の美しさで知られています。ちょうどこの辺りを走っているときに、夕暮れが迎えられる列車に乗るのもおすすめです。
JR五能線きっての絶景、県境に広がる「大間越」

青森県と秋田県との県境、大間越(おおまごし)駅~岩館駅間は、荒々しい岩肌と紺碧の海とのコントラストが美しい海岸です。JR五能線の撮影地としても知られ、海がきらめく日中はもちろんのこと、こちらの夕陽も見ごたえがあります。五能線きっての絶景ポイントである岩館駅周辺では、列車は速度を落として運行します。
岩館駅を過ぎると、車窓には世界自然遺産に登録されている白神山地の山並みがぐっと迫ってきます。春夏の緑から秋の紅葉、そして冬景色まで四季折々の情景を見せる山並みを望むうちに、列車はJR五能線の起点である東能代駅へ。「リゾートしらかみ」は東能代駅を発車後、JR奥羽本線を南下して、秋田駅へ至ります。
ぜひ立ち寄りたい!JR五能線のおすすめスポット5選
JR五能線の終点で開催する「田舎館村田んぼアート」

JR五能線の終点駅・川部駅がある田舎館村(いなかだてむら)は、1993年からスタートした田んぼアートが有名です。例年5月下旬~10月上旬にかけて、さまざまな稲の色彩を利用した巨大な絵画が水田に出現!稲の生長に合わせて絵が浮き上がる初夏から、緑色鮮やかな夏、黄金色を帯びる秋と、時期による変化も楽しめます。
年々進化を遂げる作品は、田んぼアート第1会場の展望台となっている「田舎館村展望台」、そこからシャトルバスでつながっている田んぼアート第2会場の展望台「弥生の里展望所」から観賞できます。
青森県南津軽郡田舎館村田舎舘中辻123-1 田舎館村役場(田舎館村展望台)
9時~17時(最終入館16時30分)
10月中旬~5月中旬
入館料(第1田んぼアート4階展望デッキ・第2田んぼアート展望所それぞれ)【中学生以上】300円、【小学生】100円
JR川部駅よりタクシーで10分
あり(無料)
「田舎館村田んぼアート」の詳細はこちら
(画像提供:田舎館村)
いつでも祭り気分な「立佞武多の館」

例年8月4日~8日に五所川原で行われる「五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)祭り」は、空へと高く伸びる迫力満点の山車が特徴。「青森のねぶた」、「弘前ねぷた」とともに、青森三大ねぶたの一つに数えられています。

JR五所川原駅から徒歩で行ける「立佞武多の館」は、迫力ある立佞武多を一年中観ることができる施設です。1階から4階まで吹き抜けになっている空間に、実際に祭で運行している立佞武多3台が展示され、5月~6月は立佞武多の紙張り体験もできます(要問合せ)。
青森県五所川原市大町506-10
9時~17時
1月1日 ※営業の場合あるので要問合せ
入館料【大人】650円【高校生】500円【小・中学生】300円
JR五所川原駅より徒歩5分
「立佞武多の館」の詳細はこちら
迫力満点の土偶が目を光らせる「木造駅」

特徴ある駅として”東北の駅百選”に選ばれている「木造(きづくり)駅」は、途中下車してでも行きたいJR五能線の駅。つがる市内の「亀ヶ岡石器時代遺跡」から出土した遮光器土偶で、“しゃこちゃん”の愛称で親しまれる土偶の巨大なモニュメントが外壁を守っています。
もともと列車の到着時に「いらっしゃいビーム」として目から光を放っていましたが、2020年春の駅改装時からなんとその光が七色に!ますますインパクトを増した東北の名物駅舎として知られています。
青森県産ヒバ材が優美なアーチを描く「鶴の舞橋」

青森県産のヒバを用いて作られた「鶴の舞橋」は、全長は300mに及び、木造の三連太鼓橋では日本一長い橋です。雄大な岩木山を湖面に映し出す「津軽富士見湖」に架かり、優美な三連のアーチとヒバ材の温もりが醸し出す、優しい雰囲気が魅力です。

こちらの橋にはヒバの丸太3000本、板材3000枚が使われ、直径30cmの橋脚には樹齢150年以上のヒバが700本も使われています。「長い木の橋」は「長生きの橋」とも読めることから、橋を渡ると長生きできる開運長寿のスポットでもあります。
神秘的な湖沼をめぐる「十二湖散策コース」

世界最大級のブナ林を誇る世界自然遺産・白神山地。その雄大な自然の一端を味わいたいなら、ビギナーでも歩けるハイキングコースがおすすめです。
JR十二湖駅から「森の物産館キョロロ」までバスかタクシーでアクセスすると、「森の物産館キョロロ」を起点に、約1時間30分でぐるりと一周する約1.5kmの散策コースがあります。

崩山の中腹から眺めると12の湖沼が見えたとされたことから“十二湖”と呼ばれていますが、実際は33もの湖沼の総称です。なかでも特に知られているのが、絵具を流したようなコバルトブルーが美しい「青池」。透明度が高く、池底に倒れた木が見えるほどです。
ほかにもブナを主体とした自然林、「青池」と同じく青色が鮮やかな「沸壷の池」などを巡りながら歩くことができます。


十二湖エリアに個人で入れるのは4月上旬~11月下旬で、冬期は車が通行止めになります。ガイドが同行すれば入山可能なので、冬の情景を楽しみたい場合は公式HPより問い合わせてみましょう。
青森県西津軽郡深浦町松神下浜松
4月上旬~11月下旬 ※天候により通行不可となる場合あり
JR十二湖駅より路線バス15分 ※奥十二湖駐車場より徒歩2分 ※バス運行は4月~11月
「十二湖散策コース」の詳細はこちら
まとめ
絶景路線として知られるJR五能線は、全長150km近くあるため、車窓からの風景にゆったりと浸りたい人にはぴったりのローカル線です。バラエティに富んだ海景色はもちろん、沿線で立ち寄りたいスポットも充実しています。途中下車する際は、あらかじめ列車の発着時間をチェックしておきましょう。
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※この記事は2023年3月30日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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梶本 愛貴
長野県出身。おもに旅や鉄道、書籍などの記事を書いています。 旅はぼーっとするのが好き、列車は乗るのが好き、温泉は万座や草津など強めの湯が好きです。大人になって改めて感じた旅や列車の面白さをお伝えしていきます。