約1300年の歴史を持つ奈良の世界遺産「春日大社」。豊かな自然に囲まれた広大な敷地には国宝・重要文化財の建物が並び、国内外から多くの参拝者が訪れる神社です。初めての人はその広さに圧倒されてしまうかもしれません。
今回は「春日大社」のおすすめ参拝ルートを紹介。お守り、御朱印の情報もあるのでチェックしてみてください。
「春日大社」とはどんな神社?ご利益は?
歴史と格式を誇る全国の春日神社の総本社

「春日大社」は768年(神護景雲2年)に創建された、全国にある春日神社の総本社です。広大な敷地は春日山原始林を含めて全体で32万坪。1998年には、「春日大社」や春日山原始林を含む「古都奈良の文化財」がユネスコの世界遺産に登録されました。62の摂末社があり、縁結び、夫婦円満、安産、厄除けなど幅広くご利益があるとされています。

境内に足を踏み入れると神聖な雰囲気が漂い、聖域として長年守られてきた原始林の中に鮮やかな朱塗りの社殿が鎮座する様子は荘厳です。境内で神の御使いといわれている鹿を見かけるのも、「春日大社」ならではの光景です。
「春日大社」の拝観料
「春日大社」の拝観料は、本社(大宮)のみ参拝する場合は無料です。御本殿前まで足を運び特別参拝する場合は700円の拝観料がかかります。また、「若宮十五社巡り」などの特別な巡拝をする場合や、国宝殿、萬葉植物園に入場する場合は別途料金がかかります。
[御本殿前特別参拝]700円
[春日五大龍神めぐり]1200円
[若宮十五社めぐり]1500円
[水谷九社めぐり]1500円
[国宝殿]大人500円、大学生・高校生300円、小学生200円※特別展によっては、拝観料が変更になる場合あり
[萬葉植物園]高校生以上500円、中学生以下200円
[国宝殿]大人700円、大学生・高校生400円、小学生300円※特別展によっては、拝観料が変更になる場合あり
[萬葉植物園]高校生以上700円、中学生以下300円
「春日大社」のアクセス・駐車場情報
公共交通機関でのアクセス
徒歩の場合
最寄り駅の近鉄奈良駅から御本殿までは徒歩約25分です。近鉄奈良駅の東口から東へ向かって歩くと奈良公園の敷地に入り、さらに東に向かって歩くと「春日大社」の一之鳥居が見えてきます。
また、JR大和路線・奈良駅の場合は近鉄奈良駅と離れた場所にあるので注意。こちらから歩く場合は35分ほどかかります。
バスの場合
近鉄奈良駅とJR奈良駅、どちらからもバスが出ているので、奈良公園を散策せずに直接向かう場合はバスもおすすめです。奈良交通バス春日大社本殿行きで約11~15分、「春日大社本殿」下車徒歩すぐです。
車でのアクセス
最寄りのICは京奈和自動車道の「木津IC」。ICから車で約15分かかります。大阪方面から行く場合は第2阪奈有料道路「宝来IC」で降り、ICから東へ車で約20分です。
駐車場
「春日大社」には国宝殿前に専用駐車場があります。バス、乗用車合わせて100台停めることができ、駐車料は乗用車1台あたり1500円です。
[開場時間]【3月~10月】7時30分~17時【11月~2月】7時30分~16時30分

また、駐車場を利用すると交通安全の祈祷証が受け取れます。車のナンバーや住所など必要事項を記入し祈祷所に持っていくと、交通安全祈願をしてもらえる上、鹿の形をした交通安全ステッカーをいただけますよ。
「春日大社」の参拝ルート

広大な敷地に参拝所も数多くある「春日大社」は、どこからお参りすればいいのか分からない人もいるかもしれません。一之鳥居から参拝を開始し、二之鳥居、南門を通り御本殿のあるエリアへ進むのが一般的なルートです。ここでは参拝ルートと各所の見どころを紹介します。
1.一之鳥居

奈良のメインストリート、三条通りの方から東へ歩いて行くと大きな朱塗りの鳥居「一之鳥居」が見えてきます。入ってすぐ右手の丘の上には、能舞台の鏡板に描かれている松といわれる「影向の松(ようごうのまつ)」があります。
奥には馬場としても用いられた真っすぐな参道が続き、「二之鳥居」に向かう参道の両側にはムクロジの大木や池、「飛火野の大楠」、「鹿苑」、「萬葉植物園」など見どころがたくさん。藤原氏などの貴族たちも華やかな行列を整えて進んだ参道を、自然と歴史を楽しみながら歩きましょう。
2.二之鳥居

神聖な雰囲気が漂う森の中、目を引く朱色の鳥居「二之鳥居」が佇んでいます。手前には天皇の行幸や貴族の参詣の折に牛車や馬を繋いでいた「車舎(くるまやどり)」があり、ここから先は歩いて参詣していたそうです。「二之鳥居」をくぐった左手の「鹿の手水所」で手水をし、体と心を祓い清めてくださる「祓戸神社(はらえどじんじゃ)」へお参りして身を清めてから進みましょう。
「二之鳥居」から南門へ向かって歩いていると、歴史を感じる古い石燈籠が密集しており、古くからたくさんの人が「春日大社」に信仰を寄せてきたことを感じられます。
3.南門

表参道から回廊内に入る際にくぐる「南門」。高さは12mあり、重要文化財にも指定されている、「春日大社」最大の楼門です。門の左右には長い回廊「南回廊」が伸びており、その建築美にも目を奪われます。「南門」前は、重厚感がある門と歴史を感じる石燈籠が並び、記念撮影にもぴったりです。

「南門」をくぐると正面にある「幣殿(へいでん)」と「舞殿(ぶでん)」では、御本殿に向けて参拝を行えますが、さらに奥の神聖な区域に入ってお参りすることもできます。その場合は、右手の「特別参拝入口」で拝観料を支払い特別参拝エリアへ。御本殿をはじめ、貴重な場所や万燈籠の再現が見られます。
4.回廊

「春日大社」の象徴ともいえる美しい朱塗りの回廊は、御本殿やその他主要な建造物の四方を巡る廊下です。西回廊には「内侍門」、「清浄門」、「慶賀門」の3つの門が、「南門」を有する南回廊にはお札・お守り・御朱印をいただける授与所があります。回廊や門はすべて、重要文化財にも指定されています。
ずらりと並んだ釣燈籠(つりどうろう)が特徴的な東回廊は、神聖な雰囲気に満ちています。御本殿近くでは歴史的な著名人が奉納した燈籠も見られるので探してみてください。
また、2月と8月の「万燈籠」の期間中には、燈籠すべてに灯がともされ神秘的な光景が広がります。
5.中門・御廊・御本殿

「中門」は約10mの高さの楼門で、「御廊」は「中門」から左右に約13m、鳥が翼を広げたように延びています。とても立派な建物なので勘違いしてしまう人もいるようですが、「御本殿」はさらにこの奥にあります。通常、参拝者が最も近くから「御本殿」に参拝することができるのはこの門までです。
「御本殿」には春日の神々四柱が御鎮座され、第一殿には武甕槌命(たけみかづちのみこと)、第二殿には経津主命(ふつぬしのみこと)、第三殿には天児屋根命(あめのこやねのみこと)、第四殿には比売神(ひめがみ)が祀られています。
6.春日若宮

「南門」から参道を南に向かって進むと、御蓋山の麓にお社が点在し、様々な神様が祀られています。中でも、とりわけ「春日若宮」とその周辺は、古くから参詣に訪れた多くの人が神めぐりをした場所なのだそうです。
「春日若宮」をはじめ人生の中で遭遇するいくつもの難所を守ってくださる神々とご縁を結べるのが「若宮十五社めぐり」。十五社を巡りながら玉串札を納め、良縁や開運・財運、商売繁盛、延命長寿などのご利益を祈願していきます。
全部回るのにかかる時間は、30分~1時間ほど。最後の納所である夫婦大國社で十五社満願の奉告をすると、授与所で「おしるし」として若宮十五社の御朱印とお守りをいただけます。
また、1135年の御本殿創建翌年から900年近く続く「春日若宮おん祭」は、国の重要無形民俗文化財に指定されており、奈良を代表する大きな祭りの一つとなっています。
7.夫婦大國社

若宮十五社の一つで若宮十五社巡りの受付と満願奉告をする場所「夫婦大國社(めおとだいこくしゃ)」。ご夫婦の大国様をお祀りする神社で、夫婦円満・家内安全・縁結びを願う人がたくさん訪れています。

大國様の妻である須勢理姫命(すせりびめのみこと)が手にしゃもじを持っていることから、古くよりしゃもじを奉納するのがならわしになっています。
8.国宝殿

「春日大社」が所有する国宝354点と重要文化財2526点をはじめ、多数の文化財を所蔵し展示する美術館。文化財や宝物、価値の高い資料はもちろん、雅楽や舞楽などの演奏に用いられる鼉太鼓(だだいこ)や、大きな水盤をスクリーンとして映像を投影する近代的な展示「神奈備」なども見どころです。
国宝殿1階には、カフェ・ショップ鹿音(かおん)が併設されており、スイーツや軽食が楽しめます。また、国宝殿オリジナルグッズやお土産もあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
9.春日荷茶屋

広い境内をたくさん歩いたら「春日荷茶屋(かすがにないぢゃや)」で一休み。古くから参拝客に茶を振る舞っていた「荷茶屋」は当時の名物だったという記載が、 「大和名所図会」や他の書物にも残っています。

名物は、創業当初からの看板メニュー「万葉粥」。奈良県産の米「ひのひかり」を、北海道産昆布からとった出汁と奈良県産の白みそでまろやかに仕上げています。お粥はほぼ月替わりで、春には桜、夏にはうす茶の冷やし粥など季節にあわせたメニューも登場します。
奈良・吉野の本葛を使った葛餅など和のスイーツやお抹茶も楽しめるので、四季折々の風景を楽しみながら庭園で味わってみてくださいね。
「春日大社」のお守り・おみくじ・御朱印
「春日大社」では様々なお守り、お札、御朱印、神様の御使いとされる鹿をモチーフにしたかわいいおみくじなどを授与しています。ほとんどは「南門」に続く南回廊でいただくことができ、夫婦大國社の授与所でも取り扱いがあります。
白鹿守

神様の御使いである白鹿が描かれた開運招福のお守り。「春日大社」ならではのデザインでお参りの記念にもぴったりです。
白鹿みくじ

神様の御使いである白鹿が口におみくじをくわえています。また、一刀彫の木の鹿がおみくじをくわえている「鹿みくじ」(600円)もあります。
「春日大社」の御朱印



御朱印は全部で4種類。「春日大社」と墨書きされたものは、春日大社本殿の南回廊の授与所でいただけます。(通常御朱印帳への書入れ。混雑が予想される日は紙での授与。)そのほか、夫婦大國社の授与書に行くと、「春日若宮」、「夫婦大國社」、「金龍神社」の3種類が受けられます。(紙での授与のみ)
ハート絵馬


夫婦大國社ではハート型の絵馬を購入することができ、縁結び、恋愛成就の祈願に訪れる参拝者によってたくさんの絵馬が奉納されています。
奈良県奈良市春日野町160
[開門時間]【御本社(大宮)参拝所】3月~10月:6時30分~17時30分、11月~2月:7時~17時【御本殿前特別参拝】9時~16時【夫婦大国社】9時~16時30分【国宝殿】10時~17時(入館は16時30分まで)
※原則として上記の時間は諸行事の際、変更になる場合あり
※行事・祭典等により拝観できない日あり。詳細は公式HPを参照
「春日大社」の詳細はこちら
「春日大社」のクチコミ・周辺情報はこちら
まとめ
歴史と自然にあふれた「春日大社」の見どころやお守りを紹介しました。神の御使いである鹿が遊び神聖な雰囲気が漂う境内、重要文化財の回廊や建築美、奈良観光の際はぜひ足を運んでみてくださいね。
※この記事は2025年2月3日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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鳥井 晴風
5人の子どもを持つママ編集ライター。 子供に大好きな漫画の主人公の名前を付けてしまうほど漫画アニメ好き。キャラ弁やキャラケーキづくりが得意。好きなお出かけ先は道の駅や直売所など食材が豊富なところ。 自分で収穫する味覚狩りや芋ほりも大好き。