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2023.09.14

「雲海」って何?どこで見られる?空の専門家に聞いてみた。おすすめ雲海スポットも紹介!

いつもは見上げている雲が眼下に広がって、海のように見える神秘的な大気現象「雲海」。この不思議な現象はどうやって起こるのか、見られる場所や発生しやすい季節、時間帯があるのかなど、雲や天気に詳しい専門家に聞いてみました。また、専門家おすすめの雲海スポットも紹介します。

※この記事は2023年9月12日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。

雲海について知ろう!専門家に聞いてみました。

(画像提供/PIXTA)
画像はイメージ(画像提供/PIXTA)

雲海って何?普通の雲や霧と何が違う?

雲海は、雲が広がって海のように見える自然現象です。雲と言っても色々な種類があり、大きく分けると10種類の雲があります。雲海となりやすいのは低い空にできる「層雲(そううん)」や「層積雲(そうせきうん)」という層状に広がる雲です。

雲海が発生する条件は様々ですが、一番多いのは「放射霧(ほうしゃぎり)」が発生する時です。晴れた夜に地球から宇宙に熱が逃げることで地上の気温が下がる「放射冷却」により、地面付近の温度が下がって水蒸気が水滴に変わり、「放射霧」が発生します。雲じゃないの?と思われますが、霧と雲の違いは、地上に接しているのが霧、接していなければ雲と呼ばれます。そのため、雲海が霧でできているのか雲でできているのかは、その時々で違います。

雲海はどんな場所にできる?どこで見られる?

盆地で放射霧が発生するとその場に霧や雲が留まり、それを少し高いところから見下ろせば雲海となりますが、雲海の発生条件は限られているので、行けば絶対見られるというものではありません。また、盆地でなくとも、条件が整えば山間部や平野部など様々な場所に現れます。

雲海を作っている層雲や層積雲は2000m以下の高さにできるので、それよりも高い山などから見下ろした時に眼下に雲海を見ることができます。高さ数十mほどでも霧が発生することがあるため、条件次第では高層ビルやマンションの高層階などからも見えるのだとか。

雲海を見るのにおすすめの季節、時間帯は?

霧が発生するためには空気中の水蒸気量が多く、湿度がある程度高い必要があり、さらに日中と夜の気温の差も重要です。そのため春や秋が雲海シーズンになります。放射霧が発生しやすい、深夜から早朝にかけて晴れて雲や風がない日の早朝、雨上がりや霧が濃い日の翌朝などは雲海に出会える確率が高くなるのでおすすめです。山に雲海を見に行く際は道路情報や気象・災害情報などにも注意しましょう。

全国のおすすめ雲海スポット

星野リゾート トマム 雲海テラス 【北海道】

星野リゾート トマム 雲海テラス
雲海テラス3階からの景色は、見渡す限りの雲海
星野リゾート トマム 雲海テラス
「雲Cafe」には雲をモチーフにしたメニューが並ぶ

スタッフにとっては見慣れた風景だった雲海を“訪れる人にも見てもらいたい”という想いが発端となり、「星野リゾート トマム 雲海テラス」が2006年にオープンしました。2021年にはリニューアルし、高さ12m3階建ての展望デッキが完成。空中に浮いているようなデッキの先端に立つと、雲海が山を越えて流れ込み、あたり一面を埋め尽くす光景が広がるので、まるで船に乗って雲の海に繰り出して行くような気分を味わえます。

展望デッキの他に6つの展望スポットがあり、「雲Cafe」では、雲をイメージしたドリンクやスイーツも楽しめます。

雲海の発生時期は5~10月で、前日の日中と翌朝の気温差が大きい時に見えやすい傾向にあります。雲は気温が上昇するに伴い、消滅してしまうことが多いため、朝早い時間がおすすめです。

●専門家のおすすめポイント
ダイナミックな雲海を様々な角度から間近で観賞できます。雲海スポットは山間部など整備されていない場所も多い中、こちらは舗装されているデッキで楽しめたり、雲海発生確率がホームページで公開されていたりするだけでなく、様々なアクティビティもあるため家族連れにもおすすめです。

■星野リゾート トマム 雲海テラス
[TEL]0167-58-1111(代表電話)
[住所]北海道勇払郡占冠村字中トマム
[営業時間]【2023年9月1日(金)~30日(土)】4時30分~8時【2023年10月1日(日)~16日(月)】5時~8時※時期により営業時間が異なる※天候状況により雲海ゴンドラの営業を見合わせる場合あり【雲Cafe営業時間】雲海テラスの営業時間に準じる
[定休日]営業期間中なし【冬季閉鎖期間】2023年10月17日(火)~2024年5月(予定)
[雲海ゴンドラ料金]【中学生以上】1900円【小学生】1200円【未就学児】無料【ペット】500円※購入当日に限り、何度でも乗車可能、※その他、詳細はHPで確認※リゾナーレトマムおよびトマム ザ・タワー宿泊者は無料
[アクセス]【電車】JR北海道 トマム駅より無料シャトルバスで約5分※リゾートセンター停下車徒歩すぐ【車】道東道トマムICより約10分※いずれも、ゴンドラ乗場付近まで
[駐車場]50台(無料)
「星野リゾート トマム 雲海テラス」の詳細はこちら

秩父雲海【埼玉県】

秩父雲海
秩父ミューズパークから見える、橋を飲み込むほどの雲海
秩父雲海
美の山公園から見下ろすカラフルな“雲海夜景”

秩父では、盆地の地表の空気が冷えて霧が発生し(放射霧)、朝早くに雲海を見ることができます。市街地を覆うように発生するため、夜景の光が雲海を照らし虹色に輝く“雲海夜景”をはじめ、橋や工場が雲海に包まれる“天空の橋”・“天空の工場”など、様々な風景を楽しめます。

シーズンは春と秋で、ピークは11月。湿度が高く、風が弱い晴れた日の明け方から早朝にかけて、特に前日に雨が降ると雲海が発生しやすいです。

見えやすい場所の一つに「秩父ミューズパーク」があります。「展望台」はもちろん、秩父市発祥の卒業ソング『旅立ちの日に』をモチーフにした「旅立ちの丘」では、歌のメロディーが流れる展望デッキから雲海を眺めることができます。また、“雲海夜景”を楽しめる「美の山公園」は、「埼玉県の夜景100選」にも選ばれた絶景スポットなので、夜に行くのがおすすめです。

●専門家のおすすめポイント
盆地になっている市街地を雲が満たしてできる雲海スポットです。市街地の夜景が雲海を下から照らして虹色に輝く「雲海夜景」は他ではなかなか見られない光景です。橋や工場が雲海に包まれる「天空の橋」など幻想的な世界も楽しめます。

■秩父雲海
[TEL]0494-25-5209(秩父市観光課) [住所]埼玉県秩父郡内・秩父市内
「秩父雲海」の詳細はこちら
■秩父ミューズパーク
[TEL]0494-25-1315
[住所]埼玉県秩父郡小鹿野町長留2518
[営業時間]園内施設ごとに異なる
[定休日]園内施設ごとに異なる
[料金]無料
[アクセス]【電車】秩父鉄道秩父駅・西武鉄道西武秩父駅より西武観光バス秩父ミューズパーク循環バス「ぐるりん号」で約20分※展望台入口停下車徒歩5分、旅立ちの丘停下車徒歩1分【車】関越道花園ICより約50分
[駐車場]500台(特定のイベント時を除き無料)
「秩父ミューズパーク」の詳細はこちら

白山白川郷ホワイトロード【岐阜県】

白山白川郷ホワイトロード
白山白川郷展望台では、ブランコをこぎながら雲海を見られる
白山白川郷ホワイトロード
公式ライブカメラから雲海を確認できることもある

「白山白川郷ホワイトロード」は、手つかずの自然が残された「白山国立公園」内を通る石川県白山市尾添から岐阜県白川村鳩ヶ谷までを結ぶ約33kmの山岳観光道路で、「日本紅葉の見どころ100選」に選ばれています。雲海は9月下旬から11月上旬の、晴れて風が静かで、前日日中との温度差が大きい日の早朝に発生することが多く、この時期だけ朝の道路開門を1時間早めるモーニングタイムが実施されます。また、公式HPのライブカメラの映像から当日の雲海の発生状況の確認が可能です。

おすすめの観測スポットは道路内岐阜県側の「白川郷展望台」や「三方岩駐車場」で、眼下の白川郷集落一帯を覆うだけでなく、飛騨の山並みを背景に岐阜から富山方面へ向けて広く伸びていく様子が見られます。

また、道路内の石川県側には大きな滝も多く、深い峡谷の絶景や白山の眺望が美しいのが特徴です。雲海の発生が多い秋は紅葉も最盛期を迎え、白山が初冠雪した姿が見られることもあります。

●専門家のおすすめポイント
「白山国立公園」内を通る観光道路で、雲海の観賞ポイントが複数あります。10月上旬になると標高の高い地点から徐々に紅葉が始まり、ハイシーズンには山の斜面いっぱいの木々が紅葉で色づきます。紅葉と雲海の共演はこの時期だけのお楽しみです。

■白山白川郷ホワイトロード
[TEL]05769-6-1664(白山林道岐阜管理事務所)
[住所]岐阜県大野郡白川村飯島
[営業時間]【6月~8月】7時~18時【9月~11月】8時~17時
[定休日]なし【冬季閉鎖期間】2023年11月10日(金)~2024年6月上旬
[片道通行料金]【軽自動車】1400円【普通車】1700円
[アクセス]【車】東海北陸道白川郷ICより約30分※白川郷展望台駐車場・展望台まで
[駐車場]17台(白川郷展望台駐車場)
「白山白川郷ホワイトロード」の詳細はこちら

天空の城 越前大野城【福井県】

天空の城 越前大野城
うっすらと雪に覆われた越前大野城と雲海
天空の城 越前大野城
越前大野城天守から見える雲海

「越前大野城」は大野市の中心部にある標高249mの亀山にそびえる平山城です。「越前大野城」のふもとに広がる城下町が雲海に包まれると、“天空の城 越前大野城”が現れ亀山と城だけが浮かんで見えます。雲海が消えて元の町並みが姿を現すまで、まるではるか昔の大野に迷い込んだかのような気分を味わえます。

「天空の城 越前大野城」は、「越前大野城」から西に約1kmのところにある犬山(戌山城址)の「天空の城展望台」から見るのがおすすめです。犬山の険しい登山道を20分ほど登るため、登山の服装や虫除け、野獣除けの鈴などの装備のほか、冬季は積雪対策の備えも必要です。

また、2023年10月~11月の土・日・祝日には、「越前大野城」が朝6時から開館する「早朝開館」を実施予定。城の天守から眼下に望む雲海も見逃せません。

●専門家のおすすめポイント
「天空の城」というと兵庫県の竹田城跡が有名ですが、こちらも「天空の城」を楽しめる雲海スポットです。復興された天守閣が荘厳な情景を作り出しています。雲海が広がって次第に城下町が隠れていく様子、晴れて姿を現していく様子は、息をのむ美しさです。

■天空の城 越前大野城
[TEL]0779-66-0234
[住所]福井県大野市城町3-109
[営業時間]【4月~9月】9時~17時【10月~11月】9時~16時
[定休日]なし【冬季閉鎖期間】2023年12月1日(金)~2024年3月31日(日)
[入館料]【高校生以上】300円【中学生以下】無料
[アクセス]【電車】JR越前大野駅より徒歩約15分【車】中部縦貫道大野ICより約10分※いずれも、登城口まで※登城口から天守まで徒歩約20分
[駐車場] 越前おおの結ステーション、城下町西広場、亀山第1駐車場を利用(無料)
「越前大野城」の詳細はこちら
■天空の城展望台(戌山城址)
[住所]福井県大野市犬山
[営業時間]24時間
[定休日]なし
[料金]無料
[アクセス]【電車】JR越前大野駅より徒歩約30分【車】中部縦貫道大野ICより約10分※いずれも、山の入り口まで。山の入り口から天空の城展望台まで徒歩約20分。登り方の詳細は公式HPを確認
[駐車場]周辺のホームセンター駐車場を利用(無料)※駐車の際の注意事項は公式HPを確認
「天空の城展望台(戌山城址)」の詳細はこちら

竹田城跡【兵庫県】

竹田城跡
竹田城跡の石垣と雲海
竹田城跡
立雲峡からの雲海と竹田城跡(画像提供:兵庫県朝来市)

雲海に浮かぶ山城遺構は“天空の城”と呼ばれ、多くの観光客が訪れます。江戸期より前の石垣がほぼそのまま現存していて、当時の職人技で自然石をほとんど加工せずに積み上げられた石垣は、400年以上たった今も荘厳な姿を見せてくれます。

雲海が出る時期は9月から11月で、明け方から朝8時頃までです。前日の日中と翌日早朝の気温の差が約10℃以上と大きいこと、湿度が高く十分な冷え込みがあること、よく晴れていて風が弱いなどの条件があります。

また、「竹田城跡」が雲海に包まれる“天空の城”の景色を堪能するなら、「立雲峡」がおすすめ。駐車場から「竹田城跡」が最もよく見える第一展望台まで徒歩で30分はかかるため、歩きやすい服装で懐中電灯を必ず持つだけでなく、展望台で雲海を待つ間の寒さ対策を忘れないようにしてください。

●専門家のおすすめポイント
雲海に浮かび上がるお城が「天空の城」として有名なスポットで、“日本のマチュピチュ”とも呼ばれています。放射冷却(地面から熱が放出されて冷えること)によってできた霧の他、相対的に温かい円山川の水面上に冷たい空気が流入して発生する蒸気霧が立ち込めるとこのような光景が見られます。見られる時期は限られますが、ぜひ一度見ておきたい絶景です。

■竹田城跡
[TEL]079-674-2120
[住所]兵庫県朝来市和田山町竹田169
[営業時間]【2023年9月1日(金)~22日(金)】6時~17時【2023年9月23日(土)~11月30日(木)】4時~17時【2023年12月1日(金)~2024年1月3日(水)】10時~14時【2024年3月~5月】8時~18時【2024年6月~8月】6時~18時
[定休日]なし【冬季閉鎖期間】2024年1月4日(木)~2月29日(木)
[観覧料]【高校生以上】500円【中学生以下】無料
[アクセス]【電車】JR西日本竹田駅より竹田城跡周遊バスで20分※山城の郷停下車徒歩約20分【車】北近畿豊岡道・播但道和田山ICより10分
[駐車場]100台(無料)※その他、竹田駅周辺に300台の無料駐車場あり
「竹田城跡」の詳細はこちら
■立雲峡 第一展望台
[TEL]079-674-2120(竹田城跡)
[住所]兵庫県朝来市和田山町竹田
[営業時間]24時間
[定休日]なし
[環境整備協力金]【高校生以上】300円【中学生以下】無料
[アクセス]【電車】JR西日本竹田駅よりタクシーで約10分【車】北近畿豊岡道・播但連絡有料道路和田山ICより10分※いずれも、駐車場まで。駐車場から第一展望台まで徒歩約30分。登り方の詳細は公式HPを確認
[駐車場]50台(無料)
「立雲峡」の詳細はこちら

これもおすすめ!肱川あらし【愛媛県】

肱川あらし
肱川あらしが長浜大橋を吹き抜ける
肱川あらし
風と共に流れていく肱川あらし

「肱川あらし」は日本国内でも珍しい現象で、盆地から流れる冷気が川面で発生した霧を伴った強風となり、川に沿って海に流れ、大規模な時には霧が沖合の数kmに達します。10月頃から3月頃までの朝7時頃から8時頃まで、晴天の日に発生することが多く、風が大きな音を立てて、肱川にかかる跳ね上げ式の可動橋「長浜大橋」を吹き抜けていく姿は、地元の風物詩となっているそうです。

河口近くの小高い山の上には「肱川あらし展望公園」があり、川から広がる霧が町を覆い海へと広がっていく「肱川あらし」の絶景を眺めることができます。展望台から見える、「長浜大橋」の赤色と「肱川あらし」の白色のコントラストは必見。公園は山の上にあるため、伊予長浜駅から歩くと50分ほどで、車では公園併設の駐車場まで10ほどかかります。行くのに時間がかかるため、時間に余裕をもって訪れてください。

●専門家のおすすめポイント
日本三大川あらしのひとつで、晴れた日の早朝、上流の大洲盆地で溜まった冷気が霧を伴って肱川を一気に流れ下る珍しい現象です。川を流れ下りる冷気が強風となってゴォーゴォーとうねりをたてて長浜大橋を吹き抜けます。霧が町をのみ込み、海へと扇状に広がる肱川あらしの様子は、幻想的で自然の壮大さをダイナミックに感じられます。

■肱川あらし
[TEL]0893-24-1719(大洲市都市整備課) [住所]愛媛県大洲市内
「肱川あらし」の詳細はこちら
■肱川あらし展望公園
[TEL]0893-24-1719(大洲市都市整備課)
[住所]愛媛県大洲市長浜甲785
[営業時間]24時間
[定休日]なし
[料金]無料
[アクセス]【電車】JR四国伊予長浜駅より徒歩約50分、車にて約10分【車】松山自動車道大洲ICより約30分
[駐車場]約15台(無料)
「肱川あらし展望公園」の詳細はこちら

今回雲海について教えてもらったのはこの方!

気象予報士 太田絢子さん

気象予報士 太田絢子さん

気象予報士、防災士。気象防災アドバイザーや健康気象アドバイザーの資格も持つ。損害保険会社勤務の中、災害の被害に遭う人をゼロにしたいと思い気象キャスターへ転身。メディアでの気象解説のほか、執筆や講演活動も行う。

まとめ

美しく神秘的な雲海について、その発生条件やおすすめスポットを紹介しました。雲海だけでなく珍しい川あらしもぜひ一度見てみたいですね!夜や早朝に出かける際は、路線バスが出ていないことが多いので時刻表を確認した上で、 懐中電灯の準備や防寒などの対策もしっかりしてお出かけしてください。

※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。

鳥井 晴風  鳥井 晴風

5人の子どもを持つママ編集ライター。 子供に大好きな漫画の主人公の名前を付けてしまうほど漫画アニメ好き。キャラ弁やキャラケーキづくりが得意。好きなお出かけ先は道の駅や直売所など食材が豊富なところ。 自分で収穫する味覚狩りや芋ほりも大好き。