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こぼらさんの岐阜県〜三重県の旅行記

名残の秋 西蓮寺・永保寺の紅葉

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今年は、最高のタイミングで紅葉見物をする機会には恵まれませんでした。仕事で出かけた際に、近場を通りかかったご縁で訪問した名刹の紅葉を紹介いたします。紫雲山西蓮寺(三重県伊賀市)と虎渓山永保寺(岐阜県多治見市)です。ピークを過ぎていましたが、思っていた以上に紅葉を楽しむ事ができました。

三重ツウ こぼらさん 男性 / 60代

1日目2019年12月3日(火)

西蓮寺

伊賀市

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鐘楼門前の長い石段を背に、来訪者を睥睨するように立つ仁王像。背後の紅葉が、仁王像から沸き立つ炎のように見えます。 西蓮寺は、春は桜、秋は紅葉が美しいことで知られています。

西蓮寺

伊賀市

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伊賀の名刹・紫雲山西蓮寺。天台真盛宗の寺院です。西蓮寺の紅葉を見るなら、鐘楼門前の石段から見上げる姿が一番です。 寺伝によれば、805年に伝教大師・最澄によって創建され、15世紀末に天台真盛宗の開祖・真盛上人が伊賀を巡錫した際に諸堂を復興再建し、寺号を西蓮寺と改めたといいます。真盛上人は西蓮寺で没したため、西蓮寺は伊賀国での天台真盛宗別格本山となっています。

西蓮寺

伊賀市

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鐘楼門前の石段から見上げる紅葉。紅葉で知られる西蓮寺の最大の見所です。 重厚にして端正な造りの鐘楼門は、意外にも国の重文や県の指定文化財にはなっておらず、伊賀市指定文化財となっています。文化財としての格はともかく、一度見たら忘れられない、格調の高さを感じさせる鐘楼門です。

西蓮寺は桜の時期も素晴らしいのですが、紅葉の眺めはもっと素晴らしいと思います。

境内の中から見た山門。向こうに楓の紅葉が見えています。山門の両脇には枝垂れ桜がいますので、この角度からの眺めは桜の季節に軍配が上がります。

真盛上人墓

伊賀市

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天台真盛宗の祖・真盛上人の墓が、西蓮寺本堂の横にあります。真盛上人は西蓮寺で亡くなったからです。没後しばらくは、五輪の塔が墓として建てられていましたが、後に霊廟が築かれ今に至っています。 立派な門構えの霊廟です。霊廟は、後ろからしか見えませんが、神殿のような造りの建物となっています。

真盛上人墓

伊賀市

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本堂と真盛上人の霊廟を裏側から見ています。大きな本堂に寄り添うように立っている褐色の建物が、真盛上人の霊廟です。 天台真盛宗の祖・真盛上人は、西蓮寺にとってこの上なく大事な存在なのです。

服部土芳墓

伊賀市

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西蓮寺の境内には、俳聖・松尾芭蕉と同じく伊賀の生まれで、高弟の一人であった服部土芳の墓所があります。墓所の近くには桜並木があり、春には見所の一つになります。晩秋には紅葉が期待できるかなと思い行ってみましたが、近くに紅葉樹はありませんでした。

鐘楼門をくぐり、石段を下りて退出しました。まだ日没まで時間がありましたが、石段は楓の大木に遮られて薄暗くなっていました。

2日目2019年12月4日(水)

虎渓山永保寺

多治見市

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虎渓山永保寺は、国指定名勝の池泉式回遊庭園を有する、臨済宗南禅寺派の寺院です。 臨済宗の禅僧・夢窓疎石によって鎌倉後期(1313)に開創され、庭園も手がけたと伝わります。夢窓疎石は作庭家として有名ですが、寺院を開創するほどの高僧でもあったのですね。知りませんでした。 永保寺庭園は、昭和43年(1969)に国指定名勝の登録を受けています。

虎渓山永保寺

多治見市

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境内に入ると、まずは本堂の前に出ます。真壁造り・白漆喰仕上げの本堂は、改築されて間もないこともあり、端正で美しいです。 ちょっと形や色艶が変わった灯籠が立っていました。陶器の町・多治見らしく、陶器製の灯籠とのことです。

永保寺の大イチョウ。紅葉のピークを過ぎて、すでに半分くらいの葉が落ちていましたが、黄色いじゅうたんも良いものです。

永保寺の本堂前に池泉回遊式庭園が広がっています。池の畔の楓は、紅葉の上半分は既に散り落ちていましたが、下半分が赤色を保っていて、私たちを喜ばせてくれました。

永保寺観音堂

多治見市

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国宝の観音堂。1314年、夢窓疎石が40歳の時に建立された入母屋造り檜皮葺きの仏殿です。鎌倉時代末期の唐様建築の代表作とされ、本尊として聖観世音菩薩坐像(室町時代初期)を安置しています。 観音堂は、目立った改修が加えられておらず建立当時の姿を完全に保っているため、鎌倉時代末期の唐様建築を知る上で大変に貴重な存在となっているそうです。

永保寺観音堂

多治見市

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屋根の四隅の反り上がり(軒ぞり)が大きく、どっしりと構えている印象を受けます。禅宗の寺院らしい建築スタイル(禅宗様)だと解説されています。でも私は、どちらかといえば中国の寺院の姿を思い出します。 鎌倉時代の禅宗様は、中国建築を忠実に再現しようとしていたらしいので、唐様とも言われます。曹洞宗の禅も、道元が中国から持ち帰ったものです。私が中国の寺院を思い出したのは、あながち間違いではなかったようです。

永保寺観音堂

多治見市

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臥龍池の対岸から望む観音堂。どの角度から眺めても美しい建物です。屋根の軒ぞりが大きいと、こうした視覚効果を生むのですね。夢窓疎石は永保寺の観音堂と庭園を手がけていますので、眺望をトータルデザインしていたのでしょう。 古代から中世にかけての高僧は、様々な才能を備えた学者・専門家でもある事が求められたと思います。夢窓疎石のように、高い作庭技術を持った僧は石立僧(いしだてそう)と呼ばれていたそうです。夢窓疎石は、永保寺を開創した高僧であり、観音堂と庭園という3次元空間をデザインした石立僧でもあったのです。

永保寺庭園

多治見市

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臥龍池にかかる反り橋・夢際橋(むさいきょう)のアーチが水面に映り込んでいます。池の畔や、背景の山には、まだまだ紅葉が残っていました。 12月上旬でも秋の風情を味わえるとは思っていませんでしたので、嬉しい誤算でした。 写真左奥に見える山の中腹には、座禅石があるそうです。その上からは庭園を俯瞰できるそうですが、どこから登ればよいのかわかりませんでした。

観音堂の前より夢際橋を見ています。屋形を備えた庭園橋を見たのは初めてです。思わず、橋を渡って屋形の下から庭園を眺めたくなります。

永保寺庭園

多治見市

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夢際橋の屋形から臥龍池を望んでいます。梵音巌(ぼんのんがん)と呼ばれる岩山が切り立っていて、水が流れ落ちて小さな滝になっています。夢窓国師は庭園に浄土を再現しようとしたのでしょうか。 岩山の頂には霊擁殿(れいようでん)と呼ばれる六角堂が見えます。

夢際橋の屋形から望む、池畔の紅葉。臥龍池の周りの回遊路は、開山堂に通じています。

永保寺庭園

多治見市

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夢際橋を渡り、観音堂と庭園を振り返っています。さすが夢窓疎石が手がけた庭園だと実感します。美しいの一言に尽きます。岩山の頂に霊擁殿が、池には亀島も見え、心が鎮まります。 岩山の頂の霊擁殿の御本尊は、なんと行基の作と伝わる地蔵像であるとか。

夢際橋の袂で臥龍池を眺めていると、錦鯉が集まってきました。もの言わず、無心にエサをねだっている姿は可愛いものです。 紅葉がピークの頃なら、ここで錦鯉たちにエサやりができるようになっているのでしょうか?

永保寺庭園

多治見市

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夢際橋を渡り、開山堂に向かう回遊路から見た庭園と観音堂・本堂。まだ下半分の葉っぱが残っている、本堂前の大イチョウの黄色が目立っていました。 観音堂と夢際橋とを両方視野に入れて眺めるのが王道なのでしょうが、観音堂と本堂を眺めるのも美しいと思います。

永保寺開山堂

多治見市

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国宝の開山堂。僊壺堂(せんこどう)とも呼ばれます。 1352年、永保寺の開創者である夢窓疎石が示寂された翌年に、開山・仏徳禅師の没後20年を記念して、開山堂が建立されました。 礼堂・相の間・祠堂の3つの建物で構成されていますが、一般に公開されている場所からは礼堂しか見えないのが残念です。祠堂には開創・夢窓疎石と開山・仏徳禅師の坐像が祀られているそうです。

永保寺開山堂

多治見市

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開山堂の屋根の軒ぞりも大きい。14世紀半ばの建立なので、重厚にして精緻という室町時代らしい特徴が感じられます。 軒桁を支える組み物が、柱の上だけでなく、柱と柱の間にも設けられる詰組という構造になっています。詰組にすると、組み物の間隔が密となり、見た目を賑やかで重厚にできます。こうした技巧的ともいえる演出を見ると、室町時代の建築だなと思います。

虎渓山 永保寺の紅葉

多治見市

永保寺の境内に行くには、寺の北にある観光用駐車場から歩くルートと、寺の南側にある虎渓山公園から歩くルートがあります。 虎渓山公園から開山堂の前に通じる道から見える紅葉が見事でした。虎渓山公園と永保寺との間には土岐川が流れており、紅葉シーズンならば、川の風情と紅葉が楽しめる虎渓山公園ルートがお勧めです。

虎渓山 永保寺の紅葉

多治見市

鐘撞き堂の近くの参道から見る観音堂と紅葉も美しかった。庭園は見えませんが、紅・黄・緑そして観音堂の茶褐色が織りなす眺めは、まさに錦絵を見るようでした。 大イチョウの黄色は、錦繍と呼べるほどに存在感を出していました。

虎渓山 永保寺の紅葉

多治見市

鐘撞き堂の傍から本堂を見ています。永保寺は禅寺なので、大きな本堂は雲水の修行場にもなっているのでしょう。 本堂は、平成23年に改築されてから日が浅いうえに真壁造りなので、柱や腰板の色が紅葉とマッチしていて綺麗です。楓は、さらに紅葉が深まっていくところでしたが、深紅になれば本堂の白漆喰に浮き立つような美しさを見せることでしょう。

永保寺と観光用駐車場とを結ぶ道を歩いていて、徳林院の横に差しかかったら、何とも風情が感じられる場所に至りました。 高い土塀の向こうには徳林院の蔵が見え、紅葉の楓が道の上を覆っています。

蔵の漆喰壁の白と、紅葉の楓の赤。とても美しい。

徳林院の横を通り過ぎて駐車場に戻る途中、咲き揃う不断桜がありました。徳林院の境内であるとも、不断桜であるとの表示もなく、広場の隅でひっそりと3本の桜木が咲き揃っているという感じでした。

去年、湖東三山で不断桜を見ましたが、花が小さかったという記憶があります。永保寺の不断桜は、春に咲くヤマザクラの花に近い大きさでした。

虎渓公園

多治見市

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虎渓公園の様子。低い山の頂にある公園で、明治以来の戦没者を慰霊するために平和観音像が建立されています。 永保寺を出て、岐阜県東濃西部総合庁舎の方から車で上がって来ました。しかし、永保寺の境内からは歩いて来た方が速い距離でした。 山全体に桜が植えられていて、春には山全体が桜色にかすむように見えるでしょう。離れた場所からは、桜の霞の上に白い観音像が立っておられるように見えると思います。紅葉は、散策路の両脇に多く植えられているようでした。

虎渓公園からは多治見市街地を見下ろすことができます。展望台も設けられていますが、公園内を散策しながら紅葉越しに眺める方が風情があります。

虎渓公園

多治見市

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虎渓公園は桜の名所として知られているようですが、どうしてどうして紅葉も見事です。毛せんを敷いたような、敷き紅葉が広がっていました。紅葉の向こうには多治見の市街地が見えています。紅葉シーズンには、永保寺とセットで来たい場所です。

名残の秋 西蓮寺・永保寺の紅葉

1日目の旅ルート

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