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2021.12.05

いつか泊まりたい、建築家・隈研吾さんデザインの宿11選!全室スイート、夜景一望のホテルなど【全国】

ふふ 奈良【奈良】

世界遺産、奈良公園内。古都の歴史と魅力が詰まった全室スイートの和のスモールラグジュアリー。

ふふ 奈良
歴史と伝統への憧れがつのる和の佇まい。どこか懐かしさも感じます

日本を代表するトップリゾート『ふふ』が2020年、古都・奈良に開業した和のリゾートホテル。隈研吾さんを建築デザインに迎え、春日山のおおらかな自然と中世の寺院遺構が残る奈良公園内、鷺池のほとりに、世界でも類を見ない、庭を愉しむ和のスモールラグジュアリーが誕生しました。

“灯籠の灯り、歴史の香り、庭屋一如(ていおくいちにょ)の奈良リゾート”をコンセプトに、奈良の自然と文化を象徴する吉野杉の多彩な格子や、軒高を抑えた切妻・寄棟・入母屋で現代数寄屋を表現。木目が美しい吉野杉をふんだんに使い、奈良の魅力を世界に発信しています。

ふふ 奈良
ロビー内の3つの席は奈良県天理市で作られた蚊帳生地で間仕切り

古都・奈良の景観を継承する大和張り、奈良格子や連子格子(れんじごうし)を設えることで、繊細で陰影のある表情を創出。

ふふ 奈良
こちらは存在感あるコンシェルジュデスク
ふふ 奈良
日本料理『滴翠』のロビー

ロビーにあるコンシェルジュデスクやスーベニールコーナーには古くから地元、奈良に根付いてきたクスノキを使用。

レストラン内は奈良公園を代表する庭園 瑜伽山(ゆうがやま)園地と調和する大和張りに。エントランスは連子格子をモチーフにしています。

格子に使われている建材は『ふふ 奈良』のイメージカラーでもある墨色やグレーで仕上げ、既存の土塀と調和するあたたかみあるアースカラーの左官仕上げにし、統一感ある景観を保っています。

ふふ 奈良
客室棟2階の廊下。陰影によって生まれる美しさもあるのですね

春日大社の吊り灯籠をモチーフにした照明が回廊を照らします。燻(いぶし)の簾(すだれ)を照らすことで陰影に富み、空間が幻想的な面持ちに。

ふふ 奈良
『スタイリッシュスイート』

30室ある客室の一部は、“座する”という日本古来の生活様式をテーマに掘り込んだリビング空間を実現。墨や古木といった奈良の歴史の風化を感じさせるカラーでまとめ、洗練かつ高級感を演出。客室内の家具やファブリックは部屋ごとにデザインがすべて異なります。

客室のベッドサイドには職人手作りの奈良晒(ならさらし)を使ったオリジナルライトを配置。そこかしこで奈良の伝統工芸に触れられるのも貴重な体験です。

ふふ 奈良
天然温泉(加水・加温・循環ろ過)を湛えた客室露天

写真の『スタイリッシュスイート』は大人2名1室平日利用、1人1泊2食付き3万8500円~。客室の露天風呂では薬発祥の地、奈良ゆかりの和漢植物の香りを楽しみながら湯浴みできます。

世界遺産の街、奈良の魅力が詰まった和のスモールラグジュアリー。隈研吾さんがめざした建築と庭がみごとに融合したハイエンドなリゾートホテルです。

■ふふ 奈良
[TEL]0570-0117-22
[住所]奈良県奈良市高畑町1184-1
[アクセス]【電車】近鉄 奈良駅よりタクシーで5分、またはJR 奈良駅よりタクシーで10分【車】西名阪道・名阪国道天理ICまたは第二阪奈道路宝来ICより20分
「ふふ 奈良」の詳細はこちら

ホテルロイヤルクラシック大阪【大阪】

大阪・新歌舞伎座の意匠を世界的建築家・隈研吾さんによって継承。

ホテルロイヤルクラシック大阪
大阪なんばの中心で愛されてきた大阪・新歌舞伎座の意匠を受け継ぐ

大阪の芸能文化の発信地として愛されてきた新歌舞伎座の跡地に、新たなランドマークとして誕生したのが『ホテルロイヤルクラシック大阪』です。

設計を担当したのが隈研吾さん。低層部には日本を代表する建築家、村野藤吾氏により設計された連続唐破風の意匠を復元。そして高層部はアルミフィンを複数重ねた繊細でダイナミックな外観が特徴で、伝統と革新が調和したデザインになっています。

ホテルロイヤルクラシック大阪
大阪の夜景を見下ろせる最上階

館内はガラス張りの壁面と、無垢材を用いた内装やインテリアで統一。20階にあるバーラウンジ『雲雲』は落ち着いたダークな色調の大和張りの壁面と、天井はエマルジョン・ペイントを使用。上質な空間は、波打つ破風のようなデザインが印象的です。

ホテルロイヤルクラシック大阪
『スタンダードツインルーム』

客室内は、傾斜のある天井と高さのある窓で開放感を実現。高さに変化のある天井はどこか屋根に通じるものがあり、ホテルなのに独立した一戸建てにいるような不思議な気分も味わえます。

伝統的な日本建築と近代的で独自なデザインは、まさに隈研吾さんならではといえます。『スタンダードツインルーム』は大人2名1室平日利用、1名1泊朝食付き1万1100円~。

ホテルロイヤルクラシック大阪
トイレや階数を表すピクトグラムもオリジナル。素材は木です

客室のルームナンバーや各店舗名のサインはもちろん、そのフォントに至るまですべて隈研吾建築都市設計事務所が手がけていますので、フォント好きはそのあたりも必見です。

ホテルロイヤルクラシック大阪
HOTEL&MUSEUMという呼び名もふさわしい、展示作品の数々

館内には美術評論家の伊東順二氏と『銀座ホワイトストーン・ギャラリー』の監修のもと、具体美術、現代アート、ガラスアートの3つのテーマで選ばれた100点を超えるアート作品が展示されています。まさに泊まれる美術館。建築だけでなく、アートもぜひお見逃しなく。

■ホテルロイヤルクラシック大阪
[TEL]06-6633-0030
[住所]大阪府大阪市中央区難波4-3-3
[アクセス]【電車】Osaka Metro なんば駅12番出口直結【車】阪神高速15号堺線湊町出口より2分、または阪神高速道頓堀出口より4分
「ホテルロイヤルクラシック大阪」の詳細はこちら

界 別府【大分】

『界』がめざす新しい旅館のカタチ。ドラマティックな光や体験で、昔ながらの温泉街の輝きをデザイン。

界 別府
時とともに移りゆく自然や温泉街の表情を表現

星野リゾートが展開する温泉旅館『界』。2021年7月、国内有数の温泉地、大分県別府に『界』ブランドの新施設が誕生しました。それが『界 別府』です。

デザイン設計は隈研吾さん。“ドラマティック温泉街”をコンセプトに施設全体を温泉街ととらえ、賑やかな別府の温泉街を表現しています。

界 別府
館内に居るのに、温泉街を散歩しているような気分

まずはロビー空間。温泉街をイメージした石畳の路地も和紙の提灯も風情たっぷり。ショップも温泉街のおみやげ屋さんや夜店のようで、買い物も楽しくなります。

界 別府
界 別府
パブリックスペースの一つ、『湯の広場』も昼と夜では表情が一変

このように、『界 別府』にはデザインコンセプトになぞらえ昼、夜、朝と時間帯によって様々な“ドラマティック”な体験や出合いにワクワクできる空間がいくつも用意されています。

足湯や手湯を備えた『湯の広場』もその一つ。昼間、海風を感じながら過ごせる憩いの広場だった空間は、夜になると賑やかな温泉街へと様変わり。湯治ジャグバンドや温泉玉子の屋台が登場するなど、温泉街の雰囲気を存分に味わえます。

界 別府
地元の温泉名人によるワークショップも人気です

別府温泉の地下に巡る温泉の配管をモチーフにつくられた『ラボ』でも毎晩、多彩なワークショップを開催。他にもスマートボールで遊んだり、別府の地獄めぐりをイメージしたモクテルを味わったり、ネオンが賑やかな空間で温泉街気分に浸れます。

今回、隈研吾さんが特に力を入れたのが空間を彩る光の演出。これまでの建築作品では提灯やネオンサインのような光の使い方は手がけてこなかったそうで、隈さんにとっても新しいチャレンジとなりました。

「早朝、朝、昼、夜、そして季節によって変化する自然の光と人工の照明、2つの光によって生まれるドラマをぜひ見てほしい」と語る隈さん。ドラマティックな光によって昔ながらの温泉街の輝きが見事にデザインされています。

界 別府
界 別府
別府湾の海絶景に癒やされます

客室は、写真の『ご当地部屋「柿渋の間」和室』大人2名1室平日利用、1人1泊2食付き3万1000円~をはじめ、同行者や予算によっていろいろ選べます。全室オーシャンビューで、ピクチャーウインドウに映し出されるのは朝な夕なで表情を変える海絶景。これも“ドラマティック”な体験です。

客室の壁に使われているのは古代色の柿渋色。これも隈研吾さんが別府の名所『血の池地獄』から着想を得て、海の色を引き立てるために採用することにしたそう。ビビットでありながらどこか品があるこの柿渋色で、別府の大地から伝わってくるエネルギーを表現しています。

界 別府
豊後絞りの復興に携わる絞り染め作家、安藤宏子氏による『界 別府』オリジナルのインテリアも見どころ
界 別府
大浴場の壁にも地元ゆかりの伝統工芸の手業が…

客室のベッドのヘッドボードやフットスローなどのインテリアには、大分の伝統工芸の豊後絞りを採用。またパブリックスペースの大浴場の壁には地元ゆかりの焼きもの、臼杵焼(うすきやき)を取り入れています。

滞在を通し、こうした地域の伝統工芸や文化にも触れられるのも貴重な体験ですね。

■界 別府
[TEL]0570-073-011(界予約センター受付9時30分~18時)
[住所]大分県別府市北浜2-14-29
[アクセス]【電車】JR 別府駅東口より徒歩10分【車】東九州道別府ICより10分
「界 別府」の詳細はこちら

ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート【長崎】

大小さまざまな窓を配し、長崎の風景を愛でる。別荘感覚で過ごせるシティリゾート。

ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート
世界三大夜景と世界的建築家デザインの融合

JR長崎駅からタクシーで約10分。稲佐山の中腹に建つリゾートホテル。“~まだ見たことのない 特別な長崎に逢える場所~”をコンセプトに隈研吾さんがデザイン。眺望や周囲の自然を窓という“額縁”で切り取ることをイメージし設計されています。

ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート
風景を切り取る大小さまざまなピクチャーウインドウ

世界三大夜景の一つ、長崎の夜景を一望できる絶好のロケーション。長崎港も眼下に広がります。窓に映し出されるのはこうした風景や自然。時間の経過とともにいろいろな表情で楽しませてくれます。

館内には画家の宮本万紀氏が描いた長崎の海や光、風をイメージした絵画の数々もあります。

ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート
フロントロビーには和紙を用いた壁紙を使用。あたたかい雰囲気を醸し出しています
ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート
新館にある『プレミアムハーバースイート』

客室は、写真の『プレミアムハーバースイート』大人2名1室平日利用、1名1泊朝食付き3万8500円~をはじめ、全36室。いずれもオーシャンビューで、広さは46平米以上あり充分なサイズ。

室内には無駄なものを置かず、シンプルでモダンな造りにしたことで暮らすように泊まる空間を形にしました。どこか別荘にいるような気分で寛げるのはそのせいかもしれません。

2015年には第19回長崎市都市景観賞『大きな建物部門』を受賞。2019年には世界的格付け本の福岡・佐賀・長崎のホテル部門で星を獲得するなど、これまで数々の賞も受賞しています。

ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート
宿泊者専用プール(夏季7~9月)も。朝夕のマジックアワーはまさに自然のスクリーン

写真はラウンジから見た長崎の夜景。広報の方は、「薄暮れのマジックアワーの美しさも格別」と胸を張ります。長崎の夜景と隈研吾さんの建築の融合はここでしか出合えない眺めです。

■ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート
[TEL]095-864-7776
[住所]長崎県長崎市秋月町2-3
[アクセス]【電車】JR 長崎駅より無料シャトルバスで15分【車】長崎道長崎ICより37分
「ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート」の詳細はこちら

オリーブベイホテル【長崎】

青と緑が美しい大島の自然に溶け込むように建つスモールラグジュアリー。

オリーブベイホテル
島の入り江に佇む洗練デザインの外観

紺碧の海、深緑の森、美しい夕日、自然に恵まれた長崎県大島に建つ小さなリゾートホテル。環境と調和するホテルをコンセプトに隈研吾さんがデザインしました。

外観は、チダホワイトという自然石を使った縦ストライプの外壁で覆った洗練デザイン。プリーツのような美しい陰影が質感と品格を醸し出しています。このプリーツが生み出す光の効果は、ホテルを囲む自然環境とモダンな建築を融合させる役割も果たしています。

オリーブベイホテル
メインエントランスの印象的なウェルカムテラス

到着するとまず目に飛び込んでくるのが、巨大な絵画の額縁のようなメインエントランス。目の前に広がる海=オリーブベイの風景を切り取り、印象的なアプローチ空間を創りあげています。フレームに切り取られた緑の景色はまさに自然のアート。

オリーブベイホテル
あたたかな光あふれるフロント

チェックインも大島の自然と対峙できる極上の空間にて。大きな窓全面に穏やかな湾や森の緑が広がります。

振り向くとフロント正面には多田美波氏作の陶板レリーフ『瑞光』も。海、空、雲、光が描かれたこの作品からも、あたたかく爽やかな大島の自然の魅力が伝わってきます。

オリーブベイホテル
天井高8mのレストラン。こちらも全面ガラスで明るく開放的
オリーブベイホテル
『ラグジュアリールーム』
オリーブベイホテル
お風呂に入りながら絶景をひとり占め

客室は32室、全室ベイビュー。滞在中は内海の紺碧と森の緑のコントラストを存分に楽しめます。

インテリアもナチュラルであたたかみのある、イギリス・GA Design International社製で統一され、心地いい空間です。

写真は『ラグジュアリールーム』大人2名1室平日利用、1人1泊2食付き3万2500円~。リビングと寝室を可動扉で仕切ることができるので、同行者がいても滞在中はそれぞれ思い思いの場所で過ごせるのもうれしいですね。絶景を望むビューバスも、心と体を癒やしてくれます。

ファミリーやシニアの方に好評の和室タイプも1室ありますよ。

■オリーブベイホテル
[TEL]0959-34-5511
[住所]長崎県西海市大島町1577-8
[アクセス]【電車】JR 佐世保駅より佐世保港へ徒歩5分。高速船で大島港へ30分。港より徒歩20分(大島港から送迎あり※要予約)【車】西九州道または佐世保道路江上ICより30分
「オリーブベイホテル」の詳細はこちら

まとめ

どれも土地の風土や文化、歴史を汲みながら日本の古き良き伝統様式と洗練デザインを融合させたすばらしい建築で、建築ファンに限らず、寛ぎと刺激の両方に満たされます。世界で活躍する建築家の“作品”に泊まるという体験そのものも貴重。非日常をぜひ味わってみてください。

※宿泊料金は税・サービス料込みです。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、感染拡大防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。

児島あさこ  児島あさこ

編集者・ライター。旅先での楽しみは日頃おせわになっている人へのおみやげ選び。道の駅、美術館、セレクトショップ、うつわ屋さん…など贈る人の好みに合わせて物色している時間が幸せです。好きな町は金沢。

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