「旅」というものは、もしかしたら絶景に出会うことかもしれない。
絶景とともに在るホテルや旅館で過ごす時間。そこでしか見られない景色が、旅の記憶をより鮮やかに彩ってくれる。
今回は、泊まらなければ出会えなかった、感動の絶景が迎えてくれる宿を厳選してご紹介。次の旅行の参考にぜひ。
\こちらもチェック/
松島佐勘 松庵【宮城県・松島町】
里海邸 -金波楼本邸-【茨城県・大洗町】
THE VIEW KAMAKURA【神奈川県・鎌倉市】
赤倉観光ホテル【新潟県・妙高市】
弥陀ヶ原ホテル【富山県・立山町】
THE KUKUNA【山梨県・富士河口湖町】
上高地ホテル白樺荘【長野県・松本市】
繭二梁【静岡県・西伊豆町】
日本平ホテル【静岡県・静岡市】
tokinos【静岡県・伊東市】
THE GLAMPING箱根十国峠【静岡県・熱海市】
水辺の離れ Calme_カルム_【京都府・京丹後市】
ネイチャーライブ六甲【兵庫県・神戸市】
禅坊 靖寧【兵庫県・淡路市】
Ento【島根県・海士町】
IZUMO HOTEL THE CLIFF【島根県・出雲市】
和の宿 ホテル祖谷温泉【徳島県・三好市】
LUONTE 霧の高原Glamping【愛媛県・四国中央市】
南阿蘇ルナ天文台・オーベルジュ「森のアトリエ」【熊本県・南阿蘇村】
YAWN YARD Kouri Island【沖縄県・今帰仁村】
【宮城県・松島町】松島佐勘 松庵
絵画のような風雅さに日本三景、ああ美しや。

名勝・松島が、宮島や天橋立と並びたつ日本三景の一つと称されたのは江戸時代のこと。かの松尾芭蕉を魅了したことでも知られるが、この地の美しさは、さらにさかのぼって遥か万葉の昔から語られていたという。
たしかに松島湾に浮かぶ島々が織りなす風景は、見る者をたちまち魅了する。その圧巻の絶景を部屋にいながらにして眺めるというのは、このうえない贅沢だろう。

岬にある一軒宿は観光地の喧騒とは無縁。ひとたび客室に足を踏み入れれば、窓という額縁の中に映し出された、みやびな景色が目に飛び込んでくる。小島が浮かぶ静かな海は手が届きそうなほど近く、眺めているうちに時空を超えたような感覚になる。

夕食の前には、宿の外に出て遊歩道から岬の奥を目指して散策を。木々や野鳥に囲まれる自然の中をそぞろ歩けば、小さなテラスにたどり着く。こちらで出会えるのは、客室からの眺めとは異なるもうひとつの絶景。やさしい潮風を頬に受けながら、しばしのんびりするのもいい。


夕方は赤く染まる島々に魅せられ、夜は月明かりの海に酔いしれる。時間や季節でがらりと印象を変える松島の眺めに、絶景の奥深さを感じずにはいられない。
【茨城県・大洗町】里海邸 -金波楼本邸-
太平洋の海原に抱かれながら。

波打ち際までの距離はわずか30m。そこから沖に向かってスケールの大きな海が広がり、まっすぐな水平線が横たわる。寄せては返す波をぼんやり眺めていると、だんだん日常が遠のいていくようだ。

この宿の前身は、大洗海岸が保養地に指定された文明開化期の旅館「金波楼」。創業120年の節目に、海の風情をいっそう愉しめる「里海邸」として生まれ変わった。

8つの客室はそれぞれ間取りも趣も異なるが、すべてオーシャンフロント。一歩中に入れば、絶景とともに海から吹き抜ける風が出迎えてくれる。


世界的にも有名な大洗磯前神社の海に立つ鳥居もすぐそば。雲間から海面を照らす光もどこか神々しく、大洗という土地の持つエネルギーが伝わってくる。
029-267-2101
茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6883
1泊2食付き4万1100円~
東水戸道路水戸大洗ICより10分
20台
「里海邸 -金波楼本邸-」の詳細はこちら
【神奈川県・鎌倉市】THE VIEW KAMAKURA
絶景1フロア貸切のラグジュアリーバケーション。

「材木座テラス」のトップフロアを丸ごと独占できる1日1組限定のステイ。LDK、ベッドルーム、ジャクジーなどで構成される屋内スペースに加え、テラスも120平米の広さを誇る。


IH調理台や電子レンジも用意されており、暮らすように過ごすことも。すべての場所から海を望める圧巻のオーシャンフロントだ。

0467-84-9671
神奈川県鎌倉市材木座5-8-25 材木座テラス3階
4万9000円~(食事なし)
江ノ電和田塚駅より徒歩10分/横浜横須賀道路朝比奈ICより20分
1台(要予約)
「THE VIEW KAMAKURA」の詳細はこちら
【新潟県・妙高市】赤倉観光ホテル
一度は見たい、雲海イマーシブ絶景。

赤倉観光ホテルは日本百名山のひとつ妙高山の中腹、標高約1000mにある。1937年に誕生したこのクラシックリゾートで、創業時にもっとも重視されたのが景観だ。その後、同地は国立公園に指定されたため、他に建物は造られず、素晴らしい眺めの数々はこのホテルだけのものになった。

四季折々の姿を見せる妙高高原、八海山や斑尾山の雄々しい連山、碧き野尻湖。日々の疲れを抱えたままやってくる旅人たちはこの絶景に癒やされ、そして溶け込む。初めて知る旅の喜びが、全身を満たすはずだ。
どんな眺めも季節や気象条件によって見え方は異なるが、まさしく“自然まかせの運次第”としか言いようがないのが、雲海の絶景である。



赤倉観光ホテル周辺は、雲海の出現スポットとしても有名だ。ふわふわの綿帽子のような雲が大海のごとく広がりゆく様は、一度目にしたら忘れられないほど感動的。どこか神秘的で、眺めているだけで胸がいっぱいになるスケール感がある。

もちろん確約はできないが、目安のシーズンは10月下旬~12月上旬。よく晴れて気温差があり、放射冷却が起こる朝に比較的発生しやすい。

また、5月中旬~7月中旬の雨上がりのタイミングもチャンスといえる。幸運にも条件がぴたりと揃えば、客室やアクアテラスなど、館内の至る場所から夢のような光景が見られるのだ。


とはいえ、雲海が出なくても落胆することはない。藍色に暮れゆく夕方、町灯りと星がまたたく夜、太陽が山並みを照らす朝と、限られた時間にしか出会えない美しい世界がそこにある。


チェックアウトの瞬間までは、一期一会の絶景と溶け合う幸せをぞんぶんに感じてほしい。そうすれば、目に飛び込んでくるすべての自然が宝物のように思えてくる。
0255-87-2501
新潟県妙高市田切216
1泊2食付き3万5500円~(入湯税別途150円)
しなの鉄道妙高高原駅より送迎バスあり/上信越道妙高高原ICより10分
76台
「赤倉観光ホテル」の詳細はこちら
【富山県・立山町】弥陀ヶ原ホテル
標高1930mで包まれるパノラミックな世界。

その絶景に出会うのはけっして容易ではない。マイカーは規制され、いくつもの乗り物を乗り継ぎ、少なくない時間をかけてようやくたどり着く。
それでも実際に目にすれば、すぐに理解する。すべてはこの“別世界のような景観”を残すためだということを――。

立山黒部アルペンルートは世界屈指の山岳観光ルートだ。なかでも標高1930mに位置する弥陀ヶ原は、ラムサール条約に登録された国際的にも貴重な湿原地帯で、小さな池や水たまりのような池塘がおよそ3000も点在している。
十分な水をたたえているおかげで草木は豊かに育ち、高山植物や艶やかな紅葉など、季節ごとにさまざまな自然美を形成する。

ホテルはその絶景の中に佇んでいるが、周囲の自然となじみ違和感はない。大きなガラス窓がはめこまれたロビーや、和洋選べる客室など、館内からの眺めももちろん素晴らしいが、ここは湿地帯の木道散策の基点でもある。

ホテルを出て、ぜひ周辺をのんびりと散策してみたい。雲上の爽快感、目を奪われる錦秋、星空のかがやき。どれをとってもきっといつまでも忘れない、一生モノの景色に出会える。

076-442-2222
富山県中新川郡立山町芦峅寺弥陀ヶ原
1泊2食付き2万8600円~(来季未定)※2025年営業期間4月15日~11月4日(冬季休業)
富山地方鉄道立山駅より立山ケーブルカーで美女平駅まで7分、立山高原バスに乗り換え30分、弥陀ケ原バス停より徒歩2分 ※マイカー規制あり
「弥陀ヶ原ホテル」の詳細はこちら
【山梨県・富士河口湖町】THE KUKUNA
迫りくる日本一の山を湯の中で受け止める幸せ。

空が薄紫に染まり、あたりがだんだんと暗くなる。一日も終わろうかというのに、真正面に鎮座する霊峰は、ますます存在感を見せつけてくるようだ。

「THE KUKUNA」は爽快感あふれるレイクリゾート。河口湖×富士山というロケーションをフルに活かし、最高のひとときを過ごせる。
客室は3館に分かれており、さまざまなタイプが用意されているが、いずれも絶景を楽しめるテラス付き。さらに最上階にある大浴場では、湯船に浸かったまま河口湖越しの富士山を望める。湖から吹いてくる風を受け、しばし時忘れ。

季節、時間帯、気象条件によって、一度として同じ表情を見せることはない。いま温泉に浸かりながら眺める富士山は、この瞬間だけのものである。


0555-83-3333
山梨県南都留郡富士河口湖町浅川70
1泊2食付き2万7500円~(入湯税別途150円)
富士急行線河口湖駅より送迎あり/中央道河口湖ICより10分
50台
「THE KUKUNA」の詳細はこちら
【長野県・松本市】上高地ホテル白樺荘
憧れの上高地で神秘の森にとけてゆく。

清らかな川の流れに真っ白な雪渓。ふいに姿を見せる動物や鳥たち。一度は行ってみたい場所として、しばしば名前が挙がる上高地は、日本に残された貴重な自然のサンクチュアリだ。


マイカー規制で管理されたその場所に泊まるということは、日帰りではなかなか見られない、とっておきの絶景に出会えるということ。上高地のシンボル、河童橋のたもとにあるこのホテルは、まさにそれを叶えてくれる場所である。

レストランやテラスなど館内のいたるところから望めるのは、水彩画のような穂高連峰。昼間の観光客がひくと、爽やかな風や鳥の声など、自然の息づかいだけを感じとることができる。
とりわけ眺望抜群なテラス付き客室のハンモックに揺られれば、まるで景色の中に体ごと沈み込んでいくような感覚に陥るはずだ。

そして、さらなる没入体験を求めるなら、ぜひガイドツアーに参加を。星空ツアーや早朝ガイドなど気軽に参加できるものから、明神池や大正池まで足を延ばす、やや長めのネイチャートレイルまで多彩なコースがある。


標高1500mの森に迷い込み、大いなる絶景に身を委ねたい。
0263-95-2131
長野県松本市安曇上高地
1泊2食付き2万5000円~※営業期間4月下旬~11月15日(冬季休業)
長野道松本ICより1時間※マイカー規制あり
沢渡駐車場を利用
「上高地ホテル白樺荘」の詳細はこちら
【静岡県・西伊豆町】繭二梁
プライベート空間で西伊豆の夕陽をひとりじめ。

都心から近いリゾートとして人気の伊豆半島。中でも、駿河湾に面した西伊豆町は、夕陽の町として知られている。その地に佇む「繭二梁」は、自慢の絶景を堪能するのにぴったりの大人のためのリゾートだ。
一日に迎え入れるゲストはわずか6組で、2棟に分けて客室を用意。個性的な宿の名前は、古民家の梁を再利用した建物に、繭に見立てたふたつの“特別な部屋”があることを意味する。
そのうちゲストルームは、堂ヶ島を見渡す奥座敷に位置しており、もれなく海に面した露天風呂付きのテラスがある。

日の入りが近づくと海が茜色のグラデーションに色づき、太陽が静かに沈む。幻想的なマジックアワーの余韻にひたり、絶景と溶け合うことができるのだ。
もうひとつの部屋は、渡り廊下でつながり自由に行き来できる本館のプライベートルーム。こちらはダイニングルームも兼ねており、朝夕の食事が供されるほか、湯上がり後に一息つくなど使い方は自由自在。やはり窓には小島が浮かぶ西伊豆の絶景が広がる。



さらに館内には、プライベートシエスタなるリラクゼーションのための空間も。


趣やシーンを変えながら、絶景ざんまいのおこもり旅が実現する。

【静岡県・静岡市】日本平ホテル
たっぷりと裾を引く名峰を風景画を鑑賞する気分で。

世界でも珍しい独立峰である富士山はどこから眺めても美しいが、やはり絵になる場所というものがある。名勝・日本平にあるこのホテルからの眺望は、思わず「あっぱれ」と声を発したくなる晴れやかなパノラマだ。

富士山とともに世界遺産に登録された三保の松原、静岡市の街並み、駿河湾、伊豆半島、そして、長い裾野までくっきり輪郭を浮かび上がらせた富士山まで、完璧な構図で映し出される。

ホテル自ら「風景美術館」と謳っているだけあって、ロビーに始まり、テラスやレストランでも、その大絶景をとことん“鑑賞”できるのだ。

それでもやはり、客室のバルコニーでくつろぎながら眺める富士は格別。悠々たる佇まいを見ているだけで、自然とパワーチャージできる。


054-335-1131
静岡県静岡市清水区馬走1500-2
1泊2食付き3万1500円~
JR静岡駅よりシャトルバスあり、東名日本平久能山スマートICより20分
160台
「日本平ホテル」の詳細はこちら
【静岡県・伊東市】tokinos
絶景プール付き空間を1棟貸しスタイルで。


「umi」と「tsuki」の2棟からなるプライベートヴィラ。屈指の透明度を誇る宇佐美の海岸沿いに位置し、その美しい眺めと潮風を間近に感じることができる。


1棟貸しのため泊まれるのは1日2組のみ。専用プールで泳いだり、オーシャンビューの屋上でBBQに興じるなど、思い思いの時間を過ごせる。
080-7164-5550
静岡県伊東市宇佐美17-1
5万9000円~(食事なし)
JR宇佐美駅より徒歩18分、東名厚木ICより小田原厚木道路経由で1時間30分
1棟につき3台まで
「tokinos」の詳細はこちら
【静岡県・熱海市】THE GLAMPING箱根十国峠
ぐるり360度の展望パノラマ!

その昔、伊豆や相模、駿河、遠江など、十国を見渡せることからその名がついた十国峠。葛飾北斎の絵にも描かれた箱根随一の絶景スポットである。


現在はレトロなケーブルカーに3分乗れば、簡単に山頂へアクセス可能。グランピングエリアがあるのは、まさにそのてっぺんだ。晴れていれば富士山や南アルプス、駿河湾、さらには房総半島や三浦半島まで、遮るもののない360度のパノラマが望め、一瞬で日常を忘れる爽快感をもたらしてくれる。
ヴィラはベーシックなタイプのほか、サウナ、ピザ窯、ドッグラン、トランポリンといったコンセプトヴィラも充実しており、楽しみ方は実に多彩。ダイナミックな箱根の自然を、目でも体でも感じられる。



0557-48-7891
静岡県熱海市伊豆山字日金山1146-6
1泊2食付き1万6000円~
西湘バイパス小田原ICより40分
コテージ1棟につき1台
「THE GLAMPING箱根十国峠」の詳細はこちら
【京都府・京丹後市】水辺の離れ Calme_カルム_
1日1組だけの特別な畔の場所。

凪という名前をもつ1棟だけの宿が鏡のような水面に臨んで立つ。寝殿造の庭を思わせる風情から、“神の箱庭”と呼ばれる丹後半島の久美浜湾。ベッドルームからテラスへ、そして海へと連なる空間は、まさに絶景へ没入していく感覚。
圧倒的な静けさだけが、400平米の敷地にたった1棟という離れ家に流れ込んでゆく。

「心を凪に」というコンセプト通り、ここでは何もする必要はない。日がな一日、水の煌めきを感じ、鳥の声を聞き、夕暮れの匂いを吸い込み、満天の星を見上げる。


気が向けば半露天に注がれる温泉に浸かるのもいいだろう。誰にも邪魔をされたくない時、お気に入りのかばんをひとつだけ持って、この凪の隠れ家へエスケープする休日をおすすめしたい。
0772-83-1096
京都府京丹後市久美浜町湊宮1795
1泊2食付き3万2100円~(入湯税別途150円)
京都丹後鉄道小天橋駅より送迎あり/山陰近畿道京丹後大宮ICより45分
1台
「水辺の離れ Calme_カルム_」の詳細はこちら
【兵庫県・神戸市】ネイチャーライブ六甲
六甲山上で新アウトドア!美食と夜景と絶景と。

30分ほど前までいた場所が眼下に見える。ハンモックテラスからJR六甲道駅あたりを眺めて、不思議な気分になった。ここは六甲山の標高約700mの場所。神戸の街並みがはっきりとわかり、車や人が行き交う気配すらなんとなく感じるほどだ。しかし、ここは街中とは違う別世界。きっと天上の世界なんてものがあったら、こんな気分なのだろう。


到着して森を抜けると突然現れた三角屋根の棟。北欧の小さな村に迷い込んだような空間に、思わず声が上がる。2023年5月に開業したこの施設は、「キュイジーヌ・グランピング」を体現する、食体験に特化したネイチャーリゾート。


メインイベントのディナーの他にも、樹上の“鳥の巣”でお茶したり、ハンモックで森と一体になったり、薪割りに挑戦したり…と自然を上質に愉しむメニューがオールインクルーシブで体験できる。



もちろんお部屋からの眺めはプライスレス。「いかにゲストの体験価値を高められるか」を日々追求する施設には、三角屋根の角度から、足元の土の感触、滞在中の体験メニューまで、数えきれないこだわりがつまっている。


心地良い仕掛けの中で、日常と非日常の境界があいまいな世界を愉しみたい。
078-891-1250
兵庫県神戸市灘区六甲山町南六甲1034
1泊2食付き2万9500円~
阪神高速魚崎出口より30分
8台 ※駐車場より送迎車に乗り換え
「ネイチャーライブ六甲」の詳細はこちら
【兵庫県・淡路市】禅坊 靖寧
自分に向き合う、島の絶景時間。

淡路島の山の中に忽然と現れる印象的な木造建築。まるで森に浮かぶ船のようなそれは、建築家坂茂氏がデザインした“空中禅道場”だ。
「自分を見つめ直し、未来に思いを馳せる」場所にするため、主に国産杉を使い、周囲の山の稜線を超えない高さにすることで、島の自然に溶け込む設計となっている。


上階は圧巻の長さ100mのウッドデッキ。禅体験などを行うこの場所は、ぐるり360度、島の森の広がりを目線の高さで見渡せる。あまりの気持ちよさに、ついごろんと寝転んでしまいたくなりそうだが、今日はマインドフルネスな一日。自然と静寂の中、さっそく禅の思想を取り入れた「ZEN Wellness(瞑想・ヨガ)」を体験。インストラクターのガイドに合わせて呼吸に意識を向けていく。

目を閉じて深い呼吸を続ければ、いつしか島の自然ととけあうようなメディテーション体験に。普段、なかなかゆっくり自分と向き合う時間は持てないけれど、淡路島の自然に身を置くことで雑念がひとつずつ、落ちていったよう。明日は少し早起きして朝の風景に出会うのが楽しみだなんて思える、昨日とは少し違う自分を感じられるかも。




【島根県・海士町】Ento
目が覚めると、地球(ジオ)がそこにあった。

数十年前、駅に貼られたポスターの風景に心を奪われ、向かった場所がある。それが隠岐の島だった。今思えば、それは島のとてもシンボリックな景色だったのだが、その圧倒的な自然景観に心を動かされた。
今やそこは「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」になり、何億年もの大地の成り立ちと独自の生態系、そして今日まで続く人の営みを知る場所となっている。

そんなジオパークの泊まれる拠点として、2021年に開業したのが「Ento」だ。眼前には静かに島前カルデラが広がり、夕暮れには隣の西ノ島に沈む夕陽に包まれる。おのずと連綿と続く地球の呼吸に想いを馳せる時間となる。


ここは海士町が掲げる「ないものはない(無くてもよい・大事なことはすべてここにある)」を、空間で、食事で、体験で、“新しい贅沢”として提供してくれるホテルなのだ。



毎日開催される「Ento Walk」で、スタッフから島の話を聞きながら、ホテルの周辺を散策する。
知ること、感じることが、これからの地球を守ることにつながる風景が、ここにあった。
【島根県・出雲市】IZUMO HOTEL THE CLIFF
崖に出現した自然一体型ホテル。

崖の上で不思議な存在感をみせる新しい形のホテル。丸いカプセルを埋め込んだかのような客室は、ベッド、ソファ、ジャクジーと、きわめてミニマルな仕様。ただただ目の前の絶景を楽しむことを最優先にデザインされている。


とりわけ海に太陽が落ちる夕景は感動もの。雄大な日本海との一体感を味わえる。
0853-86-3300
島根県出雲市多伎町久村1870
1泊朝食付き2万6000円~
山陰道出雲ICより15分
8台
「IZUMO HOTEL THE CLIFF」の詳細はこちら
【徳島県・三好市】和の宿 ホテル祖谷温泉
圧巻の渓谷が迫る、日本の秘境の底力。

日本三大秘境をご存じだろうか。岐阜県の白川郷、宮崎県の椎葉村、そしてここ徳島県の祖谷がそう呼ばれている。V字に切れ込んだ深い渓谷、急峻な断崖絶壁、シラクチカズラを編んだ吊り橋…四国の山中というロケーションも相まって、神秘的な雰囲気さえ漂う場所だ。



実はぬるめながら質の良い温泉も湧いていて、温泉宿も点在する。ここ、「ホテル祖谷温泉」の露天風呂は渓谷の底、渓流のそばにありケーブルカーで降りてゆくのも醍醐味。ほんのりと硫黄が香る、ぬめりのある湯がかけ流されている。
また温泉露天風呂付きの客室もあって、この快適さはもはや秘境なのかと疑うほどだが、雨の日の、山から立ち昇る山霧の幻想的な光景を目にすると、やはりここは異世界なのだなと思い直す。


宿の方に祖谷を訪れるのにおすすめの季節を尋ねてみたら、「春は早朝(野鳥の声が目覚ましに)、夏は黄昏(蝉しぐれに晩夏はちょっぴりセンチメンタルなヒグラシも)、秋は夕暮れ(渓谷の紅葉が夕陽色に)、冬は夜(澄んだ夜空の迫力)」と風情ある四季の表情が。



秘境の魅力は一年中尽きることはなさそうである。
0883-75-2311
徳島県三好市池田町松尾松本367-28
1泊2食付き2万3250円~
JR大歩危駅より送迎あり(要予約)、徳島道井川池田ICより55分
37台
「和の宿 ホテル祖谷温泉」の詳細はこちら
【愛媛県・四国中央市】LUONTE 霧の高原Glamping
雲海も見える!秘境グランピング

「ととのう」サ活が近年話題だが、さらに絶景も加わった天空のサウナで心身をととのえる滞在もいいかもしれない。
愛媛と徳島の県境に位置する標高1043mの塩塚高原。2023年8月、サウナと露天風呂も愉しめるグランピング施設が完成した。


例年10月下旬頃からは圧巻のススキ風景が広がる名所でもあるので、ぜひ夕食前に幻想的な夕景を求めて展望台までハイキングへ。
さらに秋~冬の早朝には雲海も出やすく、ドームテントの窓から眺めることも。目覚めれば眼前に広がる雲海がたなびく朝焼けの光景は、自然を丸ごと感じられるだろう。



目覚めの一服に、地元名産のあたたかい新宮茶を淹れたら、日常の忙しなさがゆるりと「ととのった」一日が始まる。
0896-72-3113
愛媛県四国中央市新宮町上山4500
1泊2食付き2万2300円~
高知道新宮ICより30分
20台
「LUONTE 霧の高原Glamping」の詳細はこちら
【熊本県・南阿蘇村】南阿蘇ルナ天文台・オーベルジュ「森のアトリエ」
まだ見たことのないものがこの夜空にあったんだ。

旅の経験値が上がってくると、少しのことでは感動しなくなってくるような気がする。そんなちょっぴり擦れてしまった大人たちが、素直に目を輝かせるのが、未知の世界が詰まった夜空ではないだろうか。
ここ熊本県南阿蘇は、噴火でできたカルデラ壁で囲まれ、人工の明かりの影響が少ないため星空観賞にぴったりなのだそう。また地球の鼓動が見える火山や水源のあるこの地だからこそ、より宇宙を通じて地球を感じることができるのだろう。



阿蘇くじゅう国立公園にあるこちらの施設では「プレミアム星空体験ツアー」を毎晩開催している。プラネタリウム+巨大望遠鏡観察+リアル草原で星空観賞というハイブリッドなプログラムで、さらに全編、星空解説の専門家“星のコンシェルジュ”が生解説。




このワクワクする90分間の童心に返るような時間を体験した人からは「宇宙を知って、星空を見上げて、とても癒やされた」「自分の悩みがちっぽけに思えた」という声が多く届くそうだ。
同天文台では、この星空体験が持つ癒やし効果を「天文台浴」と名付けて研究を進めているということなので、近い将来、この体験効果が解明されるかも、しれない。
0967-62-3006
熊本県阿蘇郡南阿蘇村白川1810
1泊2食付き3万5000円~
南阿蘇鉄道高森駅よりタクシーで10分、九州道熊本ICより40分
50台
「南阿蘇ルナ天文台・オーベルジュ「森のアトリエ」」の詳細はこちら
【沖縄県・今帰仁村】YAWN YARD Kouri Island
沖縄本島から行ける“泊まれる庭”。

車でアクセスできる離島・古宇利島に2024年9月開業。「泊まれる庭」をコンセプトに、「sea」と「hill」に分かれたヴィラタイプの客室が8つ佇む。



地域の気候風土や生活様式を取り入れた宿泊体験は、ここでしか味わえない唯一無二のもの。青くきらめくやんばるの海を眺めながら、穏やかな空気に包まれたい。
0980-56-1128
沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利1837
1泊2食付き3万5700円~
那覇空港より1時間30分
8台
「YAWN YARD Kouri Island」の詳細はこちら
(写真:深尾大樹)
※特に併記のない限り、記載の宿泊料金は平日大人2名1室利用時の1泊1名料金(消費税・サービス料込み)です。別途、入湯税・宿泊税がかかる場合があります。宿泊日や客室、プランにより料金は異なるため、詳細は各宿にご確認ください。
※この記事は2024年11月18日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
じゃらん編集部
こんにちは、じゃらん編集部です。 旅のプロである私たちが「ど~しても教えたい旅行ネタ」を みなさんにお届けします。「あっ!」と驚く地元ネタから、 現地で動けるお役立ちネタまで、幅広く紹介しますよ。