こぼらさんの滋賀県の旅行記

紅葉めぐりB 湖東三山・西明寺
- 1日目2018年11月24日(土)
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重要文化財の二天門。西明寺には、国宝や重要文化財に指定されている建造物や寺宝が多いです。建造物だけでも、本堂と三重塔が国宝で、二天門が重要文化財です。寺宝では、本堂の仏像だけでも本尊薬師如来坐像はじめ、二天王立像・釈迦如来立像・不動明王像が重要文化財という贅沢さです。三重塔の初層壁画(板絵)も重文です。
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惣門。門前を名神高速道路が横切っていますので、駐車場からは高架橋を渡って惣門に来ます。惣門をくぐると受付があり、そこで拝観料を納めて参拝を始めます。
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惣門をくぐり、本堂に至る参道を上っていきます。結構長い道のりです。左右に城のような石垣がありますが、信長の焼き討ちを蒙る前は、ずらっと塔堂が並んでいたといいます。
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参道を歩いていると、「天然記念物 不断桜」の表示と門がありました。不断桜とは、秋から冬にかけて花を咲かせる珍しい品種のことです。冬場に、御本尊に桜の花を供えられる貴重な木ということで、栽培畑に門を構えて大事に栽培されています。
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栽培畑の門をくぐると、樹齢250年以上という老木が大切に保護されていました。ほとんど花を付けていません。弱ってきたので枝分けをし、何本もの後継ぎを育てて、蓬莱庭にも植えてあるそうです。
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老木の親桜の隣には、枝分けで育てられた後継ぎが2本ほど植えてありました。若い後継ぎは花を付けていました。12月に入った頃が、花が多くなるようでした。 紅葉を背景にした桜の花を見たのは初めてでした。普通の桜の木とは違い、樹木が小さめです。
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中門の手前まで来たところです。この辺の石垣には土塀が復元されています。石垣の苔が美しい。
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中門の前の様子。この門をくぐると、名勝庭園「蓬莱庭」に入ります。 この時期の湖東三山は、どこに行っても紅葉狩り(観楓)の参拝客で混み合っています。中門前は記念撮影スポットでもあり、人が途切れる時がなく、おっとり構えているといつまでも撮影できません。このため、少々混み合っていても、撮影を強行する覚悟がいります。
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蓬莱庭に入ってから、中門を振り返りました。
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蓬莱庭に入ってすぐの場所にあります。はかなげな雰囲気の咲き方ですね。惣門をくぐってすぐの参道の途中にも、樹齢250年以上の不断桜がありました。蓬莱庭の不断桜は、樹齢250年以上の親桜から枝分けされたもののようです。いずれも天然記念物に指定されています。
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春に一斉に咲き揃う山桜やソメイヨシノに比べると、不断桜は一度にたくさん花を付ける訳ではありません。でも、もうじき厳しい冬になるというのに花を咲かせているのを見ると、なんだか貴重なものを見ているようで嬉しい気分になります。
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不断桜の背景になっていた紅葉です。
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丸く刈り込まれた植木が面白いです。庭園の解説によれば、丸い植木は雲を形取っていて、薬師の浄瑠璃浄土を具現化しているのだそうです。 夕焼けが見える成層圏を飛ぶ旅客機から、雲や海を眺めるような感覚なのでしょう。
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前の日に根来寺(和歌山県岩出市)の蓬莱庭園を見てきたこともあり、蓬莱庭園の作庭セオリーが解説されていて興味深かったです。 不老不死の仙人が住む蓬莱山や、長寿の象徴である鶴や亀をモチーフにした島で構成されるのが蓬莱庭園の特徴です。ここの蓬莱庭園の場合、池の中央に折り鶴を形取った鶴島を、左には亀島を配置しており、池の水の部分は「心」の字の形になっていると解説されています。背後の築山が蓬莱山ということになります。
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心字池と蓬莱山に見立てた築山を見ています。心字池は、思っていたよりも小さかったというのが本音です。確かに池には、鶴島(写真右下)と亀島が配置されています。鶴島には角張った石が乗っているので、折り鶴を表しているのですね。亀島は平たいので、水に浮かんだ亀の姿に見立てているのでしょう。
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回遊式庭園ですから、回遊路は心字池のまわりを通って築山の頂に向かいます。築山には石段を歩いて上ります。石段は急坂になっていて足元に注意が向きがちですが、立ち止まって頭上を見ると、鮮やかな紅葉が空を覆い隠していました。
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築山(蓬莱山)から心字池を見下ろしています。亀島が案外大きいのに気付きます。 築山の立石群は、本堂に安置されている本尊・薬師如来と日光・月光の両菩薩、そして十二神将等の眷属を表しているそうです。
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築山の頂付近から心字池を見下ろしています。苔の緑が鮮やかです。 大きな岩が3つばかり見えましたが、真ん中の岩が薬師如来様で、左右一対の岩が日光・月光両菩薩ということでしょうか。 心字池の向こうに、池と築山を鑑賞する参拝客の人だかりができていました。
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築山を上りきった所は、広場のように平らになっています。そこに、もう一つ池がありました。心字池が「大きな池」なら、ここは「小さな池」という設定なのでしょうか。池の水面を覆うように浮かぶ、紅葉の落ち葉が見事でした。落ち葉のじゅうたんです。
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黄色いカエデ。これから紅色に染まっていくところでしたが、黄金のような輝きを放っているようにも見えました。
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庭園の鑑賞を終えて、本堂や三重塔がある伽藍に向かいました。ほとんど紅葉が見られない、木立の坂道を少しばかり上ると、視野が広がって鮮やかな紅葉の伽藍に到着します。 まずは観林坊が視界に入ってきますが、紅葉が歓迎してくれたように感じました。
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観林坊を通り過ぎると、本堂が見えてきます。
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国宝の本堂。鎌倉時代初期の建立で、飛騨の匠が手がけた純和様建築とされます。鎌倉時代の建造物なので、質実剛健で凛とした雰囲気を感じます。ただ、何回か拡張工事が加えられたようで、鎌倉時代中期や室町時代初期の構造も併せ持っているとされます。 織田信長が比叡山を焼き討ちした後、同じ天台宗の寺院ということで西明寺も焼き討ちの手が及びましたが、焼失を免れたそうです。文句なしの国宝です。
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本堂は、もともとは鎌倉時代初期の建立ですが、何回か拡張工事がなされています。 軒を支えている組み物の間に、蟇股(かえるまた)の形をした中備(なかぞなえ)があるのが、この本堂の特徴です。軒の下の白壁の間に、黒っぽくΩ型に見えている支持部材と言った方がわかりやすいでしょうか。中備としてならば真っ直ぐな柱で済むところを、とても装飾的なデザインになっているところが面白いのです。これは鎌倉時代中期の施工であることを物語っているのだそうです。
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国宝の三重塔。鎌倉時代後期の建立で、本堂と同じく飛騨の匠が手がけた純和様建築とされます。本堂と同じく、信長の焼き討ちによる焼失を免れました。 初層の壁面には鮮やかな壁画が描かれており、特別拝観期間中でしたが、特別拝観料が結構高かったのでパスしました。でも、重文なので見ておけば良かったと後で思わないでもなかった。
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西明寺の三重塔と紅葉。苔の緑と、赤と朱の紅葉のコントラストが何とも美しい。 基壇の上だけで高さ23.7メートルです。1m余りの基壇を含めると25mもの高さになるので、見上げてカメラの視界に収めるのに少々苦労します。本堂と同じく純和様建築だそうですが、どの様子や造りが純和様なのか不勉強な私にはわかりません。 初層の厚みが二層目と三層目に比べてやや大きく、やや腰高な印象を受けます。湖南三山の常楽寺の三重塔は初層が低いので、どっしりとした印象であるのと好対照です。どちらも国宝で、美しい塔である事に違いはありません。 初層の厚みが大きい分、内部に壁画が描きやすかったのでしょう。これは重文となっています。
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三重塔の近くには鐘楼があります。
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参道から見上げた二天門。伽藍側正面に本堂があります。参拝順路としては、本堂と三重塔を見てから二天門に回り込む形になります。 二天門は室町時代初期の建立で、重要文化財です。この門も織田信長による焼き討ちから免れることができました。湖東三山のひとつ百済寺の仁王門は、長さ3mもの大草鞋があることで有名ですが、西明寺の二天門にもありますね。
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仁王様が立っておられるのかと見遣ったら、様子が違いました。十二神将のように中国風の甲冑を纏っていて、仁王様ではないようです。門の名の通り、増長天と持国天の二天の木像でした。向かって右側の像は、仁王様なら吽形像ですが、増長天でしょうか持国天なのでしょうか。門は室町時代の建立なので、像も技巧的ですね。 二天様は、草鞋を履いているのかな?中国風の甲冑を纏っていますから、革靴のような気がしますが。
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三重塔や鐘楼からは、下り専用の「御足に優しい坂」を通って、中門付近の参道に戻ることができます。御足に優しいというだけあって、なだらかで石段のない坂道です。 ここの紅葉も見事です。
紅葉めぐりB 湖東三山・西明寺
1日目の旅ルート
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