こぼらさんの三重県の旅行記
くれは水辺公園の芭蕉句碑めぐり(伊賀市)
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伊賀市は俳聖・松尾芭蕉の生誕地として知られています。市内のあちこちに、意匠を凝らした芭蕉句碑が建てられていて、観光客が楽しめるようになっています。しかし句碑は分散していて、限られた時間しかない観光客にとって、句碑めぐりは難しいものがあります。このため、たくさんの芭蕉句碑を1カ所に集め、芭蕉翁の俳句の世界を短時間で堪能できるようにする工夫がなされました。この「くれは水辺公園」は、そういうスポットの一つです。 上野城からは北東方向へ1kmほど離れますが、矢谷川の両岸に作られた細長い公園です。静かな園内には、16基の芭蕉句碑の他に、四季の広場や散策路、東屋などが設けられています。地元の人たちは、散歩やウォーキングを楽しんでいます。
三重ツウ こぼらさん 男性 / 60代
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- 1日目2017年10月30日(月)
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目測ですが、片岸1kmほど、両岸のべで2kmほどの細長い公園です。のべ2kmくらいの周遊コースに点在する芭蕉句碑を探しながら歩くのは、ちょっとした面白さがあります。「秋の広場」からスタートしてみました。くれは水辺公園の西端あたりです。上野公園内の俳聖殿に似せた東屋があり、句碑めぐりの気分を盛り上げます。
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この公園で最初に出会った芭蕉句碑です。影待や 菊の香のする 豆腐串(かげまちや きくのかのする とうふぐし)元禄6年(1693)秋の作。句意は「菊薫る今宵の影待は、ご馳走の豆腐田楽にさした青竹の串にまで、庭前の菊の香がしみこんでいる感じでまことにさわやかな思いがする。」。「わかや」さんが代表的ですが、伊賀上野は豆腐田楽が名物です。でも、この句は江戸で詠まれたものです。
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2番目に出会った芭蕉句碑。山吹や 笠にさすべき 枝の形(やまぶきや かさにさすべき えだのなり)元禄4年(1691)春の作。句意は「山吹が咲いている。これを笠に插して花笠にするのによい枝ぶりである。」。
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3番目に出会った芭蕉句碑。目にかかる 雲やしばしの 渡り鳥(めにかかる くもやしばしの わたりどり)いつ頃のものかは不明のようですが、秋の作。句意は「渡り鳥の大群が、しばらくの間、雲かと見えるばかりに太陽を暗く遮り、やがてはるかな空の彼方に消えて去ってゆく。」。
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「秋の広場」の散策路を、さらに東へ進んだところです。このあたりは、散策路がまっすぐ伸びていて、ジョギングに好適。車は入ってこられないようになっていますので、安心して散策ができます。
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「秋の広場」の東端には公園が設けられています。ここにだけトイレがあります。「しらさぎ橋」の袂付近です。公園内には句碑がひとつ建っています。
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4番目に出会った芭蕉句碑。名月に 麓の霧や 田のくもり(めいげつに ふもとのきりや たのくもり)元禄7年(1694)秋の作。伊賀上野「無名庵」にて月見の宴を催した折りの句とのこと。この句を詠む時、芭蕉翁の視野には「くれは水辺公園」のあたりが入っていたはずです。芭蕉翁は、この後伊賀を発ち、大阪で客死しました。
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「秋の広場」内の公園にある東屋。ちょっと高い場所にあって、「秋の広場」と対岸の「春の広場」を見渡すことができます。
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5番目に出会った芭蕉句碑。「しらさぎ橋」の袂にあります。一里は 皆花守の 子孫かや(ひとさとは みなはなもりの しそんかや)元禄3年(1690)春の作。これも伊賀上野で詠まれた句です。伊賀市予野にある花垣神社に、この句を刻んで苔むした碑があります。句意は「この村里の人は、みんな(平安時代、桜の季節になると、帝に献上される桜の木を守る役目を負っていた)花守の子孫なのであろうか。桜を大切にしていることだ。」。
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「しらさぎ橋」から、さらに東へ進むと「夏の広場」になります。このあたり200m程は句碑に出会いません。ふと川を見ると白鷺がいて、じっとこちらを見ていました。近くで見ると、大きいのに驚かされます。
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6番目に出会った芭蕉句碑。「夏の広場」それ自体が公園の東側にありますが、句碑は本当に東の端にあります。元禄6年(1693)秋の作。老いの名の ありとも知らで 四十雀(おいのなの ありともしらで しじゅうから)句意は「かわいらしいシジュウカラ。その名称に「40歳」と初老を意味する文字がついている事も知らず、機敏に飛びまわり、楽しそうに囀っていることよ。」。芭蕉翁は「老い」を感じ始めていたのでしょうか。この句を詠んだ翌年に亡くなっています。
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7番目に出会った芭蕉句碑。6番目の句碑からは、道をはさんで対岸(東側)にあります。非常に大きな句碑です。貞享2年(1685)夏の作。「奥の細道」の道中、酒田で詠まれたもの。芭蕉翁は、瓜が大好物だったそうです。はつ真瓜 たてにやわらん 輪にやせむ(はつまくわ たてにやわらん わにやせん)句意は「初物の真瓜をたてに割ろうか輪切りにしようか。はやく食べたい。」で、弟子達に対し「句なき者は喰う事あたわず」と戯れて発句を促したものだそうです。
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8番目に出会った芭蕉句碑。7番目の句碑より、さらに東にあります。ここはもう水辺公園ではないように思える所に広場があって、その中程にぽつんと立っています。 寛文6年(1666)夏、芭蕉翁23歳、若き時期の作。杜若 にたりやにたり 水の影(かきつばた にたりやにたり みずのかげ )句意は「杜若が水に映った影は本物そっくり。花も影もまことによく似ているものだ。」。「にたりやにたり」は、何か隠喩しているのでしょうか。ストレートに読めば、句意が当たり前すぎて、勘ぐってしまいます。若い頃の芭蕉の句は、そういう要素があります。
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9番目に出会った芭蕉句碑。6番目の句碑とは、川をはさんで対岸にあります。元禄2年(1689)春の作。ひばり鳴く 中の拍子や 雉子の声(ひばりなく なかのひょうしや きじのこえ)句意は「ひばりのさえずる春の日、その鳴声に合いの手を入れるように雉子が拍子をつける。実に長閑な春のさかりである。」。のんびりとした春の田園を詠んでいるところから、元禄3年(伊賀)春の作という説もあるようです。
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橋を渡り、対岸の9番目の句碑を過ぎたら、しばらく句碑はありません。さらに西に進むと「春の広場」です。「春の広場」の東屋。この公園にある東屋の中では一番大きく、茶室風のデザインとなっています。奥に「しらさぎ橋」が見えています。
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「春の広場」の東屋の近くに10番目の句碑がありました。元禄3年(1690)春の作。伊賀上野の藤堂藩士:小川風麦邸での俳席で詠まれたものだそうです。木のもとに 汁もなますも さくらかな(きのもとに しるもなますも さくらかな)句意は「桜の木の下で花見をしていると、そこに花びらが次々と降ってきて、おかげで汁椀といわずナマスといわず花びらで一杯になってしまう。なんと豊かな花の一日であろうか。」。「汁もなますも」は当時の慣用句で「何もかも」という意味だそうです。
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ここで水辺公園の中心部にある「しらさぎ橋」まで戻ってきました。ここから「春の広場」の西側になります。「しらさぎ橋」から西方向を見ています。手前に句碑が見えていますね。
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11番目の句碑です。同じ句を刻んだ碑は、伊賀市三軒家の旧大和街道近くにもあります。奈良を目指して伊賀を発ち、峠を越えて笠置あたりで詠まれたとされます。春なれや 名もなき山の 朝がすみ(はるなれや なもなきやまの やまがすみ)句意「ああ、もう春なのかなあ。こんな名もない平凡な山々にもうっすらと霞がたなびいている。」。「春の広場」にふさわしい句ですね。
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さらに西へ進むと「冬の広場」に入ってきます。春と冬の境付近にあるオブジェ風なアーチ。落葉して枝だけになってしまった樹木をイメージしているのでしょうか。雨やどりには使えませんが、藤棚にしたら似合いそうな気がします。
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「冬の広場」の東屋。雰囲気が重々しいですね。植栽の手前に句碑があるのがわかりますか?
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12番目の句碑です。「冬の広場」の東屋の近くにあります。貞享2年(1685)春の作。旅がらす 古巣は梅に なりにけり(たびがらす ふるすはうめに なりにけり)句意「自分は旅烏のように所定めぬ漂泊の身。久しぶりに故郷にもどってみると、懐かしいこの古巣は今も昔も変わらず梅が咲き匂っている。」。
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13番目の句碑です。元禄3年(1690)冬の作。ひごろにくき 烏も雪の 朝かな(ひごろにくき からすもゆきの あしたかな)句意「雪の朝はみな新鮮で、普段は鬱陶しいカラスでさえ、白い雪とのコントラストで、風情を感じるから不思議なものだ。」。カラスが登場する句だからでしょうか、句碑も真っ黒です。句碑のまわりに、うっすらと雪が積もれば、句に詠まれた情景になるのかもしれません。
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「冬の広場」の西端が近づいてきました。散策路のそばに、ぽつんと句碑があります。これが14番目の句碑です。大きな句碑もあれば、小さな句碑もありますね。
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14番目の句碑です。元禄4年(1691)冬の作。美濃・大垣で詠まれています。凩に匂ひやつけし 帰り花(こがらしに においやつけし かえりばな)句意「季節外れの狂い咲きの花が、草木を枯らす凩にも色艶をつけたのか、この庭園は寂しく冬枯れた中にもどこか全体に潤いが漂っている。 」。
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14番目の句碑を過ぎて、通りを横断し、「冬の広場」の西端・最終地点に向かいます。ちなみに、4つの広場には公園全体の案内図があります。これは「冬の広場」にある案内図。
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15番目の句碑です。子供向け遊具がある広場になっています。貞享3年(1686)冬の作。君火を焚 よき物見せむ 雪丸げ(きみひをたけ よきものみせん ゆきまろげ) 句意「(よくおいでになった。)君は炉の火を焚いて温まっていなさい。その間、私は庭の雪で雪だるまを作ってお目にかけよう。サプライズ!」。芭蕉翁の茶目っ気を感じますね。遊具では、小学生くらいの子供達が何人も遊んでいました。何か、句碑に合ってる雰囲気でした。
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16番目。この句碑めぐりでは、いよいよ最終となりました。寛文6年(1666)冬の作。時雨をや もどかしがりて 松の雪(しぐれをや もどかしがりて まつのゆき)句意「松は、時雨がどれだけ降ろうが紅葉しない。それでも松が待っていたら、雪が松を真っ白に染め上げてくれたことよ。」。松と「待つ」の語呂合わせになっているのに気づけませんでした。芭蕉翁の句は深いです、本当に。
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「冬の広場」には芭蕉翁だけでなく、他の俳人の句碑もあります。この句碑の前は、遊具を備えた広場になっています。小高いところにある東屋からは、服部川の流れが一望できます。ひたすら探し歩きでしたが、芭蕉翁の句碑めぐりは楽しかった。
くれは水辺公園の芭蕉句碑めぐり(伊賀市)
1日目の旅ルート
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