訪れた温泉は約500、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されている温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。
この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、様々なおすすめスポットを紹介してもらいます。毎月、交通アクセスや泉質などの切り口で温泉情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。
※この記事は2022年4月15日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
温泉でつるつる美肌を目指したいなら、泉質で選ぼう
あたたかい春を迎え、旅行へ出かけたくなる季節がやってきました。この時期は新しい環境に身を置く人も多く、温泉でリフレッシュしたくなるタイミングでもありますよね。
今回ご紹介したいのは、「美肌効果が期待できる関東の温泉地」。温泉好きの私もグッと惹かれる名湯を集めてみました。

すべての温泉は、体を温めることにより血流がよくなり、顔色を明るくする可能性を秘めています。ですがせっかくなら、成分によって美肌効果が期待できるような温泉を目指したいところ。
含まれている温泉成分によりつるつる美肌になれると言われている泉質は、主に3つです。
1つめは、炭酸水素塩泉。角質をやわらかくし、汚れを落としやすくする“クレンジング効果”があると言われています。炭酸水素塩泉が湧く全国のさまざまな温泉地では、その多くが美肌の湯をうたうほど、美肌泉質の代名詞と言えます。
2つめは、硫酸塩泉。お肌にうるおいを与えてくれる保湿効果や、弾力を取り戻す効果、新陳代謝を促しお肌を蘇生するアンチエイジング効果があると言われています。余分な皮脂を洗い流すため、オイリー肌の方に特におすすめなのだとか。
3つめは、硫黄泉。メラニンを分解する働きがあることから、シミ予防の湯・美白の湯として知られています。いわゆる「たまごが腐ったような」独特なにおいがあり、乳白色の硫黄泉は旅情たっぷりです。
上記3つの泉質は「三大美人泉質」とも言われており、温泉で美肌を目指したい方はぜひ覚えておきましょう。また、pH7.5以上のアルカリ性の温泉も、クレンジング効果が期待できることから美肌の湯として知られています。
本記事では、温泉マニアの筆者(私)が、それぞれ美肌泉質を持つ4つの温泉地をご紹介していきます。
すべての美肌泉質が楽しめる塩原温泉郷(栃木)
栃木県の塩原温泉郷には6つの泉質の温泉が湧いており、先述した炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・硫黄泉すべての温泉に浸かることができます。連泊や湯巡りで美肌を極める旅にはぴったりの行き先と言えそう。

東京駅から東北新幹線に乗り、1時間ちょっとで那須塩原駅に着き、それからレンタカーや送迎などでさくっと宿に向かえる距離感なのも魅力的。もし長いお休みがとれたら、那須温泉・鬼怒川温泉など、栃木の名湯をめぐるのもいいでしょう。

塩原温泉郷での私のおすすめは、「明賀屋本館」。炭酸水素塩泉など5つの源泉を有する温泉マニア垂涎の旅館です。渓流とひとつになるような解放露天には感動すること間違いなし。
「明賀屋(みょうがや)本館」の詳細はこちら
平均pH7.7のアルカリ性を持つ硫酸塩泉、四万温泉(群馬)
関東屈指の名湯・草津温泉の“上がり湯”として知られる四万(しま)温泉。ちょうど草津から東京に帰るまでの道に位置しており、群馬での湯巡りの際にはぜひ立ち寄りたいところです。

穏やかで昭和レトロな温泉街も人気ですが、やはり推したいのはその泉質。平均pH7.7のアルカリ性をもつ、硫酸塩泉が湧いています。さっぱりつるやかな浴感で、強烈な匂いや浴感が苦手な方でも浸かりやすい優しさがあります。

「積善館」をはじめとする、旅情ある宿が連なっているのも四万温泉の特徴。ゆっくり療養もかねて訪れてみてはいかがでしょうか。
日本有数の硫黄含有量を誇る万座温泉で、特濃の硫黄泉を(群馬)
四万温泉よりさらに群馬県の奥へ向かい、長野県との境目に位置する万座温泉も、美肌泉質ハンターとしては外せない温泉地のひとつ。
標高1800mに湧く乳白色の温泉からは、いわゆる“硫黄”のにおいが強烈にします。もちろん泉質は硫黄泉。メラニン分解を促すため、シミ予防があると言われています。

山に開かれた絶景露天の多い万座温泉は、標高が高い分血の巡りもよくなり、リフレッシュにはぴったりの地と言えます。東京から訪れる際は、軽井沢駅からのバスや宿の送迎を使うのがおすすめ。嬬恋ドライブも兼ねてマイカーで訪れるのも楽しそうです。(※嬬恋村周辺は冬期通行止めあり)
大型ホテルの多い温泉地なので、パートナーや友人同士、グループでの旅行で訪れるとより賑やかに過ごせるはず。あたたかい季節はハイキングなども◎。
関東の強アルカリ泉は、厚木の飯山温泉にあった!(神奈川)
pH7.5以上のアルカリ性の温泉は各地で見られますが、神奈川県の厚木にある飯山温泉は、全国トップレベルの強アルカリ性温泉が湧いています。その数値は、なんと最高値がpH11.3!
温泉街はなく、エリアに宿泊施設が点在するのみの小さな温泉地です。なんといっても魅力なのはそのアクセスの良さ。海老名SAから20分ほどの距離にあることから、箱根や熱海などの都内近郊の温泉地よりも遥かにさくっと訪れることができるのです。


あつぎ飯山温泉・元湯旅館では、あまり関東では味わえないツルトロ浴感が本当に素晴らしかったです。館内は赤い橋がかかっていたり、ガス灯風の照明だったりで、城下町のような雰囲気なのも魅力的でした。
「厚木飯山温泉 元湯旅館」の詳細はこちら
温泉マニア的、美肌温泉の選び方
美肌効果が期待できる温泉は、まず泉質から選ぶとよいというお話を書かせていただきました。個人的には、温泉は「泉質」よりも「鮮度」が重要だと感じており、せっかくの美肌泉質であっても、あまり鮮度がよくないと効果が期待しきれない場合もあると考えています。
美肌を期待して温泉に泊まるときはぜひ、温泉の“状態”もチェックしてみてください。例えば、「1日◯万リットル湧いている」と書かれていたり、「自家源泉の源泉かけ流し」とうたっていたり。鮮度のよさそうな温泉であればあるほど、その効果をさらに実感できるはずです。なぜなら、状態のいい温泉こそが、その泉質(成分)のポテンシャルを発揮できるものだから。
花粉や黄砂だけでなく、新生活でちょっとストレスが溜まったお肌をぜひ、美肌温泉で癒やしてみてはいかがでしょうか。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、感染拡大防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。
永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi