「なんとなく知っているつもり」の、宿泊時のルールやマナー。けれど、今更聞けないけど本当はどうなの?と曖昧な疑問があったり、長年の思い込みによる間違いで恥ずかしい思いをしてしまったり、はたまた気づかないうちに周りに迷惑をかけて注意されてしまった…なんてことはありませんか?
そんな、ちょっとした疑問や知っておきたい旅館やホテルのマナー・ルールについて、マナー講師の先生にズバリお聞きしました!ホテルや旅館の宿泊を存分に楽しむためにも、しっかりマナーをおさえてくださいね。大人の振る舞いを身につけて、スマートな旅を目指しましょう!
予約でのマナー
Q.1 予約時に泊まりたい客室をリクエストすることはできる?
眺望の良いお部屋などは、料金がアップする場合が多いもの。料金設定の異なるホテルや旅館の場合は、その金額が請求されるのでご注意ください。そのような宿で、「この料金で、この眺望で」などと指定するのは、マナー違反。ネット予約の場合、プランや料金表示がしっかりなされているので、確認して申し込みましょう。
プランにお部屋のランクなどがない場合には、希望を伝えてみてもよいでしょう。
ただし、あくまで希望であり、必ず叶えられるものではありません。叶えられなかった際にクレームを入れるのは筋違い。
また、伝え方にも気をつけたいもの。「バースディ祝いで宿泊します。海の見えるお部屋は空いていないでしょうか?」など、言葉遣いや相手を思いやる伝え方を心がけると、宿の方も気持ちがよいものです。予約状況や宿によって対応は異なりますが、理由があれば宿によっては叶いやすい場合や、それに合わせた応対をしてくださるケースもございます。

Q.2 車で行きたいんだけど、事前に宿に伝えておいたほうがいい?
車で向かう場合には、予約時や、変更した際などに必ず連絡し、駐車場の空き状況などの確認をとりましょう。台数が限られていたり、駐車料金がかかる宿もございます。当日いきなり行って、チェックイン時に伝えても、あいていないケースも。
チェックインの際は、互いの第一印象。気持ちよく滞在するためにも、事前に伝えておくべきことは、お伝えしておきましょう。

Q.3 ネット予約だとキャンセル料がかかるけど、電話予約だとかからない?
宿にはキャンセルポリシーがありますので、ネットでも電話でも基本的にはキャンセル料はかかります。電話の場合、連絡先などが不明瞭で結果的に支払わなかったという方もいらっしゃるようですが、本来は支払うべきもの。
当然、予約時から宿はお部屋をおさえたり、食事付きであれば、食材の準備もします。直前のキャンセルは、宿に迷惑をかける行為。お客様側にもマナーがあることをお忘れなく。
チェックインのマナー
Q.4 チェックインは24時間いつでも受け付けてくれる?
予約時に到着時間を伝える宿が多くなっています。伝えた時間より大幅に遅れる際は、必ず連絡をしましょう。連絡なく大幅に遅れるとキャンセル扱いとなる場合も。
また、夜間は、扉に施錠する宿もあり、チェックインできなくなってしまうケースもございます。一本連絡をいれるというマナーを守るだけで、待つ宿の方も安心して待ってくださり、互いに気持ちよく過ごせるものです。

Q.5 ビーチが近いから、ビーチサンダルにショートパンツ&Tシャツで行ってもいい?
ドレスコードには気をつけたいものです。宿の方だけではなく、他のお客様も不快に感じたり、せっかくの旅の雰囲気が阻害されてしまうことも。宿の共用部やお部屋に、具体的な規定がかかれていることもございます。誰にも指摘されないから大丈夫ではなく、自ら気をつかい、互いに気持ちよく過ごしたいものです。
特に高級ホテルでは肩や胸が出る露出が多い服装、ビーチサンダルなどカジュアルすぎる履物は、避けましょう。たとえ、水着の移動がOKでも、他の方への配慮として、羽織やストールで露出を少なくするなどができるとマナー上級者。また、ホテルの高級レストランなどを利用する際には、さらにドレスコードが厳しいことも多いのでご注意ください。

Q.6 チェックインのとき、SNSのアカウント名を記載してもいい?
名前の欄に本名を書きたくない場合、SNSアカウントなどで済ませられないか?などと思う方もいらっしゃるかもしれません。基本的には、本名を記載いただく必要がございます。事故や天災があった場合に、保険や補償の対象外になったり、旅行業法に抵触するという考え方もできるといわれています。
例えば、外部から連絡があってもつないでほしくない、プライバシーを保ちたいという場合には、その旨を伝えておけば、プライバシーを守ってくださいます。
Q.7 玄関で履物を脱いだら、そのままにしていい?
靴を脱いで入る場合には、靴は正面を向いたまま脱いであがります。下足番や仲居さんが揃える場合には「よろしくお願いいたします」や「ありがとうございます」と一言お礼の挨拶をしてそのまま上がりましょう。
靴を脱いで上がるところでは、素足は避けたいものです。靴下やストッキングなどを着用していきましょう。
お客様の靴を扱うことの多い宿や料亭の方は、靴を見ればお客様がわかるとおっしゃいます。手入れの行き届いた靴などを見れば、丁寧でマナーのよいお客様がいらっしゃったと思い、粗雑に履かれた汚れの多い靴を見ると、マナーの悪いお客様かな?と注意なさるようです。
靴の印象が悪いお客様の中には、夜遅くまで騒いで他のお客様にご迷惑をかけたりする方もいらっしゃるとか。「人は足元にあらわれる!」と言っても過言ではありません。
滞在中のお部屋でのマナー
Q.8 和室で過ごすときのマナーはある?
和室では、敷居や畳の縁を踏まないように行動しましょう。床の間がある場合には、床の間の前が最も上座です。目上の方と一緒の際は、座る場所にも注意したいですね。着座する際には、座布団は移動させないでください。座布団は「ここに座ってください」と置かれているもの。
また座布団には表裏、前後があり、裏返したりしてはいけません。座布団を足の裏で踏んだり、歩いたりするのもマナー違反。正しい座り方は、畳の上に一旦正座し、座布団を両手でおさえて固定して膝を浮かせて移動して着座します。
プライベート旅行でそこまで気にしないという場合でも、ものを大切に扱うマナーは心がけたいもの。敷居、畳の縁、座布団を踏まないなどの基本は心がけたいですね。

Q.9 畳は丈夫だから、キャスター付きのトランクでもそのまま引いて上がっていい?
キャスターで移動させると、お部屋を汚したり畳を痛めてしまいますのでしないようにしましょう。和室では、荷物を置く位置にも注意したいものです。上座である床の間の前には荷物を置かないようにしましょう。
また、入り口付近も出入りの妨げとなります。床の間に遠い場所、下座に荷物は置きましょう。
Q.10 食事付きじゃないから、部屋に飲食物を持ち込んでもいい?
ビジネスホテルなどは持ち込み用の冷蔵庫もあり、持ち込み可のところも多いですが、宿、高級ホテルでは、本来は持ち込み不可。食事を提供する宿では、食事なしプランであっても食中毒などのリスクから禁止されているところも多いようです。
最近は、ホテルや宿自体にコンビニを併設しているところも多くなり、厳密に禁止されていないケースも増えています。たとえ持ち込みができたとしても、散らかしっぱなしで帰るのはマナー違反。
本来、宿やホテルスタッフの仕事は宿泊先が提供したものを片付けること。持ち込んで部屋を汚したり、食べ物のにおいが残ったり、宿やホテルの方に片付ける手間をかけるのはNG。自身で持ち込んだものは、片付けて帰りましょう。
Q.11 部屋にある備品って持って帰っていいってホント?
アメニティやお客様ごとの使い捨てのスリッパなど消耗品は持ち帰ってもよいでしょう。それ以外のもの、ポンプやボトルタイプのシャンプー、リンス、ソープ、ボックスティッシュ、ドライヤーなどの備品類を持ち帰るのは「窃盗」とも言えます。タオル類も、クリーニングして使うものは持ち帰り不可。
宿の手ぬぐいなどで一部持ち帰っていいものがあるので、どこでも大丈夫と思わないようにしましょう。再利用するもの、補充式のもの、消耗品でないものは絶対に持ち帰らないでください。

Q.12 使ったものはすべて元通りにしてチェックアウトしないといけないの?
片付ける側の立場にたって、行動していただくとよいでしょう。あなたが清掃係なら、脱ぎっぱなし、散らかしっぱなしの部屋へ入ってどう思うでしょうか?
布団の乱れが大きいのであれば、少し整えておく、タオル類はひとまとめにしておく、浴衣は軽くたたむ、ごみはごみ箱に入れる、グラスなど使ったものは集めておくなど、すべて元の位置に戻さなくても良いですが、片付けやすいようにしておきましょう。
また、ある程度の片付けをすることは、忘れ物防止にもつながります。なお、旅館で布団をご自身で押入れにしまおうとする方がいらっしゃいますが、シーツ交換などがしにくくなり、旅館側の手間をかけてしまいます。

Q.13 連泊するときって、タオルや布団シーツの交換はしてもらえない?
プランによっても異なるでしょう。環境配慮の観点から、交換頻度を下げているところもございます。ほとんどのところではタオルやシーツは1泊ごとに交換があるでしょう。
ただし、タオルかけなどにかけておくと、再利用するサインとなり、交換されないケースがあります。バスタブやユニットバスの床に置いておくと、清掃時に交換してくれます。
旅館などで、温泉に入るために朝夕で交換してほしいと思う方がいらっしゃるようですが、多くても1泊ごとが基本。夜使ってまた朝使う場合は部屋の中に干しておきましょう。
その際、座椅子などにかけると座椅子が湿気で傷んでしまう場合があるので注意が必要。タオルやシーツを汚してしまいどうしても必要な場合は、フロントに相談してみましょう。
Q.14 宿泊施設の人がそうじに入るとき、自分の荷物は片付けてないといけない?
すべてをバッグにしまうところまではしなくて結構ですが、清掃の方はむやみにお客様の荷物に触るわけにはいきません。ある程度荷物はまとめ、清掃の邪魔になる場所には、ものは置かないようにしましょう。例えば、ベッドの上にものを置いておくと、シーツの交換ができない場合もあります。
また、貴重品はセキュリティボックスを使うか、自身で持っておくようにしましょう。間違って捨てられそうなものは、片づけておいた方がよいでしょう。清掃の方が掃除に困るような状態は避けるのがマナーです。部屋に入ってほしくない、清掃不要の場合には、「起こさないでください」の札を下げておくとよいでしょう。
じゃらん編集部
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