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2022.05.10

有形文化財指定の温泉旅館&ホテル7選!歴史的建造物の宿に泊まろう<全国・2022>

宿を選ぶポイントは旅の目的や個人の嗜好などによって様々ですが、今回おすすめしたいのは建物として観賞する対象としての宿選び。

紹介するのはすべて歴史的建造物として評価されてきた国登録の有形文化財で、さらに良質の温泉にも恵まれている宿とホテルです。建築美を眺めて歴史に思いを馳せ、名湯に浸る休日を過ごしてみましょう。

※この記事は2022年3月3日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。

記事配信:じゃらんニュース

向瀧【福島県・会津若松市】

入母屋造(いりもやづく)りの屋根を有す国登録有形文化財認定宿泊施設のパイオニア。

向瀧
温泉保養所時代を思い起こさせる浴場「きつねの湯」
向瀧
「こづゆ」をはじめ、会津の郷土料理を味わえる
向瀧
書院造りの「特別室 はなれの間」。掲げられた「美酒佳肴」の書は、福島県出身である野口英世の作
向瀧
外からの光を障子が和らげ、寛ぎを感じる
向瀧
大広間の格(ごう)天井はそれぞれの格子に、会津の特産品である桐材の1枚板をはめこんだ豪勢な造り
向瀧
明かりが映り込むほど磨き込まれた廊下
向瀧
ノスタルジックな外見だが、温水洗浄式トイレ、Wi-Fiに空調システムなどを備え、快適に過ごせる

平成8(1996)年10月に文化財保護法の改定で誕生した有形文化財。「向瀧」は、直後の12月に宿泊施設として早々に登録された。

昭和10(1935)年完成の山沿いの連続棟は、東山温泉の歴史的景観に欠かせない存在。千鳥破風(ちどりはふ)の玄関から客室へと進むと、手入れの行き届いた廊下、飾り窓、数多の階段などから、日本建築の粋を集めた建物の素晴らしさを伺い知ることができる。

前身は、江戸時代に「きつね湯」と呼ばれた会津藩の温泉保養所。

有形文化財

[登録年]1996年
[登録施設]客室棟(会議室、菊の間ほか)、客室棟(花月の間、梅の間ほか)、玄関、はなれ

■向瀧(むかいたき)
[TEL]0242-27-7501
[住所]福島県会津若松市東山町湯本川向200
[料金]1泊2食付き1万9800円~
[アクセス]【電車】JR会津若松駅よりタクシーで15分【車】磐越道会津若松ICより20分
「向瀧」の詳細はこちら

法師温泉 長寿館【群馬県・みなかみ町】

幻想的な光が差し込む鹿鳴館(ろくめいかん)様式の大浴場。

法師温泉 長寿館
「法師乃湯」は基本的に混浴(20時~22時のみ女性専用)
法師温泉 長寿館
露天風呂を備えた「玉城乃湯」は男女入れ替え制
法師温泉 長寿館
上州牛など群馬県産の食材にこだわった料理が登場
法師温泉 長寿館
本館客室。涼やかな風が窓から流れ込んで来るので、夏はクーラー要らずとか
法師温泉 長寿館
玄関の左手には囲炉裏。1年中薪がパチパチと音を立てて燃えている
法師温泉 長寿館
玄関には、樹齢1300年の栃の木の火鉢が
法師温泉 長寿館
自然豊かな「上信越高原国立公園」内に位置、法師川に沿って建てられているのは別館
法師温泉 長寿館
“秘湯”と呼ばれるのにふさわしい、隠れ里のような情緒が漂う

「長寿館」は約1200年前に弘法大師が開湯したとされる法師温泉の一軒宿。

本館と別館の宿泊棟と「法師乃湯(ほうしのゆ)」と命名された浴舎が、国登録の有形文化財に認定されている。「法師乃湯」は窓が鹿鳴館風のアーチ型、中央に柱を設けない洋風建築で、差し込む柔らかな陽光がレトロ気分を盛り上げる。

浴槽に身を沈めると、足の裏をくすぐるような刺激が……。実は自噴する温泉が底に敷き詰められた玉石の間から湧き昇ってくる造り。頭上で交差する太い梁を眺めながらの湯浴みは、時を忘れてしまいそう。

有形文化財

[登録年]2006年
[登録施設]本館、別館、大浴場(法師乃湯)

■法師温泉 長寿館(ちょうじゅかん)
[TEL]0278-66-0005
[住所]群馬県利根郡みなかみ町永井650
[料金]1泊2食付き1万7050円~
[アクセス]【電車】JR上毛高原駅より猿ヶ京行きバスで30分、猿ヶ京より町営バスに乗り替えて20分、法師温泉より徒歩すぐ。またはタクシーで40分【車】関越月夜野ICより40分
「法師温泉 長寿館」の詳細はこちら

富士屋ホテル【神奈川県・箱根町】

数々の増改築を経て壮大な建築群となったクラシックホテル。

富士屋ホテル
数多の建築美の背後に箱根の大自然も一望できる
富士屋ホテル
天井の高さと大きな窓が室内に広がりをもたせている「西洋館ヒストリックデラックスツイン」
富士屋ホテル
「メインダイニングルーム・ザ・フジヤ」は、登録有形文化財に認定
富士屋ホテル
636種の高山植物が描かれたメインダイニングルームの天井
富士屋ホテル
品格漂う本館階段
富士屋ホテル
「ホテル・ミュージアム」は、誕生から現在までの歴史を展示
富士屋ホテル
一昨年に大改修を終えクラシカルな空間で、より快適に過ごせるように

「フォレスト・ウイング」6階に設けられた「スパ」。眼下には人智が成した造形美、視線を上げると季節で移ろう箱根外輪山の雄大な自然を望める。

日本のリゾートホテルのパイオニア「富士屋ホテル」が、箱根・宮ノ下で産声を上げたのは、明治11(1878)年。その6年後の大火で、すべてを焼失するなど幾多の困難を乗り越えて増改築を重ね、今では箱根を代表する建築群を誇る存在となった。

5棟が登録有形文化財に認定されていて、洋館に和の意匠を加えた本館、天井高6mで格天井を持つメインダイニングルームなど見所は尽きない。

古くから湯治場として愛されてきた宮ノ下。スパではもちろん温泉を堪能できたが、さらにすべての客室のバスルームにも、この湯が供されているとのこと。

有形文化財

[登録年]1998年
[登録施設]本館、西洋館、花御殿、菊華荘、食堂棟

■富士屋ホテル
[TEL]0460-82-2211
[住所]神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
[料金]1泊2食付き3万5000円~
[アクセス]【電車】箱根登山鉄道宮ノ下駅より徒歩7分【車】西湘バイパス箱根口ICより20分
「富士屋ホテル」の詳細はこちら

歴史の宿 金具屋【長野県・山ノ内町】

レトロ建築を学ぶ館内ツアーで昭和を偲(しの)ぶ。

歴史の宿 金具屋
大浴場「浪漫風呂」は、ローマの噴水を模した浴堂
歴史の宿 金具屋
舟形の浴槽は貸切風呂「斎月の湯」
歴史の宿 金具屋
斉月楼「相生の寮」の立体的な床の間
歴史の宿 金具屋
「大広間」の天井は、格子の内側に井桁を組み入れた折り上げ格天井
歴史の宿 金具屋
階段の踊り場には富士を模った窓
歴史の宿 金具屋
斉月楼の1階ロビー裏の廊下は、昔の商店街を表している
歴史の宿 金具屋
「金具屋文化財巡り」でガイド役を務める9代目の西山和樹さん
歴史の宿 金具屋
八間半(約15m)の杉の通し柱13本で立ち上げられた木造楼閣。4階建てに7室のみの贅沢な造り

昭和11(1936)年竣工の「斉月楼(さいげつろう)」は、渋温泉のランドマーク的存在。入母屋造りの屋根は鉄板葺き、外観内観とも数寄屋風の意匠が散りばめられ、重厚かつ優美な姿で旅人を魅了する。

現在の建築基準法に照合すれば、許可がおりない木造4階建て。ほぼ開業当時そのままの建物で営業を認可されているところに、宿の努力と苦労が察せられる。毎日開催の館内ツアーでは当主の解説を聞くことができる。

昭和レトロな時間の後は湯浴み。湯処は3つの大浴場に、5つの貸切風呂の計8カ所。蛇口から出る湯まで源泉という贅沢さ。

有形文化財

[登録年]2003年(大広間、斉月楼)、2011年(臨仙閣本館・浴堂)
[登録施設]大広間、斉月楼、別館臨仙閣本館・浴堂

■歴史の宿 金具屋
[TEL]0269-33-3131
[住所]長野県下高井郡山ノ内町平穏2202
[料金]1泊2食付き1万7600円~
[アクセス]【電車】長野電鉄湯田中駅より長電バスで10分、渋温泉または和合橋より徒歩2分 ※送迎あり(詳細は問い合わせを)【車】上信越信州中野ICより20分
「歴史の宿 金具屋」の詳細はこちら

山里のいおり 草円【岐阜県・高山市】

築170年を超える飛騨の古民家を移築。山里情緒を感じて過ごす。

山里のいおり 草円
「釜湯」
山里のいおり 草円
囲炉裏を囲む食事処で、飛騨の食材を用いた郷土料理に舌鼓
山里のいおり 草円
ご飯は昔ながらの釜戸炊き。甘い香りが食欲をそそる
山里のいおり 草円
客室「木庵(もくあね)」は、骨太で力強い新潟の豪農屋敷を移築再生している
山里のいおり 草円
飛騨人たちが慣れ親しんできた囲炉裏端は、心休まる和みの空間。素足で寛げるのも嬉しい
山里のいおり 草円
旧二村家を平成16(2004)年解体・移築して宿の母屋に。ひのき材を主体として格式を感じさせる造り

岐阜県高山市を流れる平湯川沿いに、豪壮だが素朴さも漂う古民家が佇んでいた。そのルーツは江戸時代に遡り、天保9(1838)年の築。飛騨国・清見村の切妻入母屋造りの大型民家で、高山の大工が手がけたという記録が残る。

厳しい風雪に耐えた家屋は170年以上の歳月を経て移築再生され、現在は温泉宿として新たな歴史を刻んでいる。

「山里のいおり 草円」がある福地温泉は、“露天風呂天国”として知られる奥飛騨温泉郷の湯の里の一つ。木造の大浴場もいいが、平湯川の流れに寄り添う絶景露天風呂「森の湯」は外せない。

有形文化財

[登録年]2006年
[登録施設]母屋(旧二村家を移築)

■山里のいおり 草円(そうえん)
[TEL]0578-89-1116
[住所]岐阜県高山市奥飛騨温泉郷福地温泉831
[料金]1泊2食付き2万680円~
[アクセス]【電車】JR高山駅より濃飛バス平湯・新保高線で1時間15分、福地ゆりみ坂より徒歩3分【車】長野道松本ICより1時間。または中部縦貫道高山ICより1時間
「山里のいおり 草円」の詳細はこちら

有形文化財の湯宿 旅館大橋【鳥取県・三朝町】

軒を連ねる本館・離れと灯明(とうみょう)をともす太鼓橋が、温泉情緒を盛り上げる。

有形文化財の湯宿旅館大橋
自然湧出の湯船を持つ「巌窟(がんくつ)の湯」
有形文化財の湯宿旅館大橋
山陰地方の郷土食と季節感あふれる会席料理
有形文化財の湯宿旅館大橋
客室の造りはすべて異なる。最上階の「梅の間」は眺望抜群
有形文化財の湯宿旅館大橋
南天の木をふんだんに使用した「南天の間」の傘天井
有形文化財の湯宿旅館大橋
木造3階建ての本館正面の玄関は、格調高い重厚な造り
有形文化財の湯宿旅館大橋
本館と西離れをつなぐのが太鼓橋。夜はほのかな明かりに照らし出され、神秘的な雰囲気
有形文化財の湯宿旅館大橋
三徳川に沿って東西に約120mにわたって展開

ほぼ全館が国登録有形文化財。その全容を認めるには、三徳川(みとくがわ)の向こう岸へ渡るのがおすすめ。

昭和7(1932)年、近郊各地から集めた銘木を随所に施して完成。優美な外観と意匠を凝らした客室に加え、外見はアーチ状ながら実際歩いてみると平らな太鼓橋など、宮大工の遊び心も垣間見ることができて楽しい。

ちなみに三朝温泉はラジウムの含有量が、世界トップクラス。3本の自噴泉を含む5本の自家源泉から湧く湯が、体を芯から温めてくれた。

有形文化財

[登録年]1997年
[登録施設]本館、離れ、西離れ、大広間、太鼓橋

■有形文化財の湯宿 旅館大橋
[TEL]0858-43-0211
[住所]鳥取県東伯郡三朝町三朝302-1
[料金]1泊2食付き2万5300円~
[アクセス]【電車】JR倉吉駅よりタクシーで30分【車】中国道院庄ICより1時間10分
「有形文化財の湯宿 旅館大橋」の詳細はこちら

雲仙観光ホテル【長崎県・雲仙市】

スイスシャレー様式の山小屋風の姿で佇む。

雲仙観光ホテル
浴場に引かれているのは、国立公園内に自噴する「小糸地獄」の湯
雲仙観光ホテル
地元食材を活かした“雲仙フレンチ”
雲仙観光ホテル
「オリエンタルツイン」。客室の壁紙は19世紀に活躍した英国人デザイナー、ウィリアム・モリスのもの
雲仙観光ホテル
雲仙観光ホテル
重厚な扉の向こうは、200畳の広さと高い天井を持つダイニング
雲仙観光ホテル
文学全集や写真集など1500冊以上を所蔵する「図書室」
雲仙観光ホテル
赤いじゅうたん敷きの「撞球室」には、オリジナルのステンドグラスも
雲仙観光ホテル
1階は溶岩を石張り。2階はログハウスで、3階はハーフティンバー風の造りに

昭和10(1935)年開業のホテルは、赤い屋根と丸太の骨組み、溶岩石の壁が印象的。

日本の在来建築に、柱や梁などをむき出すハーフティンバー様式を組み合わせて設計。玄関を入っても木の質感が生かされ、素朴で暖かみを感じる空間が広がっている。

モダンな「硫黄泉浴室」は、ドーム型の天井やステンドグラスを採用。タイルもアールデコ調のデザインで配し、洋館にふさわしい温泉のあり方が追求されている。

有形文化財

[登録年]2003年
[登録施設]建物全体(外観)

■雲仙観光ホテル
[TEL]0957-73-3263
[住所]長崎県雲仙市小浜町雲仙320
[料金]1泊2食付き3万8500円~
[アクセス]【電車】JR諫早駅よりタクシーで1時間【車】長崎道諫早ICより1時間
「雲仙観光ホテル」の詳細はこちら

※掲載の価格は全て税込み価格です。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、感染拡大防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。

※画像や文章で紹介している建築物が、登録有形文化財に認定されていない場合もあります。
※記載している料金は、平日大人2名1室利用時の1名料金(消費税・サービス料込み)です。別途入湯税・宿泊税がかかる場合があります。
※料理などは季節や天候によって変更になる場合があります。
※掲載されている情報は、2022年3月3日現在のものです。新型コロナウイルス感染症や自然災害の影響により状況が変わる可能性もありますので、最新の情報については施設へ直接お問い合わせください。
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