小豆島は瀬戸内海国立公園の中心地に浮かび、一年を通じて比較的温暖な気候に恵まれた、のどかな場所。海と山が織りなす絶景や名産のオリーブや醤油、そうめんを味わえるグルメスポットが豊富です。
3年に一度、瀬戸内国際芸術祭が開催されていることから、屋外に作品が展示されたフォトジェニックなスポットも年々増えています。観光におすすめの場所やモデルコースを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
小豆島観光のポイントとアクセス
港から車やバスで移動するのがおすすめ
小豆島には土庄港、福田港、坂手港、池田港の4つの港があり、フェリーは高松港、新岡山港、日生港、姫路港、神戸港の間で運航しています。高松港から土庄港は約1時間とアクセスしやすく、香川観光とかねて訪れるのもいいですね。
車も乗船できるフェリーは、小さな子ども連れの旅行や荷物の多い場合のマイカー移動に便利です。また、小豆島の各港には、レンタカーの営業所が充実しています。島周囲は約140km、車で一周するには3時間ほどかかるため、レンタカー活用もおすすめします。
そのほかの移動手段として、島内を走る「小豆島オリーブバス」を利用するのも便利。フリー乗車券も用意されていて、1日券や2日券があるので、旅行のプランに合わせて選べます。
雨が少なく温暖で、穏やかな美しい海に囲まれた小豆島は“日本の地中海”とも呼ばれているそうです。その気候を活かして作られるオリーブや醤油、そうめんは島の特産品として有名です。せっかくなので、ぜひ試してみたいですね。
道の駅 小豆島オリーブ公園
オリーブを五感で楽しめる複合施設

雄大な瀬戸内海を見下ろす小高い丘の上に、約2000本のオリーブ畑が広がる「道の駅 小豆島オリーブ公園」。広い園内には「オリーブ記念館」や、まるで地中海を思わせる白いギリシャ風車、イングリッシュガーデン、実写版映画『魔女の宅急便』に出てくる雑貨屋など、思わず撮影したくなるようなスポットが満載です。


ギリシャ風車の前では、魔法のほうきにまたがって思いっきりジャンプ!実写版映画『魔女の宅急便』に登場するキキになって、思い出の一枚を残してみましょう。
同じく映画に出てくる『グーチョキパン屋』のロケセットを再生した「雑貨コリコ」。ハンドメイドのアクセサリーや素敵な雑貨がたくさん並んでいますよ。
一通り園内をめぐったら、オリーブやハーブをふんだんに使った料理がメインのカフェ「オリヴァス」でランチタイムもいいですね。1階の売店には、小豆島の特産品が多数そろいます。
香川県小豆郡小豆島町西村甲1941‐1
8時30分~17時※店舗により異なる。詳細はHP参照
なし※店舗により定休日あり。詳細はHP参照
土庄港より車で25分/池田港より車で10分
あり(無料)
「道の駅 小豆島オリーブ公園」の詳細はこちら
「道の駅 小豆島オリーブ公園」のクチコミ・周辺情報はこちら
寒霞渓
息をのむほど美しい渓谷が広がる
小豆島のほぼ中央に位置する寒霞渓(かんかけい)は、島の最高峰・星ヶ城山と四方指の間にあります。約1300万年前の火山活動で生じた岩塊が、長い年月をかけて風化、浸食されたことで壮大な渓谷が出現。春の山桜、初夏の新緑、秋の紅葉、そして冬の雪景色といった四季折々の絶景は見事で、特にロープウェイからの眺めは圧巻です。

ロープウェイ山頂駅から徒歩5分のところには、不思議なオブジェ『空の玉/寒霞渓』が常設展示されています。直径4mもある鉄の球体の中から、空と渓谷、瀬戸内海を一望すれば、またひと味違った景色が見られそうです。
なお山頂周辺は平地に比べて、気温が約5℃低いため、冬季の服装には注意をしてくださいね。
香川県小豆郡小豆島町神懸通乙327‐1
8時30分~17時※季節により変動あり(冬季は16時30分まで)
【ロープウェイ】なし※荒天、メンテナンス工事の場合は運休(2026年1月14日(水)~2月6日(金)は設備更新工事のため運休)
【ロープウェイ料金】大人(中学生以上)往復2160円~(片道1200円~)、小学生往復1080円~(片道600円~)※季節により変動あり
土庄港より車で約40分/池田港より車で約30分
あり(無料)
「寒霞渓」の詳細はこちら
二十四の瞳映画村
懐かしさが漂う大正・昭和時代にタイムスリップ

映画『二十四の瞳』のオープンセットを活用した、日本映画と文学のテーマパーク。瀬戸内海を見渡せる海岸沿いには昭和初期の町並みや古い木造校舎が再現され、ノスタルジックな雰囲気に包まれています。校舎の中で、教室の小さな木の椅子に座ってみると映画のワンシーンに入り込んだような不思議な気分になれますよ。
レトロな町並みの中には、映画『二十四の瞳』を上映している「ギャラリー松竹座」や「壺井栄文学館」、オシャレな「ブックカフェ書肆海風堂(しょしうみかぜどう)」、四季折々の景色が楽しめる「花畑」など見どころ満載です。フォトスポットがたくさんあるので、思い出の1枚をしっかり残してくださいね。


食事処やカフェも充実しています。「Cafe’シネマ倶楽部」ではアルマイトの食器が懐かしい「給食セット」、ヤマロク醤油を使った「醤(ひしお)丼」、3種類の蛸料理が楽しめる「蛸っと丼」2000円といったご当地グルメが満喫できます。日本映画の映像や写真が展示してあるので、見学も兼ねてゆっくりと過ごしたいですね。

小豆島や「二十四の瞳映画村」らしいお土産を探すならオフィシャルショップ「チリリン屋」へ。お菓子や特産品、アート関連グッズ、オリジナル雑貨などたくさんの商品がそろいます。
香川県小豆郡小豆島町田浦甲931
9時~17時(最終受付16時30分)
なし
入園料金【3月15日~7月20日】大人900円、小・中学生450円【7月21日~11月30日】大人1000円、小・中学生500円【12月1日~3月14日】大人850円、小・中学生430円
土庄港より車で1時間/池田港より車で40分
「二十四の瞳映画村」の詳細はこちら
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ヤマロク醤油
約150年前から受け継がれる伝統の醤油
小豆島の気候は地中海に似て温暖で雨が少なく、空気が乾燥しており、酵母菌や乳酸菌の発酵に最適なのだそう。明治創業の「ヤマロク醤油」では、その気候を活かし、大きな杉桶を使った“木桶仕込みの醤油造り”が長年行われており、見学することもできます。

見学時には、微生物の働きで発酵させる昔ながらの手法や醤油造りの仕組み、秘訣なども交えながら奥深い世界を案内してもらえます。もろみの発酵を助ける酵母が梁や柱にびっしり付着したもろみ蔵の様子は、なかなか見られる光景ではないかもしれません。なお、酵母菌は納豆菌に弱いので、見学前に納豆を食べないでくださいね。


オープンカフェ「やまろく茶屋」も併設されており、ぜひ試したいのが、濃厚なバニラアイスに適度な甘じょっぱさが加わった「アイスクリーム鶴醤かけかけ」といった醤油を使ったスイーツや、卵かけごはん。醤油屋ならではのメニューを楽しみたいですね。
エンジェルロード
大切な人と一緒に渡りたい神秘的な砂の道

「エンジェルロード」は1日2回、引き潮時に海の中から現れる砂の道です。波が寄せたり引いたりしながら、少しずつ海から砂の道が出てくる神秘的な現象から、「大切な人と手をつないで渡ると願いが叶う」といわれているそう。

エンジェルロードに渡る手前には「約束の丘展望台」が設置され、エンジェルロードの全景を望めます。チャペルを思わせる「幸せの鐘」もあり、ロマンチックなフォトスポットです。

エンジェルロード公園の売店横にはメルヘンチックな「天使のポスト」が置かれ、郵便物を投函すると小豆島にまつわる素敵なデザインの消印を押してもらえます。売店ではオリジナルポストカードや切手も販売しているので、友人や恋人へ、旅の記念に送ってみるのもいいですね。また、貝形の最中をトッピングした「恋するソフト」も好評だそうですよ。
香川県小豆郡小豆島町甲24‐92
なし※売店の営業時間は公式HPを要確認
なし※売店の定休日は公式HPを要確認
土庄港より車で10分
【エンジェルロード公園内】あり(有料)【第2駐車場】あり(無料)
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三都半島アートスポット(神浦地区)
未来へ思いをつなぐ作品にふれてみよう
「瀬戸内国際芸術祭」の開催地である小豆島には、屋外展示された作品が常設としていくつか残っています。その中から島の南端に飛び出た三都半島の神浦地区で見られる、印象的な3作品を紹介します。

高さ9.5m×横幅17mもある巨人が海に向かって足を伸ばし、休息をしているような作品が『ダイダラウルトラボウ』。材料は、拡幅工事で取り除かれた石垣や、広島の厳島神社に関連した廃船、瀬戸内海の各所で集めた流木などを使用しています。人々が大切にしてきた暮らしの記憶をとどめている趣深いアートですね。

『ダイダラウルトラボウ』の近くにある『舟物語』は、アルゼンチン出身の作家が、漁業者の高齢化により使用されなくなった舟を譲り受けて作品にしたもの。漁で蛸を採るために使っていた漁具や、流木などでイスやテーブルが設えてあります。海での役目を終えた後、陸で新たな役割を得てよみがえるという素敵な作品です。

古民家から大きくはみ出た木彫りの巨大なヤドカリ。かなり奇抜な印象ですが、家の中にも海を渡ってきた生き物と人をモチーフにした彫刻を置くことで、この地域の人々が海の生き物と格闘してきた長い歴史を表しているのだそうです。
どの作品からも暮らしの中で大切にされてきたものを絶やさず、未来へ継承していこうという思いが伝わってきます。島の景色とアート作品を楽しみながら、心に残る1枚を収めてみてくださいね。
香川県小豆郡神浦甲274(「ダイダラウルトラボウ」)、香川県小豆郡神浦甲274(「舟物語」)、香川県小豆郡神浦甲717(「ヒトクサヤドカリ」)
なし
なし
土庄港より車で10分
あり(無料)
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Cultiva-カルチバ‐
小豆島の食の魅力を満喫できる洗練されたレストラン
“小豆島の食”にふれる、食べる、持ち帰ることのできる複合施設として、2025年4月にオープン。黒い焼杉を使った三角形の建物が個性的な建物の扉を開けると、開放感あふれるオシャレな空間が広がります。



「小豆島は今もなお残る伝統産業や食の宝庫、瀬戸内でとれる魚介もある。こんなにもおいしい食材がたくさんあるんだ」ということを皆に知ってほしいというオーナー・西本さん。
食材の鮮度にこだわり、盛り付けまで美しい料理の数々。オーナーが自信を持っておすすめするのが、自慢の魚を3種類の調理法やソースで楽しめる「瀬戸内 魚御膳」、6~7種類の鮮魚が味わえる「島の海鮮丼」、希少な“小豆島”のオリーブ和牛を炙り、風味抜群のヤマロク醤油を香ばしく焦がしてかけた「オリーブ和牛丼~焦がし醤油たれ~」です。
そうめんなど小豆島の特産品を使用した加工品や、讃岐の伝統工芸を販売する土産物のショップも併設されています。
香川県小豆郡小豆島町草壁本町615‐25
11時~21時(LO20時)
不定休
土庄港より車で25分/坂手港より車で10分
あり(無料)
「Cultiva-カルチバ‐」の詳細はこちら
井上誠耕園 らしく園
オリーブづくしで旅の思い出を深める
“農家らしく、小豆島らしく、おもてなし”をコンセプトに、食と自然の魅力を存分に感じられるスポットです。
1階のショップ「マザーズ」では、オリーブを使用した化粧品や食品をはじめ苗木や雑貨、地元の特産品を取りそろえるほか、オリーブオイルがかかったソフトクリームが楽しめます。

2階の「レストラン忠左衛門」では、瀬戸内や小豆島の旬の食材をオリーブオイルと共に楽しめます。おすすめメニューは、小豆島のそうめんと同じ技法で作る手延べ麺の「季節のパスタ」や「オリーブ牛のタリアータ」3850円です。
グルメや土産品のほか、手作り体験のプログラムも充実しています。「マイオリーブオイル作り体験」2750円、「ハーバリウム作り体験」1710円、「オリーブ苗木鉢植え体験」4300円などがあって、家に持ち帰ってからも見るたびに旅の思い出に浸れそうです。
海まで続くオリーブの小道を、食後に散策するのも気持ち良さそうですね。
香川県小豆郡小豆島町蒲生甲61‐4
【マザーズ】9時~17時、【レストラン忠左衛門】10時30分~15時(LO14時30分)
【マザーズ】なし※臨時休業あり、【レストラン忠左衛門】不定休
池田港より車で3分
あり(無料)
「井上誠耕園 らしく園」の詳細はこちら
創作郷土料理 曆
豊かな島の食材が使われた、ひと手間かけた創作料理
古民家を改装した趣たっぷりの店。映画『二十四の瞳』で知られる小豆島出身の作家・壺井栄の文学に描かれた、小豆島の食や風習に由来する食材を駆使した創作料理を提供しています。料理には地元でとれた魚、野菜、米をはじめ、醤油やそうめん、ごま油、オリーブ、佃煮といった特産品もふんだんに用いているそうです。


人気メニューは、お昼の定食「小豆島」やコース「栗」です。どちらも壺井栄の作品に登場する料理や小豆島の郷土料理をアレンジしてあり、コース「栗」では、地元で獲れた新鮮な魚料理に加え、柔らかくてうま味たっぷりのオリーブ牛も堪能できますよ。
基本、昼・夜とも予約制ですが、昼は席にゆとりがある場合は「小豆島」のみオーダー可能。目の前に広がる海を望みながら、島の豊かな食文化にふれてみるのもいいですね。
なかぶ庵
伝承の技で生まれる小豆島名物「手延べそうめん」
新食感が評判の生そうめんが味わえる、工場直営の「なかぶ庵」。歴史ある工場の一角をリニューアルした店はレトロな雰囲気が漂います。

厳選した小麦粉と、瀬戸内海の海でできた塩、小豆島の麺づくりに適した癖のないやわらかい水を使用し、長期熟成させた手延べの生そうめんは、のど越しが良く、噛むともちもち、ぷりぷりの食感です。
自社農園産オリーブ果汁とエキストラバージョンオイルを使った「オリーブ生そうめん」1000円もあり、珍しいのでぜひ食べてみて。
また工場では製造工程が見学できるほか、そうめんを引き延ばし、箸で分ける貴重な体験も可能です。
香川県小豆郡小豆島町安田甲1385
10時~14時(LO13時30分)
火・水・木※祝日は営業、年末年始、季節変動あり
【見学】500円(所要時間約20分)【体験】大人1200円、6~18歳900円(所要時間約25分)※要事前予約
池田港より車で20分/土庄港より車で30分
あり(無料)
「なかぶ庵」の詳細はこちら
「なかぶ庵」のクチコミ・周辺情報はこちら
「小豆島」観光モデルコース
オリーブ、大自然、アートをめぐる王道旅
魅力的なスポットが多くある小豆島。1日時間をかけて巡る場合の王道コースを紹介します。
| SPOT.01 |
土庄港 車10分 |
|---|---|
| SPOT.02 |
エンジェルロード 車30分 |
| SPOT.03 |
三都半島アートスポット 車30分 |
| SPOT.04 |
道の駅 小豆島オリーブ公園 車30分 |
| SPOT.05 |
二十四の瞳映画村(昼食) 車20分 |
| SPOT.06 |
ヤマロク醤油 車30分・ロープウェイ5分 |
| SPOT.07 |
寒霞渓 車50分 |
| SPOT.08 | 井上誠耕園 らしく本館 |
スタートは、潮風が心地いい「エンジェルロード」をゆっくりお散歩。その後、海沿いのドライブをしながら三都半島アートスポットに立ち寄り「道の駅 小豆島オリーブ公園」へ。広大なオリーブ園を巡ったら、内海湾沿いをドライブして「二十四の瞳映画村」に行き、ロケセットを見学して、昼食をとります。午後は「ヤマロク醤油」で醤油蔵見学をした後、「寒霞渓」に向かいロープウェイに乗って渓谷美を堪能。帰途「井上誠耕園 らしく本館」に寄ってお土産を購入しましょう。
海や山に囲まれた自然の魅力あふれる小豆島には、オリーブ公園や映画のロケセット、アートなど見どころや島グルメがたくさん!なるべく朝早い時間から動くと、より充実した旅になりますよ。
※この記事は2025年10月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
吉田美保
岡山県在住。主に旅行雑誌を手がける編集会社を経てフリーのライターに。花や自然、動物、お菓子作りが好き。最近の楽しみは近場の山を散策すること。読みやすさ、わかりやすさ、心に焼きつくような文章を心がけています。
















