自然の中でリフレッシュしたい人におすすめなのが、登山よりも気軽に楽しめるトレッキングです。でも、「どんな服装で行けばいいの?」など、初めてだと不安なことがたくさんありますよね。今回は、トレッキングに最適な服装やリュックについて、日本山岳ガイド協会の手塚友惠さんに教えてもらいました。ぜひこの記事を参考に、自然を満喫しにお出掛けしてみてくださいね。
トレッキングとは?登山と何が違うの?
トレッキングの基本的な服装は?
トレッキングにおすすめの靴、トレッキングシューズ(登山靴)の選び方
トレッキングにおすすめのザック(リュックサック)選びのポイントは?
他にもある!トレッキングに必要なものリスト
トレッキングとは?登山と何が違うの?

「トレッキング」とは、野山や人里を訪ね歩くこと。途中で山頂を通る場合があるものの、登頂が目的ではなく、風景や道中の発見を楽しむのが醍醐味です。一方、「登山」は山頂を目指す山岳スポーツで、登頂そのものが目的となります。ちなみに、「ハイキング」は、自然の中でほぼ平坦な道や起伏の少ないコースを歩くことです。
トレッキングは、四季折々の景色を堪能したり、植物の写真を撮影したり、その土地に住む人々の文化に触れたりできる点が魅力です。登山よりは気軽に楽しめますが、服装や道具など最低限の準備はしっかり整えて出掛けましょう。
トレッキングの基本的な服装は?
化学繊維製品を選んで重ね着をしよう

野山では、天候が変わりやすいため、体温調整がしやすいように「レイヤリング(重ね着)」するのが基本です。肌に直接触れるアンダーウェアは、汗を吸収して乾燥させることが大切なので、速乾性の高い化学繊維やウール素材がおすすめ。ミドルレイヤー(中間着)には保温力のあるフリース、アウターウェアには防風防水透湿性に優れたものなど、それぞれ季節に応じた素材やアイテムを選びましょう。
トレッキングでNGな服装
綿の素材は、汗や雨で濡れると乾きにくく、体が冷えて低体温症の原因にもなるので避けましょう。また、デニムパンツは綿素材で乾きが遅く、伸縮性も低いものが多いため、トレッキングには不向きです。
靴は、靴底全体でしっかり地面を捉えられるものが理想です。ヒールの高い靴はやめておきましょう。
春のトレッキングにおすすめの服装
春は、暖かい春風を予想してウェアも薄着の選択をしてしまいがちですが、日当りや風の強弱によって体感温度に大きな違いが出ます。また、標高が高くなるほど気温も下がるので、防寒対策は必要です。
基本はフリースのミドルレイヤーで防寒し、休憩やランチタイムにはダウンジャケットで保温したり、防風防寒ができるレインジャケットなどを羽織ったりして、適宜調整できるよう重ね着しましょう。
夏のトレッキングにおすすめの服装
初夏は紫外線が強くなるため、服装でもしっかりと対処をしておきましょう。標高が上がると紫外線量も増加するので特に注意が必要です。ツバの広い帽子、首を覆うネックカバー、アームカバーなどを利用するほか、サンプロテクト機能のある繊維を使ったウェアも重宝しますよ。
秋のトレッキングにおすすめの服装
秋は朝晩の冷え込みが激しくなるため、長袖シャツやフリースジャケット、薄手のダウンジャケットなどでレイヤリングをして体温調整をしましょう。化学繊維の中綿のジャケットは軽く、使用しないときはコンパクトになるので便利です。
10月になると、標高の高い中山間部では雪が降ることもあるため、標高1500mを超える山へ行く場合は、降雪の可能性を考えて、防寒対策に注意して装備・ウェアを選びましょう。指先や耳を守るために、防水性・保温性のある手袋や、耳当て付きの帽子を用意すると良いでしょう。
冬のトレッキングにおすすめの服装
冬のアンダーウェアは、夏用の吸湿拡散性に優れたものよりも、秋冬用の保温性に優れた中厚手のものがおすすめです。その上にフリースのジャケット、ダウンジャケットなどでレイヤリングします。運動量によっては汗をかくので、ジャケットのジッパーを開閉して、こまめに体温調整するのがポイントです。
また、首や手首、足首などは太い血管が皮膚近くにあることから、体温が奪われやすい箇所です。ネックゲイターや防寒性に優れた冬用の手袋、ウール素材の厚手のハイソックスを着用して、しっかり保温しましょう。
積雪のあるコースのトレッキングやスノーシューのハイキングの場合は、化学繊維のタイツも防寒に効果的です。
トレッキングにおすすめの靴、トレッキングシューズ(登山靴)の選び方

足首の保護や防水性も考慮しよう
山道には傾斜があったり、大小の石が転がっていたりするので、足首を捻らないように、足首が保護されるハイカットのトレッキングシューズがおすすめです。岩場や雪渓を含むコースでは、ソールが硬めのブーツを選びましょう。
また、突然の雨や川を渡る時など、水に濡れる場面もあるため、防水性の高いブーツが良いでしょう。
購入する時はサイズを測定してもらい、必ず試着をして自分の足にフィットするシューズを選んでください。
ちなみに、スニーカーは、トレッキングには適していません。ソールが薄くて柔らかいため、石の突起を踏むと歩きにくく、滑ることもあり危険です。たとえ低山でもトレッキング用シューズを着用しましょう。
トレッキングにおすすめのザック(リュックサック)選びのポイントは?

容量やフィット感を確認
トレッキングのコースや日程に合わせて、適切な容量のザックを選びましょう。日帰りのコースなら、25Lくらいの容量であれば、必要な装備や食料を詰めても十分に収納できます。
ザックを買うときは、実際に背負って自分の体形に合うかどうかフィット感も確認してください。ショルダーストラップの長さを調節し、ウエストベルトやチェストストラップもしっかりと締めると、背負った荷物が安定しますよ。
体感重量が変わる!パッキングのコツ
バランスよくパッキングすると、ザックの重心が安定し、歩きやすく疲れにくくなります。コツは、軽いものを一番下に、重いものは背中寄りの中央部分に配置すること。
まずは、ザックの一番下に、すぐには使わない着替えなどの軽いものを詰め、その上の中央部分、背中寄りに水などの重いものを配置して、重心を安定させます。防寒着のような中程度の重さのものはザックの両サイドや隙間に入れ、左右の重さが均等になるようにしましょう。
トレッキング中に頻繁に使う地図や水、行動食、救急セット、レインウェアは、すぐ取り出せる場所に収納しましょう。
他にもある!トレッキングに必要なものリスト
上記に紹介したもの以外にも、トレッキングの際には次のような装備があると安心です。
・レインウェア
・タオル
・水
・行動食
・モバイルバッテリー
・登山地図
・プレートコンパス
・トレッキングポール
・救急セット
・虫除けスプレー
・帽子
・サングラス
・ヘッドライト
・エマージェンシーブランケット
・ホイッスル
・携帯トイレ
・登山届用紙(必要あれば)
教えていただいたのは…日本山岳ガイド協会 理事 手塚友惠さん

大学時代に自転車でキャンプをしながら日本各地、北米大陸を周遊し、行く先々で山登り。2010年より日本山岳ガイド協会の「百万人の山と自然 安全のための知識と技術 公開講座」 の全国展開、公益法人化などに従事。公益財団法人全国山の日協議会 理事 事務局長。
まとめ
トレッキングを快適に楽しむためには、服装選びが重要です。しっかり準備を整えて、自然の中でリフレッシュする時間を満喫してくださいね。
※この記事は2025年3月17日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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山内 美穂
OLを経てライターへ転身。現在は、主に旅行情報誌で取材執筆。「食」と「美容」にも興味があり、カラダの中からキレイになることを目指して中医薬膳師の資格を取得。