言葉を失うほどの美しさを誇る石庭(せきてい)を一目見ようと、世界中から人々が訪れる京都の古刹、龍安寺。石と白砂が織りなす穏やかな風景は、見る者の心に深く刻み込まれます。
今回お届けするのは、見どころから拝観料、アクセス方法まで、龍安寺を訪れる際に役立つ情報です。時間を忘れて、歴史ある庭園の美しさに浸ってみませんか?
世界遺産「龍安寺」とはどんなお寺?
室町時代からの歴史を誇る禅寺

室町時代、幕府で要職を務める細川勝元(ほそかわかつもと)が、徳大寺家から山荘を譲り受け、僧侶の義天玄承(ぎてんげんしょう)を招いて1450(宝徳2)年に創建。
古くは糸桜(しだれ桜)の名所で、豊臣秀吉が桜を楽しんだ記録も残ります。1975(昭和50)年に日本を訪れたイギリスのエリザベス女王が石庭を絶賛。その名が世界に響きわたるところとなり、1994年、世界遺産に登録されました。
龍安寺へのアクセス・所要時間・参拝料金
龍安寺駅からは徒歩10分
龍安寺は京都市内の北西部、世界遺産の金閣寺と仁和寺が並ぶ「きぬかけの路」沿いに位置します。
車で行くと、京都南インターを降りて約40分。まず堀川通または西大路通を北へ向かい、北大路通で西へ曲がり、金閣寺前の交差点からは「きぬかけの路」をさらに西へ。やがて、道路の北側に龍安寺の駐車場が見えてきます。
電車であれば、嵐電北野線の龍安寺駅から徒歩で約10分。京都駅からは、JRバス高雄京北線に乗り、約40分の龍安寺前下車すぐです。
龍安寺の参拝時間・所要時間の目安

開門時間は季節によって異なり、3月~11月は8時~17時、12月~2月は8時30分~16時30分。
石庭だけを見るなら約30分、広大な境内に広がる鏡容池(きょうようち)をめぐるなら50分ほどかかると考えておきましょう。
龍安寺の参拝料金、御朱印料金
拝観料は大人600円、高校生500円、小・中学生は300円です。

「石庭」の文字が中央に力強く書かれた御朱印は1体300円。受付は、9時~16時で、諸事情により変更される場合があるのでご注意ください。
「龍安寺」の見どころ
龍安寺の代名詞「石庭」は必見。事前に庭の解釈について予習をしておくと、楽しみが倍増するかもしれません。また、山門から石庭へ向かう参道と鏡容池は、桜、もみじ、スイレンの名所で、シーズン中は心奪われる絶景が広がります。
石庭(方丈庭園)

特別名勝の方丈庭園は、東西25m、南北10mで、砂紋を描く白砂に15個の石が置かれたシンプルな構成。15個の石を同時に見ることはできず、どれかひとつが他の石に隠れてしまうともいわれ、さまざまな角度から熱心に石を数える観光客もよく見かけますよ。

その配置には、「母虎が3匹の子を連れて川を渡る情景」、「大海に浮かぶ島々」、「雲間から顔を出す山の頂」など、さまざまな解釈があるのだとか。いつ、誰が、何のために作庭したかも、はっきりとは分からず、それが石庭を一層ミステリアスにしているのかもしれません。
また、石庭を囲む土塀にも注目。菜種油を混ぜた土で作られており、年月を経た油の変化が醸し出す侘びた雰囲気は京都ならでは。
鏡容池

山門をくぐると見えてくる大きな池が鏡容池。かつて、池にはおしどりが生息していたという言い伝えから、別名“おしどり池”とも呼ばれ、江戸時代の観光ガイドブック『都名所図絵(みやこめいしょずえ)』にも、おしどりが羽を休める姿が描かれているそう。
池の周りは、桜、杜若(かきつばた)、睡蓮、蓮、椿などで華やぎ、四季の移り変わりを感じながら散策するのにもぴったり。
また、石橋を渡って池に浮かぶ弁天島へ足を踏み入れ、岸から眺める景色とは違った世界を愛でるのも一興です。
蹲踞

石庭がある建物の裏には蹲踞(つくばい)が置かれ、その縁に刻まれた4つの文字には、中央の□がそれぞれの一部となり、「吾唯足知」(われ、ただ、たることを、しる)という決まった読み方があります。“満足を知っている者は貧しくても幸せで、知らない者は裕福であっても不幸だ”という意味だそう。
蹲踞は、水戸黄門として知られる徳川光圀が、本を借りたお礼に寄進したとされ、現在、目にすることができるのはレプリカです。
方丈

一般的に方丈とは、禅寺における住職の住居を指し、来客をもてなす場でもありました。龍安寺では本堂を兼ね、弥勒菩薩を安置。その両側の襖に描かれた龍が、仏とその教えを護るために堂々と空を駆けめぐる姿は圧巻です。
また、時期によっては別の襖絵も鑑賞できます。2024年9月~2025年3月は、元総理大臣の細川護熙(もりひろ)氏の襖絵「雲龍図」が公開中。ぜひ、訪れてみませんか。
「龍安寺」マップ
京都府京都市右京区龍安寺御陵ノ下町13
【3月~11月】8時~17時30分(受付終了17時)【12月~2月】8時30分~17時(受付終了16時30分)
なし
【大人】600円【高校生】500円【小・中学生】300円
龍安寺駅より徒歩10分/名神京都南ICより40分
あり(石庭拝観者に限り1時間無料)
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まとめ
庭園を眺めていると、心が和らいでいくように感じられるでしょう。モノトーンの石庭と、四季の彩にあふれる鏡容池を中心とした庭園、2つの異なるタイプの庭があるのも龍安寺の魅力ですね。
※この記事は2024年9月4日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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らくたび
京都の古い町家を拠点に、テレビやラジオ、ツアーや京都本の制作を通して、京都の魅力を発信しています。社寺の歴史やご利益めぐりから、カフェさんぽ、旬の話題まで、京都のことならお任せを。https://rakutabi.com/