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2023.08.23

【千葉】小湊鉄道の見どころを紹介!トロッコ列車で里山風景を満喫しよう

千葉県内房の五井駅から房総半島の内陸へと走り、上総中野駅へ至る小湊鉄道。例年3月~12月上旬には開放感あふれる「房総里山トロッコ号」が運行し、沿線の自然とのどかな里山風景がより楽しめます。

ここでは小湊鉄道とトロッコ列車の魅力と合わせて、沿線のおすすめスポットを紹介します。

房総半島の内陸を行く全長約40kmの「小湊鉄道」

(画像提供:小湊鐵道株式会社)

千葉県市原市の五井駅から大多喜町の上総中野駅まで、全18駅を結ぶ小湊鉄道。房総半島の西側から真ん中に向けて走る、のどかなローカル線です。約40km続く沿線には、養老川が流れ、クヌギ・ナラなどの落葉樹からなる森や里山が広がります。

(画像提供:小湊鐵道株式会社)
夏の草いきれが感じられる
(画像提供:小湊鐵道株式会社)
秋の落ち着いた風情も魅力

小湊鉄道は平野部だけでなく、なだらかな山間部も運行。山間部は鉄橋やトンネルがあり、四季を通じて変化に富んだ車窓風景が続きます。また沿線には、桜の木が植えられており、3月下旬~4月上旬の開花時期には菜の花と桜のフォトジェニックな光景が広がります。

小湊鉄道のトロッコ列車「房総里山トロッコ号」

(画像提供:小湊鐵道株式会社)
トロッコ車両を牽引するDB4形機関車

小湊鉄道では、3月中旬~12月下旬の金曜~日曜を中心とする指定日に、五井駅~養老渓谷駅間で「房総里山トロッコ号」が運行。昔懐かしいSL型の機関車に牽引され、時速約25kmでのんびりと走る列車は、里山の風景と風を感じるにはぴったりです。

トロッコ列車を牽引するのは、大正期に小湊鉄道で活躍したC型コッペル蒸気機関車をリアルに再現したディーゼル機関車です。小湊鉄道の倉庫で眠っていた大正時代の汽笛が搭載され、乗車中はどこか懐かしい汽笛の音色を耳にすることができます。

(画像提供:小湊鐵道株式会社)
窓ガラスありの普通車。養老渓谷寄りの普通車4号車には車椅子スペースもある
(画像提供:小湊鐵道株式会社)
窓ガラスがなく、開放感抜群の展望車

客車は、窓ガラスのない展望車と窓ガラスのある普通車があり、どちらにも座面に天然木を使用した4人掛けのボックス席が配されています。

天井にはUVカット加工されたガラスが施され、車内は明るい陽光に満ちています。窓ガラスのないオープンタイプの展望車では里山の季節ごとの風が感じられ、窓ガラスありの普通車ではエアコンが装備されていて快適に過ごせます。

■小湊鉄道
千葉県市原市五井中央東1-1-2(小湊鉄道五井駅)~千葉県夷隅郡大多喜町堀切61(小湊鉄道上総中野駅)
【普通運賃】1280円(五井駅~養老渓谷駅)【1日フリー乗車券】2000円 ※「房総里山トロッコ号」乗車の場合は、別途トロッコ指定席券600円
【電車】JR五井駅より小湊鉄道五井駅まで徒歩すぐ
「小湊鉄道」の詳細はこちら

(画像提供:小湊鐵道株式会社)

沿線の魅力を歩いて発見!「小湊鉄道さと山ウォーク」開催中

(画像提供:市原市観光協会)
レジャースポットが多い上総牛久駅~里見駅の4区コース。写真は高滝湖(画像提供:市原市観光協会)

小湊鉄道では、年末年始を除く2023年3月1日(水)~2024年2月29日(木)に、沿線の絶景ポイントや観光名所を巡りながらウォーキングを楽しむイベント「小湊鉄道さと山ウォーク」を開催しています。

このイベントでは、五井駅~海士有木駅の第1区から月崎駅~養老渓谷駅の第6区まで全6コースの散策ルートが設定され、スタート駅で参加券(300円)を購入してMAPをもらい、ゴールの駅まで歩くとオリジナルの列車型ピンバッジがもらえます。

小湊鉄道さと山ウォーク
オリジナルピンバッジは「完歩賞」として、1区間歩くごとに一つもらえる。写真は全区間完歩賞コレクションボックス

全6コース中、一番短いコースは約6kmの5区で所要時間目安は1時間30分、長いコースは約12kmの4区で所要時間は3時間30分。どのコースも1日で歩いても、何日かに分けて歩いてもOKです。

好きなコースだけ選んで歩くもよし、全コース制覇を目指すもよし。ちなみに6コースすべてを歩くと、全区間6個分のピンバッジを収納できるコレクションBOXがもらえますよ。

小湊鉄道の沿線おすすすめスポット

乗車の前後でひと休み!五井駅近くの「こみなと待合室」

(画像提供:小湊鉄道)
「小湊鉄道さと山ウォーク」第1区のスタート地点にもなっている「こみなと待合室」
(画像提供:小湊鉄道)
コーヒーや紅茶などドリンクのほか、写真の安全第一カレーなど軽食も購入できる
(画像提供:小湊鉄道)
安全第一カレーは列車内で味わえるよう、カップに入っている

小湊鉄道の始発駅で、JR線との共同使用駅となっている五井駅からすぐの場所にある「こみなと待合室」は、誰でも利用できるパブリックスペースです。こちらには小湊鉄道直営のカフェが併設され、乗り換えの合間に立ち寄って気軽にひと休みできます。

メニューは、各種コーヒー320円~ほか、安全第一カレー670円~、ジビエドッグ470円~などが揃っています。

■こみなと待合室
千葉県市原市五井中央東1-1-2
9時~19時
なし
【電車】小湊鉄道五井駅より徒歩1分
「こみなと待合室」の詳細はこちら

(画像提供:小湊鉄道)

ゾウ飼育数日本一の「ANIMAL WONDER REZOURT 市原ぞうの国」

(画像提供:ANIMAL WONDER REZOURT 市原ぞうの国)
ゾウのパフォーマンスは見もの

こちらは、「市原ぞうの国」と「サユリワールド」の2エリアからなるリゾート型動物園。「市原ぞうの国」エリアでは、国内最多飼育数を誇るゾウをはじめ、約70種の動物や鳥が暮らしています。

ゾウのパフォーマンスは毎日開催され、ダンスや楽器の演奏、球技が観られるのはもちろん、ゾウの背中に乗ったり、鼻にぶら下がったりする触れ合い体験(別料金・体験により異なる)もできます。

(画像提供:ANIMAL WONDER REZOURT 市原ぞうの国)
フードコート2階のタイ料理レストランで味わえるガパオガイ1300円

園内にはレストランやフードコートがあり、グリーンカレーなど本場さながらの異国情緒あふれるメニューのほか、ゾウのモチーフを取り入れたおやつも味わえます。

(画像提供:ANIMAL WONDER REZOURT 市原ぞうの国)
キリンのエサやりは500円

「サユリワールドエリア」では放し飼いの動物たち30種と触れ合ったり、キリンにエサを上げたりすることができます。「市原ぞうの国」エリアからは無料のシャトルバスでアクセス可能です。

■ANIMAL WONDER REZOURT 市原ぞうの国
千葉県市原市山小川937(市原ぞうの国)、千葉県市原市山小川771(サユリワールド)
10時~16時
不定 ※公式HPを確認
入園セット券(市原ぞうの国、サユリワールド)中学生以上2900円、3歳~小学生1200円
【電車】小湊鉄道高滝駅より無料送迎バスで約10分 ※バスは市原ぞうの国公式HPより要予約
「ANIMAL WONDER REZOURT 市原ぞうの国」の詳細はこちら

(画像提供:ANIMAL WONDER REZOURT 市原ぞうの国)

湖畔に観光スポットが佇む「高滝湖」

(画像提供:市原市観光協会)
高滝ダムにより造られた高滝湖

千葉県最大の貯水面積を誇る人造湖で、四季を通じて自然と水に親しめる湖。湖畔には展望テラスや市原湖畔美術館といった観光スポットが点在しています。

釣り愛好家にはよく知られた釣りスポットでもあり、春~夏はバス釣り、秋~冬はワカサギ釣りが盛んです。

■高滝湖
千葉県市原市高滝
散策自由
【電車】小湊鉄道高滝駅より徒歩20分
「高滝湖」の詳細はこちら

(画像提供:市原市観光協会)

湖と緑に包まれて現代ア―トに親しむ「市原湖畔美術館」

(写真撮影:遠藤 匡 提供:市原湖畔美術館)
芝生広場ではピクニックも楽しめる

豊かな緑に囲まれ、高滝湖を望む風光明媚な美術館。現代アートを中心とした企画展のほか、建築と一体となったアート作品、自然や景観を活かした恒久作品が鑑賞できます。

(写真撮影:遠藤 匡 提供:市原湖畔美術館)
常設で、版画・銅版画家の深沢幸雄氏の作品を展示

子どもから大人まで楽しめるワークショップや湖畔の自然を活かしたイベントも開催され、アートだけでなくさまざまなアクティビティが屋内外で楽しめます。

(写真撮影:遠藤 匡 提供:市原湖畔美術館)
高さ28mのオブジェ「藤原式揚水機(展望塔)」

恒久作品の一つとして湖畔に佇むのは、地域で使われていた藤原式揚水機を模したオブジェ「藤原式揚水機(展望塔)」。老朽化のため、現在は上ることができませんが、イベントなどで稼働する際には、水を汲み上げる様子を見ることができます。

■市原湖畔美術館
千葉県市原市不入75-1
【平日】10時~17時【土・休前日】9時30分~19時【日・祝】9時30分~18時
月(祝日の場合は翌平日)
入館料(常設展)大人200円、大高生・65歳以上100円、中学生以下無料 ※企画展の場合は展示により料金が異なる
【電車】小湊鉄道高滝駅より徒歩20分
「市原湖畔美術館」の詳細はこちら

(写真撮影:遠藤 匡 提供:市原湖畔美術館)

地磁気の逆転を表す「チバニアン」の地層

(画像提供:市原市)
GSSPの指標であるゴールデンスパイクが設置されている

「チバニアン」とは、今から約77万4000年前~12万9000年前の地質年代のこと。これまでの地球の長い歴史の中で、地磁気のN極とS極が逆転した時期が何百回とあります。

この養老川流域田淵の地層は、「チバニアン」時代の始まりである地磁気逆転現象の痕跡が、世界中で最もよく残っている地層です。こちらは、2020年に国際基準地として「GSSP(国際境界模式層断面とポイント)」に認定されました。また、国の天然記念物にも指定されています。

(画像提供:市原市)
チバニアンビジターセンター。まずはここから訪れたい

駐車場付近には「チバニアンビジターセンター」があり、地磁気逆転の仕組みと地層の関係、周辺で見られる化石などの解説が展示されています。こちらで事前に学習してから実際の地層を見学すると、わかりやすいのでおすすめです。

地層は川沿いにあり、足場のぬかるみや濡れが予想されるので、見学前に水位の状況をチバニアンビジターセンター公式のInstagramやFacebookにて確認しましょう。

■チバニアン養老川流域田淵の地磁気逆転地層
千葉県市原市田淵1157
【4月~9月】9時~17時【10時~3月】9時~16時
木、年末年始
無料
【電車】小湊鉄道月崎駅よりタクシーで約6分
「チバニアン養老川流域田淵の地磁気逆転地層」の詳細はこちら

(画像提供:市原市)

新緑から紅葉まで楽しめる「養老渓谷」

(画像提供:フォトライブラリー)
養老渓谷のシンボル「粟又の滝」(画像提供:フォトライブラリー)
(画像提供:フォトライブラリー)
清らかな流れと森を体感できる「滝めぐりコース」(画像提供:フォトライブラリー)

房総半島のほぼ中央に位置し、“房総の奥座敷”とも呼ばれる養老渓谷。小湊鉄道養老渓谷駅の周辺から「粟又の滝」、「梅ヶ瀬渓谷」などを合わせた養老川上流一帯の緑あふれるエリアです。

養老渓谷には、約100mにわたって悠々と流れ落ちる粟又の滝をはじめ、渓流沿いの自然を眺めつつ歩ける遊歩道といった見どころがあり、季節ごとにさまざまな表情が楽しめます。

■養老渓谷(滝めぐりコース)
千葉県大多喜町粟又
なし
なし
なし
【電車】小湊鉄道養老渓谷駅またはいすみ鉄道上総中野駅より粟又行きバスで13分 ※粟又の滝停留所下車徒歩6分
「養老渓谷(滝めぐりコース)」の詳細はこちら

まとめ

千葉県中部を横切る小湊鉄道は、車窓風景に浸れるトロッコ列車に乗ったり、途中下車してウォーキングしながら観光スポットを巡ったりと1日楽しめるローカル線。なだらかな山間部やのどかな里山など、房総半島にある海以外の自然に浸れるのが魅力です。運行本数がさほど多くないので、途中下車する際はあらかじめ列車の発着時間をチェックしておきましょう。

※この記事は2023年7月28日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。

梶本 愛貴  梶本 愛貴

長野県出身。おもに旅や鉄道、書籍などの記事を書いています。 旅はぼーっとするのが好き、列車は乗るのが好き、温泉は万座や草津など強めの湯が好きです。大人になって改めて感じた旅や列車の面白さをお伝えしていきます。

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