こぼらさんの滋賀県の旅行記

甲賀の寺めぐり
- 1日目2018年10月8日(月)
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鶏足山慈照院伊勢廻寺。「いせばじ」と読みます。真言宗泉涌寺派の寺院です。 境内には本堂・庫裏・聖天堂などがありますが、目立つ建物は庫裏です。でも住職のお住まいである庫裏の周りを徘徊する訳にもいきませんので、本堂に向かいます。 これが本堂?宝物殿ではないのかと思えてしまう建物です。本尊は木造十一面観音坐像と両脇侍立像で、国の重要文化財に指定されているとのことでしたが、この日は開帳されていませんでした。
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本堂には、中央に十一面観音坐像が安置され、向かって左に毘沙門天像、右に不動明王が配されているとのこと。この三尊像は一括して重文に指定されています。 本堂が、宝物殿のようにガードの固い造りになっているのは、これだけの秘仏を所蔵しているからですね。無理もない話です。
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重文の三尊像を所蔵しているという特殊事情を除けば、境内に特に見るべきものはなく、山間のお寺という感じです。でも、なんとも心が安らぐ雰囲気なのです。鐘の下には大きなカエル君(信楽焼)が佇んでいました。
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山門前の参道の風景。子供の頃は、近所のお寺の境内で、よく遊んだものです。 伊勢廻寺の参道に立ったら、昔の情景を思い出して、とても懐かしさを感じました。
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聖天堂の前から見た本堂。聖天堂に向かうには、本堂の脇から鳥居をくぐります。神社の扱いになっているのですね。
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甲賀市に来ると、いつも立ち寄る「いちばん珈琲」でランチ。日替わりランチは、ごはん系のAセットとパン系のBセットの2種類あります。この日はBセットを選択。生ハムサラダがメインでした。サラダがメインディッシュのランチは初めてでしたが、野菜をボリュームたっぷり食べられてヘルシー。満足。
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プラス200円でデザートセットが追加でき、ドリンクと可愛らしいデザートが付いてきます。
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福生山自性院櫟野寺。天台宗の寺院です。伝教大師最澄が、この地を訪ねたところ霊夢を感じて櫟の生木に十一面観音像を彫り、それを本尊として開山したと伝わります。比叡山延暦寺建立のための木材供給地だったようです。 平成30年10月6日から12月9日の間、33年ぶりの大開帳が開催されています。普段の拝観料は500円とのことですが、本尊にして秘仏、そして国内最大の座仏観音像「木造十一面観音菩薩」の特別拝観料が300円追加されて800円納めての拝観でした。 十一面観音坐像は、かつては年に数回ほど御開帳になっていたそうなので、今回の大開帳では、どんな特別な要素が加わっているのか楽しみでした。 十一面観音坐像の他には、木造薬師如来坐像(甲賀三大仏の一つ)・坂上田村麻呂が安置したと伝わる木造毘沙門天立像・木造地蔵菩薩坐像も有名で、普段はこれらの仏像を拝みに来られる人たちも多いそうです。
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山門前の参道に入ると、左手に十一面観音の石像が整然と並んでいます。信者によって奉納されたものだそうです。
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仁王門の仁王様は、ガラス板に囲まれ防護されています。金網に囲まれた仁王様は見かけますが、ガラス板の例は初めてです。ここの仁王様は花粉症なのでしょうかねぇ?夏場は暑いだろうなと同情もしてしまいます。
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ガラス越しに撮影した阿形像。鎌倉時代末期〜室町時代の作品。充血したように真っ赤な玉眼からは迫力を感じます。
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同じくガラス越しに撮影した吽形像。いかにも金剛力士らしい、筋骨隆々の力強い体格が表現されています。
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仁王門の横には、こうした解説パネルがありました。御本尊の十一面観音坐像の写真が付いています。坐像そのものが高さ3m余りありますし、下から仰ぎ見るように壇上に安置されているため、とても大きく感じます。 珍しく「忍びの里・伊賀甲賀」の表示が入っています。御存知ない方が多いのですが、伊賀と甲賀は隣り合わせなんです。古代では、どちらも伊賀国だったという話もあります。
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今回の大開帳は、一昨年から実施されていた大改修が済んで初めての御本尊公開というのが特別なのです。 大変に気合いが入っているようで、東京国立博物館や大阪市立美術館に寄託されていた四体の仏像も、この機に宝物殿に戻され、二十体の重要文化財が約80年ぶりに勢ぞろいしています。 宝物殿には、二十体の重文の仏様が並べられていて、至近距離からを拝見することができました。
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大改修を終えたばかりの本堂は、ご覧の通り、ピッカピカです。
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清涼山浄光院明王寺。その名の通り、庭園が美しい天台宗の山寺です。9世紀初期の開基と伝わります。庭園は、とても手入れが行き届いていて、素晴らしいの一言に尽きます。書院は現代的な建物ですが、庭園の雰囲気にマッチしています。庭園を眺めながら、ここで静かに写経ができたらなどと妄想してしまいました。
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庭園から本堂の方を望んでいます。つい最近、庭園が整備されたのでしょうか、庭石には苔がほとんど付いていません。10年後20年後に、どのように美しさを増していくのでしょうか。
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高台に本堂はあります。本尊は、伝教大師最澄の作という不動明王で、この像を中心に4つの明王像が配置されている(五大明王)そうですが、本堂の外からは見られませんでした。
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正確に言うと本堂の扉は開いていたので、その気になれば外より五大明王を拝見する事は可能でした。何か畏敬のようなものを感じて、賽銭箱がある所まで上る気にはならず、下の方からお参りをしました。
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本堂前から庭園を見おろします。これからも、更に手が加えられて趣を増していくのでしょうね。
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池の西側には楓が多く植えてあります。水面に映ったもみじが赤くて、これから深まりゆく秋の姿を予想させてくれました。10月下旬から11月中旬頃には、それは素晴らしい庭園風景になっているでしょう。
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既に紅葉が進んだ楓もありました。お寺の周囲には山と田んぼしかなく、とても静かです。閑静で見事な庭園ですが、訪れる人も少なく、何かもったいない感じがしました。
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臨済宗妙心寺派・寿亀山正福禅寺。この寺は徳川綱吉にゆかりがあるので、屋根や賽銭箱には金色の三ツ葵の紋があしらわれています。 本堂内陣須弥壇上の厨子内に、本尊で秘仏の木造十一面観音立像(国重文)が安置され、脇陣に木造釈迦如来坐像(国重文)がおられるそうです。十一面観音立像は像高136cm、釈迦如来像は像高140cmで、ともに平安時代の作です。 33年ごとに開帳、17年ごとに中開帳があるほか、毎年8月10日に開扉されているそうです。開帳や中開帳の時期はわかりません。8月10日に訪問すれば、本尊秘仏の木造十一面観音立像が拝めるのでしょうか。
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本堂近くの庭園に建っている由緒書。日本史の有名人物が2名登場する立派な由緒です。 飛鳥時代に聖徳太子によって開創され、本尊の十一面観音菩薩・釈迦如来・地蔵菩薩・四天王・山門の金剛力士像が太子の一刀三礼によって製作されたという。しかし、伊賀に極めて近い場所にあるため、天正伊賀の乱の兵火によって灰燼に帰してしまったそうです。幸い本尊と諸仏は難を逃れましたが、寺院としての存在が50年余り途絶えていたとのことです。 その後、実堂大和尚によって臨済宗妙心寺派の寺院として再興された。実堂大和尚が、徳川五代将軍・綱吉がお世継ぎに恵まれるように祈祷した事が評価され、以後徳川家の祈願寺となり「三ツ葵」の紋が下賜されたそうです。
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程よく苔むして、風情のある石段を上ると仁王門に至ります。仁王門のむこうは、緩やかな坂道の参道となっています。本堂に行くには、この石段を上って参道を歩くか、脇に狭い車道があるので車で進むかのどちらかになります。この石段の前に3台程度なら駐車できるスペースがありますので、ここに車を駐めて、歩いて進むことをお薦めします。参道は杉の古木に囲まれていて、とても風情があるからです。
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仁王門の様子。門の建物や扁額は、補修や改築がなされているようです。仁王さんは、江戸時代に寺が再興された頃のままのようで、非常に傷んできているのが残念です。
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本堂前の庭園と手水場の様子。苔むした庭園が見事です。
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本堂の前の賽銭箱には、確かに金色に輝く「三ツ葵」がありました。綱吉ゆかりの寺なのですが、金色の「三ツ葵」を見ると水戸光圀や印籠を連想してしまうんですね。自身の発想が貧困なのか、テレビの見すぎなのか。
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石造・宝篋印塔。南北朝時代の作。ということは、天正伊賀の乱で伽藍が灰燼に帰した際も、ここにあった事になります。きっと、恐ろしい情景を見届けてきたのでしょう。 完存状態とのことで、よく兵火で破壊されなかったものです。
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本堂から仁王門へ戻る際に見た参道周辺の情景です。杉林に囲まれていて薄暗いのですが、空気が澄んでいて、とても神秘的な雰囲気がしました。正福禅寺の見所の一つです。
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帰り道、コスモス畑を見つけたので寄り道しました。まだ花の密度が低いのか、思うようには撮影ができませんでした。
甲賀の寺めぐり
1日目の旅ルート
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