こぼらさんの滋賀県の旅行記

紅葉めぐりC 湖東三山・金剛輪寺
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滋賀県愛荘町にある湖東三山のひとつ、松峯山金剛輪寺。聖武天皇の勅願により行基が開基したと伝わる、この上ない由緒がある寺院です。平安時代に天台宗となりましたが、信長による焼き討ちを蒙ってから明治に至るまで、多難な経過をたどってきました。現在では、国宝や重文の建造物や寺宝を有する紅葉の名所として知られ、遠方からも参拝者を集めています。 湖東三山を、週末2回使ってめぐりましたが、金剛輪寺が最終訪問先となりました。晩秋の日暮れ近い頃合いだったからか、湖東三山で最も美しい紅葉を見ることができました。皆さんにお見せしたい写真をたくさん撮影できました。

三重ツウ こぼらさん 男性 / 60代
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- 1日目2018年11月24日(土)
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黒門と呼ばれる総門です。「聖観音」の大提灯がぶら下がっていて、浅草寺の雷門を思い出します。浅草寺は聖観音宗で提灯が「雷門」ですが、金剛輪寺は天台宗で提灯が「聖観音」という違いがあります。門の色も違っていますね。 金剛輪寺には多くの門があり、黒門に始まり、参道を進むにつれて赤門・白門・二天門と続きます。
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黒門をくぐり参道を歩き始めると、拝観受付の手前なのに、いきなり紅葉が大盤振る舞いされていました。初詣のように参拝者が多いです。
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受付で拝観料を納め、参道を進みます。受付の手前よりも紅葉が鮮やかになってきました。 金剛輪寺の本堂までは、長い長い坂道を上ります。湖東三山の中では、最も長くてきつく感じます。でも、参道の両脇の紅葉が多いので、先に行くほどに新たな美しさと遭遇できるかもしれない期待から、ついつい急ぎ足になってしまいます。
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赤門です。この門はくぐる事ができません。
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参道を歩いていると右側に現れる西谷堂。紅葉を背景に、赤い落葉を屋根に乗せた堂が日本の秋の美しさを見せてくれました。
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西谷堂近くの参道の様子です。高い木立に囲まれ、道は薄暗いのですが、紅葉が夕陽に照らされてライトアップされているように見えました。まさに燃え立つ火焔のようです。
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白門です。名勝庭園と明寿院へは、この門をくぐって入ります。
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白門をくぐると、苔の上に紅葉の落ち葉を乗せた、古い瓦葺きの土塀が出迎えてくれます。名勝庭園に入ったのだなと実感できます。古刹らしい風情が感じられ、とても絵になっていたので撮影しました。
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ふと、庭園の池に注ぐせせらぎを見たら、澄んだ水の中に紅葉の落ち葉が積み重なっていました。おそらく今日一日で、これだけ集まったのでしょう。眺めているうちにも、上流から新たな落ち葉がゆっくりと流れてきていました。 こうした美しい風景を見ると、つくづく日本に生まれて良かったと思います。
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明寿院の敷地内には、護摩堂と水雲閣と呼ばれる茶室があります。写真右が護摩堂で、左が水雲閣です。護摩堂は1711年の建立。このまわりの紅葉も、言葉も出ないくらいに美しいです。
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茶室の水雲閣は、別荘風で新しそうな感じがしますが、安政年間(19世紀半ば)の建立。明寿院は、1977年の火災で書院・玄関・庫裏が焼失したそうですが、水雲閣と護摩堂は焼けずに済みました。
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本坊の外縁に腰掛けて、紅葉の庭園に見とれる参拝者たち。本坊は、安土桃山時代から江戸時代にかけて作庭された池泉回遊式庭園がある事で知られています。 金剛輪寺は、かつて明治政府に境内や山林を全てを召し上げられてしまい、本坊明寿院一坊のみとなっていた時代がありました。その本坊明寿院すら1977年の火災で焼失しており、翌年に再建されたという経過があります。そのせいか、今の本坊の書院や庫裏は小振りです。紅葉の庭園に見とれていると、本坊がどれなのか気付かないくらいです。
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本坊の庫裏の様子。紅の葉がフィルター効果を出していて、付近の物がすべて赤みがかって見えます。温かな感じがします。
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池泉回遊式庭園ですが、池が小さめなのと背景の紅葉の存在感が強すぎて、私には池が小川に見えてしまうのです。紅葉の渓流に来ているような感覚でした。でも、そのように見える庭園こそ秀作だとも言えます。
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池から少し遠ざかった場所から振り返ったところです。境内のあちこちに「血染めの紅葉」という表現がある掲示が見られ、物騒だなと思っていました。でも、実際に庭園の紅葉を見ると、血染めという表現がぴったりだなと思いました。
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池に沿った回遊路を道なりに進むと、やがて池の裏側に回り込みます。そこから見た様子が絶景でした。池の水面に映る燃え立つような紅葉。幻想的でもあります。今年最高の紅葉庭園写真となりました。
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名勝庭園から参道へ戻る途中、赤い風車を伴ったお地蔵さんが集まっている所がありました。千躰地蔵と呼ばれているそうです。
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名勝庭園を過ぎて参道に戻った辺りから、参道両脇にお地蔵さんが並び始めます。お地蔵さんは、二天門の手前まで続いていました。 石畳が敷かれ、手すりが付いているとはいえ、結構長くてきつい坂道の参道です。ひとしきり、上り続けます。天台宗寺院の修行場という感じがして、気持ちが引き締まります。
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きつい坂道を上りきると、二天門に到達します。この辺りでは、参拝者の口数がめっきり少なくなっていました。自分もそうでしたが、歩き疲れているのです。
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本堂は国宝で、大悲閣とも呼ばれます。南北朝時代の建築とされ、近くの西明寺本堂(国宝)に比べると、少し新しいことになります。 しかし、前身の本堂は鎌倉時代後期の建立だったようです。13世紀後半の元寇の直後、近江守護が戦勝記念に本堂を建立したという史料があるからです。前身の本堂が、どういう経緯で南北朝時代に建て変えられたのかは不明です。 信長の焼き討ちでは焼失を免れたものの、以降寺運が衰微して荒れていた時期もあったようです。しかし、明治以降に修復がなされて今日に至っています。 荘厳で良い雰囲気なのですが、すぐ前に門があるため、本堂の詳細を正面から撮影するのが難しいです。
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斜め前からだと撮影しやすいのですが、紅葉の樹木が被写界に入ってしまいます。それはそれで結構なことですが。 軒を支えている組み物と組み物の間の、中備(なかぞなえ)が真っ直ぐな柱です。西明寺の本堂では、蟇股(かえるまた)と呼ばれる形をしていました。また、西明寺本堂は正面に向拝があるのに対して、金剛輪寺本堂にはありません。入母屋破風は、金剛輪寺本堂は前後にあるのに対し 、西明寺は左右に設けられています。 どちらの本堂も国宝で、建築時期が大きく違わない純和様建築なのですが、それぞれに個性ある趣きがあります。
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紅葉に包まれる三重塔。重要文化財で、南北朝時代の建築とみられています。 金剛輪寺の本堂・三重塔・二天門は、織田信長の焼き討ちによる焼失を免れました。しかし、明治政府によって境内や山林全てを没収されて放置され、かなり傷んでいたそうです。三重塔にいたっては、最上部の三重目がなくなっていました。今のように美しい姿を取り戻したのは、昭和53年の修理復元によるものです。
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帰り道に三重塔を振り返りました。遠くからだと、紅葉が覆い隠してしまうので三重塔の全貌は見られません。垣間見るように見えるスポットを探し、案内パンフの表紙を飾っている写真に、そっくりな構図で撮影できました。日光が、手前の紅葉にも射し込んでいたら、もっと鮮やかな写真になったことでしょう。
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金剛輪寺の参拝を終え、帰り道に寄りました。愛荘町の博物館で、主に金剛輪寺に因む展示がされていますが、黒門の内側にあるので、金剛輪寺の寺内博物館という印象を受けます。無料で入館できます。
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一番の見どころは、かつて金剛輪寺に安置されていた金銅造聖観音坐像(レプリカですが)。本物は鎌倉時代の作です。明治政府によって境内の一切を没収された際、海外に流出してしまったらしく、今はボストン美術館の所蔵になっているのです。貴重な仏像を海外に持っていかれてしまった歴史について、金剛輪寺や愛荘町の皆さんが残念に思っているのでしょう。
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この博物館にも庭園が設けられています。金剛輪寺の境内にあるように見えますが、この博物館は愛荘町立なので、見頃が違えてあるようです。ここの庭園では、春から夏にかけてが見頃となるように、桜やサルスベリなどが多く植えられています。初夏には新緑も楽しめます。 展示品も、金剛輪寺に因むものも含め、郷土の歴史や文化に関するものとなっています。
紅葉めぐりC 湖東三山・金剛輪寺
1日目の旅ルート
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