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2024.10.05

【2024年】高山祭の見どころは?春と秋の違いや歴史を解説<岐阜>

岐阜県高山市で毎年春と秋に開催される高山祭。豪華絢爛な屋台行事は2016年にユネスコ無形文化遺産にも登録されました。春は4月に、秋は10月に行われる高山祭ですが、実は少しずつ内容が異なります。今回は春と秋の高山祭の違いや、期間中の宿泊のコツを詳しくご紹介します。
(TOP画像提供:高山市)

高山祭とはどんな祭り?春と秋の違いは?

上町・下町でそれぞれ守られてきた氏神様の例大祭

高山祭
春と秋に2日間ずつ開催(画像提供:高山市)
高山祭
春の高山祭(山王祭)の氏神様を祀る日枝神社(画像提供:高山市)
高山祭
秋の高山祭(八幡祭)の氏神様を祀る櫻山八幡宮(画像提供:高山市)

高山祭は毎年春に行われる「山王祭(さんのうまつり)」、毎年秋に行われる「八幡祭(はちまんまつり)」の総称です。

旧高山城下町は、町を東西に横切る安川通りを境に、南半分が上町(かみちょう)、北半分が下町(しもちょう)と呼ばれており、春の「山王祭」は上町の氏神様である日枝神社の例大祭、秋の「八幡祭」は下町の氏神様である櫻山八幡宮の例大祭を指します。

高山祭の起源は16世紀後半から17世紀とされ、五穀豊穣を願う祭りとして、上町・下町それぞれの氏子を中心に地元高山の人々から大切に守られてきました。

春と秋では場所や屋台の数に違いがある

高山祭
「中橋」と桜、屋台のコラボレーションが美しい春の高山祭(画像提供:高山市)
高山祭
過ごしやすい秋の行楽シーズンに行われる秋の高山祭(画像提供:高山市)

高山祭といえば豪華絢爛な屋台が見もの。屋台とは祭の際に披露されるもので、日本のほかの祭では山車(だし)と呼ばれることもあります。上町で行われる春の高山祭では12の屋台、下町で行われる秋の高山祭では11の屋台が披露されます。
 
伝統行事のからくり奉納も、春は3台、秋は1台という違いがあります。また、秋の高山祭では動く屋台が日中に目の前で見られる「屋台曳き廻し」が行われますが、これは春の高山祭にはない貴重な祭行事です。

春も秋も、初日の夜には煌びやかな屋台がそれぞれおよそ100個もの提灯を灯して祭区域内を巡ります。この夜の祭行事も、春は「夜祭(よまつり)」、秋は「宵祭(よいまつり)」とそれぞれ呼び名が異なります。

2024年秋の高山祭(八幡祭)の開催日時・場所・アクセス

開催日時

2024年10月9日(水)・10日(木)

2024年秋の高山祭(八幡祭)の開催日時
2024年秋の高山祭のスケジュール

2024年秋の高山祭は10月9日(水)・10日(木)に行われます。2日間に渡る「屋台曳き揃え」「からくり奉納」「御神幸(ごしんこう)」と、初日のみ行われる「屋台曳き廻し」「宵祭」で構成されます。
※各祭行事は天候により中止になる場合あり

開催場所

落ち着いた雰囲気が魅力の下町一帯

高山祭
趣のある町並みに高山祭が彩を添える(画像提供:高山市)

開催場所は安川通りの北側にある下町(しもちょう)です。下町は一帯の氏神様である櫻山八幡宮の門前に広がる町で、古くは餅屋や文具店、郵便局など市民の生活関連の店が数多く存在していました。今でも伝統的な飛騨建築の家屋が残り、江戸時代の面影を残した静かで落ち着いた雰囲気が漂います。

会場へのアクセス

櫻山八幡宮へは高山駅から徒歩約25分

「屋台曳き揃え」や「からくり奉納」の会場となる櫻山八幡宮へは、高山駅から徒歩約25分です。市街地には市営・民間問わず数多くの有料駐車場がありますが、下町一帯は2日ともほぼ終日車両通行止めに、安川通りや国分寺通りも時間帯によって交通規制になるため、車で来場する場合は注意しましょう。

2024年秋の高山祭の詳細はこちら

2025年春の高山祭(山王祭)の開催日時・場所・アクセス

開催日時

2025年4月14日(月)・15日(火)

2025年春の高山祭は4月14日(月)・15日(火)に行われます。冬の寒さが厳しい飛騨高山にとって、 春の高山祭は“春を告げる祭り”とも呼ばれてきました。

2日間に渡る「屋台曳き揃え」「からくり奉納」「御巡幸(ごじゅんこう)」と、初日のみ行われる「夜祭」で構成されます。2025年の詳細なスケジュールは「飛騨高山旅ガイド」公式HPに順次掲載予定です。※各祭行事は天候により中止になる場合あり

開催場所

多くの観光客で賑わう上町一帯

高山祭
高山祭の屋台は“動く陽明門”とも称される(画像提供:高山市)

開催場所は安川通りの南側に位置する上町(かみちょう)です。「古い町並」や「高山陣屋」など多くの見どころが集まる観光スポットでもあり、赤い欄干が印象的な「中橋」は、一度は目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

桜が彩る「中橋」に豪華な屋台が巡行する様子は、春の高山祭を代表する光景となっています。

会場へのアクセス

「中橋」へは高山駅から徒歩約15分

「屋台曳き揃え」や「からくり奉納」の会場となる「中橋」周辺へは、高山駅から徒歩約15分です。市街地には市営・民間問わず数多くの有料駐車場がありますが、秋と同様に会場となる上町一帯は2日ともほぼ終日車両通行止めに、安川通りや国分寺通りも時間帯によって交通規制になるため、車で来場する場合は注意しましょう。

高山祭の見どころ

1. 屋台曳き揃え

高山祭
櫻山八幡宮の表参道に曳き揃えられた屋台(画像提供:高山市)

普段は各町内の屋台蔵で大切に保管されている屋台が登場し、1年のうち春と秋のそれぞれ2日間だけ祭区域内で披露されます。彫刻や錺(かざり)金具など、飛騨の名工による匠の技を間近に鑑賞できる貴重な機会とあって、会場周辺は多くの見物客で賑わいます。

各屋台は上町・下町の各氏子によって大切に守られてきました。それぞれの地区の人々は強い団結心で結ばれ、先人が守り抜いてきた屋台を大切に維持・管理しながら、後世へと伝えているのです。

2. 屋台曳き廻し(秋の高山祭のみ)

高山祭
揺れ動く装飾の美しさが見られるのも「屋台曳き廻し」ならでは

町を巡行する屋台を間近で眺められる「屋台曳き廻し」は、秋の高山祭でのみ開催されます。匠の技が作り上げた荘厳な屋台が目の前を通り過ぎる様子はまさに圧巻!動く屋台を日中に間近で見られる点が「屋台曳き揃え」と異なります。

2日間の秋の高山祭のうち、「屋台曳き廻し」が行われるのは初日の午後。4台の屋台が櫻山八幡宮の表参道北側の町を巡ります。

3. からくり奉納

高山祭
巧妙な仕掛けが施された布袋台のからくり人形(画像提供:高山市)

屋台の上で繰り広げられる「からくり奉納」も見どころのひとつ。何本もの綱を人の手で操るからくりには、非常に高度な技術が要求されるため、伝統の技を一目見ようと多くの見物客が集まります。繊細かつ大胆な綱さばきで人形に命を吹き込む様子は、まさに一見の価値があります。

秋の高山祭では布袋台という屋台で、春の高山祭では三番叟(さんばそう)、石橋台(しゃっきょうたい)、龍神台(りゅうじんたい)という3つの屋台でからくり奉納が披露されます。

4. 御巡幸(春)・御神幸(秋)

高山祭
江戸時代にタイムトリップしたかのような光景が広がる(画像提供:高山市)

神様を神輿に乗せて祭区域内を巡る祭行列。闘鶏楽(とうけいらく)や裃姿の警固など、伝統的な装束に身を包んだ総勢数百名の行列が町を歩く様子は、まるで歴史絵巻のようです。
 
春の高山祭では「御巡幸(ごじゅんこう)」、秋の高山祭では「御神幸(ごしんこう)」と呼ばれます。

5. 夜祭(春)・宵祭(秋)

高山祭
屋台の灯りが宮川に映り込む「夜祭」(画像提供:高山市)
高山祭
提灯の明かりが夕闇に映える「宵祭」(画像提供:高山市)

日没後に各屋台がおよそ100個もの提灯を灯して祭区域内を巡る行事で、祭りムードが特に高まる時間帯。後半の帰路は「高い山」と呼ばれる曳き別れ歌の調べとともに、各屋台は町内の屋台蔵へ帰っていきます。春の高山祭では「夜祭」、秋の高山祭では「宵祭」と呼びます。

高山祭会場近くの旅館・ホテルを予約するコツ

春も秋も大勢の観光客で賑わう高山祭。じゃらん・高山エリアの担当者に聞いた宿泊予約のポイントをご紹介します。

宿泊が決まっている場合は早めの予約を

春の高山祭は毎年4月14日・15日、秋の高山祭は毎年10月9日・10日と決まっています。そのため、泊まりで行くならとにかく早く宿を予約するのがポイント。

また、市内には市営・民間問わずたくさんの有料駐車場がありますが、早々に満車になってしまうため、駐車場を備えた宿泊施設を選ぶのもおすすめ。宿泊と合わせて予約できる場合や、先着順など施設によって条件が異なるので事前に確認しましょう。

市街地から少し離れた宿泊施設でも、高山祭当日は宿泊施設が会場近くまでバスを出してくれることがあります。

周辺エリアでの宿泊も狙い目

隣町の飛騨古川エリアは高山市内ほど混雑していない場合が多いので、飛騨古川に宿泊して高山祭へ行くのもおすすめ。飛騨古川駅から高山駅まではJRで15分ほどですが、列車は概ね1時間に1本のため、事前にある程度スケジュールを決めておきましょう。

電車や車で約1時間の下呂温泉、路線バスや車で約1時間の奥飛騨温泉郷に泊まる方法もありますが、高山市中心部の駐車場を利用するならかなり早めに到着する必要があるため、少し離れた臨時駐車場からシャトルバスを利用する方法も検討できそうです。
※シャトルバスの詳細は「飛騨高山旅ガイド」公式HPの高山祭紹介ページに随時掲載

まとめ

地元の手で大切に守り継がれてきた高山祭。飛騨の人々の心意気を感じられる美しい屋台を、ぜひ一度見に行ってみませんか?

※この記事は2024年10月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

小林 亜紗子  小林 亜紗子

岐阜県生まれ。旅行情報誌『東海じゃらん』編集部を経てフリーに。コーヒー、温泉、音楽好き。民芸や郷土食、地域の慣習など、無名の人々に継承されてきたものに惹かれます。二人の子どもたちを各地の温泉に連れ回し中。

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