日本ワインの産地として有名な山梨県。今回はそんな山梨県のワイナリーおすすめ6選をご紹介します。
栽培の難しい品種で勝負した長年の絶品や、河口湖の自社ぶどう畑など、ワイナリーの特色はもちろん、それぞれの醸造家が語るワインづくりへのこだわりは、きっと旅先選びの参考になるはず。
見学ツアーや試飲の情報も紹介しているので、ぜひチェックしてお出かけしてみてください。
【山梨県・甲州市】白百合醸造
『ぶどう畑が広がる地でワインに触れてみてほしい。』

「白百合醸造」3代目社長 内田多加夫さん
世界に認められた実力派ワイナリー。
甲府盆地の東端にある、勝沼エリア。高台から見渡すと、そこかしこにぶどう畑が広がる美しい風景を目にすることができる。
「昔からぶどう栽培が盛んな土地柄。ワイナリーが1000軒もあった時代がありましたから」。そう話すのは、「白百合醸造」3代目社長の内田多加夫さん。「特に勝沼の気候風土に合うぶどうが、日本固有種の甲州とマスカット・ベーリーA。その2種類でのワイン造りに力を入れています」。
実力派ワイナリーとしても知られ、2021年には「ロリアン勝沼甲州2019」が世界最大級のワインコンテストで最高賞を受賞した。「うちのワインというより、甲州というぶどうが世界に認められたことが何よりも嬉しい」と笑う。
内田さんの願いは、ひとりでも多くの人にワイナリーに来てもらうこと。そのため見学ツアーやオリジナルラベル作り、チェアリングなどのアクティビティを多数用意する。「ぶどう畑が広がる場所で、ワインに触れる。そうすれば、もっとワインを好きになってもらえるはずですから」。
近年、国内ではまだ少ないというブランデー造りに着手。「ワインだけでなくブランデーも世界基準の品質を目指しています」。新たなチャレンジを語るその眼差しは、未来に向けられていた。



ワイナリーおすすめの1本

ロリアン勝沼甲州2022
勝沼産の甲州を100%使用。コンテストで受賞歴多数のフラッグシップワイン。2970円
施設情報
・見学ツアー可
・ワインのボトル詰め&オリジナルラベル作り
・チェアリング
・農作業体験
・ショップ併設
・試飲(有料)
0553-44-3131
山梨県甲州市勝沼町等々力878-2
9時~16時30分
なし
JR勝沼ぶどう郷駅よりタクシーで10分
「白百合醸造」の詳細はこちら
「白百合醸造」のクチコミ・周辺情報はこちら
【山梨県・甲州市】くらむぼんワイン
『なるべく手を加えず果実感のあるワインに。』

代表 野沢たかひこさん
手間を惜しむことなく自然にぶどうを育てる。
1913年にワイン造りをスタート、創業100年を機に「くらむぼんワイン」に社名を変更。代表の野沢たかひこさんは歴史あるワイナリーの4代目にあたる。名前をくらむぼんにしたのは「宮沢賢治の童話『やまなし』が由来です。自然との共存など物語に共感するところがあって」と話す。
そんな野沢さんが取り組んでいるのが、自然に即したぶどう栽培だ。自社畑では肥料を与えず耕さず、ぶどうを育てる。除草剤や殺虫剤は使わない。「始めた当初はぶどうがうまく育ちませんでした。今でも病気にかからないよう風通しをよくするなど、こまめな手入れが必要です」。
手間と時間をかけてでも自然なぶどう栽培にこだわるのには、訳がある。本場フランスでの体験だ。「そこでは土地の風味が感じられるワインが造られていました。まずはぶどうの育て方が大切。醸造の際はできるだけ手を加えず、濾過も最小限にしています」。
もうひとつ、フランスで感じたことがある。それはワインが生活に溶け込んでいること。だから品質を極めたワインをリリースする一方で、「普段飲みのワインも造り続けたい」と野沢さん。生産するワインの約半分は、勝沼で昔から栽培されている甲州種を使ったもの。和食との相性も抜群だ。



ワイナリーおすすめの1本

くらむぼん甲州2022
ほのかな甘みと酸のバランスがいい、すっきりとした辛口。果実味もしっかり。1780円
施設情報
・ショップ併設
・試飲(有料)
0553-44-0111
山梨県甲州市勝沼町下岩崎835
【平日】13時~16時【土・日・祝】10時~12時、13時~16時
水・年末年始
JR勝沼ぶどう郷駅よりタクシーで8分
「くらむぼんワイン」の詳細はこちら
【山梨県・甲府市】シャトー酒折ワイナリー
『日常の食卓に合う手軽なワインで喜ばれたい。』

製造部主任 鹿野裕介さん(左)/製造部係長 藤本広美さん(右)
ぶどうを栽培してくれる生産者との関係を大切に。
世界のワインを取り扱うインポーターのグループ会社として、1991年に創業した「シャトー酒折ワイナリー」。ただ海外から輸入するだけでなく、自分たちでも優れたワインを造りたいという思いがきっかけだった。
ぶどうの生産は農家に依頼し、基本的には醸造に徹するのがこのワイナリーのスタイル。そこで大切なのが、お互いの信頼関係だ。農家では生食用ぶどうの方が収入になるため、売れないものをワインの原料にまわす風習が残っていた。いいぶどうを手に入れるためには、どうすればいいのか。
「生産者にうちのワインを飲んでもらいました。収穫したぶどうを受け取りに行くとき、持参したりして。そんな信頼関係の構築が、品質の向上にもつながっています」と製造部主任の鹿野裕介さん。
甲州やマスカット・ベーリーAなど地元の風土に合ったぶどうが原料の主体。「自分たち造り手が一番の消費者」というこのワイナリーが目指しているのは、日常の食卓に合うワインだ。製造部係長の藤本広美さんは、その意図についてこう話す。「忙しいときはコンビニで買ったおつまみで飲んでもいい。いつでも気軽に手を伸ばしたくなる。知らない間に一本空いていた、というのが理想です」。
おいしくてリーズナブル、というのは自他ともに認めるところ。若い造り手はオレンジワインなど新たなジャンルにも取り組んでいる。楽しみは、まだこれからだ。



ワイナリーおすすめの1本

甲州ドライ2022
伊勢志摩サミットで採用された人気商品。冷や奴やきゅうりの浅漬けとともに。1760円
施設情報
・見学ツアー可
・ショップ併設
・試飲(無料・有料)
055-227-0511
山梨県甲府市酒折町1338-203
9時~16時
年末
JR石和温泉駅、または甲府駅よりタクシーで10分
「シャトー酒折ワイナリー」の詳細はこちら
「シャトー酒折ワイナリー」のクチコミ・周辺情報はこちら
【山梨県・甲府市】ドメーヌ久
『ピノ・ノワール以外にも挑戦を続けていきたい。』

社長 久保寺慎史さん
希少なピノ・ノワールと斬新なヌーヌーボー。
2024年に創業50周年を迎えるレストラン「ボルドー」。ビフテキとエスカルゴ料理が名物の老舗洋食店だが、「ドメーヌ久」はその敷地の一角にある。レストランのワインリストに自社ワインの名を連ねるべく、社長の久保寺慎史さんが醸造を開始したのは2000年のこと。
久保寺さんには目標とするワインがあった。それは、ピノ・ノワールというぶどうで醸し、世界最高峰の赤ワインとも評されるロマネ・コンティ。「そもそも、ピノ・ノワールは日本での栽培が難しいとされていたぶどう品種。まずはそこからの挑戦でした」。
土壌に岩や砂礫の層があり、水はけのよい南向きの自社畑で栽培をスタート。雨が多い日本特有の気候への工夫も重ね、見事に成功させた。だが醸造も難しく、当初は「ピノ・ノワールなんてやらなければよかった」と思ったことも。さまざまな苦労を乗り越えた今、看板商品になっている。
もうひとつ、ドメーヌ久を代表するのがヌーヌーボーだ。完熟前の青いデラウェアを早摘みし、すぐに醸造。例年7月下旬に新酒として販売する。通常、秋がワインの新酒(ヌーボー)シーズンだが「ヌーボーより早いから、ヌーヌーボー。果実の鮮烈さを生かした、夏向きの爽やかな味わいです」。
醸造所は「国内屈指の小ささでは」というスペースで、生産数も年間2万本前後と希少性も。独自のスタンスがキラリと光る、個性派ワイナリーに注目したい。



ワイナリーおすすめの1本

ヌーヌーボー2022
青りんごのような風味と、キレのある酸が特徴的。キリリと冷やして味わいたい。2090円
施設情報
・レストラン併設
・ショップ併設
・試飲(有料)
【山梨県・北杜市】シャルマンワイン
『長年かけて土地に根付いたカベルネ・フランは宝物。』

所長 山本公彦さん
病気に弱く栽培が難しいヨーロッパ系品種で勝負。
駐車場に車を停めると、目の前に広大なぶどう畑が広がっていた。その先に南アルプスの名峰・甲斐駒ヶ岳が悠然とそびえている。心洗われる風景でゲストを迎える「シャルマンワイン」。所長の山本公彦さんは、この地で長年続くワイナリーの3代目だ。
ぶどう農家の組合醸造場として設立、その後シャルマンワインとして本格的に稼働し始めたのが60年前。その際に自社農場を作り、スタートさせたのがヨーロッパ系品種のぶどう栽培だった。「メルローやピノ・ノワールなどいろいろな品種を植えました。あまり前例がなく、試行錯誤の連続だったと聞いています」。
ワイナリーは白州町にあり、標高650m。気候は冷涼で、同じ県内の勝沼や甲府エリアとも環境が違う。思い描くような栽培が進まない中、うまく育つ品種もあった。「国内ではあまり作られていないカベルネ・フランでした。白州の気候風土に合ったのだと思います」。
長い時間をかけて淘汰され、ようやく土地に根付いた品種。「他の地域のカベルネ・フランより実の色合いが濃く旨みも多い。甲斐駒ヶ岳から続く砂質土壌が影響していると考えています」。
風土を反映した味こそ、ワインの真骨頂。ぶどう栽培にかけてきた情熱が、このワイナリーの魅力をしっかりと支えている。



ワイナリーおすすめの1本

シャトーシャルマン尾白2016
自社畑栽培のカベルネ・フラン100%。古樽と新樽で熟成させブレンドする。3630円
施設情報
・見学自由
・ショップ併設
・試飲(無料)
0551-35-2603
山梨県北杜市白州町白須1045-1
10時~17時
年末年始
JR韮崎駅よりバスで35分、道の駅はくしゅうより徒歩2分
「シャルマンワイン」の詳細はこちら
「シャルマンワイン」のクチコミ・周辺情報はこちら
【山梨県・富士河口湖町】セブンシダーズワイナリー
『ぶどう栽培家に光を当てたワインを醸しています。』

栽培・醸造責任者 鷹野ひろ子さん
河口湖の自社ぶどう畑で試行錯誤する楽しみ。
河口湖初のワイナリーとして、2022年にオープンした「セブンシダーズワイナリー」。これまで果樹栽培には不向きとされてきたエリアだが、温暖化が進む昨今、この地でもぶどう栽培の可能性が見えてきた。
栽培・醸造責任者を務めるのは、勝沼のワイナリーで長年経験を積んだ鷹野ひろ子さん。河口湖で自家栽培するぶどうは、今のところ全体の1/4程度。「苗木が育ち、しっかりと実をつけるまで数年かかります。今はさまざまな品種を育て、どれが適しているか見定める時期。手探りですが、楽しみですね」。
残りのぶどうは勝沼周辺の農家から手に入れる。鷹野さんがユニークなのは、ぶどう生産者に光を当てたワイン造りをすること。「ぶどうの品質を見ながら、よさを最大限引き出すのが自分の仕事。そして誰が作ったぶどうなのかがわかるよう、すべての製品に栽培者の名前やぶどうの品種を明記します。飲む人にも、造り手の思いを共有してほしいんです」。
その年のぶどうの特徴などさらに詳しい情報は、ボトルのQRコードから知ることができる。そのワインにおすすめの料理までわかるのは嬉しい限り。いずれもワインに親しみを感じながら、存分に楽しんでもらうために考えたこと。ワインで人をつなぐ鷹野さんの挑戦は、始まったばかりだ。



ワイナリーおすすめの1本

デラウェア&ジーガレーベスパークリングワイン2022
瓶内二次発酵による軽快な味わい。おでんの竹輪やがんもどきに合わせて。オープン価格
施設情報
・ショップ併設
・ラウンジ(カフェ)併設
・ワイナリー見学(要事前相談)
0555-25-7668
山梨県南都留郡富士河口湖町河口512-2 ※ワイナリー内「セブンシーストアアンドラウンジ」
9時30分~17時30分
なし
富士急行河口湖駅よりタクシーで10分
「セブンシダーズワイナリー」の詳細はこちら
「セブンシダーズワイナリー」の周辺情報はこちら
東京都内から山梨へのアクセス
電車
JR新宿駅より
勝沼・塩山エリア/特急利用で大月駅まで50分、各停乗り換え勝沼ぶどう郷駅まで23分
甲府エリア/特急利用で甲府駅まで1時間30分
八ヶ岳エリア/特急利用で小淵沢駅まで2時間
富士五湖エリア/特急利用で大月駅まで50分、富士急行線乗り換え河口湖駅まで50分
車
中央道八王子ICより
勝沼・塩山エリア/勝沼ICまで55分
甲府エリア/甲府昭和ICまで1時間
八ヶ岳エリア/須玉IC・小淵沢ICまで1時間30分~1時間50分
富士五湖エリア/河口湖ICまで55分
高速バス
新宿駅より河口湖駅まで1時間52分、甲府駅まで2時間10分
\宿・ホテル検索はこちら/
※この記事は2023年7月12日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
じゃらん編集部
こんにちは、じゃらん編集部です。 旅のプロである私たちが「ど~しても教えたい旅行ネタ」を みなさんにお届けします。「あっ!」と驚く地元ネタから、 現地で動けるお役立ちネタまで、幅広く紹介しますよ。