晩秋から冬にかけては空気が乾燥し、水蒸気による大気のゆらぎが少なくなるため、晴れた夜は澄み渡り星空観賞にぴったりの季節となります。
冬の星座を代表する3つ星のオリオン座、ペテルギウス、シリウス、プロキオンで結ぶ冬の大三角形など、1等星が多く見つけやすいのも特徴です。その他にもふたご座やおおいぬ座など有名な星座がたくさん!
今回の記事では、星座学習サイト「88星座図鑑」を運営している星空観察のスペシャリスト、スタディスタイル★自然学習館の齋藤さんに教えていただいた、冬の星座の見つけ方から星空観賞の持ち物や注意点などを詳しく紹介します。
【オリオン座(ベテルギウス)】の見つけ方

冬の星座探しは、オリオン座を見つけることから始まります。オリオン座をガイド役にすれば、冬の夜空を彩る様々な星座を見つけることができます。
オリオン座は狩人オリオンの雄大な姿をした星座。
11月中旬以降、東京では夜8時過ぎの東の空に、縦に3つに並んだ明るい星が昇ってきます。それが、狩人オリオンのベルトにあたる三つ星です。
その周囲を4つの星が取り囲みオリオン座を形作ります。
深夜には南の空高く昇りますので、三つ星を頼りに探してみましょう。
オリオンがこん棒を振りかざす右腕の付け根にある、少し赤みがかった星は、ベテルギウスという一等星です。
【おおいぬ座(シリウス)】の見つけ方

おおいぬ座は猟犬の姿を表した星座。オリオン座に少し遅れて昇ってきます。
ひときわ白く輝く星がおおいぬ座の1等星シリウス。シリウスは、おおいぬ座の口元にあたり、その東にある2つの4等星とで作られる三角形が頭となります。
南よりに少しはなれた3個の2等星がつくる三角形を結びつけると骨格ができあがり、大きな犬の姿がイメージできます。
シリウスは星々の中では最も明るく、古代には神としてもあがめられていました。
【こいぬ座(プロキオン)】の見つけ方

天の川をはさんでおおいぬ座と反対側にあるこいぬ座は。小さく可愛い子犬の姿を表した星座。
ギリシャ神話では、狩人オリオンが連れていた猟犬とも言われています。
オリオン座のベテルギウスとおおいぬ座のシリウスを結んだ線を底辺に、三角形を作るように東へ目を向けると見える明るい1等星が、こいぬ座のプロキオンです。
【おうし座(アルデバラン)】の見つけ方

おうし座は、狩人オリオンに襲いかかる大きな2本の角を持った牡牛の上半身の姿を表した星座。
オリオン座の三つ星を結んだ線を東から西にたどっていくと見つかる、赤く輝く星がおうし座の1等星アルデバランです。
牡牛の右目にあたる星で、東に並ぶ2つの星が牡牛のツノの先端になります。
アルデバランからさらに西へ目を向けると小さな星々が密集して輝くプレアデス星団が見つかります。日本では「すばる」と呼ばれています。
【ぎょしゃ座】の見つけ方

将棋の駒のような五角形の形をしたぎょしゃ座は、やぎを抱き馬車をあやつる王の姿を表した星座。
ギリシャ神話では、アテネ3代目の王となったエリクトニウスの姿とされています。
おうし座の北寄りのツノの先端に明るい星が将棋の駒のような五角形を作るように並んでいます。
5つの星の中でひときわ明るい1等星カペラが、天の川の中で美しく輝いています。
【ふたご座】の見つけ方

ふたご座は、二人の男の子が並んだ姿を表した星座。
冬の大三角の東、おうし座のツノの先を見ていくと2つの明るい星が仲良くならんだ細長い六角形が見つかります。
二人の頭の部分にあたる星が、カストルとポルックスです。
【うさぎ座】の見つけ方

狩人オリオンの足下を逃げ回るうさぎの姿を表した星座。
オリオン座の左足にある1等星リゲルの南に、耳を立ててうずくまる姿をしています。
うさぎ座は3~4等星の暗い星が台形のように並び目立つ星はありませんが、2つの長い耳が伸びた形に見えるので、見つけやすいでしょう。
【エリダヌス座】の見つけ方

エリダヌス座は、星座には珍しく川の名前がついた星座。
オリオン座の左足にある1等星リゲルのすぐ上にある3等星クルサを先頭に、そこから南西へ3~4等星を川のように繋いで川の形になります。
3等星クルサから流れ出し、大きく左右に蛇行しながら地平線に消えてしまいます。
川の南端には一番明るい星アケルナルがありますが、星座の南端部は日本の多くの地点で見ることはできず、南端のアケルナルは鹿児島県以南の地域でしか見ることができません。
【冬の大三角形】の見つけ方

オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンから作られる三角形は「冬の大三角」と呼ばれ、冬の星座を探す際のガイド役となっています。
さらに、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオン、この6つの1等星を順に結んでいくと6角形が作られます。
「冬の大三角」を合わせると、冬の夜空を彩る美しい「冬のダイヤモンド」が表れます!
星空観賞をするときの持ち物

防寒具
星空鑑賞は夜間になるため、冬の服装には注意してください。
天気が良く日中温かった日でも、徐々に気温が下がって寒くなったり夜露で濡れることもあるので、フリースやダウンなどの防寒着やカッパを用意しておくと良いでしょう。
ニット帽や手袋、使い捨てカイロも役立ちます。
レジャーシート
レジャーシートや寝袋があると寝転んで眺められるので便利です。
降り注ぐような星空に包まれて、ゆったりリラックスしながら鑑賞できます。
長時間の場合は、折りたたみのイスも役立ちます。
懐中電灯
暗闇での観察には懐中電灯などの照明も必要です。
ただ、夜間に明るい光を見てしまうと、目が惑わされて星空が見えなくなってしまいます。
他に観察している人がいる場合、迷惑にもなるので、赤いセロファンなどで覆って光をカットすると良いでしょう。
コンパス&時計(スマートフォンで代用)
星や星座を見つけるには、方角や時刻が頼りとなります。
コンパス(方位磁針)を持っていない場合は、スマートフォンが活躍します。
スマートフォンには時計やコンパスアプリが揃っているので活用しましょう!
星座早見盤
現在の時刻と方角を合わせるだけで、今見える星座の位置が分かります。
星座を探すガイドとなるので初心者の方はぜひ用意することをおすすめします。
スマートフォンの星座アプリで代用することもできます。
双眼鏡、天体望遠鏡
明るい星や星座、星雲・星団の観察には広い範囲を見渡せる双眼鏡(7~10倍程度)があると、より星空を楽しむことができます。
天体望遠鏡があると、月のクレーターや土星、木星などの惑星も観察できます。
最近ではスマホをセットして写真撮影ができるものや、インテリアにもなるおしゃれな天体望遠鏡などもあるので、この機会に探してみてはいかがでしょうか?
星空観賞をするときの注意点

星空観賞には光が大敵となるので、観察する場所は街の明かりや街灯などの光が少なく、まわりに高い建物がない場所が理想です。
小高い丘の上やキャンプ場、水平線が見える海の近くも良いでしょう。
また、月の光も鑑賞の邪魔になることがあるので注意してください。
新月の前後数日間は空が暗く、暗い星も見えやすくなります。新月ではなくても、月が沈んだ後の時間帯なら観察に適しています。
観賞する地域の月の出・月の入の時刻や月齢(新月、満月等)、星や星座が見える時間や方角を事前に調べておけば、無駄なく観察を楽しむことができます。
最近では今日の月の様子や今見える星座を教えてくれるアプリもあるので、気軽に星空観賞が楽しめます。
まとめ
冬の星座と星空観賞のアドバイス、いかがでしたか?寒さも吹き飛ばすくらい美しい、冬の夜空。眺めるだけでもうっとりしますが、星座や星の名前がわかるとより楽しめます。この冬はぜひ何度も挑戦してみてください!
【監修】88星座図鑑
https://www.study-style.com/index_seiza.html
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※この記事は2024年9月6日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
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※この記事は2024年9月にじゃらん編集部が更新しました。
仲西なほ子
沖縄出身、沖縄育ち、沖縄在住。15年間の東京生活を満喫してUターン。現在はフリーランスで取材・執筆・編集・コピーの仕事と、美容の仕事でプライベートサロンも稼働中。息抜きは沖縄県内のリゾートホテル巡り。