つるりとして上品なのどごしが魅力の秋田のご当地グルメ「稲庭うどん」。麺そのものの味わいを追求したお店から、一風変わった味変うどんを開発するお店まで、各店がより稲庭うどんをおいしく味わえるメニューを登場させています。秋田が誇る名産品とともに楽しめるメニューもあるそうですよ。今回はお店の近くの観光スポットとともに紹介していきます!
稲庭うどんとは?
殿様にも献上された、つるりとしたのどごしの干しうどん

秋田グルメのひとつ、そして日本三大うどんのひとつに数えられる「稲庭うどん」。約350年前の江戸時代、秋田県稲庭地区に住んでいた佐藤市兵衛が地元の小麦を使って干しうどんを作り始めたことが最初と言われています。江戸時代には殿様への献上品、また他家への贈答品として使われており、一般庶民は口にすることのできない高級品だったそう。
一子相伝であった技術が1972(昭和47)年に公開されたあと、稲庭うどんは全国に知られるようになり、秋田を代表するグルメとして定着しました。
稲庭うどんは細めの平麺に、品の良いつるりとしたのどごしと独特のコシが特徴。今も練る・綯う(なう)・延ばす・乾燥の全ての工程を手作業で行う伝統的な製法を守り続けている製麺所が多くあります。
ここからは特に注目したいお店を紹介していきます!
佐藤養助総本店
手抜きを許さない、江戸時代からの伝統技法で作る稲庭うどん

1860(万延元)年の創業以来、一子相伝の技で本場の味を伝える稲庭うどんの老舗です。門外不出の技で作られてきた「稲庭干温飩」は完全な手作業で作られており、この伝統の技が適度な歯ざわりとつるりとした舌ざわりを生み出しています。
初めて稲庭うどんを食べるなら、まずはきりりと冷えたうどんを、醤油だれとごま味噌だれでシンプルに味わってください。

ひとひねりした味を楽しむなら、タイカレーのつけ麺もありますよ。比内地鶏のだしにしょっつる(魚を塩漬けにして作る秋田の伝統的な調味料)、ココナッツミルクを加えたまろやかなグリーンカレーと、海鮮だしが香るパンチの効いたレッドカレーが稲庭うどんとよく合います。

総本店では、うどん作りの工場を予約不要、無料で見学することもできます。食べるだけでなく、作る工程から稲庭うどんを味わい尽せるお店です。
0183-43-2911
秋田県湯沢市稲庭町字稲庭80
11時~17時※工場見学9時~16時、販売9時~17時
年末年始
【電車】JR湯沢駅より羽後交通バスで30分、稲庭中町下車徒歩すぐ【車】湯沢横手道路湯沢ICより20分
60台
「佐藤養助総本店」の詳細はこちら
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天ぷら 正心庵
揚げたて、茹でたてを味わう佐藤養助の新たなスタイル

「正心庵」は、「佐藤養助商店」が“新しい稲庭うどんの専門店を”と、2018(平成30)年、本店の向かいにオープンさせた旗艦店です。
揚げたての天ぷらと茹でたてのうどんを味わってもらうことがこちらのコンセプト。“料理を一番おいしい状態で食べてもらいたい”という思いから、カウンター8席のみの上質な空間がしつらえられており、季節の食材をひとつひとつ丁寧に、訪れる人ともじっくり向き合いながら料理人が目の前で揚げてくれる、贅沢なもてなしを受けることができます。

「佐藤養助総本店」からも「正心庵」からも、車で20~30分の渓谷に湧く小安峡温泉や、最上川の上流に湯けむりが立ち込める大湯温泉などがあります。稲庭うどんを堪能したら、温泉でゆっくり一泊するのも良いのではないでしょうか。
0183-55-8885
秋田県湯沢市稲庭町字稲庭81
昼の部11時~15時、夜の部17時~20時(夜の部は前日までに要予約)
月※臨時休業あり
【電車】JR湯沢駅より羽後交通バスで30分、稲庭中町下車、徒歩すぐ【車】湯沢横手道路湯沢ICより20分
60台(佐藤養助総本店駐車場と共用)
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寛文五年堂 本店 お食事処
作り手だけの特権、生麺と乾麺を食べ比べ

鎌倉時代から周辺を治めていた小野寺氏の居城跡、稲庭城を望む「寛文五年堂」。自社で手作りするうどんを味わえる食事処のほか、創業者が収集した茶道具や日本画のギャラリーも併設されています。
稲庭うどんは保存がきく乾麺に仕上げるのが基本ですが、こちらではかつて作り手の家族だけが口にできたという珍しい生麺が味わえます。乾麺のなめらかなのどごしと、生麺のもちもちとした食感の違いを食べ比べできるのが「二種三昧うどん」。つゆもかつおつゆ、自家製味噌だれ、そして季節のつゆの3種がついてきて、味の変化も楽しめるのが嬉しいポイント。

変わり種メニューに、独自に調合したスパイスをきかせたカレーつゆとともにもっちりとした生麺の食感を体験できる「カレーうどん」もあります。

うどんでお腹が満たされたら、稲庭城などへ訪れるのもおすすめ。秋は紅葉散策もあわせて楽しめますよ。
0183-43-2833
秋田県湯沢市稲庭町字三嶋34
10時30分~16時30分(LO16時)
なし※年末年始休業あり
【電車】JR湯沢駅より羽後交通バスで30分、稲庭三嶋神社前下車徒歩すぐ【車】秋田道湯沢ICより20分
20台
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無限堂大町本店
市内散策の途中で立ち寄りたい、製麺工場直営店

秋田市内で稲庭うどんを楽しむなら、“秋田の台所”と呼ばれた大町にある「無限堂」に立ち寄ってみてください。
職人たちが手作業と“美味求真”の心意気で作り上げた自社製麺を、比内地鶏の出汁などで味わえます。

寒い季節に訪れたなら、同じく比内地鶏の出汁にかつお出汁を合わせ、やさしい塩味に仕上げた温かいうどんもおすすめです。
きりたんぽ鍋にうどんを追加できるセットメニューもありますよ。

モダンな商家の佇まいを残す「無限堂」から大町通を5分ほど歩くと、ルネサンス様式の建物「赤レンガ郷土館」があります。バロック調の精巧なレリーフなどが施された内装が美しい、国の重要文化財で、秋田市内観光の目玉のひとつです。市内散策で歩き疲れたら、つるつるとしたうどんで一息入れるのもいいですね。
018-863-0008
秋田県秋田市大町1-3-2
11時~14時(LO13時45分)、17時~21時45分(LO21時15分)
不定
【電車】JR秋田駅より徒歩20分【車】東北縦貫道秋田中央ICより20分
14台
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明治佐助商店 秋田空港ターミナルビル2階
秋田空港内で、地元の名物料理を堪能

秋田空港のターミナルビル内には、さまざまなご当地グルメが楽しめる「明治佐助商店」があります。
稲庭うどんらしいつるりとしたのどごしを感じたいなら、シンプルな「稲庭ざるうどん」がおすすめ。秋田県仙北市の「照井味噌醤油醸造元」の醤油を使用したつゆが特徴です。

稲庭うどんのほかに、秋田名物も一緒に味わえるのが嬉しいポイント。秋田の名物料理、きりたんぽに味噌をたっぷりかけて香ばしく焼き上げた「きりたんぽ田楽」もぜひ味わってみてください。
秋田の銘酒も充実した品揃えなので、うどんとともに一献嗜むのも良いのでは?

店内は実は総ヒノキ造り。昔懐かしい畑仕事道具が飾られており、米どころでもある秋田らしさに包まれながら食事ができますよ。
018-853-5066
秋田県秋田市雄和椿川字山籠49 秋田空港ターミナルビル2階
11時~20時(LO19時45分)
なし
【電車】JR秋田駅より秋田中央交通リムジンバスで40分【車】日本海東北道秋田空港ICより6分
立体駐車場955台(1時間70円、1日730円)※秋田空港駐車場
あごだし稲庭うどん 古泉洞
築200年の元寺子屋でバラエティ豊かなメニューを楽しむ

仙北市角舘の名所のひとつ、武家屋敷通りの中ほどに位置する「古泉洞」は、約200年前に寺子屋として使われていた建物を利用したうどん店です。店内のあちらこちらにちりばめられた古美術や、昔の帳場を再現したレジが醸し出すレトロな風情をも感じることができます。
麺は手作り秋田うどんメーカー「真壁屋」のコシのある稲庭うどんに、あごだしやかつお、さば、こんぶから丁寧にひいた出汁を合わせています。11種もの薬味をトッピングした「11種薬味の稲庭うどん」は、カラフルな見た目と口の中で変化する味わいが楽しい一品。

秋田名物・比内地鶏の炊き込みご飯のほか、「ちょいめし」とのセットメニューも見逃せません。また、冬季限定の「牡蠣のあんかけ稲庭うどん」、夏季限定の「すだちうどん」など、季節によって多くの限定メニューが並びます。

春になると武家屋敷が立ち並ぶお店の周辺には、しだれ桜が可憐に咲き誇り、特に「角舘さくらまつり」では多くの人でにぎわいます。夏は新緑、秋は紅葉と、歴史情緒あふれる街並みとともに楽しめますよ。
0187-53-2902
秋田県仙北市角舘町東勝楽丁9
11時~15時30分(LO15時)
不定
【電車】JR角舘駅より徒歩15分【車】東北縦断道協和ICより35分
5台
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稲庭うどん専門食事処 後文
木の香りに満ちた店内でくつろげる、製麺メーカー直営店

稲庭うどんの製造メーカーの直営店。すぐそばの工場で、稲庭のきれいな水と小麦を使い一本一本手延べした自社製麺は、小麦粉本来の甘みを引き出しながら、なめらかでコシのある食感に仕上げられています。
かつお、さば、宗田かつおの枯節からとっただしは、無添加でほっと一息つける味わいです。

寒い季節に訪れたら、土鍋であつあつに煮込み、自家製ルウがたっぷりからむカレーうどんを食べてみてください。セットのおこわも地元のもち米を2回に分けて蒸し上げる、昔ながらの調理法で作られた、店主こだわりの一品です。

店内は畳敷きに秋田杉の木目が美しい和風のしつらえの中で、ゆったりとうどんを楽しむことができます。
こちらもお店から車で30分ほどのところに小安峡温泉があるので、温泉旅行の前後に訪れるのもおすすめです。
0813-43-2725
秋田県湯沢市稲庭町三嶋72
11時~14時30分
火、水(祝日は営業)
【電車】JR湯沢駅より羽後交通バスで25分、稲庭三嶋神社前下車徒歩10分 【車】秋田道湯沢ICより20分
10台
まとめ
今はみんなが気軽に楽しめるイメージが強いうどんですが、こと「稲庭うどん」はその昔、一握りの人しか味わうことのできない高級グルメでした。細くしなやかな見た目なのに、しっかりとコシのある歯ごたえのギャップが魅力的な「稲庭うどん」は、今やざるうどんだけでなくさまざまなアレンジで楽しむことができます。秋田観光に訪れた際にはぜひ口にしてくださいね。
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※この記事は2023年7月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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鈴木 茉耶
京都出身、神戸在住のライター。古きよきものからNEWスポットまで、幅広く興味を持って追いかけた旅の情報をご紹介しています!