懺悔や修行のイメージが強かった「お遍路」。ですが近年、距離や順路、服装も自由に選べ、気軽に楽しめる新しい形が確立され、再ブームとなっています。
お遍路と言えば四国が有名ですが、今回紹介するのは静岡県の伊豆半島で体験できる「伊豆のお遍路」。まだまだ知られていない伊豆八十八ヶ所の魅力と共に、準備や費用、日数など初心者に向けた基本情報もお教えします。
作法や心得を知り準備を整えたら、伊豆の魅力を体感しにお出かけしませんか?
伊豆88お遍路とは?

お遍路は弘法大師・空海を慕う信者が彼の足跡を辿ったことから始まり、1200年以上の歴史を誇ります。寺院を参拝して巡り、「大切な人の幸せを祈ること」が主な目的ですが、昨今では地元グルメや温泉を目当てに、家族や友人同士でウォーキングに、と観光のひとつとして楽しむ人が多くなっています。
霊場と言えば有名なのは四国ですが、愛知県「知多」、そして静岡県「伊豆」も江戸時代から三大霊場に数えられる歴史の深い場所。「伊豆88遍路」は伊豆半島の13市町を巡る参拝の旅。一度は衰退した伊豆八十八ヵ所ですが、その復活のため発足したプロジェクト「伊豆88遍路」(いずはちはちへんろ)により、お遍路を気軽に楽しめるものとして、広く知られるようになりました。
作法と参拝マナー


まず山門や仁王門で一礼し、境内に入ります。手水舎がある寺院では左手、右手、左手、口の順に手と口を清め、本堂へと向かいましょう(新型コロナウイルス感染症のため、手水舎が使用できない場合がございます)。線香や灯明をあげ、納め札と賽銭を納めたら、心を込めて合掌します。その後は読経するか写経を納めるかはどちらでも構いません。最後に納経所へ行き、奉納した納経印を頂く、というのが一連の流れとなります。
心得として最も大事なのは「大切な人の幸せを祈ること」。そして、あくまでも“自由なお遍路”ですが、お遍路さん同士の挨拶や橋の上では杖をつかない、トイレなどに御朱印帳や杖といったものは持ち込まないなど様々で特に決まりはないものの、最低限のマナーを守ることが大切です。各寺院を入る時にも、笠や帽子を着用している場合は外すなど十分に配慮しましょう。お参りの時間が遅くなりすぎないように。
「伊豆88お遍路」のエリア


札所は1番「嶺松院」から88番「修禅寺」まで半島全域に点在。全て巡ることを「通し打ち」と言います。
伊豆半島を一周する全長444kmの道のりが続き、距離は四国の3分の1ほどで比較的コンパクトにまとまっているのが特徴。ですが必ずしも全てを巡る必要はなく、目的や自分のペースに合わせて順番や回り方、巡る期間まで自由に決められます。スタートやゴール地点の設定、距離、順番など事前に決めておくと効率良く回れますよ。
とは言え、「どこから行けば良いか分からない!」という方も多いはず。そんな方はWEBアプリ「伊豆御朱印物語」を参考に巡るほか、0番札所へ行くのもおすすめです。0番札所は「三明寺」(静岡県沼津市大岡4051)に設置され、「伊豆88遍路」に関する情報発信を行う場所。お遍路に関する困り事があった時も解決してくれます。またご朱印帳の販売もしているので手ぶらで来ても安心です。
伊豆88遍路にかかる費用と日数、巡り方

基本的には現地までの交通費に加え、御朱印帳2400円、御朱印1社につき300円、賽銭箱に入れるお布施、泊まりで行く場合は宿泊費などを考慮しておくと良いでしょう。公共交通機関を利用する場合は運賃も忘れずに!
日数は回る順番、いくつの寺院を巡るかによって距離も様々ですが、全て回る場合は車や電車を利用しても10日前後と言われています。徒歩では一般的に1日5〜6社を巡ることができるので、まずは日帰りで計画してみてはいかがでしょう。参拝時間は寺院によって異なりますが、朝から日没前までと限られているので無理のないスケジュールで。


徒歩の場合
お遍路の巡り方は大きく3パターンあり、定番は徒歩で巡る「歩き遍路」。距離は限られますが、昔ながらの街並みに田園風景、爽快な海、山のロケーションなど伊豆ならではの魅力に溢れた遍路道をゆっくり巡ることができます。
服装は普段着に動きやすい運動靴などでもOK。白衣(びゃくえ)、菅笠(すげがさ)といった専用の装束で挑みたい、という方は「伊豆88遍路」のネットショップでも購入することができますよ。また日差しが強い道もあるので日焼け止めを持ち込むと便利。タオルや着替え、また道中で水分補給できるように飲み物も忘れずに!
電車やバスを使う場合
徒歩と合わせて公共交通機関を利用すると時間を短縮でき、より多くの札所に行くことができます。駅から徒歩5分程度で行ける場所も多く、さらに伊豆半島ほぼ全域を網羅した東海バスに乗れば、観光までしっかり楽しむことができます。温泉街が広がる熱海、海や富士山の絶景が自慢の戸田〜修禅寺などエリアを絞って効率良く回るのがおすすめです。
車の場合
さらに多くの札所へ行きたい時は車を利用するのもあり!少し離れた場所でも無理なく行け、1日10社ほど巡ることも可能です。車窓から広がる風景を横目に優雅なお遍路が楽しめますよ。
伊豆のお遍路の楽しみ方

伊豆ならではの魅力はなんと言っても、気軽さ。札所間の距離も比較的短く、初心者もウォーキング感覚で楽しめます。名物の生わさび丼や海鮮丼の人気店、蕎麦処、スイーツまで多彩な地元グルメを堪能しながら、存分に伊豆の旅を満喫しましょう。
温泉、グルメ、絶景で伊豆お遍路の魅力を発見!

最終地点である88番「修禅寺」周辺をはじめ、北は熱海、南は下田といった温泉地が数多くあり、旅の疲れをしっかりリフレッシュできるのは、伊豆でしかできない楽しみ方です。
さらに道中では海、山の美しい風景と出会えるのも魅力のひとつ。81番「宝蔵院」の境内に広がる森の中に約120体の石仏が並ぶ光景や、富士山を眺められるスポットなど、息を呑むほど神秘的な光景は見逃せません。
御朱印、納経帳

霊場巡礼専用の納経帳を用意しておくのがおすすめ。各札所で参拝と読経や写経で奉納し、ご縁を結んだ証としてご朱印をいただくものです。0番札所「三明寺」では納経帳(2400円)を購入可能です。住職不在の寺院があった場合は郵送などで対応してくれます(詳細は伊豆88遍路の公式HPを確認)。
WEBアプリ「伊豆御朱印物語」を活用して、旅をもっと楽しく!

札所と共に伊豆のジオサイトや名所も楽しむコースを教えてくれるWEBアプリ「伊豆御朱印物語」は無料で利用できます。目的に合わせたコースを物語として紹介し、現在全22話が公開されています。各コースの距離や旅費、電車やバス利用時の時間から料金など細かく記載された便利なアプリで、スマホで気軽に利用できるのも嬉しいポイント。22話全てを回れば、伊豆全域の観光地や名所を楽しみながら、霊場八十八ヶ所の御朱印が集められ、地域のパワースポットまで網羅できる優れものです!
まとめ
今度のお出かけは、今、再ブームとなっている「伊豆88遍路」を体験してみるのはいかがですか?
江戸時代から続くお遍路ですが、由緒ある歴史を残しつつ、今では気軽に観光気分で参加できる素敵な旅へと様変わり。豊かな自然に触れ、伊豆半島の観光まで楽しんだら、日頃の疲れもしっかりリフレッシュできること間違いなしです。
初めての方は公式サイトや便利なWEBアプリを活用するのがおすすめ。参拝と合わせてグルメに温泉、絶景と伊豆の魅力を最大限に満喫できる様々なコースが紹介されているので、お出かけ前にぜひチェックしてみましょう♪
【記事出典・参考】
公式サイト「伊豆88遍路」
「伊豆観光情報」
「伊豆なびスタンプ」
「伊豆御朱印物語」
※この記事は2022年4月13日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
※掲載の価格は全て税込み価格です。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、感染拡大防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。
GAKU(J.9)
株式会社J.9(ジェイ.キュー)所属のライター。福岡・東京を拠点に観光情報誌、情報WEBサイトで日本各地のグルメ、イベント情報などを日々発信しています。Twitterで食べたい!行きたい!情報を随時更新中。 @GakuKael(https://twitter.com/GakuKael)、株式会社J.9( http://j9-fukuoka.com/about/)