京都・東山に佇む高台寺(こうだいじ)は、豊臣秀吉の菩提を弔うため正室のねねが建立した寺院。境内には、重要文化財に指定された観月台や、桃山美術の粋ともいえる高台寺蒔絵など、文化的な見どころが豊富です。特に春の桜や秋の紅葉の夜間特別拝観では、幻想的な景色を楽しめます。今回は、高台寺の魅力について詳しくご紹介します。
●高台寺はどんなお寺?
・豊臣秀吉とねねの寺
・高台寺の拝観料
・高台寺へのアクセス
・高台寺でいただける御朱印・お守り
●高台寺の見どころ
・見どころ1. 池を中心に広がる「庭園」
・見どころ2. ねねが月に思いを馳せた「観月台」
・見どころ3. 天井の装飾に注目したい「開山堂」
・見どころ4. 龍の姿を連想させる「臥龍廊」
・見どころ5. 高台寺蒔絵が施された、ねねが眠る「霊屋」
・見どころ6. 白砂が広がる枯山水の「方丈前庭」
・見どころ7. 寺宝を真近で鑑賞できる「掌美術館」
・見どころ8. 時代とともに進化した仏様「アンドロイド観音」
・見どころ9. 緑に囲まれ一息つける常設の「お茶席」
●桜と紅葉時期のライトアップは必見!
・春の特別拝観
・秋の特別拝観
高台寺はどんなお寺?
豊臣秀吉とねねの寺

1606(慶長11)年に、豊臣秀吉の正室ねねが創建した禅寺。ねねは、まだ身分の低かった秀吉への愛を貫き、両親の反対を押し切って夫婦になります。夫の天下統一を支えたねねは、秀吉の死後、大坂城を出て自らが創建した高台寺に移り住み、亡くなるまで17年をこの地で過ごしました。
寺は石段を上った先、その名の通り高台にあります。そこには、桃山時代を代表する庭園、観月台、開山堂、霊屋(おたまや)、高台寺蒔絵などの絢爛豪華な建築や工芸品が当時の面影を残します。
高台寺の拝観料
拝観料は大人600円で、このなかには掌美術館の入館料も含まれます。夜間特別拝観も同額で拝観できます。(夜間特別拝観の期間は公式ホームページを参照)
高台寺へのアクセス
車でのアクセス・駐車場
名神高速京都東ICから約30分です。境内の駐車場は普通車80台。最初の1時間が600円で、以降30分毎300円ですが、高台寺拝観、塔頭の圓徳院拝観、賑店(土産物)で3000円以上購入すると、それぞれにつき1時間無料サービス券がもらえます。
公共交通機関でのアクセス
バスの場合は、京都駅から市バス206系統で約20分の東山安井バス停で下車、徒歩約7分。電車の場合は、京阪電車祇園四条駅から徒歩約20分です。
高台寺でいただける御朱印・お守り




御朱印の種類は4種。拝観受付、高台寺天満宮、利生堂の3カ所でいただけます。いずれもシンプルかつ、分かりやすい内容の御朱印です。
高台寺の見どころ
見どころ1. 池を中心に広がる「庭園」

江戸時代の武士であり、作庭家、茶人としての顔を持つ小堀遠州(こぼりえんしゅう)作の庭園は、石組の見事さで桃山時代を代表する庭園として国の史跡・名勝に指定されています。
庭の東にある臥龍池(がりょうち)、西にある偃月池(えんげつち)という2つの池を中心に、その周りにはゆるやかな起伏のある芝生が広がります。禅寺によくある厳しさを感じさせる庭園とは異なり、ねねの人柄を思わせるような穏やかなやさしさが感じられます。
見どころ2. ねねが月に思いを馳せた「観月台」

偃月池にかけられた廊下には、重要文化財の唐破風(からはふ)と呼ばれるカーブした屋根の付いた部分があります。ここは、空に浮かぶ月や、池の水面に映る月を愛でる場所で、ねねが秀吉を偲んでここから月を眺めたと伝えられます。
見どころ3. 天井の装飾に注目したい「開山堂」

高台寺の初代住職・三江紹益(さんこうしょうえき)の像が安置されている開山堂。こちらも重要文化財の指定を受けています。天井には、ねねが愛用した御所車(牛車)の色彩が残る天井と、秀吉が使った御座船(ござぶね)の天井がそのままはめ込まれており、2人の絆を感じさせます。
見どころ4. 龍の姿を連想させる「臥龍廊」

臥龍池にかけられた開山堂と霊屋を結ぶ廊下。緩やかな曲線を描き、龍のように見えることから、臥龍廊と呼ばれます。
見どころ5. 高台寺蒔絵が施された、ねねが眠る「霊屋」

堂内の右に秀吉、左にねねの木像、正面の厨子には秀吉の念持仏であった5cmほどの随求菩薩を安置。ねねの木像の下、約2mのところにねね自身が葬られており、彼女の墓所となっています。
黒い漆が塗られた厨子、柱、階段などに金粉で施された装飾が、桃山時代の工芸美術の粋を集めた高台寺蒔絵と呼ばれるものです。特に、中央の階段部分には、桜が散り、水面に花びらが漂う様子が描かれ、すべては移りゆくということを象徴的に表しています。
見どころ6. 白砂が広がる枯山水の「方丈前庭」

方丈内に座ってじっくりと鑑賞できるのが「波心庭(はしんてい)」です。春になると、白砂の苔地に立つ枝垂れ桜が満開になり、庭園が華やぎます。
また、かつて方丈の横には、ねねが秀吉と暮らした伏見城から運ばせた建物が客殿(小方丈)としてあったとされ、2025年2月現在再建プロジェクトが進行中。2026年春に完成が予定されています。
見どころ7. 寺宝を真近で鑑賞できる「掌美術館」

高台寺の宝物館的位置づけで、秀吉とねねの肖像画をはじめ、2人の生活を彩った調度品や絵画のほか、近年人気の高い刀剣類など寺院に伝わる宝物を展示。ねねの人となりが偲ばれる品を多く所蔵しています。
見どころ8. 時代とともに進化した仏様「アンドロイド観音」

昔から、慈悲の心をもって人々を救い続けてきた観音菩薩。その姿は、ときには老人、ときには子供など、救いを求める者に応じて33の姿に変化するといわれています。
高台寺においては、プロジェクションマッピングを駆使し、般若心経を分かりやすい言葉で説明してくれる“アンドロイド観音マインダー”が登場。御開帳日に、駐車場南側にある教化ホールで説法が聞けます。(御開帳スケジュールは公式ホームページを参照)
見どころ9. 緑に囲まれ一息つける常設の「お茶席」


ねねは、高台寺で禅と茶道の日々を過ごしたともいわれ、庭園には茶室が点在しています。それにちなんでか、境内の出口付近にある常設のお茶席「雲居庵(うんごあん)」の抹茶は本格的なもの。神仏や身分の高い人に抹茶を出す際に使う天目台と天目茶碗を使って、お茶が提供されます。メニューは、抹茶とお菓子800円のみです。
桜と紅葉時期のライトアップは必見!
春の特別拝観

2025年は、3月14日(金)~5月6日(火・振替休日)に夜間特別拝観が行われます。17時にライトアップが始まり、21時30分に受付が終了、22時閉門です。
方丈前庭では、庭園をキャンバスにプロジェクションマッピングが繰り広げられ、音や光による演出が楽しめます。また、立ち姿の美しい枝垂れ桜が醸し出す、昼間とは違う妖艶な雰囲気も見どころです。もちろん、庭園内もライトアップされ、昼間と同じエリアを巡れます。
秋の特別拝観

例年、10月下旬~12月中旬に夜間特別拝観が行われます。秋のライトアップの見どころは、臥龍池にくっきりと艶やかに映り込む錦に染まる木々。また、境内奥の竹林もほのかに照らされ、幽玄な世界が広がります。(2025年の日程・時間・内容は未定)
まとめ
ねねの秀吉に対する愛情がつまっている高台寺は、ほっこりと癒やされる気持ちになれる寺院です。庭園やアンドロイド観音、お茶席もあり見どころ満載なので行ってみてくださいね。
※この記事は2025年2月23日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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らくたび
京都の古い町家を拠点に、テレビやラジオ、ツアーや京都本の制作を通して、京都の魅力を発信しています。社寺の歴史やご利益めぐりから、カフェさんぽ、旬の話題まで、京都のことならお任せを。https://rakutabi.com/