こぼらさんの福井県の旅行記

東尋坊と雄島
- 1日目2018年10月19日(金)
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東尋坊の手前、土産物屋さんが並ぶ商店街の中にあります。きれいな部屋に、東尋坊周辺の散策マップをはじめ、坂井や三国の観光スポットの資料がずらりと並べられています。 東尋坊を見るだけならともかく、少し離れた雄島や越前松島にも行くならば、付近の地図や解説資料があった方がいいですよ。皆さん三国に来たら、まずは東尋坊に向かうのでしょうから、この案内所は絶好の場所にあるといえます。
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こんなにたくさん資料をいただきました。全部見て回るには、朝から夕方まで丸1日かかりそうです。ここに着いたのが午後1時ですから、夕方までの4時間足らずでは、とても回りきれないなと思いました。
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景勝地として有名な東尋坊ではありますが、あらためて表示を見ると越前海岸国定公園に指定され、国の天然記念物や名勝としても指定されています。いわば、国のお墨付きの名所ですね。 土産物屋や海鮮物の食堂が並ぶ商店街を通って東尋坊に至ると、視界が急に開けます。一般的には、ここから石段を下って断崖見物に行きますが、海上から東尋坊を眺めるなら観光遊覧船を使うこととなります。遊覧船乗り場に向かう石段は、断崖に進む石段と途中までは共通です。
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こちらは天然記念物及び名勝としての東尋坊の表示碑。
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商店街通りから東尋坊観光遊覧船乗り場に下りていく石段の手前に、きっぷ売り場があります。1400円の乗船料は少し高いと思いましたが、今回は乗るつもりで来ているので、迷わず購入。 結論を先に言ってしまうと、それだけの値打ちがある楽しみが得られます。陸の上から見る東尋坊と、海上から見る東尋坊は全く違っています。
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きっぷ売り場前から、遊覧船乗り場を見下ろしたところ。結構急な石段を下ります。
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乗り場から遊覧船を見ています。窓が開閉できるのと、シートの形状から、バスみたいだなと思いました。
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いざ出発!船が入江から出て、方向転舵する時は、それはもう揺れる揺れる。一瞬ではありますが、横に25°程度は傾いた時もありました。スリル満点。乗り物に弱い人は、酔い止め薬を飲んでおいた方がいいでしょう。波の高さは2m弱とのことでしたが、船長さんによれば「穏やかな方です。」とのこと。 海側座席には波しぶきがビシバシ当たってくるので、窓なんて開けられたものではない。操舵席の窓ではワイパーがせわしなく動いていました。
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これは後で、陸の上から撮影した遊覧船。陸から見ると、白い波を立てて雄々しく疾駆する遊覧船という感じですが、乗ってみないと独特のスリルは味わえないものですね。
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遊覧船に乗ると、最初に案内されるのが雄島西岸の断崖。 島全体が流紋岩という火山岩だけでできているのが特徴で、海に接する断崖には柱状節理や板状節理が見られる景勝地になっています。 小さな島の中で、南東側ではほぼ垂直に切り立った柱状の岩(柱状節理)が見えるのに、わずか数百メートル離れた北西側では45°傾いた柱状岩のてっぺんだけが露出している(板状節理)際立った違いを見せているのが地質学的に珍しいのだそうです。
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雄島の南側で見られる柱状節理。石柱状の縦長の岩を束ねたように、ほぼ垂直に切り立っているのが見えます。
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遊覧船から見上げると、断崖の上に赤い鳥居があります。大湊神社の鳥居です。鳥居の奥に社殿がありますが、雄島全体が御神体なのだそうです。 航海と漁業の守護神ということですが、三国の漁師さんたちは漁船の上から鳥居に向かって礼拝するのでしょうね。
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遊覧船は、雄島の近くまで行ってから東尋坊の方へ戻るコースを取ります。途中、上を荒磯遊歩道が通じている崖の近くを通りかかります。ここで船内アナウンスがあり、ティラノザウルスが見えると言うのです。どれかわかりますか?白っぽい岩が、口を大きく開けて横向きに立っているティラノザウルスに見えるのです。 真上の荒磯遊歩道を歩いていても、ティラノザウルスは見えません。
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ここが昔、東尋坊という悪僧が突き落とされて死んだと伝わる断崖。大池と呼ばれているようです。海面との最大落差は25mとのことです。ここは断崖の上から見下ろした方がスリルがありそうです。船内からだと、屋根が遮って見上げることができませんからね。
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遊覧船は、ご親切にも大池に舳先から入ってくれます。もっと波が高い日には入ってくれないようですね。 窓のすぐ先に絶壁が迫ってきます。迫力があるというか、圧迫感を感じます。遊覧船を、まるで車をガレージに出し入れするように操る操舵手(船長さん?)の腕前には脱帽です。
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遊覧船から見た東尋坊タワー。タワーそのものの高さが55mで、標高45mの場所に立っているので、展望室は海抜100mになります。レトロなデザインのタワーですが、今でも存在感があります。
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遊覧船から降りて石段を上がると、遊覧船乗り場のある入江や、隣の大池も含めて、カエデの葉のようにギザギザな入江が連なっているのが観察できます。 もし海水や陸の樹木がなかったら、火星の地表みたいなのでしょうね。
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遊覧船の船内アナウンスで、火曜サスペンス劇場のロケに使われたと教えてもらった場所。火曜サスペンスが大好きな家内が行ってみると言い出したので、仕方なく?興味津々?に、ついていきました。 写真の左下に赤いコーンが2つ立っている小道がありますが、その辺りにカメラを構えていたらしい。ということは、俳優さんたちは写真右側の断崖の上に立っていたのでしょうか。
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赤いコーンの所まで下りて見回してみました。目立った断崖は見当たらず、下の方にある岩の波打ち際が美しい。ここで、ドラマのクライマックスシーンの撮影がされたのだろうか。よくわかりません。
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適度なアップダウンがある眺めの良い散策路です。この真下に、柱状節理の切り立った断崖があることは歩いているだけでは知りようもありません。先ほど遊覧船から見ていたので、この辺だったなとわかるだけです。
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荒磯遊歩道は、「景勝の小径」とも呼ばれています。この辺りからの夕陽の眺めは「日本の夕陽百選」に選ばれているそうです。
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荒磯遊歩道は、東尋坊と雄島を結ぶ約1.4kmの散策路です。
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東尋坊から見た雄島。周囲2kmの小さな島です。越前海岸からは、雄島橋という歩行者・自転車限定の赤い橋を渡って行けます。 島全体が、大湊神社の御神体とされていて、地元の人たちは恐れ敬って住み着かない無人島なのだそうです。 荒磯遊歩道から見ると近そうなので、次は雄島に行くことにしました。
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東尋坊周遊を終えて駐車場に戻る途中で寄りました。東尋坊のランドマークです。 前回、タワーも含めて東尋坊に来たのは35年くらい前だったので、懐かしく思いました。さぞかし古びているだろうなと思っていましたが、しっかりメンテされているようです。海抜100mの展望台に上がるエレベータは扉がピッカピカでした。ただ、エレベータ利用料(展望台入場料)が500円というのは、どうかとも思います。 昔は、それなりの広さのレストランで定食類が食べたければ、この東尋坊タワーしかありませんでした。また、土産物店の駐車場に依存せずに駐車できる広い場所も、ここしかありませんでした。今は事情が変わってきています。新たな魅力を備えて、いつまでも残っていて欲しいです。
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東尋坊タワーは、観光バスで来る団体客が展望台で楽しんだ後、2階レストランで食事をする事を想定しているようです。1階の売店は余り品揃えがよくありません。土産物の販売は周囲の商店街に任せているようです。でも昭和の雰囲気が漂っていて、子供の頃を思い出せます。
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置物や部屋飾りの陳列台。手前のネコの置物と目が合ってしまったら、そのまま帰りづらくなって1匹購入しました。
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これが東尋坊タワーで買った菓子「五月ヶ瀬」と、ネコの置物。五月ヶ瀬は三国を代表する菓子です。
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雄島に渡る雄島橋。手前に無料駐車場やトイレがあります。島全体が御神体とのことで、橋を歩いて渡っていると、軽々に立ち入ってはならない神域に入っていくような気がして緊張してしまいました。
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そんなに高さがある橋ではないので、自分の足元に波が寄ってくるように感じます。波の音が心地よく聞こえます。
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橋を渡りきって島に立ち入ると、白い狛犬と鳥居が正面に現れます。無人島だし、陽が傾いて薄暗くなり始めていたので、どことなく不気味。これ以上先に進んで良いものか迷いましたが、入る事にしました。
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灯籠の奥には、樹木のトンネルが黒々と待ち構えていました。島を散策するには、この中に入っていくしかないようです。
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恐る恐る樹木のトンネルの中に進むと、案外明るくて一安心。神社仏閣風の石段になっていました。手前に写っている、幹が黒っぽい樹木が、雄島の特徴の一つ「ヤブニッケイ」。 この石段を上がりきると十字路になっていて、左に進むと大湊神社、右に行くとヤブニッケイやタブノキの原生林、正面に行くと灯台の方へ行けます。
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大湊神社の境内は、雄島全体と対岸の安島にあるもう一つの大湊神社(陸ノ宮:あげの宮)までも含めた広いエリアなのだそうです。写真は、雄島にある社殿です。三ツ葵の紋が付いた陣幕が張られています。 昔からあった社殿は、織田信長による北陸征討時に焼き払われ、所領も没収されてしまい、無人となって荒廃していた時代があったようです。 江戸時代になって(1621年)、福井藩主・松平忠直が神社の由来を知り再建したのが現在の社殿。松平家によって、武運長久・国家安全の祈願所にも定められたので、三ツ葵の陣幕が張られているのです。
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創建は白雉年間との事ですから、7世紀の中頃、大化の改新直後の時代ですね。当時の日本は内憂外患な状態で、大陸の脅威にさらされていたようです。この神社の解説によれば、「異国の軍船が当国へ渡来した時、当神社の大神等が松ヶ原の岡(今の陣ヶ岡)に於て、霊験を顕わし夷賊を退治し給われしことが、後文武天皇の叡聞に達し、大宝元年二月二十日三人の勅使が当浦に下向されて、三千七百石余の社領を御寄進賜わりました、夫より当社を弓矢の神様と崇め参拝祈願の人々は神前に矢の羽を奉納されることとなりました。」という由緒が書かれています。 異賊撃退に功を上げた武人が、地元では神として崇められ神社となったというくだりは、各地の海に面した地域で見聞きします。その武人が矢の名手であったというのも共通しています。古代の三国でも、異賊との戦いがあったのかと思いました。
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先ほど、遊覧船から見えた赤い鳥居がありました。奥に社殿があります。船から見たときは、鳥居の前は、落差数十メートルの垂直な断崖になっていました。そこに立って撮影したのですが、樹木に覆い隠されて真下が見えないのと、低い柵があったので、全然怖さを感じませんでした。 真下が見えておれば、そこに立つ気にはならなかったでしょう。怖いもの知らずでしたね。
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樹海という表現は、ちょっとオーバーじゃないかなと思います。原生林の方が適切な呼び方だと思います。日本海に浮かぶ島なので冬場は海風が強く、木はまっすぐに伸びられません。蛇行したような伸び方になるので、幹や枝は不気味な形になります。だから原生林のイメージになるのです。
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雄島の森林の中を通ったり、岩場の上に散策路が設けられています。森林の中は昼でも薄暗く、ちょっとした探検気分が味わえます。でも、暗くなったら怖いでしょうね。
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島の西側斜面には小さな無人灯台があります。その傍を自然研究路が通っていて、島を縦断する形で、西側と東側(大湊神社方面)とをショートカットすることができます。 三国は「日本の夕陽百選」の一つになっていますから、夕陽の日本海を背景に佇む灯台の姿が印象的でした。
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幹が黒くて、細い木がヤブニッケイです。ちょっと見る限り、枯れ木に思えます。太くて白っぽい幹の木がタブノキ。どちらもクスノキの仲間らしいですが、見た印象が全く違います。
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ヤブニッケイは、こう見えて潮風に強く、タブノキよりも海側に多く生えているのだそうです。
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雄島からの帰り道、もう一つの大湊神社に寄りました。この辺りは安島と呼ばれ、雄島橋前の駐車場から200mほどしか離れていません。雄島の大湊神社と、安島の大湊神社は別物ではありません。安島の神社境内と雄島全体が、一つの大湊神社の境内になっているのです。
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安島にも拝殿と本殿があります。それぞれが、どういう位置づけになっているのか、調べてみましたが良くわかりませんでした。大湊神社には大勢の神様が合祀されていますので、もともとは違う神様が祀られていたのかもしれません。
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安島の本殿も立派です。拝殿ともども新しそうな感じで、雄島の社殿よりも100〜200年位は後の時代に造営されているようです。
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あわら温泉・青雲閣は2回目の利用です。 昨年は、強風が吹き荒れ稲妻が光り、雷鳴が轟き大粒のあられが降っていたので、東尋坊周辺には近づけませんでした。仕方なく、予定より早い午後3時に到着して、温泉で冷えた体を暖めたのを覚えています。午後3時でもチェックインできて、チェックアウトは正午までという湯快リゾートの仕組みには助かります。今回は曇り気味でしたが、穏やかな天気で、東尋坊や雄島をゆったりと周遊してからチェックインしました。 宿泊者全員がバイキング利用なので、少々遅くチェックインしても食事の心配がないのもありがたい。 温泉を利用できる時間帯が長く、夜間や早朝でも湯を存分に楽しむことが出来ます。
東尋坊と雄島
1日目の旅ルート
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