中秋(ちゅうしゅう)の名月はいつ?
2024年は、9月17日(火)です。
お供え物をしてお月見を楽しむ満月の日。別名「十五夜」とも言いますね。
でもなぜこの日?秋限定なのでしょうか?海外にもある?英語ではなんていうの?
今回は、中秋の名月のいろいろや、食べ物、お供えの仕方まで解説します。
中秋の名月とは?

中秋の明月とは、旧暦8月15日の夕方に出る月のこと。現代ではだいたい9月中旬〜10月初旬です。
旧暦は月の動きに基づいているので、月の形を見れば日付が分かるようになっています。新月の日が1日、満月の日が15日。
カレンダーなど売っていない時代には、月はどこでも見ることができる便利なこよみ代わりでした。満月を表す「十五夜」という言葉はここから生まれています。

中秋の名月は夕方って決まっているの?というと、秋分のころ(9月23日前後)の満月は、だいたい18時ごろに上ってきます。ちょうど日没と入れ替わりですね。
・中秋の名月と「十五夜」は同じ?
中秋の名月は、1年のうち1日だけを指します。十五夜は、中秋の名月を指す場合もありますが、単に満月の夜のこと(年に12〜13回ある)を指す場合もあり、二通りの意味を持っています。
・中秋(ちゅうしゅう)ってなに?
中秋とは、「秋の真ん中の日」という意味です。
旧暦では、1~3月を春、4~6月を夏、7~9月を秋、10~12月を冬としていました。8月15日は秋の3カ月間の中で、ちょうど真ん中の日にあたります。
この日に月を観賞する習慣は、平安時代に中国から伝わりました。のちに庶民にも広がり、秋の収穫物を供えて実りに感謝する行事となっていきました。
・海外にもある?英語ではなんていうの?
東アジアでは今でも盛んで、中国、台湾、ベトナムでは「中秋節」といって春節とならぶ大きな行事。月餅(げっぺい)などを贈り合います。韓国でも「秋夕」といって、前後ふくめて3連休の祝日になっています。

発祥は違いますがアメリカにもあり(ヨーロッパにはありません)、英語ではハーベスト・ムーン(収穫の月)と呼びます。

アメリカでの定義は「秋分の日に一番近い満月の日」。ほぼ中秋の名月と一致します。
これはネイティブアメリカンの文化からきていて、日没と入れ替わりに満月が上ってくるため、夜までトウモロコシなどの収穫作業ができるほど明るい…というところからの呼び名だとか。秋の実りに感謝する気持ちがこもっている点は同じですね。
今年の中秋の名月は9月17日
2024年の中秋の名月は、9月17日(火)です。旧暦にもとづくので、毎年変わります。2024年~2026年の中秋の名月は、以下です。
2024年/9月17日(火)※
2025年/10月6日(月)※
2026年/9月25日(金)※
ところで※印の付いた日は、中秋の名月ではあっても、天文学的な意味では満月の日ではありません。えっ、それってなぜ?以下に理由をお伝えします。
中秋の名月は満月とは限らない?

旧暦8月15日の夕方は、厳密な意味で満月とは限りません。実際には1日ほど遅れることがよくあります。理由は2つあります。
理由1:月の変化は毎回一定ではないため
月は地球のまわりを楕円で回っているため、新月から満月になる時間(月齢)は、13.9日~15.6日とランダムに変化します。
旧暦15日は「月齢14.0が属する日」なので、満月はちょっと遅れることが多いのです。
理由2:満月は“瞬間”のため
天文学的には、太陽→地球→月という位置関係になった「瞬間」が満月。分単位で計算されています。地球のどこにいるかは関係がありません。

その瞬間がたとえば、日本時間9月16日午前9時に起きるとして、前日の9月15日が旧暦の8月15日だった場合、「満月の日」とされるのは9月16日…ということになります。
とはいえ、パッと見はほとんど変わりません。アメリカのハーベストムーンは「3日ぐらい明るい夜が続くので収穫しやすい」ぐらいのおおらかなスタンスだとか。
中秋の名月(十五夜)とセットで祝う十三夜と十日夜とは?

十三夜(じゅうさんや)とは、旧暦9月13日の夜のこと。中秋の名月のだいたい1カ月後です。2024年は、10月15日(火)です。
この日は満月の少し前で、不完全な形がむしろ好まれ、中秋の名月に次いで風情のあるものだとか。「後(のち)の月」「後(あと)の月見」とも呼ばれます。
中秋の名月は、採れたての里芋を供えたことから芋名月(いもめいげつ)と呼ぶのに対して、十三夜は豆名月、栗名月とも呼ばれます。
また、十日夜(とおかんや)とは、旧暦10月10日に行われる行事のこと。2024年は、11月10日(日)です。
稲刈りが終わって田の神様が山へ帰っていくのを見送る行事。東日本で盛んで、西日本には「亥の子」という似た趣旨の行事があります。
ちなみに、十五夜・十三夜・十日夜の「三月見」がすべて晴れると、縁起が良いそうですよ。
中秋の名月の食べ物・お供えするもの
月見団子

お月見といえば月見団子。山のように盛るイメージがありますね。満月の形を模したといわれますが、昔は里芋が主流だったようです。
室町時代ごろの和歌や日記に、掘ったばかりの里芋を水炊きにして、高く盛ってお供えした…と書かれています。「芋名月」の名前はここからきています。

そのため、里芋を茹でた「きぬかつぎ」をお供えする場合も。

また、名古屋エリアでは月見団子といえばしずく型で、これも里芋をかたどったといわれています。
お団子は置いておくと硬くなるので、一度お供えしたら、月を観賞しつつその日のうちにいただきましょう。
ススキ

月見団子には、よくススキがセットになっています。ススキには魔除けの意味があるのだとか。
また、実りを象徴する稲穂に似ているので、神様の依り代(よりしろ)という意味もあります。
秋の七草

ススキも秋の七草のひとつですが、ススキと一緒に、他の秋の七草もお供えしてみてはいかがでしょうか。
ハギ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ…。どれも9月ごろに花期を迎えます。ちなみに、ススキの稲穂のような部分も花穂(かすい)といってれっきとした花。
オミナエシは切り花にすると少し臭う難点がありますが、大輪のキキョウはきれいでおすすめ。ハギやナデシコなども風情があります。
【記事出典:参考】
国立天文台
THE OLD FARMER’S ALMANAC「What Is the Harvest Moon?」
※この記事は2024年7月8日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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ミキティ山田
旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。