神奈川・箱根温泉の観光スポットの一つ、大涌谷。活火山ならではの立ち上る噴煙と、剥き出しの山肌が織りなす迫力ある自然景観が魅力です。今回は、美しい景色が眺められるロープウェイや大涌谷自然研究路、癒やされる足湯などの観光スポット、名物の「黒たまご」をはじめとしたおすすめの食べ歩きグルメを紹介します。ぜひ、旅行の計画を立てる際の参考にしてくださいね。
大涌谷とはどんなところ?
3000年前の水蒸気爆発で誕生した爆裂火口

大涌谷は、箱根火山の中央火口丘で冠ヶ岳の標高800m〜1000m、北側斜面に位置する箱根有数のビュースポットです。現在も硫化水素を含む噴煙が立ち上っているため、樹木は立ち枯れ、赤茶けた山肌が露出。地球のダイナミックな息吹を間近に感じられます。また、大涌谷の噴気と地下水を利用した造成温泉も行われており、箱根各地に運ばれる泉源地にもなっています。雄大な光景は、箱根ロープウェイ大涌谷駅前のテラス、大涌谷駐車場の展望台から眺めるのがおすすめです。
大涌谷の注意情報
現在も火山活動が続く大涌谷周辺は、人体に有害な硫化水素などの火山性ガスが発生しています。そのため24時間体制で火山性ガスの観測が行われており、緊急時は避難指示が放送されます。しかし、放送がなくても臭いが強い時や、目・鼻・のどに刺激を感じるときは危険のサイン。すぐに退去しましょう。また、以下に該当する人は、車を降りての観光ができません。
■アレルギー性喘息の人
■気管支疾患のある人
■呼吸器(肺)疾患のある人
■心臓疾患のある人
■心臓ペースメーカーを装着している人
■体調不良の人
妊娠中の人や新生児・乳幼児、アレルギー体質、高齢の方も、ぜん息発作をおこす可能性があるため、車外には出ないなど、十分に検討が必要です。
火山活動やそれに伴う交通規制については、神奈川県や箱根町のホームページなどで事前に最新情報をチェックできます。
「箱根町の交通規制情報」はこちら
大涌谷へのアクセスは?
■電車
箱根湯本まで:
・小田急新宿駅→小田急ロマンスカー「スーパーはこね」等→小田急箱根湯本駅
・JR東京駅→東海道新幹線「こだま」→JR小田原駅→箱根登山電車→小田急箱根湯本駅
・東京メトロ大手町駅→小田急ロマンスカー「メトロはこね号」→小田急箱根湯本駅
箱根湯本から大涌谷まで:
・小田急箱根湯本駅→箱根登山電車→強羅駅→箱根登山ケーブルカー→早雲山駅→箱根ロープウェイ→大涌谷駅
■車
・東名厚木IC→小田原厚木道路→小田原西IC→国道1号線→小涌谷→県道734号線→大涌谷
・東名御殿場IC→静岡県道401号線→国道138号線→県道75号線→県道735号線→県道734号線→大涌谷
大涌谷には駐車場が設けられていますが、特に休日は道路も駐車場も混み合うため、車を別の駐車場に停めて、ロープウェイなどの乗り物を楽しむのがおすすめ。早雲山駅をはじめ、箱根の主要な駅や芦ノ湖の港付近の駐車場を利用すると良いでしょう。
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251-1
【2月〜11月】9時~16時20分【12月〜1月】9時~16時
なし※天候などにより臨時閉場あり
小田原厚木道路小田原西ICより 30分
147台(有料)
「大涌谷駐車場」の詳細はこちら
大涌谷の見どころ
大涌谷自然研究路

大涌谷一帯は“大涌谷園地”と呼ばれ、富士箱根伊豆国立公園内の特別地域です。そのうち、大涌谷駐車場からたまご蒸場である玉子茶屋までは、約700mの周回ルート「大涌谷自然研究路」が整えられており、噴火の痕跡を残す山並み、白煙を吹き上げる噴気孔などを観察できます。
活発な火山活動以来しばらく閉鎖していましたが、噴石から身を守るシェルターが設置されたことから、現在は2名の監視員が誘導する約40分の「引率入場」で散策が可能となりました。「引率入場」は、毎日4回、小学生以上を対象に各回定員30名で実施しています。
噴煙地の周辺では、高い地温が感じられ、酸性土壌に強い植物のコアジサイ、ノリウツギ、イタドリ、イオウゴケを観察したり、晴れた日には玉子茶屋前から富士山を望めたりできるのも「大涌谷自然研究路」ならではの魅力です。
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原
【引率入場】10時〜、11時30分〜、13時〜、14時30分〜
なし※安全上の理由などで休止あり
安全対策の協力金として、小学生以上800円
大涌谷駅より徒歩2分/小田原厚木道路小田原西ICより30分
あり※大涌谷駐車場利用
「大涌谷自然研究路」の詳細はこちら
大涌谷延命地蔵尊

「大涌谷自然研究路」の入口手前に佇んでいるのが「大涌谷延命地蔵尊」です。はじまりは1100年ほど前、弘法大師が大涌谷の地獄のような荒涼とした風景に心を痛め、地蔵菩薩を作り祈願したと伝わっており、「延命子育ての地蔵」としても知られています。
地蔵尊の社の隣には、手を清める温泉「神泉の湯」があり、そばには浄めの湯かけ地蔵が設置されています。周囲より少し高い場所に位置しているため、晴れた日には富士山の眺望も堪能できます。
箱根ジオミュージアム

箱根火山や大涌谷の地形、温泉などに関するコラム展示が行われており、箱根火山の魅力と不思議に出会えるミュージアムです。箱根ジオパークの紹介や大涌谷の火山ガス情報や災害対策を展示する無料の「インフォメーションゾーン」のほか、ミュージアムスタッフおすすめ「大涌谷わくわくポイント」や約50の小さなお話の「コラム展示」といった有料の「ジオホール」があり、火山や箱根の自然の魅力をわかりやすく、楽しく解説しています。

「ジオホール」には、大涌谷の硫黄や地層のはぎ取り標本、芦ノ湖の逆さ杉、神代杉などの実物展示のほか、火山や温泉についての「プチ実験」が開催されることもあるそう。ここで箱根の火山や温泉への理解を深めてから、屋外フィールドの大涌谷で火山の息吹を体感するのもいいですね。
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251
9時〜16時
なし※天候等により、営業時間の変更や臨時休館あり
【インフォメーションゾーン】無料【ジオホール】小学生以上100円、未就学児無料
大涌谷駅より徒歩1分/小田原厚木道路小田原西ICより30分
あり※大涌谷駐車場利用
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箱根ロープウェイ

早雲山駅から大涌谷、姥子を経由して芦ノ湖湖畔の桃源台までを結ぶ全長約4000mの箱根ロープウェイ。深い谷や富士山、芦ノ湖の絶景など、変化に富んだ空中の旅が楽しめます。ゴンドラは側面がほぼガラス張りのため、大涌谷駅付近では大パノラマが望め、荒涼とした山肌の各所から立ち上る白煙など大迫力の景色を堪能できます。
大涌谷駅ではお土産・グルメも充実しています。1階の「大涌谷 駅の店」では寄木細工などの箱根定番のお土産のほか、箱根ロープウェイ限定のオリジナルグッズを販売。2階の「大涌谷 駅食堂」には、大涌谷噴煙地を見渡せる展望スペースがあり、抜群の眺めで食事やティータイムが満喫できますよ。
※2025年2月中旬~4月下旬まで「大涌谷駅の店」は改装工事のため営業中止
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300
【2月~11月】9時~16時45分(大涌谷駅のみ17時まで)【12月〜1月】全駅9時~16時15分
なし※荒天時、12月~2月メンテナンスのため運休あり※2025年4月下旬まで大涌谷駅構内およびテラスは工事中のため一部立ち入り禁止エリアあり
【片道】中学生以上1500円、小学生500円【往復】中学生以上2500円、小学生800円
箱根登山ケーブル早雲山駅より徒歩すぐでロープウェイ早雲山駅/小田原厚木道路小田原西ICより40分
105台(無料)
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おすすめ食べ歩きグルメ
黒たまご【大涌谷くろたまご館】

約80℃の大涌谷の温泉池で60分ほど茹で、さらに約100℃の蒸気で15分蒸し上げて完成する「黒たまご」。気孔の多い卵の殻に温泉の成分が付着することで、真っ黒になるそうですよ。大涌谷の名物で、1つ食べると7年寿命が延びるという言い伝えもあるそうです。
黒カレーパン【大涌谷くろたまご館 涌わくキッチン&CAFE】

「大涌谷くろたまご館」内の「涌わくキッチン&CAFE」では、名物の「黒たまご」が店内で食べられるほか、「黒たまご」にちなんだグルメが揃っています。
「黒カレーパン」は、ココアパウダーと竹炭が練りこまれた黒い生地がサクッとしており、中にはじっくり煮込んだ黒カレーがたっぷり入っているのが特徴です。

「大涌谷くろたまご館」は、大涌谷観光の拠点としても便利。名物の「黒たまご」をはじめ、オリジナルのお土産やご当地キャラクターグッズを販売するショップ、カフェのほか、「大涌谷インフォメーションセンター」や「箱根ジオミュージアム」も備えています。
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251
9時~16時※季節変動あり
なし
大涌谷駅より徒歩1分/小田原厚木道路小田原西ICより30分
あり※大涌谷駐車場利用
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たまごソフト【ゆーらんど】

「大涌谷くろたまご館」別館の「ゆーらんど」では、まるでカスタードクリームのような、まろやかでやさしい味わいの「たまごソフト」を味わえます。
お店は「大涌谷自然研究路」の入口にあり、イートインも可能なため、ゆっくり座って堪能できるのもいいですね。
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根110-54
9時~16時※季節変動あり
なし
大涌谷駅より徒歩2分/小田原厚木道路小田原西ICより30分
あり※大涌谷駐車場利用
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黒アイス【極楽茶屋】

「黒たまご」の黒にちなんで竹炭が練り込まれた、真っ黒な見た目が印象的なアイスクリームです。ソフトクリームの形状ですが、ゆっくりとした口溶けが楽しめるアイスクリームで、濃厚なバニラ味です。
店内では、名物の「黒たまご」をはじめとする大涌谷限定のお土産を販売しているほか、食堂も併設。大涌谷の山をイメージした「赤池地獄の黒ラーメン」1200円なども味わえます。
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251-2
9時~16時30分(食堂は15時30分まで)
なし
大涌谷駅より徒歩2分/小田原厚木道路小田原西ICより30分
あり※大涌谷駐車場利用
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ニューベル【cuーmo箱根】

早雲山駅構内「cuーmo箱根」で販売している「ニューベル」は、リンゴとバナナを使ったスムージーの上に綿菓子をのせ、早雲山の空に浮かぶ雲を表現したドリンク。晴れた空にかざせば、フォトジェニックなショットが撮れます。
蒸しパンでもおまんじゅうでもなく、雲のようにふわふわとした不思議な⾷感の「くもぱん」250円やこだわりのコーヒーなどもおすすめです。

施設内には、高台の眺望の良さを生かして、大文字焼きで知られる箱根外輪山を見渡す足湯付きの展望テラスがあります。雄大な景色を眺めながらほっとひと息つけるため、大涌谷の行き帰りにはぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300
【物販】9時30分~16時45分【フード&ドリンク】10時30分~16時【展望テラス】9時~16時45分【足湯】9時~16時
なし
早雲山駅直結/小田原厚木道路小田原西ICより40分
105台(無料)
「cuーmo箱根」の詳細はこちら
まとめ
ロープウェイでの空中散歩や展望スポットから、地球の息吹が感じられる火山帯の風景と優美な富士山との対比が楽しめる大涌谷。名物の「黒たまご」をはじめとした食べ歩きグルメも充実しているので、箱根の温泉とともに満喫してくださいね。
※この記事は2024年12月12日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
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中林 貴美子
旅のライター歴=じゃらんライター歴20余年。2人の子どもを育てつつ、西へ東へ取材行脚の日々。観光地と観光地のはざまにあるのどかな里山風景やそこで暮らす地元の人との触れあいが好き。食いしん坊が幸いしてご当地グルメや道の駅グルメ関連も多数。